理学療法士の国家試験に落ちる人の特徴は?合格のためのポイントも解説
公開日:2025.02.05 更新日:2025.02.06
文:内藤 かいせい(理学療法士)
理学療法士の学生として最終学年になると、国家試験のための勉強が行われます。その際に、国家試験に落ちる人はどのような特徴があるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、理学療法士である筆者が実際の体験談をもとに、国家試験に落ちる人の特徴や合格のためのポイントをご紹介します。どのような点をおさえて勉強すべきかを知ることで、国家試験の合格につながるでしょう。
理学療法士になるには国家試験の合格が必要
理学療法士として働くためには、国家試験に合格して資格を取得する必要があります。理学療法士は厚生労働大臣が認定している国家資格であり、誰もが気軽になれるわけではありません。
資格を取得するためには、まず養成校に入学して3年以上学び、必要な知識と技術を習得します。そのうえで国家試験を受験し、合格することで晴れて理学療法士として働けるのです。
理学療法士の国家試験の合格率
理学療法士の国家試験の合格率について、2024年までの過去5年間のデータを以下の表にまとめました。
年度 | 理学療法士の合格率 |
---|---|
2024年度 | 89.2% |
2023年度 | 87.4% |
2022年度 | 79.6% |
2021年度 | 79.0% |
2020年度 | 86.0% |
このように、合格率は毎年約80〜90%を推移していることがわかるでしょう。理学療法士の国家試験は決して難易度が高いわけではなく、しっかりと勉強していれば合格は十分に可能です。ただし、国家試験のために勉強すべき範囲は広いので、それらを網羅しておく必要があります。
理学療法士の国家試験に落ちる人の5つの特徴
理学療法士の国家試験に落ちる人の特徴は、以下の5つです。
2. 勉強時間が少ない
3. 養成校の国家試験対策に取り組まない
4. 問題の内容を理解していない
5. インプットのみでアウトプットをしていない
ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。
1.過去問を繰り返し解かない
1つ目は、過去問を繰り返し解かない人です。理学療法士の国家試験の問題は、基本的に過去の出題内容をベースに作成される傾向にあります。そのため、過去問を解くことで出題傾向や問題の形式を把握できるだけでなく、重要な知識を効率的に学べます。
同じような問題でも少し形を変えて出題されるケースも多いため、過去問を通じて応用力を養うことも可能です。過去問を繰り返し解かないと出題傾向や内容を把握できないため、点数が伸びにくくなる恐れがあります。
2.勉強時間が少ない
2つ目は、勉強時間が少ない人です。国家試験に合格するためには、十分な勉強時間を確保することが不可欠です。理学療法士の国家試験の範囲は非常に広く、解剖学や生理学などの基礎的な分野から、理学療法の専門知識まで多岐にわたります。
そのため、日々の勉強時間が少ないと必要な範囲をカバーしきれず、結果として点数が伸び悩むことになるでしょう。このように、そもそも勉強時間をうまく確保できない人は、国家試験に落ちやすくなります。
3.養成校の国家試験対策に取り組まない
3つ目は、養成校の国家試験対策に取り組まない人です。それぞれの養成校では、最終学年の時期に独自の国家試験対策が行われています。なかには「自分のペースで勉強したい」「養成校の国家試験対策に不満がある」などの理由で、積極的に参加しない学生もいるでしょう。
しかし、このような理由で国家試験対策に取り組まないのはリスクとなるケースがあります。養成校での国家試験対策は勉強時間の大部分を占める可能性があり、個人学習では得られないメリットもあるからです。自分のペースで勉強しようとした結果、スムーズにいかず国家試験に落ちる、ということもあるでしょう。
4.問題の内容を理解していない
4つ目は、問題の内容を理解していない人です。過去問や専用のテキストを繰り返し行っていると、何度も同じ問題を解く機会が多くなります。そのときに問題の内容を理解せずに、暗記して解いてしまうケースがよくあります。
このような学習方法が定着すると、国家試験で類似した問題が出題された際にうまく対応できなくなるのです。国家試験に合格するためには、なぜその答えが正解・不正解なのかをしっかり理解することが重要です。
5.インプットのみでアウトプットをしていない
5つ目は、インプットのみでアウトプットしていない人です。効果的に学習するには、知識を入れるインプットだけでなく、アウトプットが欠かせません。学んだ点やわかった点をアウトプットすることで知識の定着につながり、問題に対する理解度の向上につながります。
インプットだけの勉強を中心にしていると、知識が頭に残りにくくなります。国家試験対策では、アウトプットも意識しながら勉強を進めることが重要です。
国家試験に合格するためのポイント
国家試験に合格するためには、どのようなことをおさえるべきなのでしょうか。ここでは、合格するためのポイントについて解説します。
とにかく勉強に専念する
理学療法士国家試験に合格するためには、十分な勉強時間の確保が必要不可欠です。理学療法士の国家試験の合格率は決して低くないものの、それは合格した人の多くがしっかりと勉強しているからです。
実際に、筆者も国家試験対策がはじまった半年間は土日関係なく、朝9時から夜9時まで毎日養成校で勉強していた経験があります。アルバイトやプライベートの予定は可能な限り減らし、試験対策期間中はとにかく勉強に専念することをおすすめします。
配点の高い分野を固めておく
なるべく配点の高い分野を固めておくことも重要です。国家試験はマークシート式で、実地問題と一般問題の2種類に分かれています。とくに実地問題の配点は1問あたり3点と高いため、合格の有無を大きく左右する重要な分野といえるでしょう。
実地問題は臨床現場で必要となる実践的な知識を問う内容が中心で、細かい専門用語や評価内容などの理解度が試されます。そのため、実地問題の対策では教科書の内容を丸暗記するだけでなく、実際の臨床場面をイメージしながら学習を進めることが大切です。
過去問は何度も繰り返し行う
過去問は、可能な限り何度も繰り返し行いましょう。国家試験合格の一番の近道は、過去問を徹底的に解くことといっても過言ではありません。過去問を何度も繰り返し取り組むことで試験の傾向を理解し、必要な知識をより効率的に吸収できます。
過去5〜10年分を目安に繰り返し解いて、出題頻度の高い分野や、問題の形式を把握しておきましょう。このような地道な取り組みが、国家試験の合格につながるのです。
模試で現状の実力を把握しておく
現状の実力を把握するには、模試の結果を参考にするとよいでしょう。養成校では定期的に模試が行われるので、それを通じて現在の実力や弱点を明確にできます。とくに、以下の点に注目して模試の結果を分析することが重要です。
● 時間配分の適切さ
● 問題の読解力
● ケアレスミスの傾向
このように、模試で明らかになった課題に対して早めに対策を立てることで、本試験での失敗を防げます。
国家試験合格に向けた取り組みを!
理学療法士になるには国家試験の合格が必須で、そのためにしっかりと勉強する必要があります。国家試験に落ちる特徴としては、過去問を解かない人や、勉強時間が少ない人などがあげられます。国家試験に合格するためには、そのような特徴に当てはまらないように、勉強に専念することが大切です。ぜひ今回の記事を参考にして、試験合格に向けた取り組みをしていきましょう。
出典:
厚生労働省|第55回理学療法士国家試験及び第55回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省|第56回理学療法士国家試験及び第56回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省|第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省|第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省|第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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