専門理学療法士を取得するには?取得までの流れやメリットを解説
公開日:2025.02.22 更新日:2025.08.27

文:内藤 かいせい(理学療法士)
専門理学療法士とはどのような資格なのか、どのような方法で取得するのか知りたい方はいませんか?専門理学療法士は特定分野のスペシャリストのことで、資格の取得によってさまざまなメリットを得られます。
この記事では、専門理学療法士の取得の流れやメリットをご紹介します。資格に関する知識を深めることで、取得するための計画をスムーズに立てられるようになるでしょう。
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目次
専門理学療法士とは?

専門理学療法士とは、どのような資格なのでしょうか。ここでは専門理学療法士について詳しくみていきましょう。
高い専門性を有したスペシャリストのこと
専門理学療法士とは、理学療法士のなかでもより高度な専門知識と技術を持ったスペシャリストのことです。この資格は、日本理学療法士協会が認定する制度の1つであり、定められた条件を満たすことで取得可能です。
理学療法は、患者さんの状態や症状に応じて多様なアプローチが求められます。そのような状況で、特定領域に深く精通している専門理学療法士は、質の高いリハビリを提供できる存在といえるでしょう。専門理学療法士は臨床現場だけでなく、研究や教育の分野でも活躍しており、理学療法全体の質の向上に貢献しています。
専門理学療法士の人数
日本理学療法士協会によると、専門理学療法士の取得者(延べ人数)は2024年3月の時点で「4,137名」とされています。
協会の総会員数が139,556名であるため、専門理学療法士の割合は全体の約3%となります。このことから、専門理学療法士は非常に希少性の高い資格といえるでしょう。
都道府県別にみると、専門理学療法士の分布には地域差があり、都市部に集中する傾向があります。詳細は後述しますが、専門理学療法士には13の認定分野があり、そのなかでも脳卒中や運動器に関する分野の取得が多い傾向にあります。
出典:日本理学療法士協会|各資格の取得状況|生涯学習
日本理学療法士協会|②都道府県別 取得者数
日本理学療法士協会|①分野別 取得者数
専門理学療法士の認定分野
専門理学療法士には13の認定分野があり、そのなかから選択して取得を目指します。そのため、実際の名称は「○○専門理学療法士」となります。認定分野の種類は、以下のとおりです。
2.神経理学療法
3.小児理学療法
4.運動器理学療法
5.スポーツ理学療法
6.心血管理学療法
7.呼吸理学療法
8.糖尿病理学療法
9.地域理学療法
10.予防理学療法
11.支援工学理学療法
12.物理療法
13理学療法教育
これらの分野から選択したうえで、専門理学療法士の取得を目指します。
専門理学療法士の取得までの流れ

専門理学療法士を取得するための流れは、以下のとおりです。
2.登録理学療法士になる
3.専門理学療法士に必要な要件を満たす
4.専門理学療法士の口頭試験に合格する
ここでは、それぞれの流れについて詳しく解説します。
1.日本理学療法士協会の会員になる
専門理学療法士になるには、まず日本理学療法士協会の会員になる必要があります。日本理学療法士協会に入会する流れは、以下のとおりです。
2.基本情報を登録する
3.入会金や年会費の支払いをする
4.入会が承認され、会員証を受けとる
入会申請後、すぐに会員になれるわけではない点に注意しましょう。申請後、約1〜2週間経過したら承認されるので、その後は講習会の参加や学習制度の利用など、会員向けのサービスを利用できます。
2.登録理学療法士になる
日本理学療法士協会の会員登録後は、まず「登録理学療法士」という資格を目指す必要があります。登録理学療法士とは、協会による生涯学習制度の初期段階に位置付けられる資格の一つです。この資格の取得によって、その後の認定・専門理学療法士へのステップアップができます。
指定された「前期・後期研修」を履修することで、この資格の取得が可能です。それぞれの研修の内訳について、以下の表にまとめました。
| 前期研修 | 座学:22コマ(33時間) 実地研修:32コマ(48時間) |
|---|---|
| 後期研修 | 座学:51コマ(76.5時間) A. 臨床推論 B. 臨床疫学 C. 領域別研修(座学) D. 関連領域 E. 領域別研修(事例・育成) 実地経験:3年(36か月) |
前期の最短履修期間は2年、後期は3年です。そのため、登録理学療法士になるには最短でも5年の期間が必要です。
登録理学療法士の具体的な取得方法について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
関連記事:登録理学療法士とは?取得方法やメリットについて解説
出典:日本理学療法士協会|生涯学習制度について
3.専門理学療法士に必要な要件を満たす
登録理学療法士になった後は、専門理学療法士になるための要件を満たす必要があります。おもな要件は以下のとおりです。
・ブロック学会の参加
・都道府県学会の参加
・日本理学療法学会連合の会員団体が主催の学術大会での発表
・査読付き原著論文業績
これらの要件を満たした後に、専門理学療法士の申請を行います。
4.専門理学療法士の口頭試問に合格する
専門理学療法士の申請後は、口頭試問が行われます。この試問に合格したら、認定証が発行され、専門理学療法士として名乗ることが可能です。口頭試問は専門分野に関する資質を確認することを目的としており、提出した論文を審査するものではありません。
専門理学療法士を取得するメリット
専門理学療法士を取得することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、具体的なメリットについて解説します。
理学療法士としての希少性が高まる
専門理学療法士の取得によって、理学療法士としての希少性が高まります。前述したように、専門理学療法士の資格取得割合は会員全体の約3%と、非常に少数です。そのため、特定分野における専門家として高い評価を得やすいといえるでしょう。
今後、高齢化によって医療の必要性が高まれば、専門性の高い理学療法士の需要はさらに増えることが予想されます。
転職が有利になりやすい
専門理学療法士の資格は、転職活動でも有利となります。専門的な知識や技術を持っている理学療法士は、どの職場からも高い評価を受けやすくなります。
専門理学療法士を取得しておけば、特定領域のスペシャリストであることを証明できるため、優遇されやすくなるのです。職場によっては、給料アップや昇給などの高待遇を得られるケースもあるでしょう。
新しいキャリアを目指すきっかけにもなる
専門理学療法士の資格取得は、理学療法士としての新たなキャリアを築くきっかけにもなります。たとえば、専門的な知識や技術を持つことで、教育機関での講師や医療機関での実習指導者として活躍可能です。さらに、専門理学療法士を取得する過程で得た知識や経験をもとに、研究機関での仕事を目指したいと感じる方もいるでしょう。
このように、専門理学療法士の資格は、理学療法士としてのキャリアの幅を大きく広げる可能性を秘めているのです。
専門理学療法士と認定理学療法士の違い
日本理学療法士協会の生涯学習制度には、専門理学療法士だけでなく認定理学療法士という資格もあります。ここでは、それぞれの資格の違いについてみていきましょう。
取得方法が異なる
認定理学療法士とは、専門理学療法士と同じように特定分野のスペシャリストであることを証明する資格です。こちらも登録理学療法士を取得後に目指すもので、おもな要件は以下のとおりです。
・臨床認定カリキュラムの受講
・日本理学療法学術研修大会の参加
これらの要件を満たしたうえで、認定試験に合格すれば資格の取得が可能です。要件の違いから、専門理学療法士と比較すると、認定理学療法士のほうが取得難易度は低い傾向にあります。
有資格者は認定理学療法士のほうが多い
認定理学療法士の有資格者は、専門理学療法士よりも多いです。実際に、認定理学療法士の取得者(延べ人数)は2024年3月の段階で、「17,145名」とされています。理学療法士協会の会員数が約14万人であるため、10人に1人以上が認定理学療法士という計算となります。専門理学療法士の取得者が4,137名なので、認定理学療法士のほうが4倍以上も多いことがわかるでしょう。
前述したように、資格取得者からみても認定理学療法士よりも専門理学療法士のほうが難易度が高い傾向にあります。ただし、認定理学療法士も高い専門性を保有した理学療法士であることに間違いはありません。そのため、専門理学療法士の前に認定理学療法士を先に取得する方も多いでしょう。少しずつステップアップしたい方は、まずは認定理学療法士を目指すのもおすすめです。
認定理学療法士を取得するメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:認定理学療法士は「意味ない」って本当? その理由や資格を取得するメリットについて解説
出典:日本理学療法士協会|各資格の取得状況|生涯学習
専門理学療法士の取得を目指す際のポイント
専門理学療法士の取得は決して簡単ではありません。スムーズに資格を取得するためには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。ここでは、その具体的なポイントをご紹介します。
自分のキャリアにあわせた分野を取得する
専門理学療法士を目指す際は、自分のキャリアや興味にあった分野を選ぶことが重要です。たとえば、脳卒中のリハビリに携わる機会が多い方であれば、「神経理学療法」が適しています。今後、呼吸器疾患に関わりたいと思っている場合は、「呼吸理学療法」を選ぶとよいでしょう。
自分の専門性を高めたい分野を選ぶことで、日々の臨床経験と学習が効率よく結びつきやすくなります。分野選択に迷った場合は、先輩の理学療法士や職場の上司に相談するのもよい方法です。
資格取得のためのスケジュールを立てる
専門理学療法士の資格を取得するには、長期的な計画が欠かせません。まず、登録理学療法士になるまでに最短で5年、その後さらに2〜3年程度の期間をかけて、専門理学療法士の条件を満たすことが一般的です。そのため、年単位の計画的なスケジュール管理が重要です。
現状どの条件を満たしているのか、どの条件を達成するべきなのかを把握したうえで、今やるべきことを実行しましょう。勤務先での業務と両立できるように、余裕を持ったスケジュールを組むこともポイントです。
専門理学療法士の将来性
専門理学療法士の取得は、将来的にも非常にメリットとなると考えられます。超高齢社会の進展とともに、リハビリを必要とする人々はますます増えていくでしょう。とくに専門的な知識や技術を持つ理学療法士へのニーズは、さらに高まりやすくなる可能性があります。
理学療法士は病院だけでなく、以下のようなさまざまな領域で活躍しています。
・スポーツジム
・福祉施設
・教育機関
・研究機関
このような専門性が求められる分野の知識・技術を持っていれば、理学療法士としての価値はより高まるでしょう。将来性も考慮したうえで、専門理学療法の取得を目指してみましょう。
専門理学療法士を取得した後の注意点
専門理学療法士を取得した後の注意点として、更新があることです。専門理学療法士の資格は永続的なものではなく、5年ごとに更新する必要があります。更新に必要な条件は、以下の3つです。
・都道府県理学療法士会学術雑誌への投稿
・ブロック主催学会での一般発表の筆頭演者
・都道府県理学療法士学会での一般発表の筆頭演者
2.維持・研鑽のための活動における100点の取得
3.更新時研修
専門理学療法士に加えて、登録理学療法士の更新もする必要がある点に注意しましょう。登録理学療法士も5年ごとの更新が必須で、一定のポイントを取得したうえで、特定の研修を受講する必要があります。これらの更新をしないと資格の保持ができないので、この点を必ずおさえておきましょう。
専門理学療法士を取得してキャリアアップを目指そう
専門理学療法士は日本理学療法士協会が定めた資格で、取得にはさまざまな要件が求められます。専門理学療法士を取得することで理学療法士としての信頼性が高まり、新しいキャリアを目指せるきっかけにもなります。
この資格は永続的なものではなく、5年ごとの更新がある点には注意しましょう。ぜひ今回の記事を参考にして、専門理学療法士の取得を目指してみてください。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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