パーキンソン病にリハビリは効果的!リハビリの具体的な方法と注意点・禁忌まで詳しく紹介!
公開日:2025.03.17

文:まさ(理学療法士)
パーキンソン病の名前は一度は耳にしたことがあるでしょう。パーキンソン病は進行性の疾患で、動作がゆっくりとなったり身体がふるえたりする疾患で、根本的な治療方法はないといわれています。
しかし、パーキンソン病もリハビリを正しく行えば、身体機能を維持させるだけでなく、向上することも可能です。
今回は、パーキンソン病に対する効果的なリハビリの内容だけでなく、リハビリを実施するにあたっての注意点や禁忌事項も紹介します。
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パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の黒質という部分の神経細胞が減少し、ドパミンという神経伝達物質が減少することで起こる進行性の疾患です。進行性といっても、生命予後は決して悪くなく、平均余命も一般より2~3年短い程度といわれています。
ドパミンは、快感や多幸感を得るなどの感情の部分以外にも、運動調節にも関連するため、ドパミンが減ってしまうと、身体を動かす働きが乱れてしまい、手足のふるえや筋肉の硬直などの症状があらわれます。
パーキンソン病は1,000人に1~1.8人程度発症するといわれていますが、65歳以上になると100人に約1人と、高齢者になると発症の危険性が高くなるのが特徴です。
パーキンソン病の4大症状

パーキンソン病の代表的な症状として、以下の4大症状がよくみられます。
安静時振戦
手足が安静時に小刻みにふるえる症状で、静止しているときには症状がみられますが、動作を始めると振戦が軽減するのが特徴です。
また、親指と人差し指をこすり合わせるような動きである「丸薬丸め運動」が1秒間に4~6回程度の頻度でよくみられます。
筋強剛
筋肉の緊張が異常に高くなることで動作が硬くなる状態です。この状態になると動作が遅くなったり、動きがぎこちなくなります。
このような症状から、関節を他動的に動かすと、歯車のようにガクガクと抵抗を感じる「歯車現象」がみられるもの特徴の1つです。
無動
動作を開始することができない状態や、動作の速度や量が減少する症状のことで日常生活の動作が難しくなり、全体的な動きが鈍くなります。
パーキンソン病の場合は、歩くときに足が出なくなる「すくみ足」、歩幅が小さくなる「小刻み歩行」、瞬きが少なく仮面をかぶっているような表情のない顔つきの「仮面様顔貌」、文字を書く際に、本人の意思に反して字が小さくなる症状である「小字症」などがみられます。
姿勢反射障害
身体のバランスを保つ能力が低下することです。人は倒れそうになると倒れないために足を踏み出すなど、姿勢を反射的に直す反応をもっています。
しかし、パーキンソン病になるとこの反応が低下するため、バランスをとることが難しくなり、転倒しやすくなります。
その他の症状
4大症状以外にも、「非運動性症状」と呼ばれる症状として、嗅覚低下、便秘、頻尿や排尿困難、立ちくらみ、起立性低血圧、睡眠障害、記憶障害、うつ、幻覚・妄想、自発性の低下などがみられる場合もあります。
最近では、これらの症状のほうが、4大症状の前に出現するともいわれています。
パーキンソン病のリハビリ

パーキンソン病の方に対するリハビリは、日本神経学会発行の『パーキンソン病診療ガイドライン2018』で有効とされており、このことからも、パーキンソン病にはリハビリが欠かせないことがわかります。
運動療法
基本的なリハビリの1つとして運動療法があります。具体的な運動療法には次のようなものがあります。
関節可動域訓練
筋肉の柔軟性を保ち、関節の動きを改善するための運動で、手足や、体幹・頸部などに対してゆっくりとしたストレッチや関節可動域練習などが推奨されています。
有酸素運動
ウォーキングなどの有酸素運動は、歩行能力や運動機能、バランスなどを改善する可能性があります。実際、トレッドミルでのトレーニングを行うことで、歩行速度と歩幅が改善されたとの報告があります。
有酸素運動の時間と回数は、それぞれの身体機能や年齢などによって異なりますが、1回20~40分程度、週に3~5回行うことを目標としましょう。
筋力トレーニング
スクワットや腕立て伏せなどの筋力トレーニングを、各5~10回程度の回数を週に2回以上行うことで筋力の強化につながり、身体機能の改善が期待できます。
ダンス
パーキンソン病患者向けに特別にデザインされたダンスクラスに参加してダンスを行うことで、可動性とバランスを改善できる可能性があります。
このパーキンソン病患者向けのダンス教室は国内でもさまざまな場所で開催されています。
ヨガ
リハビリの1つとしてヨガも注目されています。実際に8週間のヨガを実施した結果、不安症状や抑うつの改善だけでなく、運動機能や歩行能力などの改善も期待できると報告されています。
パーキンソン病のリハビリに対する禁忌・注意点
リハビリは身体機能改善にあたって有効な手段の1つですが、誤った方法で行うと逆効果となる危険性があります。
そのため、次のことに注意してリハビリを行う必要があります。
過度な運動を実施しない
パーキンソン病の方が過度な運動をすることは禁忌ではありません。しかし、高い運動負荷でトレーニングを行い、運動後に痛みや疲労が残ってしまった結果、運動を継続的にできなくなっては元も子もありません。
そのため、適切な運動量を確認したい場合は、医療機関で医師や理学療法士などの専門職に問い合わせましょう。
転倒に注意する
パーキンソン病の方は、転倒や転落などの事故を起こしやすいといわれています。転倒することによって、足の骨折なども発症する場合もあるため注意が必要です。
実際、1~2か月間で約3分の1 が転倒し、1年間では約3分の2が転倒するともいわれています。
原因としては、すくみ足や姿勢反射障害が大きな原因の1つとして考えられています。そのため、バランスや歩行の練習などをしようとしても、足がうまく出なかったり、ふらついても足が踏み出せなかったりする結果、転倒する可能性も高くなるため注意が必要です。
日内変動に注意する
パーキンソン病では、飲んでいる薬の効く時間が短くなる「ウェアリングオフ現象」や、症状が突然によくなったり悪くなったりする「オン-オフ現象」など、症状の程度が1日の中でも変化する「日内変動」が起こるのも特徴です。そのため、日常生活やリハビリを行う際は、この日内変動を考慮する必要があります。
薬が効いて症状が一番軽い時間帯に運動を行うことで効果的なトレーニングが可能になりますが、逆に症状が悪化している時間帯の場合であれば、転倒などの危険性が高くなってしまいます。
また、複雑な動作の練習は行わず、ストレッチなどの簡単な運動を行うなど、内容にも工夫が必要になります。
非運動性症状も理解しておく
リハビリを実施する際、4大症状のほかに、非運動性症状もしっかりと理解してうえでリハビリテーションを行いましょう。
非運動性症状である睡眠障害や、気分の落ち込み、急に立ち上がると血圧が下がる症状の起立性低血圧などを考えずにリハビリを行うと、拒否や転倒などにつながる危険性が高くなります。
そのためリハビリの際は、しっかりとコミュニケーションをとりながら症状に合わせて行うことを意識しましょう。
転倒などに注意しながらリハビリを継続しよう
パーキンソン病は進行性の病気ではありますが、リハビリを実施することで身体機能の維持・向上につながります。
そのために、今回紹介した禁忌や注意点を意識して、継続して運動やリハビリを行うようにしましょう。
参考文献
3学会合同呼吸療法認定士の活動状況に関するアンケート調査結果(概要)
E-ヘルスネット「ドパミン(どぱみん)」
難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」
厚生労働省「パーキンソン病」
日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」

まさ(理学療法士)
2010年頃に理学療法士の国家資格を取得してから10年以上病院で勤務している。また理学療法士の資格だけでなく、ケアマネジャーの資格も取得しているため、医療・介護系の知識に精通している。それ以外にも、現在は管理職として在籍しているため、体のことだけでなく、医療・介護にかかわる制度など幅広い分野において情報を発信できる。
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