福祉住環境コーディネーターの資格は役に立たない?セラピストにとってのメリットを解説
公開日:2025.04.03
文:かな(作業療法士)
福祉住環境コーディネーターは、住宅改修や福祉用具の選定に関する専門的な知識を持つ資格です。しかし、「取得しても役に立たないのでは?」と疑問を抱く人もいるかもしれません。
特に、医療や介護の専門職として働くセラピストの中には、この資格を追加で取得することの必要性に迷いを感じる方もいるでしょう。
本記事では、福祉住環境コーディネーターの資格が「役に立たない」といわれる理由や、セラピストがこの資格を取得するメリットについて詳しく解説します。
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目次
福祉住環境コーディネーターの資格が「役に立たない」といわれる理由
セラピストの中には、福祉住環境コーディネーターの資格を取得する人もいますが、「取得しても役に立たないのでは?」という意見もあります。
ここでは、役に立たないといわれる理由と資格を活かせる場面について解説します。
資格だけでは実務に直結しづらい
福祉住環境コーディネーターの資格を取得しても、直接的に住宅改修の設計や工事ができるわけではありません。設計士や施工業者との連携が必要であり、資格取得だけでは十分なスキルを補えない場合があります。
また、資格取得後に具体的な活用方法が明確でないことも「役に立たない」といわれる理由の1つといえます。例えば、以下のような意見もあるでしょう。
● 実務経験で補える:理学療法士(PT)や作業療法士(OT)は、住宅改修に関わる知識を既にある程度持っているため、資格がなくても対応可能な場合が多い。
そのため、資格があっても実務で活かしづらい、または待遇改善につながりにくいと感じる人がいるのです。
独占業務がない
福祉住環境コーディネーターは、介護保険制度において必須資格ではありません。
例えば、介護保険を利用した住宅改修で必要な「住宅改修理由書」は、ケアマネージャーや理学療法士、作業療法士などでも作成可能であり、福祉住環境コーディネーターでなければできない業務は特にありません。
また、住宅改修に関わる資格なら、ケアマネージャー(介護支援専門員)や建築士(1級・2級)の方が一般的で、これらの資格は仕事に直結しやすく、権限も強いのが特徴です。
そのため、「福祉住環境コーディネーターよりも、他の資格の方が有用」と考える人が多いのも事実です。
セラピストが福祉住環境コーディネーターの資格を取得するメリット
一方で、セラピストが福祉住環境コーディネーターの資格を取得することで得られるメリットもあります。特に、住宅改修の知識を得られることや他職種と連携しやすくなることが挙げられます。
住宅改修の知識が得られる
理学療法士や作業療法士が患者の在宅復帰支援を行う際、住宅改修の知識が役立ちます。
例えば、自宅の段差の解消方法や生活動作に適した手すりの設置位置、トイレや浴室の改修の必要性などを具体的にアドバイスできます。患者や家族に対してより適切な提案が可能となるでしょう。
他職種との連携がスムーズになる
住宅改修の提案には、ケアマネージャーや施工業者との協力が不可欠です。
福祉住環境コーディネーターの知識があれば、利用者の身体機能の評価を踏まえた具体的な要望を施工業者に伝えやすくなります。また、ケアマネージャーとの情報共有もスムーズに行えるでしょう。
福祉住環境コーディネーターを活かせる場面
福祉住環境コーディネーターの資格や知識は、セラピストの実務やキャリアチェンジにおいて活用できます。
セラピストの実務で活かす
訪問リハビリや在宅支援の場面で、住宅改修や福祉用具の選定に関するアドバイスが可能です。例えば、以下のようなケースで役立ちます。
● 福祉用具やバリアフリー設計に関する助言:車椅子ユーザーに適した住環境の整備や手すりの配置提案。
キャリアチェンジで活かす
福祉住環境コーディネーター単体での求人は少ないものの、リフォーム業界などでは資格取得を推奨している場合があります。そのため、転職や異業種への挑戦時に有利になるかもしれません。
まとめ|福祉住環境コーディネーターは無駄な資格ではない
福祉住環境コーディネーターは、「取得しただけでは仕事に直結しにくい」という側面があります。しかし、住宅改修に関する知識を得ることで患者や家族により適切なアドバイスができるようになり、キャリアの幅を広げる可能性があります。
資格取得を検討する際は、自分のキャリアプランや職場環境に応じて判断することが大切です。セラピストとして幅広い知識を身につけたい方にとって、この資格は決して無駄ではありません。興味があれば、ぜひチャレンジしてみましょう。
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参考

かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。
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