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むち打ち症でやってはけないことは?むち打ち症の種類や治療法も紹介

公開日:2025.04.04

むち打ち症でやってはけないことは?むち打ち症の種類や治療法も紹介

文:伊東浩樹(理学療法士)

むち打ち症は、交通事故で受傷する方が多い傷病です。

その昔、自動車の座席にヘッドレストがついていなかった時代に、自動車の追突や衝突による衝撃で、首が「むち」のようにしなることが、「むち打ち症」という名前の由来になっています。

ただし、むち打ち症は、頚部外傷の局所症状の総称であり、正式な医学的傷病名ではありません。

今回は「むち打ち症」とは何か、医学的にはどのように分類されるのかについて説明します。また、むち打ち症になったときにやってはいけないことについて説明します。

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むち打ち症とは?

むち打ち症でやってはけないことは?むち打ち症の種類や治療法も紹介むち打ち症は、交通事故や、激しくぶつかり合うラグビーなどのスポーツで起こり得ます。むち打ち症は医学的な名称ではなく、「外傷性頚部症候群」や「頚椎症性神経根症」などと、多くの場合において診断されます。

症状によって治療法も変わるため、まずは整形外科などで、MRIやレントゲンを使って診断してもらうことが重要です。

むち打ち症の種類

むち打ち症の多くは、首の捻挫である「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」と診断されます。

これは、交通事故などで受傷した後、長期間にわたって首の痛みや肩こり、頭痛、めまいなどの症状が現れます。

骨折をしていなくても、首の筋や靭帯が損傷していることが多く、受傷後1~3ヶ月ほど局所的に痛みを感じる場合があります。

一方、中高年の方に多く見られるのが「頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)」です。

腕や手に痺れがあることが外傷性頚部症候群との大きな違いで、交通事故だけでなく、加齢や姿勢の問題によっても起こります。

痺れとともに痛みをともなうことがあり、その程度は人によってさまざまです。

首を後ろへ反らせると痛みや痺れが強くなる傾向にあるため、人によっては上を向くことや、それに付随した日常動作を行いづらくなります。

それにより生活に支障をきたしたり、腕の筋力などが低下したりする恐れもあります。

むち打ち症でやってはいけないこと

むち打ち症になったときは、症状を悪化させたり、長期化させたりしないために、以下に気を付けましょう。

過度の安静

むち打ち症になった際には、医師の指示のもと一定期間安静は必要ですが、必要以上に安静にしていると首周囲の関節が硬くなり、筋力が低下していきます。

それにより、日常生活に支障をきたす恐れがあるので、痛みが落ち着いてきたら、動かせる範囲で首を動かし、ストレッチをしていくことが大切です。

激しい運動

むち打ち症は、首の周囲にある筋肉や靭帯が大きなダメージを受けている状態です。

その状況でいきなり激しい運動をしてしまうと、回復する間もなく筋肉等に再びダメージを与えてしまい、回復が遅れてしまいます。

そのため、痛みが落ち着くのを待って徐々に運動を再開するようにしましょう。

負担のかかる姿勢

むち打ち症になったら、首への負担を軽減しながら過ごすことが大切です。

猫背や長時間同じ姿勢で首を動かさずにいることは、首の周囲にある筋肉を強張らせてしまい症状を悪化させてしまう恐れがあります。

また、片手で荷物を持つことも、首の左右いずれかに負担が偏ってしまうため避けるようにしましょう。寝るときは、枕が高いと首に負担をかけやすいため注意しましょう。

患部を温める

痛みがある箇所を温めることで楽になるイメージがある方もいるかもしれません。

しかし、むち打ち症になった初期は、筋肉等に炎症が起きているため、患部を温めることでその炎症を悪化させてしまう恐れがあります。

そのため、むち打ち症になった場合、直ぐに温めることは避けたほうがよいでしょう。

放置する

むち打ち症の多くは、外傷となる事案(交通事故、激しいスポーツなど)が起こって数日後、数週間後など、時間が経過してから症状が現れる場合があります。

しかし、しばらく経ってしまうと診断が難しいケースもあるため、たとえ痛みや痺れがなかったとしても、違和感があれば念のため医療機関で診察・検査を受けておきましょう。

むち打ちの可能性が疑われる状況で放置するのはNGです。

むち打ち症の治療方法

むち打ち症でやってはけないことは?むち打ち症の種類や治療法も紹介

むち打ち症になった場合、整形外科等で診断を受けたのち、症状に合わせた治療が行われます。ここでは、代表的な2種類の症状について治療法を紹介します。

外傷性頚部症候群の場合

外傷性頚部症候群と診断されたら、骨折、脱臼がなければ2から4週間ほど安静期間を設けて痛みのコントロールを図ります。

この期間が、予後の痛みを長期化させないために重要です。医師の助言をもとに経過を見ていきましょう。

頚椎症性神経根症の場合

基本的に無理をしなければ徐々に状態が良くなり、良い経過をたどる場合が多いものの、治癒までに数ヶ月以上かかる可能性もあります。

このとき、症状を悪化させないように、うがいなどの首を後ろに倒す動作については控える必要があります。

痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤等を使用したり、牽引等の治療を行うこともあるでしょう。また、筋力低下等が見られる場合は手術療法が適応されることがあります。

むち打ち症が後遺症となる前に

むち打ち症とは、いつ誰がどんな場所で受傷するかわからない身近な疾患です。多くの場合は治癒するものですが、一部では症状が長期化して治らずに後遺症となり痛みや痺れなどに悩まされる人がいることも事実です。

むち打ち症と診断された場合には、今回お伝えした「やってはいけないこと」に気を付けて、医師の指示に従うことにしましょう。

参考

日本整形外科学会 むち打ち症

三国ゆう整形外科

あやせ駅前整形外科・内科 交通事故で起こるむち打ち症の正体は?

伊東 浩樹(理学療法士)

伊東 浩樹(理学療法士)

理学療法士として総合病院で経験を積んだ後、予防医療の知識等を広めていくためにNPO法人を設立。医療機関の運営や地域医療に関する課題解決に携わる。障がい福祉に関する責任者、特別養護老人ホームの施設長なども経験。医療機関の設立や行政から依頼を受けての講演、大学、専門学校等での講師なども勤める。

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