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ストレッチポールでやってはいけないこと|理学療法士が解説

公開日:2025.04.07

ストレッチポールでやってはいけないこと|理学療法士が解説

文:梶原たくま(理学療法士)

ホームエクササイズの物品としてポピュラーなストレッチポール。

ポールの上に寝そべるだけで背中や腰が伸び、手軽にストレッチができることから人気が高いセルフケアグッズの1つです。

ただし、やってはいけない方法でストレッチを行うと、腰痛を悪化させる恐れがあります。そこで今回は、ストレッチポールでやってはいけない姿勢や正しい使用方法、おすすめの選び方について解説します。

痛みが出てしまった際の対処法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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ストレッチポールでやってはいけないこと

ストレッチポールでやってはいけないこと

誤った方法でストレッチポールを使用すると腰痛を悪化させてしまう恐れがあります。原因は不良姿勢にあり、その姿勢を取らないことが大切です。

次に、ストレッチポールでやってはいけないこと(使用方法)を解説します。

腰が浮いた状態でストレッチポールを使う

ストレッチポールに背中を沿わせるように使う場合、腰が浮いた状態にならないようにしましょう。腰部の負担が大きくなり、腰痛が悪化する恐れがあります。

関節運動としては以下の動きが見られます。

● 骨盤前傾(骨盤が前に倒れる)
● 腰椎前弯(反り腰の状態)

この姿勢は、座った状態で背筋を伸ばすように意識すると再現が可能ですが、長時間同じ姿勢を続けようとしても、疲れてしまい難しいはずです。

疲労が蓄積すると痛みにつながる可能性があるため、ストレッチポールを使う際は腰が浮かないよう気をつけましょう。

横にしたポールを腰の位置に入れて使う

ストレッチポールを横にして腰の位置に入れた場合、腰がポールに押されて反り腰が強調されてしまいます。

硬さやポールの反力(押される力)に応じて腰部の負担が増して腰痛が悪化しかねません。ストレッチポールを使う際は、直接腰に当てないように気をつけましょう。

ストレッチポールの正しい使い方

ストレッチポールの正しい使い方

ストレッチポールを使うときには、「腹圧がかかるようにお腹に力を入れる」「肩甲骨の下に当てる」などが正しい方法です。それぞれのポイントを詳しく解説します。

ストレッチポールを背骨で押す

ストレッチポールを使う際は背骨でポールを押すように力を入れましょう。

背骨をまっすぐにするように力を入れると腹圧がかかり、体幹のトレーニングにもなります。もし、足を伸ばした状態でポールを使うのが難しい場合は、膝を曲げて行うとバランスが取りやすくなります。

両手を頭側に上げていくと脇の下もストレッチされますのでおすすめです。

肩甲骨の下にストレッチポールを当てる

ポールを腰の位置に入れてしまうと背骨に過度な負担がかかってしまうため、肩甲骨の下にストレッチポールを当てるようにしましょう。

ポールが支点となり、背中(胸椎)のみを伸ばすことができるため、反り腰を助長せずに済みます。

ただし、セットする際にポールが動いてしまう可能性があるため、手で押さえながら肩甲骨の下にポールを入れるようにしましょう。

ストレッチポールで期待できる3つの効果

ストレッチポールを正しく使えれば、自宅でできるセルフエクササイズの幅が広がり、姿勢の矯正や柔軟性の向上が期待できます。

ストレッチポールで期待できる効果は以下の3つです。

● 脊椎・骨盤の位置を整える
● 脊柱起立筋(背中の筋肉)を和らげる
● 肩甲骨・胸郭の可動域を改善する

姿勢がよく、ケガをしにくい体づくりのためにも、ストレッチポールで得られる効果を確認しておきましょう。

脊椎・骨盤の位置を整える

ストレッチポールに乗って背中や腰を伸ばすと、普段は伸ばしづらい脊椎や骨盤に付着する筋肉がストレッチされます。

また、ストレッチポールを使いながら体幹運動を行うと、腹部の筋肉である内腹斜筋や腹横筋が働きやすくなることがわかっています。[1] これらの筋肉がトレーニングできると腹圧が高まり、脊椎や骨盤を良い位置で保持できるようになります。

脊柱起立筋(背中の筋肉)を和らげる

ストレッチポールは背骨の筋肉にも作用するため、床に横になっただけでは刺激されにくい脊柱起立筋にもアプローチが可能です。

筋肉が伸ばされるだけでなく、ポールの凹凸で筋肉が刺激され、脊柱起立筋を和らげる効果が期待できます。

自分の手では背中の筋肉を刺激するのは難しいため、ストレッチポールを有効に活用できると良いでしょう。

肩甲骨・胸郭の可動域を改善する

ストレッチポールは背骨だけでなく、肩甲骨や胸郭のストレッチにも効果があります。

ポールの形状は円柱状または半月型をしており、胸を張る動きには最適の形です。背中のストレッチと合わせて肩甲骨同士を近づける(肩甲骨内転)ように動かせば、肩甲骨だけでなく胸郭のストレッチにもなります。

パソコン作業などで肩が内側に入りがちな方は、肩甲骨や胸郭の動きが悪くなっているため、可動域を改善させたい方にはおすすめのストレッチです。

おすすめのストレッチポールの選び方

ストレッチポールにはさまざまな形状のものがあり、どのように選べば良いか迷ってしまう方もいるるのではないでしょうか。

結論をいうと、健康状態に応じてストレッチポールの形状は変えたほうが良いです。

そこで次からは、おすすめのストレッチポールの選び方について解説します。

健康に自信がある方はやや硬めの円柱状のものを選ぶ

ストレッチポールでのエクササイズは、仰向けで背中を預けるのが基本姿勢です。その姿勢で腕や足を上げるプログラムもあるため、ポール上でバランスを取れなければなりません。

また、円柱状のタイプではポール自体が動いてしまうため、バランスを取るのはさらに難易度が上がります。

したがって、健康に自信があり、背中や腰にケガを負っていない方に円柱状のストレッチポールをおすすめします。

さらに、やや硬い素材のものを選べばポールからの反力も高まるため、さらにストレッチ効果が高まります。

高齢の方やケガをしている方は半月型のものを選ぶ

高齢の方や腰などにケガを負っている方は、バランスの取りやすい半月型のストレッチポールを選ぶと良いでしょう。

円柱型と違い、底面が平らになっているためポール自体に安定感があります。

バランスが取りやすいため余計な力が入りづらく、ねらった関節のストレッチや筋肉のトレーニングができるためおすすめです。

ストレッチポールを使って痛みが出てしまったときの対処法

ストレッチポールを使って痛みが出てしまった場合、次のような順番で対処をしましょう。

● ストレッチポールの使用をやめる
● 痛みが続くようなら整形外科を受診する
● 必要に応じて理学療法士の施術を受ける

痛みの程度や持続している期間によっても対処法が変わりますので、自身の状態と照らし合わせて確認をしてみてください。

ストレッチポールの使用をやめる

ストレッチポールを使って背中や腰に痛みが出てしまった際は、一時使用を控えるようにしましょう。

痛みの原因がストレッチポールにある場合、使うのをやめなければ痛みは改善されません。まずは使用を控え、痛みの経過を見るようにしてください。

痛みが続くようなら整形外科を受診する

ストレッチポールの使用を控えても痛みが続く場合、整形外科を受診するようにしましょう。

X線やCTの検査、医師の診察などで自身の体の状態を把握できます。検査や診察の結果によっては専門的な治療が必要になりますので、医師の診断に沿った治療を受けるようにしましょう。

必要に応じて理学療法士などの施術を受ける

医師の診断を受けた後に専門的な治療が必要と判断されれば、理学療法士や作業療法士の施術を受けることになります。

ストレッチや日常生活の動作指導を含む運動療法、温熱や超音波、牽引などを行う物理療法が一般的です。

神経症状の強さや日常生活に支障が出るレベルの痛みの場合、医師からコルセットを処方されることもあるでしょう。

装着しながらリハビリテーションを行う装具療法も施術の一環であるため、不安に思うことを相談しながら治療を進めていくとよいでしょう。

ストレッチポールでやってはいけないことを理解し、正しく使えるようになろう

今回は、ストレッチポールでやってはいけない姿勢や正しい使用方法、おすすめの選び方について解説しました。

反り腰を強調するような使い方は腰痛を悪化させる原因になります。背骨をポールに押し付けて腹圧を高める、横向きで使用するときは肩甲骨の下に当てるなど、正しく使えるようになりましょう。
とはいえ、正しく使っていたつもりでも腰が痛くなってしまうことがあるかもしれません。その際はストレッチポールの使用を控え、痛みが続くようであれば整形外科へ受診してみてください。

必要があれば専門家による施術も受けられますので、決して痛みを放置しないようにしましょう。

参考

ストレッチポールを用いたエクササイズが健常男性の体幹後屈可動域及び背臥位圧分布に及ぼす即時効果:無作為化対照研究
ストレッチポール上の体幹筋の収縮様式の違いが側腹筋厚に及ぼす影響
腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版,p45,53

梶原たくま

梶原たくま(理学療法士)

2014年理学療法士免許取得。生活期の病院に勤務し、入院・外来・予防・通所・訪問リハビリテーションに従事。現在は訪問看護ステーションと医療系出版社に所属しつつ、ライター活動を行っている。医師やコメディカルへの取材、書籍の編集、メディアの運営を専門とする。

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