改めて知りたい!関節可動域訓練の目的や種類、注意点を解説
公開日:2025.05.21

文:かな(作業療法士)
リハビリ職にとってはごく身近なアプローチである関節可動域訓練(ROM exercise)ですが、ブランクがある人や長らく身体障害領域に関わってこなかった人にとっては、不安もあるかもしれません。
そこで今一度、関節可動域訓練における基本を振り返ってみましょう。
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関節可動域訓練とは
そもそも関節可動域(Range of Motion)とは、関節が正常に動かせる範囲を指します。可動域には個人差があり、加齢や疾患、外傷などの影響で制限されることも少なくありません。
そこで、知っておきたいのが「参考可動域」です。各関節にはそれぞれ参考可動域が設定されているため、年齢や測定肢位、測定方法などを踏まえたうえで正常か否かを判断しましょう。
関節可動域に制限がある、もしくは可動域の維持が困難とされた場合に「関節可動域訓練」が行われます。
関節可動域訓練(ROMex)は大きく分けて以下の3種類があります。
● 自動介助関節可動域訓練(active assistive ROMex:AAROMex)
● 他動的関節可動域訓練(passive ROMex:PROMex)
また、「関節可動域訓練=ストレッチ」と思われがちですが、ストレッチは筋の伸長を目的としており、関節可動域訓練の方法の1つに過ぎません。3種類の訓練を患者さんの状態に合わせて使い分けましょう。
関節可動域訓練の目的
関節可動域訓練を行う目的は以下の通りです。
● 疼痛軽減:適切な運動は筋肉の緊張をやわらげ、痛みを軽減する効果が期待できる。
● 血行促進:関節周囲の血流が改善し、浮腫や循環障害の予防が期待できる。
● 筋力維持・向上:関節を動かすことで筋肉の萎縮を防ぎ、筋力を維持する。
ただ動作を繰り返すだけではなく、目的意識を持ち実施しましょう。
関節可動域訓練の適応と禁忌

リハビリの処方があるからといって、いかなる場合でも関節可動域訓練を行ってよいわけではありません。積極的に行うべきケースはもちろんですが、禁忌のケースにも注意が必要です。
アクシデントが生じないよう、適応と禁忌、それぞれのケースについて確認しておきましょう。
関節可動域訓練の適応
関節可動域訓練は、以下のような疾患や症状に対して行われます。
● 骨折・手術後のリハビリ:関節の硬直を防ぎ、スムーズな回復を促す
● 慢性疾患(関節リウマチ・変形性関節症など):関節の柔軟性を維持する
● 長期臥床による廃用症候群:筋萎縮や関節拘縮を防止する
関節可動域訓練の禁忌
以下のような場合、関節可動域訓練の実施には慎重な判断が求められます。
● 骨折の直後(未治療)や骨が脆弱な状態(骨粗鬆症の重度例など)
また禁忌ではなくても、疼痛が強く、患者が拒否する場合も実施は避けた方がよいでしょう。
関節可動域訓練の実施方法
関節可動域訓練の方法は種類により異なります。肩関節の屈曲運動を例として、以下で3種類の訓練の方法を紹介します。
他動的関節可動域訓練(PROMex)
PROMexは自発的に関節を動かせない患者さんを対象に行う訓練です。
● ポイント:無理に動かさず、疼痛を最小限に抑える。
自動介助関節可動域訓練(AAROMex)
AAROMexはわずかに関節を動かせるものの、筋力低下が顕著である患者さんに行う訓練です。目安としてはMMTが3に満たず、自力で最終可動域まで運動ができないレベルです。
● ポイント:患者の努力を促しながら、適切なサポートを行う。
自動関節可動域訓練(AROMex)
AROMexは自力で可動域内を自由に動かせる患者さんに向いている訓練です。MMTが3以上の場合に適しています。
● ポイント:筋力を維持・向上させるために継続的に実施する。
関節可動域訓練を実施する際の評価方法

関節可動域訓練をより効果的に行うためには、適切な評価が欠かせません。ROMとエンドフィールについて確認しておきましょう。
ROMの測定
ROMの測定は必須ですが、一般的に他動的ROMのみを測定する傾向にあります。
ROMの計測にはできるだけゴニオメーターを使用しましょう。目視による誤差をなくし、違うセラピストが計測しても一貫性のある評価ができるようにするためです。
ゴニオメーターについては関連記事にて解説しているため、参考にしてください。
■関連記事
ゴニオメーターの正しい測定方法とは?よくある悩みと解決策を徹底解説
エンドフィールの確認
ROMを測る際、エンドフィールも確認しておきましょう。骨性・筋性・関節包靱帯性などを見極めると、なぜ可動域制限があるのかを知る手掛かりとなります。エンドフィールごとの感覚については以下の通りです。
● 筋性:ゴムのような少し柔らかい弾力性のある抵抗感。
● 関節包・靱帯:やや硬くて弾力性のある抵抗感。
可動域の改善の可能性が見込めるか否かの判断材料になるため、訓練前に評価しておきましょう。
関節可動域訓練における注意点
関節可動域訓練を行う際には、以下の点に注意して行いましょう。
● 無理な力を加えない:関節や筋肉に過度な負担をかけないよう注意する。
● 継続的なモニタリング:関節の状態を評価しながら、適切な調整を行う。
まとめ|効果的な関節可動域訓練を行おう
関節可動域訓練は、リハビリにおいて欠かせない重要な手技です。患者さんの状態に応じた適切な方法を選択し、痛みを最小限に抑えながら継続的に実施する必要があります。患者さんのQOL向上のために、効果的なROMexを実践しましょう。
参考
日本離床学会|級世紀のおける関節可動域訓練の留意点
日本離床学会|エンドフィールで変わる!関節可動域エクササイズに関するQ&A
血友病性関節症のメンテナンス体操|関節内出血後の関節可動域訓練
酒井医療器|関節可動域の種類と制限因子
あるあるヘモフィリア|リハビリテーションの重要性
運動器疾患の徒手的機能診断手順

かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。
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