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オーバープロネーションとは?原因や予防・対策について解説

公開日:2025.06.01

オーバープロネーションとは?原因や予防・対策について解説

現代人の足部障害の一つである「オーバープロネーション」。スポーツ選手だけでなく、一般の人でもオーバープロネーションに悩む人が多いといわれています。足部の機能不全は、日常生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、膝や腰などの他の関節にも影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

セラピストにとって、オーバープロネーションに関する知識と対策を理解しておくことは、患者さんの歩行改善や疼痛緩和に大きく役立つでしょう。”

今回は、オーバープロネーションの基本的な知識から原因、予防策、理学療法士としての介入方法まで詳しく解説します。

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オーバープロネーションとは?

そもそも「プロネーション(回内:かいない)」とは、歩行やランニング時に足部が内側に自然と傾く正常な運動で、衝撃吸収や安定性の確保に寄与します。

一方、オーバープロネーション(過回内:かかいない)」とは、歩くときや走るときに足が内側に必要以上に傾いてしまうことを指します。分かりやすくいうと、土踏まずのアーチがつぶれてしまうイメージです。

本来、歩行時には適度なプロネーション(回内)が必要ですが、これが過剰になると、足部のアライメント(各関節や骨の正常な並び)が崩れて、身体全体のバランスに影響を及ぼす可能性があります。
プロネーション(回内)が正常に行われていると、地面からの衝撃を吸収し、身体にかかる負荷を分散できます。しかし、オーバープロネーション(過回内)が起こると、足部アーチの崩れやアキレス腱、脛骨、膝関節への過剰なストレスが生じ、足底筋膜炎やシンスプリント、膝の内側痛(内側側副靱帯障害など)を引き起こすリスクが高まります。

オーバープロネーションの原因

オーバープロネーションとは?原因や予防・対策について解説

オーバープロネーションの発症には、さまざまな要因が関与しています。主な原因をみていきましょう。

解剖学的な要因

● 扁平足……足の内側アーチが低下、または消失することで足部が内側に倒れ込みやすくなります。
● 足関節の可動域制限や過可動……足関節の柔軟性が低下すると、本来の自然な動きができなくなり、その代わりに足が必要以上に内側に倒れ込んでしまうことがあります。

筋機能不全

● 後脛骨筋(こうけいこつきん)や長腓骨筋(ちょうひこつきん)の筋力低下……足のアーチを支えているこれらの筋肉が弱くなると、アーチが崩れて足が内側に倒れやすくなります。
● 足の内在筋の筋力低下……足部の細かな調整ができなくなり、アーチ保持能力が低下します。

靴や歩行環境

● クッション性が低く、足をしっかり支えてくれない靴……足部へ過剰に負荷がかかってしまいます。
● アスファルトなどの硬い路面……足にかかる衝撃が大きくなり、土踏まずの部分に余計な負担がかかりやすくなります。

姿勢や動作の癖

● X脚(外反膝)……膝が内側に倒れ込むことにより、足部の回内動作が過剰になってしまいます。
● 骨盤のアライメント異常……骨盤の前傾や左右の非対称性が、歩行のバイオメカニクスに影響を与え、オーバープロネーションを引き起こすこともあります。

オーバープロネーションの予防と対策

オーバープロネーションを予防するためには、足部のアーチを適切に保持し、歩行やランニング時の動作を改善することが重要です。

靴やインソールを見直す

アーチサポートインソールを使用することで、土踏まずのアーチを保ち、足部の内側への過度な倒れ込みを防ぐことができます。

また、靴を見直す際は、つま先に適度なゆとりがあり、かかと部分がしっかりとホールドされる靴を選ぶことも重要です。

足部・下腿の筋力を強化する

タオルギャザー運動やチューブを使って、後脛骨筋や足の内在筋のトレーニングを行うことで、アーチを支える筋肉が強化されます。

また、ふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチにより足関節の柔軟性を高めることで、プロネーションを正常な動きに近づけることができます。

理学療法士による姿勢・動作の改善

理学療法による動作のアドバイスは、歩き方や立ち方などの「身体の使い方」を改善するうえで非常に大切です。

特に股関節の位置や角度を整えることや(アライメント調整)、重心の移動を正しくすることで、足にかかる余計な負担を減らすことができます。

オーバープロネーションに対する理学療法

オーバープロネーションとは?原因や予防・対策について解説

理学療法士がオーバープロネーションの患者さんに関わる際には、評価から手技、運動療法、装具療法まで、さまざまな視点からの介入が求められます。

評価

視診と触診で、足部アーチの高さ、かかとの傾き、前足部のねじれを確認します。アーチの高さは定規などを用いて計測することも可能です。

また、歩行分析では、歩行中の足の動きやタイミングを観察し、プロネーション(回内)がいつから始まり、どの程度起きているかを見極めます。

歩行分析は、通常は目視による観察を基本としますが、施設によっては筋電図を使って歩行中の筋肉の活動を数値で確認することも可能です。

手技

理学療法では、必要に応じて手技による介入を行います。

一つは「関節モビライゼーション」と呼ばれる方法で、足関節や距骨下関節の動きを改善し、アライメントを整える目的で行われます。関節モビライゼーションは、足関節の動きを正しく理解したうえで慎重に行う必要があります。

また、「軟部組織モビライゼーション」と呼ばれる手法も用いられます。筋膜リリースやトリガーポイント(筋肉の緊張が特に強い部分)を把握したうえでアプローチすることで、過緊張状態にある筋の緊張緩和を促します。

運動療法

足や下肢の安定性を高めるために、運動療法も重要な役割を果たします。たとえば、バランスボードなどの道具を使った「機能的トレーニング」を通して、足の使い方を改善し、安定性向上を図ります。

また、歩行時や動作フォームの改善指導を行うこともあります。荷重のかけ方や足の着地位置が偏っている場合、それがオーバープロネーションを悪化させる原因になるため、正しい動作パターンになるように指導していきます。

装具療法

足部アライメントを補正するために、インソールを処方する場合もあります。患者さん一人ひとりの足の形や歩き方に合ったインソールを使用することで、歩行時の足部アライメントが改善されます。

特に疼痛の症状が強い場合には、こうした装具療法が日常生活の質(QOL)向上にもつながります。

まとめ|オーバープロネーションには、早期発見とセラピストによる介入が重要

オーバープロネーションは、足部のみならず全身の運動連鎖に悪影響を及ぼす可能性があるため、セラピストによる早期発見と介入が求められます。

特に理学療法士は、足部の機能評価、また、一度改善しても再発の可能性があるため、セルフエクササイズや靴の再チェック、定期的なフォローアップも重要です。

患者さんにとって、信頼できる医師や理学療法士など専門職の存在は大きな支えになりますので、多職種と連携しながら、評価・治療の質を高めていきましょう。

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参考

スポーツ外傷・障害に対するリハビリテーションと道具療法

伊東 浩樹(理学療法士)

伊東 浩樹(理学療法士)

理学療法士として総合病院で経験を積んだ後、予防医療の知識等を広めていくためにNPO法人を設立。医療機関の運営や地域医療に関する課題解決に携わる。障がい福祉に関する責任者、特別養護老人ホームの施設長なども経験。医療機関の設立や行政から依頼を受けての講演、大学、専門学校等での講師なども勤める。

関 勇宇大(理学療法士)

監修:関 勇宇大(理学療法士)

2014年、理学療法士免許を取得。回復期リハビリテーション病院にて、脳血管障害患者を中心にリハビリテーション計画を立案し、早期社会復帰を支援。訪問リハビリでは、在宅療養者とその家族に対し、生活環境に即した個別支援を提供。臨床経験で培った専門的知見をもとに、現在は医療ライターとして活動。運動療法クラウドサービス『リハサク』では、運動メニューの解説・動画制作も担当し、医療と表現の両面から、実用性と信頼性の高い情報発信を行っている。

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