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6分間歩行テストとは?目的や実施方法、注意点について解説

公開日:2025.06.03

6分間歩行テストとは?目的や実施方法、注意点について解説

文:rana(理学療法士)

リハビリの評価方法の一つ「6分間歩行テスト」は、主に患者さんの運動耐容能を調べる目的で実施されるテストで、特に呼吸器疾患や心疾患、高齢者リハビリに携わるセラピストにとっては馴染み深い評価法ではないでしょうか。

今回は6分間歩行テストについて、現役理学療法士が目的や実施方法、注意点などを解説します。学び始めの方はもちろん、臨床現場での再確認にもご活用ください。

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6分間歩行テストとは?

6分間歩行テストは、リハビリの現場で患者さんに使用される評価方法の一つで、主に心肺機能や運動能力の評価を目的として実施される簡便な運動負荷試験です。

特別な機器や技術を必要とせず、実施するハードルが低いため、呼吸器分野、脳血管分野、整形外科分野、老年期分野など、さまざまな臨床現場で活用されています。

6分間歩行テストの目的

6分間歩行テストの主な目的は、「運動耐容能」の評価です。患者さんがどの程度の距離を無理なく歩けるかを把握できるので、身体能力の指標とすることができるでしょう。

また、治療の効果判定やリハビリ前後の比較、日常生活における活動レベルの目安としても利用されます。心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧症などの疾患においては、予後予測の指標としても活用できます。

運動耐容能とは?

運動耐容能とは、「運動をどのくらい長く、どれだけの強度で継続できるか」という身体機能を示す指標です。

分かりやすくいうと「体力」を指す言葉で、心肺機能、筋持久力などが大きく関係しています。6分間歩行テストは、「歩行」という日常生活の基本的な動作を通じて運動耐容能を評価するため、より生活に紐づいた評価結果が得られます。

日常生活における動作能力の推定につながるため、臨床的における意義が大きい評価法です。

6分間歩行テストの実施方法

6分間歩行テストとは?目的や実施方法、注意点について解説

6分間歩行テストはどのような流れで実施されるのでしょうか。必要な物品、方法についてまとめました。

必要な物品

6分間歩行テストを始める前に、以下の物品を準備しておきましょう。

● ストップウォッチ
● 測定距離用のメジャー
● パイロンやコーン(折り返し地点の目印)
● 血圧計
● パルスオキシメーター(指先などに装着し、血中酸素飽和度(SpO2)を測定する機器)
● バイタルサイン記録用紙やチェックリスト
● 椅子
● 安全確保のための補助者や呼びかけ係
● 水分補給用の飲み物

テストの流れ

6分間歩行テストは以下の流れで進めていきます。

1 患者さんに検査内容を説明し同意を得る
2 歩行前に血圧・脈拍・SpO2などのバイタルサインを測定
3 30m程度の直線コースを設定し、両端に折り返しの目印を設置
4 スタートの合図で歩行を開始し、6分間できる限り早く歩いてもらう
  ※途中で休憩しても良いが時間は止めず、その場で再開を促す
5 6分経過後、床や壁に目印をつけるなどして歩いた総距離を記録
  ※必要な場合はすぐに椅子に座らせ、水分補給を促す
6 終了後再度バイタルサインを測定し、体調の変化を確認
  ※ボルグスケールにて自覚的疲労度を確認する。

テスト中の声かけの例

テスト中は、経過した時間ごとに声かけを行いましょう。声かけの一例を紹介します。

1分経過:「しっかりと歩けています。残り時間はあと5分です。」
2分経過:「その調子を維持してください。残り時間はあと4分です。」
3分経過:「順調に歩けています。半分が経過しました。」
4分経過:「その調子を維持してください。残り時間はあと2分です。」
5分経過:「もう少しです。残り時間はあと1分です。」
残り15秒:「もうすぐ止まってくださいといいます。私が止まってくださいといったらすぐにその場で立ち止まってください。」
6分:「止まってください。」

6分間歩行テストの注意点

6分間歩行テストは運動による負荷が全身にかかるため、患者さんの状態をしっかりと把握したうえで実施しなければなりません。

事前にバイタルチェックや自覚症状の有無、問診視診での異常所見などをしっかりと把握しておくようにしましょう。

また以下の注意点も押さえておきましょう。

● 実施前2時間以内に強度の高い運動はしない
● 実施前のウォーミングアップは不要。検査開始10分前にはスタート地点の椅子に座り安静を保つ
● 動きやすい服装、靴を着用する
● 杖や歩行器を使用している場合は検査時も同様に使用する
● 6分間歩行テスト中、患者さんへの声かけはシンプルな言葉のみとし、過剰な声かけはしない
● テスト中は6分間に何回休憩してもよいことを伝える
● 検査者は基本的には横に付き添わないようにする(理由があって付き添いが必要な場合は、後方に付いて前方でリードしないようにする)

6分間歩行テスト評価基準

6分間歩行テストは、疾患や体格が異なる患者さんの歩行距離を比較するため、解釈にやや難しさがあります。評価基準としては、同一患者さんにおいて歩行距離の変化を評価することが推奨されています。

大まかな判断基準として以下のものがあります。

6分間歩行テストの距離 判断基準
205m 以下 屋外歩行困難
205m 以上 屋外歩行可能
288m 以下 地域の移動に制限あり
288m 以上 地域の移動に制限なし

6分間歩行テストの有効性を理解して臨床で活用しよう

6分間歩行テストは、用具を必要としない簡単に実施できるテストで、運動耐容能や身体機能の全体像を把握できる有用な評価方法です。

有効性を理解して活用すれば、患者さんの状態把握だけでなく、治療効果の評価やリハビリのモチベーション向上にもつながるでしょう。検査の意義や正しい実施法を理解し、安全に配慮しながら、臨床現場で積極的に活用してみてください。

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参考

6分間歩行試験(6MWT)~できるだけ長く歩いて下さい~|みどり病院

歩行・移動に関する評価の種類と特徴|J-STAGE

rana

rana(理学療法士)

総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。

中原 義人(理学療法士))

監修:中原 義人(理学療法士)

札幌医科大学保健医療学部理学療法学科 卒業
急性期病院、訪問看護ステーション、慢性期病院にて勤務。通所・訪問リハビリテーションの立ち上げを経験。

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