理学療法士と介護福祉士の違いとは?仕事内容や資格の違いについて解説
公開日:2025.08.02 更新日:2025.08.04

文:rana(理学療法士)
医療・介護分野にはさまざまな職種が関わっていますが、なかでも介護現場で直接利用者さんと関わる「介護福祉士」と「理学療法士」は、混同されやすい職種の一つかもしれません。理学療法士と介護福祉士は同じ医療系の資格ですが、仕事内容や役割、取得方法などさまざまな違いがあります。今回は理学療法士と介護福祉士の違いについて現役理学療法士が解説します。
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目次
理学療法士と介護福祉士の違い

医療・介護の現場で働く理学療法士と介護福祉士は、どちらも利用者さんの生活を支える重要な役割を担っていますが、その専門性や仕事内容、活躍の場は大きく異なります。それぞれの違いについて見ていきましょう。
役割の違い
理学療法士の主な役割は、病気や怪我などによって身体機能が低下した方に対し、運動療法や物理療法を用いて身体機能の回復や維持、日常生活動作の改善をすることです。
具体的には、関節可動域や筋力、バランス能力の向上などを目指し、最終的には利用者さんが自立した生活を送れるようにサポートします。
一方、介護福祉士の役割は、身体上または精神上の障害により、日常生活に支障がある方に対して、身体介護(食事、入浴、排泄など)や生活援助(掃除、洗濯、買い物など)を通じて日常生活全般をサポートすることです。利用者さんの生活に寄り添い、その人らしい生活を送れるように支援します。
仕事内容の違い
理学療法士の主な仕事内容は、リハビリの提供を通じて、機能回復や疾患による身体機能の改善に取り組むことです。また、職場によっては福祉用具の選定や調整、住宅改修のアドバイスなどを行う場合もあります。リハビリをするのに必要な書類の作成、カルテ記載などの事務的な業務も理学療法士の仕事です。
介護福祉士の仕事は、利用者さんの生活に密着した介護業務が中心になります。食事介助、入浴介助、排泄介助といった身体介護はもちろん、利用者さんの精神的なケアも重要な仕事です。施設によっては、利用者さんの送迎や、介護記録の作成、多職種連携のための情報共有なども行います。
活躍の場所の違い
理学療法士は、医学的な視点からリハビリを提供するため、病院・クリニックをはじめ、介護施設が主な活躍の場となります。その他にも、身体機能に関する専門性を活かして、健康増進施設やフィットネスクラブなどで働くこともあります。
主な活躍の場所は、以下のとおりです。
●クリニック
●介護老人保健施設
●特別養護老人ホーム
●訪問看護ステーション
●デイケア
●障害者支援施設
●健康増進施設、フィットネスクラブ
●教育・研究機関
一方、介護福祉士の仕事は、日常生活に支援が必要な人を対象とするため、介護施設を中心に働くケースが多いでしょう。
主な活躍の場所は、以下のとおりです。
●介護老人保健施設
●有料老人ホーム
●グループホーム
●デイサービス
●デイケア
●訪問介護事業所
●障害者支援施設
●病院(医療機関における介護業務)
●小規模多機能型居宅介護
理学療法士と介護福祉士の資格取得方法

理学療法士と介護福祉士どちらも国家資格ですが、その取得方法は異なります。それぞれの資格取得方法についてまとめました。
理学療法士になる方法
文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した養成施設で3年以上、理学療法士として必要な知識と技能を習得し、国家試験に合格しなければなりません。主なルートは、以下のとおりです。
●ルート②:3年制または4年制の専門学校を卒業する
国家試験合格後、厚生労働省に申請・登録することで、理学療法士免許が交付されます。
介護福祉士になる方法
介護福祉士になるためのルートは理学療法士よりも幅広く、主なルートとしては以下の3つがあります。
文部科学大臣が指定した学校または厚生労働大臣が指定した養成施設で2年以上、介護福祉士として必要な知識・技能を習得し、卒業することで、国家資格の受験資格が得られます。
●ルート②:実務経験の要件を満たし、研修を受ける
介護施設などで3年以上の実務経験があり、かつ「実務者研修」を修了することで国家資格の受験資格が得られます。実務者研修では、介護に必要な知識や技術を体系的に学びます。
●ルート③:福祉系高校を卒業する
福祉系高校を卒業した者で、特定の科目履修と実習を修了することで国家資格の受験資格が得られます。
国家試験合格後、厚生労働省に申請・登録することで介護福祉士免許が交付されます。
理学療法士と介護福祉士のダブルライセンスのメリット
なかには理学療法士と介護福祉士のダブルライセンスを持ち働いている方もいます。
理学療法士としての身体機能やリハビリの専門知識に加え、介護福祉士としての介護知識や生活援助のスキルを持つことで、利用者さんの生活全体を多角的に捉えられるようになるのがダブルライセンスのメリットです。
例えば、リハビリによって向上した身体機能を、実際の生活にどのように活かせるか、どのような介護が必要になるかといった視点から具体的な支援が可能になるでしょう。
また、介護現場では、利用者さんの身体変化に対して適切なリハビリの必要性を判断する能力が求められる場合もあります。ダブルライセンスを持っていれば、介護現場でリハビリの視点を取り入れた質の高い介護を提供できるだけでなく、利用者さんの状態変化にいち早く対応し、適切な専門職への連携を促すことも可能になります。
理学療法士と介護福祉士が連携した事例
理学療法士である筆者も、病院や特別養護老人ホームなどで介護福祉士と一緒に仕事をした経験があります。利用者さんの生活状況をより把握している介護福祉士から、さまざまな情報を得ることで、より全体像を捉えられてリハビリにも役立った経験が多々ありました。
例えば、「上肢機能に障害があった利用者さんが洗濯物をたたむ手伝いをしてくれるようになった」、「起き上がりに介助が必要だった利用者さんが最近自力で起き上がれるようになった」など、リハビリの時間では把握できない多くの情報を得ることができたのです。
その情報を基に、次の目標設定を立てたり、介護福祉士へ介助方法をアドバイスしたりすることができ、チームアプローチによる効果的な支援ができました。
理学療法士と介護福祉士、それぞれの役割を理解しよう
理学療法士と介護福祉士について、それぞれの役割や仕事内容の違いなどについて解説してきました。医療や介護の現場は多くの職種が働いており、密な連携が欠かせません。それぞれの役割を理解し、より最適なリハビリを提供できるよう連携を深めていきましょう。
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rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。

監修:関 勇宇大(理学療法士)
2014年、理学療法士免許を取得。回復期リハビリテーション病院にて、脳血管障害患者を中心にリハビリテーション計画を立案し、早期社会復帰を支援。訪問リハビリでは、在宅療養者とその家族に対し、生活環境に即した個別支援を提供。臨床経験で培った専門的知見をもとに、現在は医療ライターとして活動。運動療法クラウドサービス『リハサク』では、運動メニューの解説・動画制作も担当し、医療と表現の両面から、実用性と信頼性の高い情報発信を行っている。
理学療法士と介護福祉士は、いずれも医療・介護の現場において利用者の生活を支える重要な国家資格ですが、その役割と専門性には明確な違いがあります。理学療法士は、主に病気やけがによって低下した身体機能に対し、運動療法や物理療法を用いて機能回復・維持を図る専門職です。医療的視点をもとに、自立支援に向けた具体的なアプローチを行うことが求められます。一方で、介護福祉士は、日常生活に支障をきたす高齢者や障害を持つ方に対して、食事・排泄・入浴などの身体介護や生活援助を通して、日々の暮らしを支える職種です。その業務には、利用者の精神的ケアや尊厳の保持といった重要な側面も含まれます。近年、医療と介護の連携が重視されるなかで、理学療法士と介護福祉士がそれぞれの専門性を活かしながら協働する場面が増えています。お互いの職域を正しく理解し、共通の目標に向けて連携することで、利用者にとって最適な支援を提供することが可能になります。
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