打撲をしたら病院へ行くべきか?正しい応急処置と、病院へ行くべき判断基準
公開日:2025.09.03

文:rana(理学療法士)
日常生活でも比較的生じやすい「打撲」。転倒や、スポーツ中の接触など、その原因は様々です。打撲すると、痛みや腫れ、内出血を伴う場合も多いため「この痛みはどれくらい続くの?」「病院に行った方がいいの?」と、不安に感じる方もいるでしょう。
今回は打撲のメカニズムを紹介するとともに、自宅でできる応急処置や、病院を受診すべき目安、そして回復を早めるために「してはいけないこと」まで、現役理学療法士がわかりやすく解説していきます。
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目次
打撲とは?メカニズムと主な症状

打撲は、身体に直接的な衝撃が加わることで、皮膚や軟部組織(筋肉、脂肪、血管など)が損傷を受けた状態です。「打ち身」とも呼ばれ、日常生活で経験しやすい外傷の一つです。
打撲は、打った衝撃によって皮膚の下にある毛細血管が破れ、血液が組織内に漏れ出すことで起こります。漏れ出した血液が皮膚の下に溜まると、内出血として青紫色や黒っぽいアザ(皮下血腫)となり、徐々に色が変化していくのが特徴です。同時に、衝撃によって組織が炎症反応を起こし、それが痛みや腫れ(浮腫)を引き起こします。
打撲の主な症状として、以下が挙げられます。
Ø腫れ(浮腫)
Ø内出血(皮下血腫)
Ø熱感
Ø機能障害 など
受けた衝撃の強さや部位によって、症状の度合いも異なります。軽度の打撲であれば数日で改善が見られますが、重度の打撲になると数週間から数ヶ月かかる場合もあります。
打撲と捻挫の違い
打撲と捻挫は、どちらも外力によって生じる外傷であり、痛みや腫れといった共通の症状があります。しかし、打撲は「ぶつける」ことによる筋肉や血管の損傷ですが、捻挫は「ひねる」ことによる関節の損傷という違いがあります。
| 打撲 | 捻挫 | |
|---|---|---|
| 定義 | 身体の表面に直接的な衝撃が加わり、皮膚やその下の軟部組織(筋肉、脂肪、毛細血管など)が損傷した状態 | 関節に無理な力が加わり、その関節を構成する靭帯や関節包、軟骨などが損傷した状態 |
| 原因 | 転倒、衝突、落下物など、外部からの「打ち付け」による直接的な衝撃 | 関節が許容範囲を超えてひねられたり、伸ばされたりする力が加わる |
| 主な損傷組織 | 筋肉の線維、皮下の毛細血管、脂肪組織など | 関節を安定させる役割を持つ靭帯や関節包など |
| 症状 | 痛み 腫れ 内出血(アザ) など |
痛み 腫れ 関節の不安定感 関節の動きの制限 など |
関節周辺の痛みや腫れがある場合は、自己判断が難しいことがあるため、医療機関を受診し、専門医の診断を受けましょう。
打撲した直後の正しい応急処置

打撲をしたら、適切な応急処置を速やかに行うことが重要です。一般的に知られているのが「RICE処置」という方法で、医療やスポーツ分野でも広く使用されています。「RICE処置」は以下の頭文字をとったものです。
ØIcing(冷却)
ØCompression(圧迫)
ØElevation(挙上)
それぞれどのような処置をするのか見ていきましょう。
Rest(安静)
負傷した部位を動かさないようにして安静に保ちます。無理に動かすと、損傷を広げたり、内出血を悪化させたりする可能性があるためです。
Icing(冷却)
患部を冷やし、血管を収縮させ、内出血や腫れの広がりを抑えます。Icing(冷却)は、受傷後24時間から72時間に集中的に実施するのが効果的です。
氷のうや保冷剤などを患部に当て、15分〜20分程度を目安に冷やし、一度外して休憩を挟みます。皮膚の感覚が鈍くなってきたら冷却を一時中止し、再び痛みが出てきたら繰り返します。
Compression(圧迫)
患部を適度に圧迫し、内出血や腫れを最小限に抑えます。弾力包帯やテーピングなどを使い、患部を少しきつめに、血流を妨げない程度に巻くとよいでしょう。
Elevation(挙上)
負傷した部位を心臓より高い位置に挙げ、重力によって血液や体液が患部に流れ込むのを防ぎます。これにより、腫れや内出血を軽減できます。
打撲した直後にしてはいけないこと
打撲をした際、良かれと思って行った行動が、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。打撲した直後は、以下に挙げる行動はできるだけ避けて、正しい応急処置を行うことが早期回復への第一歩です。
患部を温める
打撲した箇所を温めると血管が拡張し、血液の流れが促進され、かえって内出血や腫れを悪化させる場合があります。
マッサージやストレッチ
患部を揉んだり、強く押したりするマッサージは、損傷した血管をさらに傷つけ、漏れ出した血液を広げてしまう可能性があります。
また、無理なストレッチも、損傷している筋肉やその他の軟部組織にさらなる負荷がかかり、損傷を広げ、回復を遅らせる原因となります。
飲酒
アルコールには血流を促進する作用があるため、内出血や腫れを悪化させる可能性があります。
打撲したら病院へ行くべき?受診の目安
打撲は比較的軽症で済むことが多いですが、以下のような症状が見られたら医療機関の受診を検討しましょう。
痛みが段々と悪化する
時間が経つにつれて痛みが強くなったり、腫れがひどくなったりする場合は注意が必要です。内出血が広範囲に及んでいたり、骨折など別の損傷を合併していたりする可能性があります。
離れた箇所の刺激でも強い痛みがある
打撲した部位から少し離れた場所を触ったり、軽く押したりしただけでも強い痛みを感じる場合は骨折している可能性が考えられます。患部から離れた場所での振動や圧力が痛みを誘発する場合も、骨折のサインかもしれません。
痛みや腫れ以外の症状がある
痛みや腫れ以外にも、下記に挙げるような症状が見られる場合は、より重篤な怪我の可能性があります。
Ø変形……骨折している可能性があります。
Ø関節が動かせない/動かしづらい……骨折や靭帯損傷の可能性があります。
Ø内出血が広範囲にあり隆起している……大きな血管の損傷や、筋肉内での大量出血の可能性があります。
上記のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
打撲で病院に行くときは何科を受診する?
打撲で病院を受診する場合、基本的には「整形外科」を受診するとよいでしょう。整形外科では、実施される主な検査と治療法を紹介します。
Ø問診と視診・触診
ØX線(レントゲン)検査
Ø超音波(エコー)検査
ØMRI検査
ØCT検査
【治療法】
打撲の治療は、損傷の程度によって異なりますが、基本的には「保存療法」が中心となり、まずは、先ほどお伝えした「RICE処置」を継続します。また、症状に合わせて、温熱療法、薬物療法、装具療法などを行い、必要に応じて理学療法士のリハビリが実施される場合もあります。
打撲は冷静に対処して早期回復を目指そう
日常生活のなかで起こりやすい打撲ですが、その対処法を知っているかどうかで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。本記事を参考に、万が一打撲をしてしまった際は、冷静かつ迅速に対処し、必要に応じて整形外科を受診しましょう。正しい知識を持って行動することが回復への近道です。

rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。

監修:白水 寛理(しろうず のりとし)
長崎大学医学部を卒業。九州中央病院で初期研修行にあたったのち、複数の病院で脳神経外科として従事。その後、九州中央病院 脳神経外科 医長を経て、2023年10月よりしろうず脳神経外科を開業。おもに頭痛、めまい、もの忘れを中心に日々外来診療を行い、地域医療に従事している。
打撲によって腫れると不安になるものです。RICE処置を行い、改善しない場合、腫れがひどくなる場合は、すぐに医療機関を受診し、専門家の意見を仰ぎましょう。
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