【記載例有り】個別機能訓練計画書とは?加算との関係や書き方、注意点を解説
公開日:2025.09.05

文:かな(作業療法士)
介護施設で働いた経験がない人にとって、個別機能訓練計画書はあまり馴染みのない書類かもしれません。病院で作成するリハビリ計画書とは内容や手順が異なるため、戸惑う方もいるでしょう。
本記事では、介護施設で求められる個別機能訓練計画書の正しい書き方を、記載例とともに解説します。
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目次
個別機能訓練計画書とは
個別機能訓練計画書とは、介護施設(主にデイサービスなど)で、利用者一人ひとりに対して行うために作成する書類です。介護保険制度で定められた形式や要件に沿って作成する必要があります。イメージとしては、病院で作る「リハビリ実施計画書」に近い役割といえます。また、この計画書は介護保険上の「個別機能訓練加算」を算定するために必須の書類で、計画の作成から評価、モニタリングまで行い、必要に応じて内容を見直し、計画書の更新や再作成も行うことが求められます。
個別機能訓練計画書の記載項目と対象者

個別機能訓練計画書を作成する際は、必要な項目を漏れなく記載しましょう。また、すべての利用者が対象となるわけではなく、加算の種類によって対象者の条件が異なります。
ここでは、計画書に記載すべき内容と対象者を選ぶ基準について解説します。
計画書に必要な記載項目
個別機能訓練計画書には以下の内容を明記する必要があります。
● 生活課題とニーズの明確化
● 訓練の短期目標・長期目標
● プログラム(内容・頻度など)
● モニタリングおよび評価の実施方法
● 利用者・家族の同意(署名欄)
詳細は厚生労働省の様式3-3を参照ください。
加算と対象者について
個別機能訓練加算は、2024年度の介護報酬改定により「加算Ⅰ(イ・ロ)」と「加算Ⅱ」の3つに分類されています。
● 加算Ⅰ(ロ):イに加えて専従1名以上の配置が必要。専従配置時間の基準が緩和された。
● 加算Ⅱ:加算Ⅰ(イまたはロ)の算定が前提。LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出とフィードバック活用が要件で、要介護者のみが対象。生活機能向上に向けた訓練で、より生活課題に即した支援内容が必要。
加算Ⅱは加算Ⅰ(イまたはロ)を算定していることが前提条件となっており、単独では算定できません。
個別機能訓練計画書の記載例と書き方のポイント
計画書の書式を整えることはもちろん、記載内容も大切です。
ここでは、作業療法士や理学療法士が現場で使える記載例を紹介します。
記載例
個別機能訓練計画書を作成するときは、利用者の生活機能向上に直結する、具体的で測定可能な目標設定が重要です。以下は適切な記載例です。
OK例
● 短期目標:平行棒内で膝折れなく10段の階段昇降を3回連続実施できる(3か月)
● 訓練内容:下肢筋力強化(大腿四頭筋・中臀筋)、ステップ台昇降訓練、バランス訓練を週2回各20分実施。段差15cmから開始し、段階的に20cmまで向上を図る
この記載例が適切な理由は、実際の生活場面を想定した目標設定をしている点にあります。単なる筋力アップではなく、「自宅2階への移動」という具体的な課題を明確に示しているのがポイントです。
訓練内容も、方法や頻度、段階的な難易度が詳しく書かれているため、ほかの職員でも同じ支援がしやすくなります。また、目標達成の期間も現実的で、無理のない範囲で設定されています。
NG例
一方、実地指導でよく指摘される不適切な記載例もあります。
● 短期目標:「歩行能力の改善」
● 訓練内容:「筋力トレーニング、歩行訓練を実施する」
このように書くと、目標が抽象的でどの程度改善すれば達成なのか分かりません。「筋力向上」や「歩行能力の改善」では、結果を客観的に評価できないためです。
訓練内容も、具体的な部位や負荷、頻度が書かれていないため、ほかのスタッフが同じ訓練を再現するのが難しくなります。
さらに、利用者の生活との関連性が見えにくく、介護保険で求められる「生活機能の向上」という観点が欠如しています。
個別機能訓練計画書のモニタリングと評価の注意点

個別機能訓練計画書は作成するだけでなく、継続的なモニタリングと適切な評価が必要です。ここでいうモニタリングとは、立てた目標や訓練がどのように実施されているか、また利用者の状態や生活にどのような変化があるかを定期的に確認・記録することを指します。
モニタリングの頻度は原則として3か月に1回以上必要です。これは法律で定められており、定期的に記録を残し、必要に応じて計画を見直すことが求められます。
モニタリング記録の注意点
モニタリング記録を付ける際は、以下の点に注意しましょう。
● 実際にどのような場面で変化があったか、今後の方向性まで書くことが望ましい
モニタリング記録は、加算算定の根拠となる重要な記録です。記録作成の際には、客観的で具体的な記載を心がけましょう。
評価時の注意点
評価を行う際は、以下の点に注意しましょう。
● 「目標の達成度」や「新たな課題」も簡潔に記載する
個別機能訓練計画書の評価方法は、特に限定されていません。ただし、できるだけ客観性を維持し、経過の比較をしやすくするために、可能な範囲で数値を取り入れて表現すると分かりやすくなります。
実地指導でよくある指摘
実地指導とは医療機関における監査のようなものです。よくある指摘には以下のようなものがあります。
● 評価が形だけになっている
不備があれば、加算返還の対象となる可能性もあるため、日頃から記録の内容を点検しましょう。
また、書類の保存期間は介護保険法上では「完結の日から2年間」と定められています。しかし、介護報酬の受給に必要な書類が5年保管で、介護報酬の返還手続きも5年という期限があることから、実地指導や加算返還リスクを考慮し、5年間の保存を推奨する施設や自治体もあります。
まとめ|個別機能訓練計画書は具体的・客観的な記載を心がけよう
個別機能訓練計画書は、医療機関における「リハビリ計画書」と同じように重要な書類です。
加算を取得するためだけでなく、利用者一人ひとりの生活をよくするために作成するものです。
業務負担も増えがちですが、正確なアセスメントに基づき、生活課題に即した目標と訓練を記載して丁寧にモニタリングを行えば、実地指導にも対応できる計画書を作ることができます。
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参考
厚生労働省|様式3-3
厚生労働省|個別機能訓練計画書(別紙様式3) 事例
厚生労働省|通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の報酬・基準について(検討の方向性)

かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。

監修:寺澤 慶大(てらさわ よしひろ)
2007年に長野医療技術専門学校(現在の長野医療大学)を卒業。
長野県松本市にある一之瀬脳神経外科で10年、長野県松本市にある武内整形外科クリニックで5年勤務。
また、介護分野領域でも4年程度の経験あり。
その他、自費診療での施術やスポーツトレーナー等もおこなう。
現在は前述した武内整形外科クリニックでリハビリ科科長として勤務している。
個別機能訓練計画書をしっかりと作成出来ていれば、機能訓練の質が保たれるだけでなく、関連職種に利用者様の課題や目的がしっかりと伝わります。結果的に適切な介護サービスの提供に繋がるため、個別機能訓練計画書の重要度は高いです。介護現場で機能訓練指導員として働く際は、基本的な書き方や注意点をしっかりと確認しておきましょう。
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