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自宅でできるパーキンソン病のリハビリは?症状の進行ごとに解説

公開日:2025.10.04

自宅でできるパーキンソン病のリハビリは?症状の進行ごとに解説

文:折尾莉緒(作業療法士)

パーキンソン病になると、「手がふるえる」「歩きにくい」などの症状が現れます。進行性の病気であるため、将来への不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、薬物療法と合わせてリハビリを継続することで、症状の進行を緩やかにし、自分らしい生活を送ることができます。
この記事では、パーキンソン病のリハビリが必要な理由から、ご自宅でできる具体的な運動メニューまでを詳しく解説します。

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パーキンソン病とは?

自宅でできるパーキンソン病のリハビリは?症状の進行ごとに解説

パーキンソン病は、脳のドパミンという神経伝達物質を作る細胞が減っていくことで発症する病気です。ドパミンが減ると、脳から身体への動きの指令がうまく伝わらなくなり、さまざまな運動の症状が現れます。

日本では、およそ10万人に100人〜180人(1,000人に1人~1.8人)がこの病気にかかるといわれ、50歳以上で発症することが多いですが、まれに40歳以下で発症する若年性のケースもあります。

パーキンソン病には、次の4つの主要な運動症状が見られます。

1. 安静時振戦:じっとしているときに手足がふるえる
2. 筋固縮:筋肉がこわばって、他人に手足を動かされると抵抗感がある
3. 無動・寡動:動作が遅くなる、動きが少なくなる
4. 姿勢反射障害:バランスを保つことが難しくなり、転びやすくなる

パーキンソン病でリハビリが必要な理由

自宅でできるパーキンソン病のリハビリは?症状の進行ごとに解説

パーキンソン病では、治療として薬物療法が行われますが、それと同時にリハビリも行われます。理由は、薬で症状をコントロールしながらリハビリを行うことで、薬だけでは効果が出にくい運動機能の改善などが期待できるからです。

パーキンソン病の治療の指針になるガイドラインによると、リハビリは以下のような有効性があるといわれています。

1. 身体機能の改善:筋力やバランス能力、歩行速度が向上し、日常生活での動作がスムーズになる
2. 生活の質(QOL)の向上:身体機能が改善することで自信や活動性が高まり、生活の質が向上する

また、リハビリは一時的な効果だけでなく、長期的な有効性も報告されています。さらに、病気のステージにかかわらず、早期から進行期までどの段階でも有効であるとされているため、症状の進行に合わせて継続的に取り組むことが大切です。

ご自宅でリハビリする際の注意点

パーキンソン病のリハビリは、安全に注意しながら継続して行いましょう。始める前にまずは主治医に相談し、ご自身の身体の状態(心臓、膝などに問題がないか)を確認してください。立ちくらみにも十分注意して実施しましょう。

ご自宅でリハビリを行う際は次の点に配慮して、無理のない範囲で取り組みましょう。

1. 決まった時間に行う:毎日の習慣にすることで、継続しやすくなる
2. 「オン」の時間帯を狙う:薬がよく効いて、身体が動きやすい時間帯に行うとよい
3. 運動の強さを調整する:無理に負荷をかけず、自身に合った運動量を選び、できる範囲で実施する
4. 強い痛みは避ける:痛みを伴う運動は避け、無理のない範囲での運動をする
5. 徐々に運動量を増やす:慣れてきたら、少しずつ運動の回数や種類を増やす

リハビリメニューの紹介

パーキンソン病のリハビリは、症状の進行度に合わせて、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。ここでは、病気の段階別にメニューをご紹介します。

どの運動も無理のない範囲で行い、不安な点があれば必ず主治医や専門職に相談しましょう。

身体のふるえや筋肉のこわばりが出てきた方向け

病気の早期段階では、積極的に身体を動かすことが大切です。特に、バランスや筋力を向上させたり、関節の動きをスムーズにしたりする訓練がよいとされています。

①スクワット
椅子に座るように腰をゆっくり下ろします。太ももやお尻の大きな筋肉を鍛えられ、歩行の安定につながります。

②ステップ動作
椅子や手すりなどで身体を安定させながら、足を前、横、後ろへと大きくゆっくり踏み出し、元の位置に戻す動作を繰り返します。脚全体の筋力とバランス感覚を鍛えることができます。

③ダイアゴナル
四つ這いになって、身体をまっすぐ一直線に保ちながら腕と脚を対角線上に伸ばしてキープする体操です。右手と左足をゆっくりと床と平行になるまで伸ばして10秒間キープし、元の体勢に戻ります。反対も同様に行いましょう。難しい場合は、片足を伸ばすだけでもよいです。

すくみ足などで歩くのが大変になってきた方向け

パーキンソン病の症状が進行し、すくみ足やバランスの不安定さが気になる方は、歩行そのものを改善する目的の運動がおすすめです。
次のようなものがあります。

①立ち座りスクワット
椅子を使って立ち座りを繰り返します。立ち上がる際は顎を引いて、体重をつま先に乗せるように意識しましょう。安定した状態で、太ももやお尻の筋肉を鍛えることができます。

②お尻上げ
仰向けに寝て、膝を立てた状態でお尻をゆっくり持ち上げます。お尻と太ももの裏側の筋肉を鍛え、歩行の安定性を高めます。

③つま先立ち、かかと上げ
椅子や手すりにつかまりながら、つま先とかかとを交互に上げ下げします。足首周りの筋肉を鍛え、歩行時のつまずきを防ぐのに役立ちます。

④ニートゥーエルボー
椅子に座った状態で両手を頭の後ろにつけ、息を吐きながら右肘と左膝を近づけます。反対側も行いましょう。腕を上げにくい方は、手を肩に当てた状態で行ってもよいです。身体をねじるための体幹の筋肉を鍛えられます。

⑤かけ声をかけながらの歩行練習
「いち、に、いち、に」と声に出しながら歩くことで、リズムを取りやすくなり、すくみ足の改善につながります。ご自身の歩く速さに合わせたメトロノームを鳴らして練習するのもよい方法です。

車椅子の方向け

車椅子での生活が中心になっても、身体の柔軟性と筋力を保つことは大切です。座ったままできるメニューで、無理なく身体を動かしましょう。

①深呼吸
パーキンソン病が進行すると、呼吸をするための筋肉も硬くなってしまい、肺に取り込める空気の量が減ってしまうことがあります。お腹を意識して鼻から深く息を吸い込み、口をすぼめて一気に吐き出しましょう。風車やティッシュを顔の前に置いて行うと、息がどのくらい出ているかわかりやすくなります。

②肩回し
肩の力を抜き、前回し・後ろ回しを数回繰り返します。背中が丸まらないように胸を張って、肩甲骨から大きく回すように意識しましょう。肩の関節の可動域を維持することが目的です。

③タオル体操
体幹の柔軟性を高める体操です。両手でフェイスタオルを持ち、頭の上へゆっくりと伸ばします。次に、身体の前でタオルを持って腕を伸ばし、左右に身体をねじります。おへそから身体をねじるように意識しましょう。

④ハムストリングスストレッチ
椅子に座った状態で片足の膝を伸ばし、つま先を触るように身体をゆっくり前に倒します。難しい場合は、伸ばした足の膝を押さえるように身体を倒しましょう。太ももの裏側(ハムストリングス)を伸ばし、股関節の動きをよくします。

発声・飲み込みの練習

パーキンソン病の症状が進むと、声が小さくなったり、飲み込みにくくなったりすることがあります。肺炎や気管支炎の予防のためにも、日頃から口や舌を動かす練習を取り入れましょう。

①首の体操
首には、飲み込みに重要な筋肉が多くついています。首を前後、左右に傾けたり、ゆっくり回して、首の筋肉の柔軟性を保ちましょう。

②口の体操
口を「いー」と横に開き、「うー」とすぼめます。口を「あー」と大きく開き、「おー」とすぼめる体操も数回繰り返しましょう。

③舌の体操
舌を「べー」と前に出したあと引っ込めます。次に、口を閉じたまま、舌で歯茎に沿ってゆっくりと円を描くように回します。

④パタカラ体操
「パ」「タ」「カ」「ラ」という音を意識して、はっきりと繰り返します。それぞれの音を発する際に使う口や舌の筋肉を鍛え、飲み込みの改善にもつながります。

まとめ

パーキンソン病は進行性の病気なため、将来に不安を抱える人もいるかと思います。しかし、パーキンソン病になってもリハビリを続けることで、運動機能や生活の質(QOL)の維持・向上につながります。
リハビリは、ご自身の症状の進行度に合った方法を選び、無理のない範囲で、日々の生活にリハビリを取り入れていきましょう。

参考

難病情報センター パーキンソン病(指定難病6)

パーキンソン病診療ガイドライン2018 序章 p11,12

パーキンソン病診療ガイドライン2018 第11章 パーキンソン病のリハビリテーション p1,2

家庭でできる!パーキンソン病患者さんのためのリハビリテーション p2

パーキンソン病のリハビリテーション治療 Jpn J Rehabil Med 2021;58:303-311 p1,2

パーキンソン病のリハビリテーション Jpn J Rehabil Med 2012 ; 49 : 738.745 p4,5

Parkinson病患 者 の 呼吸 機能 に 与 え る 胸 部お よ び 腹 部 運動 の 影 響 に つ い て 玉 木 彰 松 尾 善 美 阿 部 利 夫 p4,5

パーキンソン病の摂食嚥下障害 野﨑園子

パーキンソン病患者さんのための
運動継続プログラム p4,5,9-11

折尾莉緒(作業療法士

折尾莉緒(作業療法士)

作業療法士の国家資格を持ち、介護老人保健施設や高齢者向けデイサービスで勤務してきた。リハビリ専門職としての知識と、自身の経験に基づいた、信頼できる医療・健康分野の記事を執筆している。身体機能の低下、認知症、メンタルヘルスなど、幅広いテーマで情報発信を行っている。

 寺澤 慶大(てらさわ よしひろ)

監修:寺澤 慶大(てらさわ よしひろ)

2007年に長野医療技術専門学校(現在の長野医療大学)を卒業。
長野県松本市にある一之瀬脳神経外科で10年、長野県松本市にある武内整形外科クリニックで5年勤務。
また、介護分野領域でも4年程度の経験あり。
その他、自費診療での施術やスポーツトレーナー等もおこなう。
現在は前述した武内整形外科クリニックでリハビリ科科長として勤務している。

【監修者コメント】
パーキンソン病は進行性の病気です。しかし、必要以上に不安がる必要はありません。服薬管理とリハビリを継続することで、症状の進行を緩やかにし、機能や能力を長く保つことができます。
リハビリは一度に劇的な変化をもたらすものではありませんが、「昨日より少し動きやすい」「転びにくくなった」といった小さな変化に意識を向け、積み重ねていくことで生活の安心や自信につながります。
不安なことは遠慮せずご家族や医療スタッフと共有しつつ、ご自身のペースでリハビリを続けていきましょう。小さな積み重ねが、これからの日々をより安心で前向きなものにしてくれます。
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