整形外科での作業療法士の業務内容は?魅力ややりがい・大変さを紹介
公開日:2025.11.11

文:かな(作業療法士)
作業療法士(OT)は、身体や心に障害を抱える方が、より自立して豊かな生活を送れるように、様々な「作業」を通じて支援する専門職です。
その中でも「整形外科」というフィールドは、運動器疾患や外傷・手術後ケアに関わる機会が多く、作業療法士としての知識・技術を深めやすい現場といえます。この記事では、整形外科で働く作業療法士が日々何をしているか、仕事内容ややりがいについて詳しく紹介します。
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整形外科における作業療法士の仕事内容

整形外科で働く作業療法士が関わる対象は非常に幅広く、年齢層も小児から高齢者まで多岐にわたります。疾患や患者の年齢層にも仕事内容が大きく異なりますが、ここでは作業療法士が関わる代表的な3つのケースを紹介します。
手外科
手外科は、肘から手指までの領域における骨折・脱臼・外傷・変形性関節症・神経障害(手根管症候群など)を対象とする専門分野です。特に、上肢リハビリに強い作業療法士の専門性を最大限に活かせる分野といえます。
患者さんは小児から高齢者まで幅広く、日常生活や仕事への影響も大きい部位のため、生活動作の再獲得を重視したリハビリを実施することが多くなります。たとえば、手指の細やかな動きを取り戻すための巧緻動作訓練や、装具・自助具の活用指導などを行います。
手外科での治療を円滑に進めるためには、主治医・義肢装具士・ソーシャルワーカー・家族・職場関係者などとの密な連携が欠かせません。患者さんのQOL(生活の質)向上や職場復帰を目指し、チーム全体で支援していくことが求められます。
脊髄損傷
脊髄損傷の患者は比較的若年層が多く、失った機能を回復する目的だけでなく、「残存機能を最大限に活かして生活を再構築すること」が大きな目的となります。
作業療法士は、車いすの選定・ADL訓練(食事・着替え・排泄など)・自助具の製作・住環境の調整などを行い、日常生活での自立を目指します。
さらに、心理的なサポートや社会復帰支援も重要な役割であり、理学療法士や言語聴覚士、看護師などと協働しながら、生活全体の再構築をチームで支えることが求められます。
高齢者の骨折
高齢者は、骨粗鬆症や筋力低下により転倒・骨折のリスクが高く、特に大腿骨近位部骨折は代表的な整形外科疾患として知られています。
多くの場合、手術後に痛みのコントロールや筋力強化、関節可動域訓練を行い、最終的には歩行練習やADL訓練へとつなげていく流れになり、作業療法士は、退院後の生活を見据えて、住宅内の環境調整や転倒予防のための生活指導などを担当します。
特に、移動動作については理学療法士と連携しながら進めていくことが重要です。単に身体を動かすだけでなく、「どうすれば自宅で安全に生活できるか」を包括的に考えることが、整形外科で働く作業療法士に求められる視点です。
整形外科で働く作業療法士の魅力

整形外科領域は、作業療法士にとって患者さんの変化を実感しやすい分野です。骨折や手術後のリハビリでは、介入初期から回復の過程を間近で見られるため、患者さんとともに「できるようになった喜び」を共有できるやりがいがあります。
また、比較的若い患者さんも多く、復職・スポーツ復帰など目標が明確なケースも多いため、作業療法士として「身体だけでなく人生を支えるリハビリ」を実感できる職場といえるでしょう。
実際に、手外科でのリハビリや上肢機能訓練の専門家としてキャリアを積む作業療法士もいるため、専門性を深めたい作業療法士にとっても魅力的な領域といえます。
整形外科で働く作業療法士の大変さ
作業療法士にとって整形外科で働く魅力は多いものの、以下のような大変さもあります。
業務負担
整形外科では、短時間で複数患者への介入が求められることが多く、対応スピードや効率性が重要です。また、カルテ記録や評価記録など事務作業も多く、残業や業務調整能力が問われます。
専門知識と技術力
整形外科で働く場合、骨・関節・筋・靱帯など整形外科領域の解剖学・運動学・生体力学に関する知識が必要です。装具作製や材料管理、適合調整など実務的な技術も求められ、知識と技術の両方を強化することが求められます。
患者さんへの対応
痛みや不安、モチベーション低下によってリハビリが継続しにくい患者さんもいます。整形外科特有の、幅広い患者さんの層にあわせた対応力や説得力を発揮して、リハビリへの継続意欲を引き出す力が必要です。
作業療法士として整形外科でキャリアを築こう
整形外科で働く作業療法士は、身体機能の回復と生活の再構築をつなぐ重要な役割があります。疾患や年齢層を問わず、その人らしく生きるためのサポートを行う点において、やりがいを感じられるでしょう。
手外科・脊髄損傷・骨折といった症例ごとに、求められるスキルやアプローチは異なりますが、どの領域でも「患者さんの生活を見据えたリハビリ」が求められる点は共通しています。
整形外科は、作業療法士としての技術と経験を発揮できる領域です。今後のキャリアの選択肢の一つとして、整形外科を検討してみてはいかがでしょうか。
整形外科領域は、作業療法士にとって「身体機能の回復」と「生活の再構築」をつなぐ専門性が発揮される分野の一つです。
手外科や骨折後リハビリのように、目に見える機能改善を実感できるケースが多く、患者さんとともに達成感を共有できる魅力があります。
一方で、痛みや不安を抱える患者さんへの心理的サポートや、退院後の生活設計を見据えた支援も欠かせません。
整形外科での経験は、作業療法士として「身体と生活の両面を支える視点」を育む学びの場となるでしょう。
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かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。

監修:酒井 康輔
作業療法士
作業療法士として2016年より勤務開始。訪問看護ステーション・急性期病院を経験。現在も病院で勤務しており、高齢者から小児まで幅広い年齢層のクライエントに対して作業療法を実践している。臨床業務の傍ら、自身の得た知識を一般の方に届けたいという想いから2021年よりWebライターとして活動を開始。ブログも運営している。
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