【例文あり】理学療法士のレジュメの作成方法とは?役割や記載内容をご紹介
公開日:2026.01.08 更新日:2026.01.14

文:内藤 かいせい(理学療法士)
症例発表や研究報告をする際に、どのようにレジュメを作成すればよいのか知りたい方はいませんか?レジュメは発表する内容を要約した資料であり、わかりやすく伝えるためには工夫が必要です。
この記事では、レジュメの記載内容や具体的な例文をご紹介します。作成方法を知ることで、うまくレジュメをまとめられるでしょう。
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理学療法士のレジュメの役割
理学療法士のレジュメの役割として、情報を簡潔に整理して他者へわかりやすく伝えることがあげられます。基本的に、レジュメは必要事項を抜き出し、聞き手がすぐに理解できるように用紙1枚程度に要約したものです。
症例検討や研究報告では、すべての情報を伝えるとまとまりが悪くなり、かえって話が伝わりにくくなります。短時間で必要な部分のみを簡潔に伝えるためには、このレジュメが重要となります。適切なレジュメを作成するには、理学療法士としての知識や技術だけでなく、文章力も求められるのです。
理学療法士のレジュメの内容と記載例

レジュメを作成する際、どのような内容を記載すべきなのでしょうか。ここでは、具体的なレジュメの内容と記載例について解説します。
題名・所属・氏名
レジュメを作成する際、最初に記載するのが「題名・所属・氏名」です。これらの項目により、レジュメが「何についての内容」で、「誰が作成したか」が明確となります。題名にはレジュメの内容を簡潔に、そして具体的に示すための役割があります。
これらの情報は「表紙」の役割も果たすため、学校や施設から指定されたフォーマットがある場合は、必ずそれに従いましょう。
【記載例】
題名:〇〇(疾患名)により〇〇(症状)を呈した症例への理学療法介入
所属:〇〇病院 リハビリテーション科
氏名:マイナビ 太郎
はじめに・目的
「はじめに」や「目的」の項目では、報告内容全体の概要を紹介します。この項目を読むだけで、読み手がレジュメの要点を理解できるようにすることが大切です。ポイントは、情報を詰め込みすぎず、重要な要点に絞ることです。
たとえば、脳梗塞の症例で症状を「右片麻痺、感覚障害、注意障害、半側空間無視」とすべて羅列すると、要点が不明確になります。その場合は「右片麻痺を呈した症例」のように、中心となる問題点のみを記載すれば報告の意図が明確に伝わります。
【記載例】
今回、人工膝関節置換術(TKA)後、自宅復帰に向けて階段昇降能力の低下が問題となった症例を経験したので報告する。
症例紹介
症例紹介では、おもに以下の3つの情報に分けて説明します。
2. 医学的情報
3. 社会的情報
ここでは、それぞれの情報についてみていきましょう。
基本情報
基本情報は症例紹介の導入部分であり、対象の基本的なプロフィールをまとめる項目です。一般的には、以下のような情報を記載します。
● 性別
● 身長、体重、BMI
● 主訴(患者様が一番困っていることや、痛みなどの訴え)
年齢:70代
性別:女性
身長:152cm
体重:55.3kg
BMI:23.9
主訴:自宅の廊下を歩くときにふらつき、右足がうまく前に出ない
医学的情報
医学的情報は、対象の病気やケガに関する客観的な情報をまとめる項目です。具体的には、以下のような情報をカルテや他部門から収集し、記載します。
● 現病歴
● 既往歴
● 画像所見
● 服薬状況
● 他部門情報
これらの医学的情報を正確に整理することで、対象の状態を深く理解しやすくなります。
| 診断名 | 右大腿骨頸部骨折 |
|---|---|
| 現病歴 | 202X年○○月○○日、自宅寝室にて布団から立ち上がる際にバランスを崩し転倒。 右股関節部に強い痛みを感じ、自力での起立・歩行が不能となったため、家族が救急要請。 当院救急外来へ搬送。X線およびCT検査にて「右大腿骨頸部骨折」と診断され、同日入院となる。 202X年○○月○○日、右人工骨頭置換術を施行。 術後2日目より、ベッドサイドでのリハビリ開始の指示あり。 |
| 既往歴 | 脳梗塞(201X年発症):左片麻痺の後遺症あり。日常生活はおおむね自立していた。 高血圧症(15年前より):内服加療にてコントロール中(収縮期130mmHg台) |
| 服薬状況 | ○○(降圧薬):1日1回朝食後 ○○(鎮痛薬):疼痛時(1日3回まで) |
| 他部門情報 | 医師(Dr.): 後方アプローチのため、股関節の屈曲・内転・内旋の複合運動(脱臼肢位)は厳禁とする。 看護師(Ns.): 体動時に股関節の痛みが増強するが、安静時は落ち着いている。 夜間せん妄や不穏な言動はみられない。 作業療法士(OT): 既往の左上肢機能(巧緻性、筋力)の維持・改善を目的に介入中。 脱臼肢位に注意しながら、更衣動作や整容動作などのADL(日常生活動作)訓練を並行して実施予定。 |
社会的情報
社会的情報は、対象の生活背景や環境など、社会的な側面をまとめる項目です。この項目には、おもに以下のような情報を記載します。
● 発症前の生活(発症前にどのような生活を送っていたか)
● 家屋構造
● 本人・家族の希望・ニーズ
これらの情報は、対象の状況や退院後の生活を具体的にイメージするための参考となります。本人や家族の希望と、達成可能な目標とのすり合わせを行い、リハビリのゴールを設定するための大切な判断材料となるのです。
| 家族構成 | ・妻(70代・KP)と自宅にて二人暮らし。 ・長男(50歳)が近隣市内(車で約30分)に在住。週1~2回程度、様子確認や買い物支援のために訪問している。 |
|---|---|
| 発症前の生活 | ・屋内ではT字杖を使用し、自立して移動していた。 ・屋外への外出は、妻が介助する車椅子を使用していた。 ・入浴は転倒リスクを考慮し、週2回の訪問介護による入浴介助サービスを利用していた。 ・日中は趣味の囲碁や読書、テレビ鑑賞をして過ごすことが多かった。 |
| 家屋構造 | ・2階建ての一軒家(持ち家)。 ・主な生活の場は1階。寝室は1階の和室で、寝具は布団を使用。 ・トイレ(洋式)は1階にあり、手すりは設置されていない。 ・玄関の上がり框は約30cmの段差あり(手すり設置済) |
| 本人・家族の希望・ニーズ | 本人の希望: ・痛みが早く取れてほしい ・また家で妻と一緒に暮らしたい ・トイレだけは自分で行けるようになりたい 家族の希望: ・できる限り自宅でみてあげたい。介助がどのくらい必要になるか心配(妻) ・母(妻)の負担が大きすぎるのは避けたい。必要なサービスや福祉用具があれば導入を検討したい(長男) ニーズ: ・妻の介護負担軽減を目的とした介助方法の指導 ・福祉用具(ベッド、手すり等)の導入と住宅改修(とくにトイレ、玄関)の検討 |
評価内容
この項目では、症例に対して実施した評価についてまとめます。評価した内容すべてを記載するのではなく、必要な項目のみを簡潔にまとめることが重要です。ここでは、おもな評価内容についてご紹介します。
認知症検査(HDS-R・MMSE)
認知機能の低下を疑う場合、認知症検査を行います。とくに高齢者の方や、会話のなかで違和感がある場合に検査が必要となることがあります。代表的な検査としては以下のとおりです。
● MMSE(ミニメンタルステート検査)
【記載例】
HDS-R:22/30点(日付・場所の見当識、遅延再生(3つの言葉)で減点あり)
姿勢・動作分析
姿勢や動作の分析は、リハビリを行ううえで重要な評価です。アライメントや各種動作の特徴を把握することで、問題点の抽出につながります。
【記載例】
車椅子座位姿勢:
既往の左片麻痺の影響により、体幹は左側(麻痺側)への傾斜が強い。骨盤は後傾位であり、仙骨座りとなっている。
立位姿勢:
荷重の大部分を左下肢(麻痺側)で支持している、非対称な立位。左下肢は不安定性を補うため膝関節が軽度Back Kneeとなっている。
起き上がり:
左上肢(麻痺側)での支持・押し出しが行えないため、動作はおもに右上肢で行う。
立ち上がり:
体幹を前傾させて重心を前方へ移動させることが困難。離殿後、体重は即座に左下肢に偏移する。
歩行分析
歩行分析も理学療法士にとって重要な評価の一つです。歩行時の特徴を詳しく観察することで、リハビリの課題が明確となります。歩行周期の異常だけでなく、歩く速さやバランスの崩れ方なども確認するとよいでしょう。
【記載例】
ピックアップ型歩行器を使用。歩行器への依存度が高く、右上肢で強く支持している。左右の非対称性が著しい。転倒リスクは高く、連続歩行距離は10mが限度である。
ADL評価(BI・FIM)
対象の日常生活における自立度を確認するために、ADL評価が行われます。ADLの代表的な評価方法として、以下がよく用いられます。
●FIM(機能的自立度評価法)
【記載例】
BI:45/100点(車椅子移乗、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降は全介助のため0点)
関節可動域検査(ROM)
関節可動域の制限がみられる場合、ROMにて該当する関節の角度を測ります。レジュメにはすべての関節を記載するのではなく、リハビリの対象となる問題の箇所や、変化がみられた必要な部位のみをピックアップしましょう。
● 股関節屈曲:80°/110°(右/左)
● 膝関節屈曲:100°/120°
● 足関節背屈:0°/15°
筋力検査(MMT)
病気やケガによって筋力の低下がみられる場合は、MMTにて筋力の程度を評価します。こちらもROMと同様に、リハビリで問題となる部位や、とくに筋力低下が疑われる箇所に絞って結果を記載します。
● 股関節屈曲:3/4
● 股関節伸展:2/4
● 膝関節伸展:3/5
持久力検査
体力面に懸念点がある場合は、持久力検査を行うことがあります。持久力の代表的な検査には、6分間でどれだけ歩けるかを測定する「6分間歩行試験」があげられます。
6分間歩行:
● 歩行距離:200m
● 心拍数(歩行前→歩行後):75回/分→105回/分
● 歩行後の修正ボルグスケール:13(ややきつい)
片麻痺運動機能検査(SIAS・Brs)
脳卒中などの疾患で片麻痺がみられる場合、片麻痺運動機能検査を行います。代表的な評価方法としては以下のとおりです。
● Brsテスト(ブルンストロームステージテスト)
片麻痺の詳細を知る場合はSIASが、大まかな片麻痺の状態を知る場合はBrsテストが向いています。
Brsテスト:
● 左上肢:Stage III
● 左下肢:Stage IV
● 左手指:Stage III
感覚検査
感覚障害が疑われる場合、感覚検査を行います。感覚検査では表在感覚と深部感覚に分けて検査することが多く、対象の症状に応じた評価を行います。
● 表在感覚:左上肢5/10 左下肢5/10
● 深部感覚(運動覚):左下肢2/5
疼痛検査
疼痛検査の代表的な方法として、痛みを数値で示してもらうNRSやVASなどがあります。どのようなタイミングで痛みが出現するのかを記載すると、より評価の意義が高まります。
【記載例】
NRS:右下肢荷重時に3/10
バランス検査
代表的なバランス検査には、立位や座位でのバランス能力を多角的に評価するFBSがあります。FBSではどのような項目の点数が低いのかを記載することがポイントです。
【記載例】
FBS:50/56点(タンデム立位、片脚立位の項目が各1点)
筋緊張検査
代表的な筋緊張検査にはMASがあり、理学療法士が他動的に関節を動かし、その際の抵抗感を評価します。
【記載例】
MAS:左上下肢ともに2
協調性検査
小脳をはじめとした障害で失調症状がみられる場合は、協調性検査を行います。代表的な検査は以下のとおりです。
● 踵膝試験(片方のかかとでもう片方の膝やすねをなぞる)
それぞれ検査時の様子や特徴を記載しましょう。
【記載例】
指鼻指試験:検者の指に近づくと振戦がみられる
反射検査
中枢神経障害で反射異常が疑われる場合に行うのが反射検査です。検査では、打腱器を用いてアキレス腱や膝などを叩き、その反応の強弱を記録する深部腱反射をよく行います。
【記載例】
深部腱反射:左上下肢ともに亢進
整形外科疾患検査
整形外科疾患検査は、特定の症状が疑われる場合に必要に応じて行います。たとえば、坐骨神経痛を調べるラセーグテストや、股関節の硬さをみるトーマステストなどがあげられます。
【記載例】
ラセーグテスト:股関節60°屈曲時に痛みが出現
形態測定
骨折による脚長差や筋肉量の変化などを検査する際に、形態測定が行われます。
【記載例】
周径:最大下腿周径25/27(cm)
問題点
問題点では評価で得られた情報を分析し、リハビリの対象となる課題を明確にします。問題点を整理する際は、ICF(国際生活機能分類)の考え方を参考にするとよいケースがあります。以下の側面から課題を分けることで、多角的な視点で症例に向き合いやすくなるでしょう。
● 活動(歩行困難、移乗動作の介助など)
● 参加(社会復帰、趣味活動の中断など)
● 心身機能・構造:
● 右股関節の術後疼痛
● 右下肢の筋力低下
● 右下肢の関節可動域制限
● 持久力の低下
● バランス能力の低下
● 各種動作の介助
● 趣味活動の中断
リハビリのゴール設定
リハビリのゴール設定では、評価によって明らかになった問題点を踏まえたうえで、目指すべき具体的な目標を定めます。ゴールは一般的に、「短期目標」と「長期目標」の2段階で設定します。短期目標は比較的短い期間(2週間ほど)で達成を目指す中間的な目標で、長期目標は退院時やリハビリ終了時に達成したい最終的な目標です。
【記載例】
短期目標(2週間):歩行器を使用し、見守り下で病棟内を歩行できる
長期目標:T字杖を使用して自立して屋内を移動できる
リハビリプログラム
この項目では、設定したゴールを達成するために具体的にどのような介入を行ったのかを記載します。内容は対象の状態や目標に応じてさまざまなので、必要なプログラムを箇条書きで記載しましょう。
● 筋力増強訓練
● 関節可動域訓練
● 歩行練習
● ADL訓練
リハビリ実施後の再評価結果
リハビリを実施した後、患者様の状態がどのように変化したかを示すため、再評価の結果を記載しましょう。具体的には、初期評価で行った検査を再度実施します。レジュメ上では、初期評価と最終評価の数値を並べて記載すると、読み手は変化をひと目で理解しやすくなります。
考察
考察の項目では、リハビリ介入によって得られた結果がなぜそうなったのかを深く分析し、発表者自身の考えを記載します。うまくいった点だけでなく、改善しなかった点や新たな課題があれば、その原因も分析します。
【記載例】
本症例は、既往の左片麻痺に加え、非麻痺側であった右大腿骨を骨折した症例であった。リハビリでは、右下肢の術後管理と麻痺側下肢の支持性強化を並行して実施した。とくに左下肢で全荷重を支持する必要があり、反張膝のコントロールと安定性の再獲得が課題であった。リハビリ介入の結果、両下肢の機能が改善し、術後4週でバランス能力が向上。最終目標であった「T字杖での屋内歩行自立」を達成し、自宅退院が可能となった。しかし、左片麻痺によるバランス障害は残存している。今後は外来リハビリにて、屋外歩行を想定したバランス訓練が課題であると考える。
まとめ
まとめでは、レジュメの締めくくりとして、報告した内容全体の要点を簡潔に総括する項目です。症例紹介から考察までの一連の流れを踏まえ、どのような問題点があり、どのような介入を行い、その結果どうなったのかを整理します。
【記載例】
左片麻痺の既往を有する右大腿骨頸部骨折の症例について報告した。手術直後は両下肢の支持性低下により、バランス能力が著しく低下していた。術後4週間のリハビリ介入の結果、バランス能力が改善し、長期目標であった「T字杖での屋内歩行自立」を達成した。これにより、本人の希望であった自宅退院が可能となった。
参考文献
レジュメを作成するにあたって、参考にした論文や書籍などを明記する項目です。記載方法にはルールがあり、一般的には「著者名、タイトル、雑誌名(または書名)、発行年、巻数、ページ」などを所定の形式で記載します。インターネット上の情報を参考にした場合は、URLや参照日を記載しましょう。
【記載例】
1)石島旨章ほか. 変形性膝関節症の病態・診断・治療の最前線. 順天堂醫事雑誌. 2013, 59(2), p.138-151.
理学療法士のレジュメの書き方をおさえておこう

症例報告や研究発表を行ううえで、簡潔に情報を伝えるためにはレジュメが欠かせません。レジュメを記載する際は、それぞれの項目で必要な情報を盛り込み、わかりやすくまとめることが重要です。
レジュメをうまく作成すれば、症例報告や研究発表の成功につながります。ぜひ今回の記事を参考にして、レジュメの書き方をおさえておきましょう。
レジュメは、発表者の評価力・分析力・臨床的判断力を簡潔に伝える重要な資料です。評価項目の記載は、対象者の状態像を正確に伝えることが目的であり、単なる数値の羅列にとどまらず、臨床での意義や変化の背景も適切に説明される必要があります。ICFの枠組みに沿って課題を整理することで、対象者の生活全体を見据えた目標設定が可能となります。また、表現には客観性と論理性が求められ、用語や数値の正確性はもちろん、記述の整合性にも注意が必要です。個人情報の取り扱いにも十分配慮し、伝える相手や場面に応じた構成を心がけましょう。

監修:関 勇宇大(理学療法士)
2014年、理学療法士免許を取得。回復期リハビリテーション病院にて、脳血管障害患者を中心にリハビリテーション計画を立案し、早期社会復帰を支援。訪問リハビリでは、在宅療養者とその家族に対し、生活環境に即した個別支援を提供。臨床経験で培った専門的知見をもとに、現在は医療ライターとして活動。運動療法クラウドサービス『リハサク』では、運動メニューの解説・動画制作も担当し、医療と表現の両面から、実用性と信頼性の高い情報発信を行っている。
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