ブラガードテストの手順と臨床的意義:関連する神経伸張テストの整理
公開日:2026.02.11

文:内藤 かいせい(理学療法士)
ブラガードテストとはどのような検査で、何を目的に実施するのでしょうか。本検査は整形外科領域における神経伸張テストの一つであり、腰椎神経根由来の神経症状の有無を評価する際に用いられます。
本記事では、ブラガードテストの手順・実施時の注意点に加え、関連する整形外科テストについて整理します。具体的な評価方法を理解することで、臨床における神経症状評価の精度向上につながります。
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目次
ブラガードテストとは?
ブラガードテストは、腰椎神経根由来の神経伸張痛(radicular pain)を評価するための整形外科テストです。
仰臥位での下肢挙上(SLR)後に足関節背屈を加え、神経症状の再現性を確認します。
神経痛が再現・増強した場合、以下の疾患が疑われます。
腰部脊柱管狭窄症
腰椎すべり症
これらの疾患では腰椎神経根の圧迫が生じ、神経伸張によって症状が誘発されます。
※ブラガードテストはSLRテストの偽陽性を除外する目的で実施されることが多く、臨床的に重要な補助検査です。
ブラガードテストの手順

ここでは、ブラガードテストの具体的な手順についてみていきましょう。
1.被検者を仰臥位とする(両膝は伸展位)
2.検者は被検者の側方に立ち、膝伸展位を保持したまま下肢をゆっくり挙上する
3.症状が出現する角度まで挙上する
4.症状出現後、わずかに下肢を下げ、足関節背屈を加える
5.足関節背屈により放散痛が再現・増強した場合、陽性と判断する。
このときに神経痛が現れた場合、陽性と判断します。足を上げる際は膝が曲がらないように、手でおさえながら行いましょう。
ブラガードテスト実施時の注意点
ブラガードテストを行う際は、いくつかの点に注意する必要があります。ここでは、おもな注意点を解説します。
筋肉の伸張による痛みと間違えないようにする
ブラガードテストを行う際は、筋肉の伸張による痛みと神経痛を混同しないようにしましょう。このテストでは足を上げて足関節を背屈する関係上、ハムストリングスと下腿三頭筋が伸張されます。筋肉が硬い方の場合、神経に問題がなくても突っ張るような痛みを感じることがあるため、これを陽性と判断しがちです。
神経による痛みなのかを見極めるには、患者さんにどのような痛みか聞いてみましょう。神経症状であればビリビリとした痛みや鋭い痛みを訴えるケースが多いです。痛みの場所や種類を丁寧に確認することで、検査の精度を高められます。
痛みが強く出ないように慎重に行う
検査をするときは、患者さんに強い痛みを与えないように慎重に行うことが大切です。ブラガードテストは神経に刺激を加える検査のため、急に足を動かすと痛みが強くなり、症状を悪化させる恐れがあります。
足を動かす際は、常に患者さんの表情や反応を確認しながら進める必要があります。痛そうな表情をしたり身体に力が入ったりした場合は、すぐに動きを止めるか足を戻しましょう。「痛いときは教えてください」と事前に声をかけておくことも、患者さんの安心感につながります。
筋伸張痛との鑑別
ブラガードテストでは、筋由来疼痛と神経由来疼痛の鑑別が重要です。
下肢挙上と足関節背屈により、ハムストリングスや下腿三頭筋が伸張されます。
筋由来疼痛では
・局所的な伸張痛
一方、神経症状では
・放散痛
・電撃痛
・しびれ
が出現することが多く、疼痛の部位・性質を丁寧に確認する必要があります。
疼痛増悪を避けるための配慮
神経伸張テストは症状を誘発する検査であるため、急激な操作は避け、被検者の表情や疼痛反応を確認しながら慎重に実施します。
検査前には疼痛出現時に申告してもらうよう説明することが重要です。
ブラガードテストとラセーグテストとの違い

ブラガードテストと類似した検査に「ラセーグテスト」があります。どちらも坐骨神経痛を調べるためのものですが、それぞれ手順に違いがあります。ラセーグテストは、あお向けになった状態で膝を伸ばしたまま、足をゆっくりと持ち上げる検査です。「SLRテスト」とも呼ばれ、この動作だけでお尻や足に神経痛が現れれば陽性と判断します。
SLR(Straight Leg Raising)テストは、膝伸展位で下肢を挙上し、坐骨神経領域の症状出現を確認する検査です。
ブラガードテストはSLRと同様の手順を途中まで行った後、足関節背屈を加えることで神経症状の再現性を確認し、筋由来疼痛との鑑別を行う点が特徴です。
ブラガードテスト以外の整形外科テスト

ブラガードテスト以外にも、数多くの整形外科テストがあります。ここでは、ブラガードテストに類似したそのほかのテストの目的ややり方を解説します。
ボンネットテスト
ボンネットテストはブラガードテストと同様に、神経症状の有無を判定するためのテストです。
1.被検者をベッド上であお向けにする(両足の膝は伸ばす)
2.被検者の側方に立ち、膝を伸ばしたまま片足をゆっくり上げる
3.痛みが現れたら、足をわずかに下げる
4.痛みが出ない範囲まで下げたら、股関節を内転・内旋させる
この手順で神経痛が強くなった場合、陽性と判断します。
ボウストリングテスト
ボウストリングテストは、坐骨神経根の圧迫を評価するテストです。
1.仰臥位で下肢を挙上
2.症状出現角度で膝を軽度屈曲
3.膝窩部で坐骨神経を圧迫
この手順で大腿後面から殿部にかけて痛みが現れたら、陽性と判断します。
FNSテスト
FNSテストは、上位腰椎神経根(L2–L4)を評価する神経伸張テストです。
1.うつ伏せ位
2.骨盤を固定
3.膝90°屈曲+股関節伸展
この手順で大腿前面に痛みが現れた場合、陽性と判断します。
指床間距離(FFD)
FFDとは、体幹・股関節・下肢後面の柔軟性および脊柱可動性の総合評価テストです。
1.被検者を低い台の上に立たせる
2.膝を伸ばしながら体幹を屈曲させて、床に向かって指を伸ばす
3.指先から床までの距離を測定する
この手順で指から床の距離が遠いほど、ハムストリングスや腰背筋の緊張が高いと判断します。
ケンプテスト
ケンプテストとは、腰椎椎間関節障害・椎間孔狭窄による神経根症状を評価です。ブラガードテストと類似したテストですが、こちらは立った状態で行うのが特徴です。
1.被検者を立たせて、検者はその背後に立つ
2.被検者の両肩に手を置き、体幹を伸ばしたまま右方向に回旋させる
3.もとに戻り、反対方向に回旋させる
立位で体幹伸展+回旋+側屈を行い、神経根走行の疼痛出現で陽性と判断します。
ブラガードテストのやり方と意義をおさえておこう
ブラガードテストは、腰椎神経根症状を評価するうえで重要な神経伸張テストです。単独の検査結果のみで判断せず、神経学的所見や画像所見と統合して評価することが重要です。
参考
松澤正, 江口勝彦 著. 理学療法評価学 改訂第4版. 金原出版. 2013.
本記事では、腰椎神経根症状の評価に用いられるブラガードテストを中心に、SLRテストやボウストリングテスト、FNSテストなどの関連検査について整理しています。神経伸張テストは臨床で頻用される一方で、筋由来疼痛との鑑別や陽性所見の解釈には注意が必要です。単一のテスト結果のみで判断するのではなく、病歴・神経学的所見・画像所見と統合して評価することが重要です。本記事が、日常臨床における神経症状評価の理解を深める一助となれば幸いです。
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