逆腹式呼吸とは?腹式呼吸との違いや具体的な効果、やり方をご紹介
公開日:2026.02.10

文:内藤 かいせい(理学療法士)
逆腹式呼吸とはどんな呼吸法なのか、どのような効果があるのか知りたい方はいませんか?逆腹式呼吸は通常の腹式呼吸とは逆の手順で呼吸する方法であり、実際に行うには少しコツが必要です。
この記事では、逆腹式呼吸の効果や具体的なやり方をご紹介します。やり方のポイントをおさえることで、呼吸法を習慣づけられるでしょう。
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逆腹式呼吸とは?腹式呼吸の違いは?
逆腹式呼吸とは、その名前のとおり腹式呼吸とは反対のお腹の動きを行う呼吸法のことです。通常、腹式呼吸では息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹をへこませます。
一方で逆腹式呼吸では、息を吸うときにお腹をへこませ、息を吐くときにお腹を膨らませるのです。慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、まずは「吸うときはへこませる、吐くときは膨らませる」という違いを意識することが大切です。
逆腹式呼吸の効果

逆腹式呼吸には、どのような効果が期待できるのでしょうか。ここでは具体的な効果について解説します。
インナーマッスルの活性化
逆腹式呼吸によって、インナーマッスルの活性化が期待できます。インナーマッスルとは、身体の深い位置にある筋肉のことです。通常の呼吸とは違い、逆腹式呼吸ではお腹に力を入れるため、体幹のインナーマッスルに刺激が入りやすくなります。
インナーマッスルが活性化することで、胃腸の働きが活発になり、お腹まわりの血流の促進が期待できます。そのほかにも、姿勢が安定して肩こりや腰痛などの身体の不調軽減にもつながるでしょう。
リラックス効果
逆腹式呼吸は、心身を落ち着かせてリラックスする効果も期待できます。逆腹式呼吸によって深い呼吸を意識的に行うことで、身体を休息モードにする「副交感神経」の働きが活性化されます。副交感神経が活性化すれば、凝り固まった筋肉がほぐれ、血流も良好となるでしょう。
心を落ち着かせたいときや、疲労を取りたいときにこの呼吸法を取り入れるのもおすすめです。リラックス効果により、心身の調子を整えられるでしょう。
ストレスの軽減
逆腹式呼吸はリラックス効果だけでなく、ストレスの軽減にもつながります。逆腹式呼吸によって深い呼吸を繰り返すことで副交感神経が優位になり、張り詰めた神経を鎮める効果が期待できます。
逆腹式呼吸を行う際は、呼吸だけに意識を向けることでさらなるストレス軽減につながるでしょう。イライラしたときや落ち込んだときに実践すれば、心を穏やかな状態へ近づけられます。
病気予防や健康の維持
逆腹式呼吸を習慣にすることは、将来的な病気の予防や健康の維持につながる可能性があります。これまで説明したように、逆腹式呼吸は筋肉の活性化やリラックス効果などのメリットがあります。このような効果のある逆腹式呼吸を継続することで健康を維持でき、病気予防に寄与しやすくなるのです。
もちろん、この呼吸法を行えば病気が直接的に治るわけではありません。しかし、身体の内側から調子を整えることで、不調を未然に防ぐ役割はあるでしょう。毎日の習慣として無理なく取り入れて、健康的な身体作りを目指してみてください。
逆腹式呼吸の手順

ここでは、実際の逆腹式呼吸の手順についてみていきましょう。
1.あお向けになり、両膝を立てる
2.両膝の間は拳一つ程度開く
3.口から息をゆっくり吐きながら、お腹を膨らませる
4.吐ききったら鼻から息をゆっくり吸い、お腹をへこませる
5.2〜3の手順を繰り返す
お腹を膨らます感覚が難しい場合は、タオルや手を腰の下に入れてみましょう。タオルや手を押し付けるようなイメージで力を入れると、お腹を膨らます感覚がつかみやすいです。
逆腹式呼吸をするときに取り入れたいこと

逆腹式呼吸を行ううえで、プラスアルファとして取り入れるとさらなる効果が期待できます。ここでは、逆腹式呼吸をするときに取り入れたいことについて解説します。
エクササイズ
逆腹式呼吸の効果をさらに高めたい場合、軽いエクササイズと組み合わせて実践するのがおすすめです。身体を動かしながら逆腹式呼吸を行うことで腹圧が高まりやすく、インナーマッスルを効率的に刺激できます。
具体例として、逆腹式呼吸の際に体幹をひねる運動があげられます。逆腹式呼吸で息を吸い、お腹をへこませるタイミングにあわせて、上半身を左右にゆっくりねじってみましょう。この動作によってお腹の中の圧力が高まり、体幹筋を効かせやすくなります。逆腹式呼吸に慣れた方は、ぜひエクササイズと組み合わせて行ってみましょう。
マインドフルネス
逆腹式呼吸と同時に、「マインドフルネス」を取り入れてみましょう。マインドフルネスとは自分の思考から離れ、意識的に今に心を向けることを指します。マインドフルネスによって心も落ち着けることで、ストレスをやわらげる効果がさらに高まりやすくなります。
具体的なやり方としては、逆腹式呼吸を行いつつ、お腹の動きや呼吸する感覚に意識を集中させてみましょう。途中で余計な考えが浮かんできても、無理に打ち消す必要はありません。考えごとが浮かんだことを客観的に受け止め、ゆっくりと意識を呼吸へ戻していきましょう。
逆腹式呼吸を行わない方が良い人
下記に該当する方は逆腹式呼吸を行わないように注意しましょう。
・痔核、骨盤底筋機能不全、腹圧性尿失禁など
上記以外の場合でも、逆腹式呼吸をする際は過度に力を入れないように注意する必要があるといわれています。
逆腹式呼吸以外のおすすめの呼吸法

逆腹式呼吸以外にも、さまざまな呼吸法があります。ここでは、逆腹式呼吸以外におすすめの呼吸法とそのやり方について解説します。
腹式呼吸
逆腹式呼吸に慣れていない方や、まずは心身をリラックスさせたい方は腹式呼吸がおすすめです。腹式呼吸では、息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹をへこませます。この呼吸法も逆腹式呼吸と同様に自律神経のバランスが整い、ストレスの軽減やリラックス効果につながります。具体的なやり方は以下のとおりです。
1.リラックスする姿勢になる
2.口から息をゆっくり吐きながら、お腹をへこませる
3.吐ききったら鼻から息をゆっくり吸い、お腹を膨らませる
4.2〜3の手順を繰り返す
リラックスできる姿勢であれば、あお向けでも座った状態でも問題ありません。
丹田呼吸法
丹田呼吸法とは、おへその少し下にある「丹田(たんでん)」という場所に意識を集中して行う呼吸法です。丹田を意識することで自然と呼吸が深くなり、自律神経のバランスが整いやすくなるのがメリットです。副交感神経が優位になるため、リラックス効果が得られ緊張の緩和につながります。具体的なやり方は以下のとおりです。
1.リラックスする姿勢になる
2.両手を下腹部(丹田)に添える
3.口から息をゆっくり吐きながら、丹田をへこませる
4.吐ききったら鼻から息をゆっくり吸い、丹田を膨らませる
5.息を吸いきったら、数秒間息を止める
6.3〜5の手順を繰り返す
478呼吸法
478呼吸法とは、「4秒・7秒・8秒」のリズムで呼吸をする呼吸法です。息を止めたり長く吐いたりすることで、胸とお腹の境目にある横隔膜という筋肉を動かし、副交感神経を優位に導きます。478呼吸法はストレスでイライラしているときや、なかなか寝付けないときのリラックス方法としておすすめです。具体的なやり方は以下のとおりです。
1.リラックスする姿勢になる
2.口から息を吐ききる
3.4秒かけて静かに息を吸い込む
4.7秒息を止める
5.8秒かけて口から息を吐ききる
6.3〜5の手順を繰り返す
逆腹式呼吸を実践してみよう!
逆腹式呼吸は息を吸うときにお腹をへこませ、息を吐くときにお腹を膨らませる呼吸法です。逆腹式呼吸ではインナーマッスルの活性化やリラックス効果など、さまざまな作用が期待できます。
この呼吸法に慣れてきたら、エクササイズやマインドフルネスを組み合わせるのもおすすめです。ぜひ今回の記事を参考にして、正しい方法で逆腹式呼吸を実践してみましょう。
参考
雨宮隆太. 気管支学. 2002, 24(1), p1-2.
大貫崇. 日本アスレティックトレーニング学会誌. 2019, 5(1), p27-34.
大久保雄. 日本アスレティックトレーニング学会誌. 2019, 5(1), p3-11.
逆腹式呼吸は、吸うときにお腹をへこませ、吐くときに膨らませる点で腹式呼吸と異なります。腹式呼吸が主に横隔膜を下げてリラックスを促す“緩める呼吸”であるのに対し、逆腹式呼吸は腹圧を高め、体幹の安定性を引き出す“支える呼吸”という側面があります。ただし、強くへこませようとして首や肩に力が入ると逆効果です。呼吸が浅くならないよう注意し、めまいや息苦しさを感じた場合は中止してください。目的や体調に応じて無理なく使い分けることが大切です。
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