脳出血のリハビリは?時期にあわせた内容やリハビリの重要について解説
公開日:2026.02.06 更新日:2026.02.09

文:内藤 かいせい(理学療法士)
脳出血の発症後には、どのようなリハビリが行われるのか知りたい方はいませんか?脳出血を発症すると運動麻痺や感覚障害などのさまざまな症状が現れ、それにあわせたリハビリが実施されます。また、発症時期によってリハビリ内容が変化するのも特徴です。
この記事では、脳卒中の概要や発症後のリハビリ内容をご紹介します。脳出血の知識を深めることで、時期にあわせたリハビリ内容を把握できるでしょう。
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脳出血とは?
脳出血とは、脳のなかの血管がなんらかの原因で破れ、出血する病気です。脳内で出血すると神経を圧迫し、さまざまな症状を引き起こす原因となります。脳出血は、「脳卒中」と呼ばれる病気のグループに含まれます。
脳卒中とは脳の血管トラブルによって起こる病気の総称で、血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血・くも膜下出血」に分かれているのが特徴です。脳卒中は日本人の死亡原因の上位を占める病気の一つであり、発症予防や発症後の早期の対応が重要です。
脳出血のおもな症状

脳出血の症状は発症した場所によって異なり、その種類は多岐にわたります。代表的な症状としては、以下のとおりです。
・吐き気
・片麻痺
・感覚障害
・構音障害(言葉の出にくさ)
・嚥下障害(飲み込みにくさ)
・視覚障害
・高次脳機能障害(記憶障害や注意障害など)
このように、脳出血の症状は身体的なものから認知機能に関するものまでさまざまなので、状態にあわせた対応が必要です。これらの症状は治療によって改善が期待できますが、後遺症として残るケースも多い傾向にあります。
脳出血のおもな原因

脳出血の原因として、もっとも代表的なのが高血圧です。血圧が高い状態が続くと、脳内の血管に常にストレスがかかります。その結果、血管がもろく硬くなる動脈硬化が進行して、やがて脳出血を引き起こすのです。
ただし、すべての原因が高血圧というわけではありません。ほかにも、生まれつき血管に異常がある「脳血管奇形」や、加齢で血管の成分が変化してもろくなる「アミロイド血管症」などが原因になることもあります。
脳出血後のリハビリが重要な理由

脳出血の発症後、障害によって低下した機能を改善するためには、リハビリが重要です。なるべく早い段階からリハビリを行うことで、身体機能の改善とともに後遺症の軽減が期待できます。実際に、脳卒中治療ガイドラインにおいても、早期からのリハビリが推奨されています。
発症後に安静の状態が続くと、筋肉の衰えや関節の柔軟性低下などを引き起こし、そのまま寝たきりになってしまう恐れがあるのです。この問題を防ぐためにも、病院では発症直後の早い時期から無理のない範囲で身体を動かすことが大切です。
脳出血に対する各リハビリ専門職の役割

脳出血のリハビリでは、以下のリハビリ専門職が連携して身体機能の改善を目指していきます。
・作業療法士
・言語聴覚士
ここでは、それぞれのリハビリ専門職の役割について解説します。
理学療法士
理学療法士は「起きる・座る・立つ・歩く」などの基本的な動作の改善を専門とする専門職です。脳出血の後遺症で手足に麻痺が残ると、移動をはじめとしたさまざまな動作が難しくなります。そこで理学療法士は、以下のような治療を通じて身体の機能を改善させ、日常生活への復帰を目指したリハビリを行います。
・物理療法(温熱や電気などの機器を使用したリハビリ)
このように、生活の土台となる身体の動きを取り戻すサポートをするのが、理学療法士の大きな役割です。
作業療法士
作業療法士は、以下のような生活を送るうえで欠かせない応用動作の改善をサポートする専門職です。
・着替え
・トイレ
・入浴
理学療法士が基本的な動作の獲得を担当するのに対し、作業療法士はその延長となる生活に直結する具体的な動作ができるようにリハビリを行います。たとえば、麻痺のある手でスプーンを持って食事をする練習や、衣服のボタンを留める練習など、実際の生活場面を想定したリハビリが中心です。
必要に応じて使いやすい道具を選んだり、家事や仕事への復帰に向けた訓練を行ったりすることもあります。単に身体機能を回復させるだけでなく、その人らしい生活や楽しみを取り戻し、生活の質(QOL)を高めることが作業療法士の役割です。
言語聴覚士
言語聴覚士は、言葉や食事などが障害された方に対してリハビリを行う専門職です。脳出血の症状では、言葉がうまく出てこない失語症や、食べ物がうまく飲み込めなくなる嚥下障害などが生じることがあります。言語聴覚士は、このような機能の改善をサポートします。
具体的なリハビリとしては、言葉を思い出す練習や口・舌を動かして飲み込みをスムーズにする練習などです。また、安全に食事ができるように姿勢や食形態を調整することもあります。このように、自分の思いを伝え、安全に美味しく食事をとれるように支えるのが言語聴覚士の役割です。
脳出血後の時期によるリハビリ内容

脳出血のリハビリは、発症後の時期によって大きく異なります。ここでは、発症時期にあわせたリハビリ内容について解説します。
急性期
発症直後の急性期と呼ばれる時期では、治療を優先しつつベッド上で無理のない範囲からリハビリをはじめます。この時期は全身の状態が変化しやすくデリケートのため、積極的なリハビリをするケースは少ないです。しかし、安静にしすぎると筋肉の衰えや関節の柔軟性低下が進むため、早期の介入が欠かせません。具体的なリハビリとして、以下があげられます。
・起き上がり
・立ち上がり
・車イスへの移乗
これらのリハビリを行い、少しずつ離床を進めていきます。
回復期
急性期を過ぎて、状態が安定してきた時期を回復期といいます。この時期では積極的なリハビリが行われ、身体機能の改善を目指します。病状が安定した段階で、急性期病院から回復期病院に転院する方も多いでしょう。回復期では各リハビリ専門職の役割を活かし、患者さんの状態にあわせたプログラムを行います。
たとえば、理学療法士のリハビリであれば積極的な歩行練習、作業療法士であれば自宅復帰で必要な動作の練習などがあげられます。退院の目処が立ったら、実際に自宅に行って問題なく生活を送れるかを確認する外出訓練を行うこともあるでしょう。また、必要に応じて家族に介助の方法や自宅で生活するうえでのアドバイスを行います。
維持期
回復期を過ぎて身体機能の改善がピークを迎えた時期が維持期です。この時期では、これまでに改善した身体機能を低下させないためのリハビリが中心に行われます。維持期では病院を退院しており、自宅や施設などで生活を送っている方も多いです。そのため、通所リハビリや訪問リハビリなどのサービスを通してリハビリを実施します。
また、日々の活動そのものをリハビリととらえ、自分らしい生活を少しでも長く継続できるよう工夫を重ねることも重要です。
脳出血後のリハビリの内容や重要性を知っておこう
脳出血は脳内の血管が破れることで起こる病気で、片麻痺や感覚障害などのさまざまな症状が現れるのが特徴です。脳出血の発症後は、障害によって低下した身体機能を改善するために早期からのリハビリが重要です。
リハビリは理学療法士と作業療法士、言語聴覚士によって行われ、それぞれ役割が異なります。また、発症時期によってもリハビリの内容は異なる点もおさえておきましょう。
参考
慶應義塾大学病院|脳梗塞、脳出血(脳卒中)
厚生労働省|みんなで知ろう! からだのこと
筑波大学附属病院|脳出血とは?
日本脳卒中学会|脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕
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