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嚥下障害のリハビリ内容とは?嚥下障害の原因や誤嚥による影響も解説

公開日:2026.02.07 更新日:2026.02.09

嚥下障害のリハビリ内容とは?嚥下障害の原因や誤嚥による影響も解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

嚥下障害に対して、どのようなリハビリを行うのか知りたい方はいませんか?具体的には食べ物を使用したリハビリや、それ以外の方法で嚥下機能を高めるリハビリなど、さまざまな種類があります。

この記事では、嚥下障害の概要とそのリハビリ内容をご紹介します。嚥下障害に対する理解を深めることで、適切なリハビリを実践できるでしょう。

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嚥下障害とは

嚥下障害とは、食事の過程のどこかに異常が現れ、スムーズに飲み込めなくなる状態のことです。普段無意識に行っている「食べる」という動作は、具体的に以下の5つの段階に分類されます。

1.先行期:食べ物を認知・判断する
2.口腔準備期:食べ物を口に入れて噛み砕く
3.口腔送り込み期:食べ物を喉の奥に送る
4.咽頭期:飲み込む
5.食道期:食べ物を食道から胃へ運ぶ

これらの段階に関わる器官が正常に機能することで、安全に食事ができるのです。しかし、いずれかの段階で異常が生じると、食べ物が喉に詰まる、気管に入ってむせるなどの問題が現れます。

嚥下障害の原因

嚥下障害の原因

嚥下障害が起こる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、具体的な原因について解説します。

器質的要因

器質的要因とは、口や食道などの形・構造そのものに異常がある状態のことです。食べ物を胃まで運ぶルート上に物理的な障害物がある、通り道が狭くなっているなどの問題があると、スムーズに通過できず飲み込みにくくなります。具体的な原因としてあげられるのは、以下のような病気や症状です。

・口内炎や扁桃炎による腫れ
・舌がんや食道がんなどの悪性腫瘍
・がんの手術後などに生じる形状の変化

これらの問題によって物理的に食べ物が通りにくくなるのが、器質的要因による嚥下障害の大きな特徴です。

機能的要因

機能的要因とは、口や喉などの形自体に異常はないものの、それらを動かす機能や感覚に問題が生じている状態のことです。食べ物を飲み込むには、脳からの指令が神経を通って筋肉を正しく動かす必要があります。

しかし、この連携がうまくいかないと口腔内の器官が十分に働かず、スムーズに飲み込めなくなります。機能的要因が起こる代表例が、以下のような神経や筋肉に関わる病気です。

・脳卒中による運動麻痺
・パーキンソン病をはじめとした神経の病気
・認知症による認知機能の低下

心理的要因

心理的要因とは、うつ病や強いストレスなどの精神的な不調が影響して、飲み込みにくさを感じる状態のことです。病院で検査をしても明らかな異常は見つからないのに、「喉に何かが詰まっている気がする」「飲み込もうとしても喉が動かない」などの症状が現れるのが特徴です。こうした症状が起こる背景として、以下のようなケースがあげられます。

・うつ病やストレスによる食欲不振
・精神的な病気の治療薬による副作用

心の問題と食事は密接に関わっているため、身体に異常がないにもかかわらず嚥下が難しい場合は、心理的要因の可能性が考えられます。

加齢による要因

特定の病気がなくても、年齢を重ねることで飲み込む機能が低下することも多いです。手足の筋肉と同じように、加齢にともなって口や喉の筋肉・感覚も徐々に衰えていきます。具体的には、以下のような変化が起こりやすくなります。

・歯が抜ける
・噛む力が弱まる
・唾液の分泌が減る
・飲み込む際の反射が鈍くなる

高齢者で食事中にむせることが増えた場合、加齢による嚥下機能の低下が影響している可能性が高いでしょう。

誤嚥によって引き起こされる影響

誤嚥によって引き起こされる影響

嚥下障害で注意すべき問題として、食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」があげられます。誤嚥が起こるとむせて苦しいだけでなく、命に関わるトラブルを引き起こすリスクが高まります。具体的には、食べ物や唾液に含まれる細菌が肺に入りこんで炎症を起こす誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎は高齢者の肺炎の原因として起こりやすいのが特徴です。

また、自覚症状がないまま気管に入ってしまう不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)が起こるケースもあります。不顕性誤嚥は本人だけでなくまわりの人も気づきにくいため、知らないうちに肺炎が進行する場合もあるのです。このような誤嚥を引き起こさないためにも、早期の対策と適切なリハビリが重要です。

嚥下障害に対するリハビリ内容

嚥下障害に対するリハビリ内容

嚥下障害に対するリハビリはさまざまで、その方の状況に応じて実施されます。ここでは具体的なリハビリ内容について解説します。

口腔ケア

嚥下障害の基本的なリハビリが口腔ケアです。口腔ケアによって口の中を清潔に保つことで、ほかのリハビリを安全に進められます。また口腔内の食べかすや汚れを取り除くことで、誤嚥性肺炎のリスクの軽減にもつながります。口腔ケアの内容は、以下のとおりです。

・歯磨き
・うがい
・入れ歯の洗浄

間接訓練

間接訓練とは、食べ物を使用せずに行うリハビリのことです。ここでは、おもな間接訓練について解説します。

嚥下体操

嚥下体操とは、口や舌を動かす運動のことです。体操によって嚥下に必要な筋肉を動かすことで、スムーズに飲み込めるようにします。具体的な嚥下体操の内容としては、以下があげられます。

・深呼吸をする
・首を動かす
・肩を上げ下げする
・頬を膨らませる・しぼませる
・舌を動かす
・「パタカラ」と発音する

関節可動域訓練

関節可動域訓練によって、以下のような嚥下に関わる関節の動きの改善を図ります。飲み込む動作は口腔の器官だけでなく、以下のような部位も連動して動いています。

・首
・肩
・胸まわり

そのため、これらの関節の動きが悪いと嚥下に支障をきたす恐れがあるでしょう。首や肩などの関節を動かして、緊張した筋肉をほぐします。

口腔周囲のマッサージ

マッサージによって顔や口まわりの筋肉を直接ほぐして、スムーズな嚥下を目指します。加齢や病気による麻痺があると、口や頬の筋肉の柔軟性が低下しやすくなります。

筋肉の柔軟性が低下したままだと、口をしっかりと動かせずに食べ物がこぼれたり、うまく嚥下ができなかったりする恐れがあるでしょう。そのような方はマッサージによって筋肉をほぐし、動きやすい状態にしてから食事につなげることが大切です。

嚥下反射訓練

嚥下反射訓練とは、食べ物が喉を通る瞬間に起こる反射的な動きを改善するためのリハビリです。嚥下障害の方のなかには喉の感覚が鈍くなり、食べ物が来ても反射が起きずに気管に入ってしまうケースがあります。嚥下反射訓練によって喉に適度な刺激を与えることで、飲み込む反射が起こりやすくなり、誤嚥を予防するのです。

代表的な訓練がアイスマッサージで、これは凍らせた綿棒や冷たい水につけたスプーンなどで、口の奥を軽く刺激する方法です。この刺激によって喉の感覚が活発になり、飲み込むための反射が起こりやすくなります。

ポジショニング

口腔に関係する訓練だけでなく、ポジショニングによって安全に食事ができるように姿勢を調整することも大切です。姿勢が崩れているとスムーズに飲み込むことが難しくなり、誤嚥を引き起こす恐れがあります。誤嚥を防ぐためには、以下のようなポイントを意識して姿勢を整えます。

・イスに深く腰掛けて姿勢を整える
・足の裏が床につくように調整する
・軽くあごを引いた状態を保つ

その方にとって飲み込みやすい姿勢をセッティングして、安全な食事をサポートします。

直接訓練

直接訓練とは、実際に食べ物や飲み物を使って飲み込む練習をするリハビリです。直接訓練では、いきなり普通の食事をするのではなく、本人の飲み込む力に合わせて調整された嚥下食を使います。具体的には、ゼリーやとろみをつけた水分からはじめ、徐々にペースト食、おかゆへと段階を進めていくのが一般的です。

ただし、直接訓練では実際の食べ物を使うので誤嚥のリスクがともないます。そのため、事前に医師の診断や検査を行ったうえで、十分に安全を確保した状態で実施する必要があります。

嚥下障害のリハビリについておさえておこう

嚥下障害は嚥下が行われる段階のいずれかが支障をきたし、うまく飲み込みができない状態のことです。嚥下障害は器質的要因や加齢による影響など、さまざまな原因が考えられます。

リハビリには間接訓練と直接訓練があり、その方の状態にあった内容を実施していきます。ぜひ今回の記事を参考にして、嚥下障害のリハビリについておさえておきましょう。

参考

慶應義塾大学病院|摂食嚥下障害のリハビリテーション

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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