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腱板損傷のリハビリ内容は?症状や原因、治療方法についても解説

公開日:2026.07.23

腱板損傷のリハビリ内容は?症状や原因、治療方法についても解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

腱板損傷ではどのような治療が行われるのか、どのようなリハビリを行うのか知りたい方も多いのではないでしょうか?この疾患は肩関節の動きを支えている腱板が損傷した状態であり、症状改善のためにはリハビリが重要です。

この記事では腱板損傷の症状や原因、治療方法に応じたリハビリ内容をご紹介します。どのようなリハビリが行われるのかを知ることで、腱板損傷の患者さんに対して適切に対応できるでしょう。

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腱板損傷の症状

腱板損傷とは、肩関節にある「腱板」と呼ばれる筋肉の腱の集まりが損傷した状態のことです。腱板は、以下の4つのインナーマッスルから構成されています。

  • • 棘上筋
  • • 棘下筋
  • • 小円筋
  • • 肩甲下筋き

腱板損傷のおもな症状は、肩の痛みや腕の動かしにくさです。とくに肩の運動時に痛みやすく、なかには夜間痛をともなうことも少なくありません。肩を動かしたときに「ジョリジョリ」という音が鳴ることや、腕に力が入らなくなることもあります。

腱板損傷によく似た病気の五十肩は関節が固まって動かなくなることが多いのに対し、腱板損傷では関節の動き自体は問題がない傾向にあります。ただし、損傷の程度が重い場合や断裂の範囲が広いと、腕がまったく上がらなくなる場合もあるでしょう。

五十肩の状態について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:【四十肩・五十肩の方にオススメ】根本から解決したい肩関節周囲炎ストレッチを解説!

腱板損傷を発症する原因

腱板損傷を発症する原因

腱板損傷を引き起こす原因として、おもに以下の2つが挙げられます。

  • • ケガをはじめとした外傷
  • • 加齢や使いすぎによる腱板の衰え

外傷によるものとして、転倒して手をつく、肩を強く打つなどで発症します。一方で、加齢や肩の使いすぎによって腱板が衰え、明確なきっかけがないまま発症することも珍しくありません。腱板は肩関節の構造上、骨と骨の間に挟まれているため、長年腕を使っているうちに摩耗しやすくなります。そのため、中高年以降の方では、普段の何気ない動作だけで断裂が起きることもあるのです。また、スポーツをする方や仕事で重労働をする方など、肩をよく使う場合も発症のリスクが高まります。

腱板損傷の治療法

腱板損傷の治療法

腱板損傷を発症した際は、おもに以下のような治療が行われます。

  • • 保存療法
  • • 手術療法

ここでは、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

保存療法

腱板損傷の程度が比較的軽い場合や、日常生活への影響がそれほど大きくない場合、まずは保存療法から行うのが一般的です。保存療法のおもな目的は、炎症をおさえて痛みを取り除き、肩の機能を回復させることです。

具体的な治療内容として、痛みが強い時期は患部の安静を保ちながら、飲み薬や湿布を使って炎症を鎮めます。痛みが激しい場合や夜間痛があるときは、関節内にステロイド剤やヒアルロン酸を注射することもあるでしょう。痛みが落ち着いてきたら運動療法(リハビリ)を開始し、肩関節の動きをよくしつつ、筋肉を鍛えます。

ただし、保存療法を行っても切れた腱板が自然につながるわけではありません。あくまで症状をやわらげ、日常生活に支障が出ないようにするための治療であることを理解しておきましょう。

手術療法

保存療法を続けても痛みが改善しない場合や、損傷の範囲が大きい場合は手術による治療が検討されます。手術で損傷した腱板の修復を行い、機能回復を目指します。おもな手術方法としては、関節鏡と呼ばれる小さなカメラを用いた「腱板縫合術」が主流です。関節鏡手術では切開が小さくなる傾向があり、身体への負担や術後の痛みが比較的少ないとされます。ただし、状態や術式により異なります。

一方で、断裂が大きく縫い合わせるのが難しい場合や、高齢の方で関節の変形が進んでいる場合には、「リバース型人工肩関節置換術」が行われることもあります。いずれにせよ、術後は一定期間の固定とリハビリが必要です。

腱板損傷の治療内容に応じたリハビリ内容

腱板損傷の治療内容に応じたリハビリ内容

腱板損傷のリハビリでは、治療内容に応じて以下のようなことが行われます。

【保存療法でのリハビリ】

  • • 筋力トレーニング
  • • 関節可動域訓練
  • • 肩に負担をかけないための動作指導
【手術後のリハビリ】

  • • 手術直後は肩の固定と他動運動が中心
  • • 痛みが落ち着いた時期から筋トレを開始

ここでは、それぞれのリハビリ内容について詳しく解説します。

保存療法でのリハビリ

ここでは、保存療法で行われるリハビリ内容について見ていきましょう。

筋力トレーニング

腱板損傷が起きると、肩を支えるインナーマッスルの働きが悪くなり、肩関節が不安定になります。この状態で無理に肩を動かすと、関節に負担がかかって症状を悪化させる恐れがあります。そのため、トレーニングによって腱板やまわりの筋肉を強化し、肩の安定性を高めることが重要です。リハビリの例としては、以下のとおりです。

【肩のリハビリ例:その1】

  1. 1. 座った状態でテーブルに肘と腕をつける
  2. 2. 水の入ったペットボトルを握る
  3. 3. 肘をつけたまま、腕を左右に動かす
  4. 4. 痛みの出ない範囲で繰り返し行う
【肩のリハビリ例:その2】

  1. 1. 座った状態で両方の肘を身体につけて90度曲げる
  2. 2. 両手でゴムチューブを持つ
  3. 3. 片方の腕を固定しつつ、もう片方の腕を外側に動かしてゴムチューブを引っ張
  4. 4. 痛みの出ない範囲まで腕を外側に動かしたら、元の位置に戻す
  5. 5. 繰り返し行う

関節可動域訓練

筋トレだけでなく、関節可動域訓練によって固まった関節をほぐすことも大切です。肩が痛いからといってずっと安静にしていると、関節周囲の組織が癒着して動きが悪くなる恐れがあります。

リハビリでは、まずは理学療法士のサポートを受けながら腕を他動的に動かすことからはじめます。自分で肩を動かせるようになったら、以下のようなストレッチを行うとよいでしょう。

  • • 肩の上げ下げ
  • • 肩回し
  • • 肩の前後の運動

痛みの出ない範囲で肩を動かし、徐々に関節の動きを改善することが大切です。

肩に負担をかけないための動作指導

リハビリでは運動だけでなく、日常生活で肩に負担をかけないための動作指導も重要です。普段の動作で腱板に負担をかけていると、治りを遅くしてしまうだけでなく、再発のリスクも高まります。それを防ぐためには、以下のような動作指導によって腱板に過度なストレスがかかる動きを避ける必要があります。

  • • 重い荷物を片手で持ち上げない
  • • 腕を高く上げ続けて作業しない
  • • 腕を背中に回す動作を避ける
  • • 寝るときに肩の下にタオルやクッションを入れる

手術後のリハビリ

手術後のリハビリは、保存療法で行う内容と大きく変わるわけではありません。しかし、手術で修復した腱板を保護する必要があるため、より慎重に段階を踏んでリハビリを進める必要があります。ここでは、手術後の状態に応じたリハビリ内容について見ていきましょう。

手術直後は肩の固定と他動運動が中心

腱板損傷の手術直後は、修復した腱板を保護することが最優先となります。そのため装具で肩を固定して、なるべく安静を保つ必要があります。関節可動域訓練では、保存療法のときと同じように他動運動からはじめるのが基本です。また、固定している肩以外の肘や手首、指などは積極的に動かし、身体機能の低下を予防します。

痛みが落ち着いた時期から筋トレを開始

手術から一定期間が経過し、痛みが落ち着いてきたら筋力トレーニングを開始します。まずは自分の力で腕を動かす運動からはじめ、徐々に負荷をかけたトレーニングへと移行します。

長期間の固定によって肩まわりの筋肉は衰えやすくなるため、筋力を回復させて肩関節の安定性を取り戻すことが、この時期のリハビリの目的です。こちらも保存療法のときと同様に、インナーマッスルを中心としたトレーニングの実施が重要です。

腱板損傷のリハビリを行う際の注意点

腱板損傷のリハビリを行う際の注意点

リハビリを進めるうえでの注意点は、肩に無理な負担をかけないようにすることです。損傷直後、または手術直後の腱板は非常にデリケートな状態にあります。そのため、無理に肩を動かすことは避ける必要があります。

デリケートな時期に肩を大きく動かすと、腱板が余計に傷つき、炎症の悪化や再断裂を起こすリスクが高まります。リハビリをする際はこれらの注意点を意識し、焦らず段階的に進めていくことが重要です。

腱板損傷のリハビリ内容をおさえておこう

腱板損傷は肩のインナーマッスル(腱板)が損傷した状態で、治療では保存療法または手術が行われます。どちらの治療でも、低下した機能を改善させるためにはリハビリが欠かせません。
おもなリハビリとしては、筋トレや関節可動域訓練、動作指導などがあげられます。ぜひ今回の記事を参考にして、腱板損傷に対するリハビリ内容についておさえておきましょう。

参考

霞ヶ浦医療センター|腱板断裂(けんばんだんれつ)
日本整形外科学会|肩腱板断裂

【監修者コメント】
腱板損傷は肩関節障害のなかでも頻度の高い疾患であり、加齢性変化や反復動作、外傷など複数の要因が関与して発症します。治療では保存療法が選択されることも多く、疼痛の軽減とともに肩関節機能の改善を目的としたリハビリテーションが重要となります。リハビリでは腱板筋群の機能回復に加え、肩甲骨周囲筋の活動や肩甲胸郭リズムを考慮した介入が、肩関節への力学的負担の軽減につながるとされています。また、術後症例では修復腱板へのストレス管理を行いながら、可動域訓練から筋力訓練へと段階的に進めることが重要です。臨床では症状や損傷の程度に応じて適切な評価と介入を行うことが求められます。
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