モートン病のリハビリ内容は?病態や生活上で注意すべきポイントも解説
公開日:2026.07.27

文:内藤 かいせい(理学療法士)
足部の疾患であるモートン病はどのような症状が現れるのか、どんなリハビリをすべきなのか知りたいかたもいるのではないでしょうか。この疾患に対しては足部のアプローチだけでなく、歩行や日常生活での指導も重要です。
本記事では、モートン病の病態や具体的なリハビリ内容をご紹介します。疾患に対する知識を深めることで、どのようなリハビリをすべきかが明確となるでしょう。
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モートン病とは

モートン病とは、足の裏を走る神経が圧迫されることで、さまざまな症状が現れる疾患です。ここでは、モートン病の具体的な症状と原因について詳しく解説します。
モートン病の症状
モートン病の代表的な症状は、足の指の間に生じる痛みやしびれです。中指と薬指の間(第3・4足趾間)に現れることが多く、次いで人さし指と中指の間(第2・3足趾間)、薬指と小指の間(第4・5足趾間)にみられます。
見た目に変化はないものの、症状が進行すると、足趾が焼けるような痛みや、ビリビリとした痛みを伴うこともあります。これらの痛みは、以下の状況で強くなる傾向があります。
- ● 歩行時
- ● 走っている時
- ● つま先立ちをした時
一方で、安静時には痛みがやわらぎ、症状が落ち着くのも特徴です。
モートン病の原因
モートン病が発症する主な原因は、足の指の付け根に向かう神経が圧迫されることです。中足骨(足趾の付け根の骨)をつなぐ靭帯と地面との間で神経が挟み込まれ、繰り返し圧迫を受けることで障害が引き起こされるのです。神経の圧迫を引き起こす要因として、以下があげられます。
- ● 靴の選び方
- ● 長時間のつま先立ち
- ● 長時間の中腰の作業
- ● スポーツ
ハイヒールのようなつま先が細くなっている靴を日常的に履いていると、足の前側に体重が集中しやすくなり、神経が圧迫されやすくなります。また、つま先や中腰などの前足部への負担が大きい動作を長時間続けることも、中足骨に過度な負担をかける要因の1つです。
モートン病の治療法

モートン病を発症した際、どのような治療が行われるのでしょうか。ここでは、発症後のおもな治療法について解説します。
保存療法
モートン病と診断された場合、まずは保存療法からはじめるのが基本です。保存療法によって足への負担を減らすことで、症状の改善が期待できます。
具体的な治療法としては、初期段階では安静を保ち、必要に応じて鎮痛剤などで痛みをコントロールします。痛みが落ち着いたタイミングでリハビリを開始し、身体機能の改善と再発予防を目指します。
手術療法
保存療法を続けても痛みが十分に改善しない場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合は、医師と相談のうえで手術を検討することがあります。
手術の方法としては、「神経剥離術」や「神経腫摘出術」などが行われます。
神経剥離術とは、神経を圧迫している靭帯を切除して除圧する手術です。神経腫摘出術とは、痛みの原因となっている腫れた神経(神経腫)を切り取る手術です。これらの手術は、足の状態や医師の判断によって適切な内容が選ばれます。
モートン病に対するリハビリ内容

モートン病に対して行われるリハビリとして、以下があげられます。
- ● 足部の筋力トレーニング
- ● 足部のマッサージ
- ● 歩行改善
- ● インソール・足底板の活用
- ● 靴の選定
ここでは、それぞれのリハビリ内容について詳しくみていきましょう。
足部の筋力トレーニング
モートン病のリハビリとしてあげられるのが、足の指や裏側の筋肉を鍛えるトレーニングです。足の筋力が低下すると土踏まずをはじめとしたアーチが崩れて、神経が圧迫されやすくなります。
筋トレによって足部の筋肉を鍛えるとともに、血流を促進させてむくみの解消効果も期待できます。具体的なトレーニング方法は、以下のとおりです。
- 1. イスに座り、床に敷いたフェースタオルの端に足を乗せる
- 2.かかとを床につけたまま、足の指でタオルを手繰り寄せる
- 3.最後まで手繰り寄せたらタオルを整え、繰り返す
- 4. インソール・足底板の活用
- 1. 足の指を大きく広げる
- 2. 足の指の間を閉じる
- 3. 親指を曲げ、そのほかの指を伸ばす
- 4. 親指を伸ばし、そのほかの指を曲げる
- 5. それぞれの運動を繰り返す
足部のマッサージ
硬くなった足部の筋肉をほぐすために、マッサージを行います。筋肉の柔軟性を高めることで、足全体への負担軽減につながります。具体的な方法としては、まず足の指の間を広げるマッサージからはじめましょう。足の指の間を広げたり前後に動かしたりして、筋肉の緊張をほぐします。
ゴルフボールやテニスボールを床に置き、足の裏でコロコロと転がす方法も手軽でおすすめです。ただし、炎症が強い時期や触ると痛みが出るような時はマッサージを控えましょう。
歩行改善
根本的な症状の改善を目指すためには、歩き方の癖を見直して歩行改善に努めることも重要です。足に余計な負担がかかる歩き方をしていると、指の付け根への衝撃が強くなり神経を圧迫しやすくなります。理想的な歩き方は、以下のとおりです。
- 1. 背筋を伸ばして目線を上げる
- 2. かかとから着地する
- 3. 足の裏全体を使ってスムーズに体重を移動させる
まずは歩行を観察して問題となる部分を見つけ、正しいフォームで歩けるように指導しましょう。
インソール・足底板の活用
足にかかる負担を減らすためには、インソールや足底板を活用することも大切です。足のアーチ構造が崩れると神経が圧迫されやすくなり、症状の悪化につながります。そのため、インソールを用いて足部にかかる負担の偏りを調整し、神経への圧迫が生じにくい状態を目指します。
例として、パッドを中足骨の痛みがある部分の近くに入れて横アーチの形成を図る方法が挙げられます。市販されているインソールで対応できない場合は、オーダーメイドの製品を利用することも検討してみましょう。
靴の選定
毎日履いている靴の選び方も見直してみましょう。足に合わない靴を履き続けていると、慢性的にモートン病の症状が現れる恐れがあります。避けるべき靴は、以下のとおりです。
- ● ハイヒール
- ● パンプス
- ● つま先が細くとがった革靴
- ● サイズが大きい靴
これらはつま先に負担がかかりやすく、神経の圧迫を強めてしまいます。また、サイズが大きすぎると靴のなかで足が前後に滑り、指先が先端にぶつかる原因となります。靴を選ぶ際はつま先にゆとりがあり、適度な厚みとクッション性があるものがおすすめです。
モートン病の方が避けるべきこと

症状の悪化を防ぐため、可能な範囲で以下の点に注意しましょう。
- ● 長時間の立ちっぱなし
- ● つま先を立てる
- ● 室内で素足で歩く
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
長時間の立ちっぱなし
モートン病の痛みを悪化させないためには、長時間立ったままの状態は避けましょう。立っている時間が長いほど足に負担がかかり、神経が圧迫されやすくなります。
立つ作業をする際はこまめに座って休憩し、足の負担軽減を図りましょう。どうしても長時間立つ必要がある場合は、足踏みをする、背中を壁に寄りかけて重心を後ろにするなどの工夫をしてみてください。
つま先を立てる
日常生活で、つま先立ちをする動作はできるだけ避けましょう。先述したように、つま先立ちは中足骨に体重がかかって神経を圧迫する原因となります。
つま先立ちをする場面として、高い棚にある荷物を取る、洗濯物を干す際に背伸びをするなどの動作があげられます。このような動作をする際は、踏み台や脚立を使うなどの工夫をするとよいでしょう。
室内で素足で歩く
家の中では、可能であれば素足での歩行を控え、足への衝撃を和らげる工夫をしましょう。特にフローリングの床は材質が固く、衝撃が足部に伝わりやすいです。その結果神経が圧迫されやすくなり、症状の悪化につながる恐れがあります。
これを防ぐために、室内ではクッション性の高いスリッパやルームシューズを履くことをすすめましょう。
モートン病の病態やリハビリ内容をおさえておこう
モートン病は足部の神経が圧迫されることで生じる疾患で、痛みやしびれなどの症状が現れます。モートン病のリハビリでは、筋トレやマッサージだけでなく、歩行改善やインソールなどによって足部の負担を軽減することが重要です。
また症状を悪化させないためには、生活では長時間の立ちっぱなしやつま先立ちを避けることもポイントです。ぜひ今回の記事を参考にして、モートン病のリハビリ内容についておさえておきましょう。
参考
日本整形外科学会|モートン病
日本臨床整形外科学会|モートン病
畑中敬之ほか. 整形外科と災害外科. 2023, 72(3), p.492-494.
モートン病は、足の指の付け根にある神経が繰り返し圧迫されることで痛みやしびれが生じる疾患です。症状の改善には、足部への負担を減らすことが重要であり、筋力トレーニングやストレッチ、歩き方の見直しなどのリハビリが役立ちます。また、インソールの活用や靴の選び方など、日常生活での工夫も症状の軽減につながります。無理をせず、足への負担を減らす生活習慣を心がけることが大切です。
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