股関節手術後の自宅リハビリ|おすすめメニューと実施中の注意点を解説
公開日:2026.08.16

文:内藤 かいせい(理学療法士)
股関節の手術後に退院する患者さんに対して、自宅でどのようなリハビリを提案すべきか知りたい方はいませんか。身体機能を維持するためには、入院中だけでなく退院後もリハビリを継続することが大切です。
この記事では、股関節手術後に退院する患者さんに提案すべきリハビリやサービス内容をご紹介します。具体的なリハビリメニューを伝えることで、退院後の安全な生活につながるでしょう。
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目次
股関節の手術後に自宅でリハビリをする重要性

股関節の手術を受けた後、病院では毎日のようにリハビリが行われます。しかし、退院して自宅に戻ると、入院している時期よりもリハビリをする機会が減り、活動量が低下しがちです。活動量が低下するとリハビリでよくなった身体機能が衰えやすくなり、転倒やケガのリスクが高まる原因となります。
自宅で安全に生活を送るためには、退院後も自宅でリハビリを継続して身体機能を維持することが大切です。「退院したから終わり」ではなく、今後の生活を豊かにするための習慣として、「退院したから終わり」ではなく、今後の生活を豊かにするための習慣として、リハビリを続けていくことが大切です。なお、股関節の手術内容(人工股関節置換術や骨折手術など)や術後の経過によって、実施できる運動や注意点は異なります。実際の指導は主治医の安静度指示にしたがって行いましょう。
股関節手術後に自宅で行えるリハビリ内容
股関節の手術後に自宅で気軽に行えるリハビリとして、以下があげられます。
- • 筋力トレーニング
- • ストレッチ
- • ウォーキング
ここでは、それぞれのリハビリ内容について詳しく解説します。
筋力トレーニング
行うべきリハビリの一つとして、股関節中心の筋トレがあげられます。筋トレによって股関節周囲の筋力を維持・改善することで、関節の負担を減らしスムーズな動作につながります。自宅でできるおすすめの筋トレは、以下のとおりです。回数やセット数はあくまで目安であり、痛みが出ない範囲で調整することが大切です。運動中や翌日に痛みが強くなる場合は、回数や負荷を減らしましょう。
- 1. 立った状態で両足を肩幅程度に開く
- 2. 身体をまっすぐにしながら膝と股関節を曲げる
- 3. 膝がつま先よりも前に出ないように曲げる
- 4. 90度ほど膝を曲げたらもとに戻る
- 5. 2〜4の手順を20回×2〜3セットを目安に行う
- 1. あおむけになって両膝を立てる
- 2. お尻に力を入れながら持ち上げる
- 3. 無理のない範囲までお尻を持ち上げたらもとに戻る
- 4. 2〜3の手順を15回×2〜3セットを目安に行う
- 1. 横向きに寝る
- 2. 下側の膝を曲げて上側の足をまっすぐにする
- 3. 上側の足を真上に上げる
- 4. 無理のない範囲まで上げたらもとに戻る
- 5. 3〜4の手順を10回×2〜3セットを目安に行う
ストレッチ
筋トレとあわせて、筋肉を柔らかくするストレッチも行いましょう。筋肉が硬くなると股関節の動きが悪くなり、日常動作に支障をきたす恐れがあるため、柔軟性を保つことが大切です。自宅でできるおすすめのストレッチ方法は、以下のとおりです。
- 1. うつぶせの状態になる
- 2. 片方の膝を曲げて、手でその足を持つ
- 3. 手で持った足をお尻に近づける
- 4. できるだけお尻に近づけた状態を20秒ほどキープする
- 5. 反対側の足で行う
- 1. 床に座り、片方の膝を伸ばす
- 2. 伸ばした側の膝に向かって身体を傾ける
- 3. できるだけ傾けた状態を20秒ほどキープする
- 4. 反対側の足で行う
- 1. あおむけになる
- 2. 片方の膝を曲げて、手で膝裏を抱えるように持つ
- 3. 膝をできるだけ胸に近づけた状態を20秒ほどキープする
- 4. 反対側の足で行う
- 1. 立った状態で片足を前に出する
- 2. 前に出した膝を曲げ、後ろ側の膝を伸ばす
- 3. 重心を前に移動し、後ろ側の足の下腿三頭筋を伸ばす
- 4. できるだけ伸ばした状態を20秒ほどキープする
- 5. 反対側の足で行う
ウォーキング
股関節の機能維持では、有酸素運動であるウォーキングもおすすめです。ウォーキングは心肺機能を高めつつ、足腰の筋力維持につながる運動です。ウォーキングをはじめる際は、まずは10〜15分程度の短い時間からスタートしましょう。慣れてきたら時間を延 ばしたり、坂道を歩いたりすると、有酸素運動の効果が更に高まります。
また、ジムを利用予定のかたは、プールでの水中ウォーキングもよいでしょう。浮力によって股関節の負担を減らしつつ、水の抵抗があるのでさまざまな筋肉を鍛えられます。ウォーキングでは痛みが出ない範囲で行い、正しい姿勢を意識することが大切です。
股関節の手術後のリハビリや生活で注意すべきポイント

股関節の手術後の方がリハビリや生活で注意すべきポイントとして、おもに以下があげられます。
- • 脱臼肢位に注意する
- • 痛みが強い場合は無理をしない
- • 必要に応じて住宅改修を提案する
ここでは、それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。
脱臼肢位に注意する
股関節の「人工股関節置換術」の手術を受けたかたの場合、脱臼肢位に十分注意しましょう。人工関節は構造上、特定の角度や方向に強い力が加わると脱臼するリスクがあります。脱臼しやすい姿勢は後方アプローチや前方アプローチなど、手術の方法によって異なりますが、一般的には以下のような動作が危険です。
- • 股関節を深く曲げる
- • 股関節を屈曲・内転・内旋する(後方アプローチの場合)
- • 股関節を伸展・内転・外旋する(前方アプローチの場合)
具体的には、深くしゃがむ、低い椅子に座るといった動作が挙げられます。これらの動作を無意識に行わないように、常に意識を向けることが大切です。
痛みが強い場合は無理をしない
リハビリ中に痛みが強くなる場合は、無理をせずに休憩をしましょう。過度な運動は炎症を悪化させ、痛みを長引かせる原因となります。特に注意したいのは、長時間歩いた後や、慣れない運動をした翌日などです。
我慢して動くと反対側の足や膝に負担をかけてしまい、別の場所を痛めることも少なくありません。数日休んでも痛みが引かない、または次第に強くなる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
必要に応じて住宅改修を提案する
安全に生活を送るためには、リハビリの実施だけでなく住宅環境を見直すこともあるでしょう。住宅環境によっては股関節に負担をかけることが多くなり、痛みや転倒の原因となります。
たとえば、自宅が和式トイレの場合は、状況に応じて洋式トイレへの変更や、立ち上がりを補助する手すりの設置を検討するとよいでしょう。お風呂場では、低い椅子ではなく座面の高いシャワーチェアを使うと股関節への負担を減らせるでしょう。
住宅環境に不安点がある場合は、患者さんの家族やケアマネジャーと相談し、住宅改修の提案をしてみてください。
退院後におすすめしたいリハビリサービス

退院後、自宅でのトレーニングだけでなく本格的なリハビリを希望する患者さんもいるでしょう。その際に、おすすめしたい退院後のリハビリサービスについてご紹介します。
訪問リハビリ
訪問リハビリは、理学療法士や作業療法士が直接自宅に伺い、リハビリを受けられるサービスです。外出せずに自宅でリハビリを受けられるので、利用者の移動負担が少ないのがメリットです。更に自宅環境でリハビリを行えるので、ADLの改善に直結しやすいのも強みといえます。
「自宅でリハビリを受けたい」「外出したくない(できない)」などの希望があるかたは、ぜひ訪問リハビリを提案してみましょう。
通所リハビリ(デイケア)
通所リハビリとは、病院や介護老人保健施設などに通ってリハビリを受けるサービスです。通所リハビリは医師が配置されている施設で行われるため、医療的な管理のもとでリハビリができる点がメリットです。専用のトレーニングマシンや平行棒などの設備も充実しており、自宅ではできないようなリハビリも行えます。
また、自宅から施設までの送迎があることが多いため、移動手段がないかたや、家族の協力が難しい場合でも安心して利用できます。ほかの利用者さんと交流することで、コミュニケーションの機会が生まれて気分転換にもなるでしょう。
「しっかりとした環境で運動したい」「外出する機会を作りたい」というかたには、デイケアが適しています。
リハビリ特化型デイサービス
リハビリ特化型デイサービスは、機能訓練(リハビリ)に重点を置いたデイサービスです。一般的なデイサービスでは、以下のようなサービスを受けて1日を過ごしますが、リハビリ特化型では運動が中心となります。
- • 食事
- • 入浴
- • レクリエーション
専用のマシンや個別の運動を行い、身体機能の維持・改善を図ります。また、多くの施設では午前または午後の半日型を採用しており、食事や入浴のサービスがないのが特徴です。「短時間のサービスを利用したい」「運動だけしたい」というかたにはおすすめのサービスといえるでしょう。
股関節の手術後は自宅でのリハビリの継続が重要
股関節の手術をして退院した後は、身体機能を維持するために自宅でのリハビリが重要です。自宅では筋トレやストレッチなど、気軽に行えるリハビリが多くあります。
自主トレをする際は、脱臼肢位や痛みに十分注意しつつ、習慣にすることが大切です。更にリハビリを行いたい患者さんの場合、訪問リハビリや通所リハビリなどのサービスを提案してみましょう。
参考
股関節の手術後は、退院してからの過ごし方がその後の回復に大きく影響します。本記事では、自宅で取り組みやすいリハビリの方法や生活上の注意点が分かりやすく整理されており、退院後の生活をイメージしやすい内容となっています。
一方で、股関節の手術にはさまざまな種類があり、術式や回復の段階によって適切な運動内容や注意点は異なります。運動は無理のない範囲で行い、痛みや違和感がある場合は調整することが大切です。また、主治医の安静度指示を確認しながら進めることで、より安全にリハビリを進めることができます。
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