膝が痛い時にやってはいけないことは?膝の痛みの原因やおすすめの対処法を解説
公開日:2026.08.15

文:内藤 かいせい(理学療法士)
膝の痛みが生じているときに、やってはいけないことについて知りたい方はいませんか。痛みがある状態で負担の大きい動作を行うと、症状が悪化する可能性があります。
今回の記事では、膝の痛みがあるときに避けるべきことや、対処法をご紹介します。
痛みを避ける方法を知ることで、受診時の相談やセルフケアの判断に役立てられるでしょう。
おすすめ特集
膝が痛い時にやってはいけないことは?
膝が痛い時にやってはいけないことには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは具体的な内容をご紹介します。
膝を大きく曲げる動作
膝を大きく曲げる動作は、関節に過度な負担をかけ、痛みを悪化させる恐れがあります。
特に日本の生活様式では、正座やしゃがみ込みなど、膝を深く曲げる場面が多くあります。
膝を大きく曲げる動作を繰り返し行うことで、後述する疾患の発症につながることもあるでしょう。
激しい運動
激しい運動も膝関節に大きな負担をかけ、痛みを悪化させる原因です。ジャンプやランニングなどの衝撃の強い運動を行うと、関節の組織を更に痛める可能性があります。
これは高齢者だけでなく、若い方にとっても注意が必要です。
身体が丈夫でも、過度な運動を続けるとオーバーワークによって膝の怪我につながる恐れがあります。
重い物を持った状態での移動
重い物を持った状態で移動すると、膝関節への負担が増加し、痛みを悪化させてしまいます。これは、仕事で重いものをよく持つかたにみられる問題といえます。
重い物を持つことは膝の負担増加だけでなく、腰痛を発症する原因にもなるでしょう。膝の負担を軽減するためには、カートや台車を利用する、多人数で持ち上げるなどの工夫が必要です。
階段の上り下りの繰り返し
階段の上り下りは、膝に大きな負荷をかける動作です。膝に痛みがある状態でこの動作を繰り返すと、症状が悪化する恐れがあります。
日常生活で階段の使用を完全に避けることは難しいかもしれませんが、可能な限り回数を減らす工夫が大切です。エレベーターやエスカレーターが利用できる場所では、それらを積極的に活用しましょう。
膝が痛む原因

膝が痛む原因として、なにかしらの疾患を発症している可能性があります。ここでは、代表的な疾患をご紹介します。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、膝の軟骨がすり減っている状態のことです。
膝の軟骨には、関節の動きをスムーズにする、衝撃を吸収するなどの機能があります。軟骨がすり減ることで本来の機能が低下し、痛みや関節の変形などの症状が現れやすくなるのです。
発症初期では立ち上がりや歩きはじめなど、動作の開始時に痛みを感じやすくなります。
症状が進行すると膝の変形が強くなり、正座や階段の昇降が困難になり、更に安静時にも痛みが続くようになります。
この疾患の原因として、肥満、加齢、過去に生じた膝の怪我、膝に負担をかける生活習慣などが挙げられます。
半月板損傷
半月板(はんげつばん)損傷とは、膝関節内にある半月板が損傷した状態のことです。
半月板は膝関節内にある半月型をした組織で、内側と外側にそれぞれ1つずつあります。
半月板には体重の負荷を分散させる機能や、関節の位置を安定させる機能があります。半月板損傷の症状は、以下のとおりです。
- • 膝の痛み
- • 膝関節の腫れ
- • 関節の引っかかり感
- • 膝の曲げ伸ばしの困難さ(ロッキング)
この疾患はサッカーやバスケットボールなど、膝に負担がかかるスポーツがきっかけで発症することがあります。
膝靭帯損傷
膝靭帯損傷とは、膝の動きを安定させる役割のある靭帯が損傷する疾患です。膝関節には、以下のような靭帯がついています。
- • 前十字(ぜんじゅうじ)靭帯
- • 後十字(こうじゅうじ)靭帯
- • 内側側副(ないそくそくふく)靭帯
- • 外側側副(がいそくそくふく)靭帯
前・後十字靭帯は関節内についている靭帯で、膝の前後の動きを制御しています。
内側・外側側副靭帯は膝の左右についている靭帯で、側方へのグラつきを防ぐ役割があるのです。
これらの靭帯が損傷することで、痛みだけでなく関節の不安定性が現れる原因となります。
膝靭帯損傷の原因は、スポーツ外傷や交通事故などで膝に大きな力が加わることです。靭帯が損傷した状態を放置すると、膝にかかる負担が増えて、半月板損傷や変形性膝関節症につながる恐れもあります。
膝が痛い場合の対処法

膝の痛みが出ている場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。ここでは、具体的な対処法をご紹介します。
安静にする
外傷や過度な運動によって膝の痛みが出ている場合、まずは安静にすることが大切です。膝が痛みはじめた時期は、関節内で炎症が起きている可能性があります。
このような状態で無理に膝を動かすと、症状を悪化させる恐れがあります。安静にしつつ、腫れがみられる場合はアイシングを行うこともおすすめです。しかし、長期間または過度なアイシングは組織の回復を遅らせてしまうかもしれません。痛みの初期段階に短い時間で実施するとよいでしょう。
ただし、長時間の安静は筋力低下を招く可能性があるため、痛みがやわらいできたら徐々に動かしはじめることが重要です。
適度に運動をする
膝の痛みが落ち着いたタイミングで、適度な運動を習慣にしましょう。長期間の安静は筋肉が衰え、かえって膝への負担が増して痛みが悪化する原因となります。
運動で膝まわりの筋肉を強化すれば、関節の安定性が高まって痛みの軽減が期待できます。
おすすめの運動としては、脚上げ体操や膝伸ばしなどの軽めの筋トレ、ウォーキングをはじめとした有酸素運動です。いずれも無理のない範囲で習慣にしてみましょう。
自宅環境を整える
自宅環境を整えることも、膝の痛みの改善や悪化防止につながります。特に和式の生活様式だと膝を深く曲げる動作が多くなりがちなので、環境の見直しが重要です。
環境調整の例としては、床での生活からイスとテーブルを使った洋式の生活様式への変更です。適度な高さのイスを選ぶことで、立ち上がる際の膝への負担を軽減できます。
また、自宅に階段がある場合は手すりを設置する、段差の多い住環境ではスロープを設置するなどの工夫も考えられます。
このような環境整備で膝の負担を減らせば、痛みの軽減や悪化防止につながるでしょう。
医療機関を受診する
上記の対処をしても膝の痛みが改善しない、または悪化している場合は、整形外科のある医療機関の受診を検討しましょう。
この場合、なにかしらの疾患を発症している恐れがあります。
受診時はいつから痛みが出たのか、どのような動作で痛みが強くなるのかなど、症状について詳しく伝えることが重要です。
早期から適切な治療を受けることで、膝の痛みの改善が期待できるでしょう。症状が気になる場合は、早めの受診を検討してください。
膝の痛みに関するよくある質問
膝に痛みがあるのですが、どのようなことが原因として考えられますか?
膝の痛みの原因として考えられるのはおもに以下の3つです。
- • 変形性膝関節症
- • 半月板損傷(内側・外側)
- • 靭帯損傷(前十字・後十字・内側・外側)
他にも、鵞足炎、腸脛靭帯炎、膝蓋腱炎、膝離断性骨軟骨炎、オスグッド病、膝蓋骨脱臼などの疾患で痛む場合もあります。明らかな誘因の有無、年齢、生活習慣、スポーツ活動などによっても原因は異なります。
膝の痛む場所はさまざまですが、場所によって原因は違うのでしょうか?
痛む場所が内側、外側、前面、後面かによって原因や損傷している組織が異なります。
- • 内側:鵞足炎・内側半月板損傷・内側側副靭帯損傷・(変形性膝関節症)
- • 外側:腸脛靭帯炎・外側半月板損傷・外側側副靭帯損傷
- • 前面:膝蓋腱炎・オスグッド病
- • 後面:後十字靭帯損傷
一般的に頻度の多い変形性膝関節症は、内側に痛みがでることが多いですが、全体的にこわばりや痛みを感じる場合もあります。
膝が痛い時は、どうすればよいのでしょうか?自分でできる対処法などはありますか?
まずは安静にして膝の負担を減らしましょう。痛みはじめた時期は関節内で炎症が生じている場合が多く、無理に動かすと悪化する可能性があります。熱を持って腫れている場合は、アイシングもおすすめです。
また、長期間の安静は膝の筋力が低下してしまうので、痛みが落ち着いてきたら軽めのウォーキングや膝伸ばしの体操を徐々にはじめるとよいでしょう。それでも痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
膝が痛い時にやってはいけないこと、気を付けることはありますか?
膝に過度な負担がかかる動作はしないようにしましょう。とくに正座やしゃがみ込み、激しい運動、階段上り下りの繰り返しなどは、膝の負担を強め、痛みを悪化させる可能性があります。膝の痛みが強まるような動きを避けることが重要です。
膝の痛みが続いているのですが、病院を受診した方がよい目安はありますか?
痛みが改善しない、悪化している場合は病院を受診するようにしましょう。また、以下のような症状がある場合は早期の受診が必要です。
- • 激しい痛みがある
- • 衝突や転倒などの強い外力が加わって痛めた
- • 膝を曲げ伸ばしできない
- • 熱を持って腫れている
受診は、整形外科クリニック、または診療科目に整形外科のある病院に行きましょう。
膝が痛い時にやってはいけないことを知っておこう
膝に痛みが出ている場合は、関節を大きく曲げる、激しい運動をするなどの行動は避けましょう。
また膝の痛みの原因として、変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患が関係している可能性があります。
膝の痛みを軽減させるためには、定期的な運動や環境整備が重要です。それでも痛みが続く場合は、医療機関を受診して適切な治療を受けることをおすすめします。
他の記事も読む
- 【全身ストレッチの基本】毎日続けたいストレッチ5選
- 胸郭出口症候群に対するリハビリ内容は?症状や原因、介入時のポイントを解説
- 呼吸リハビリテーションとは?理学療法士が担う役割と実践ポイントをわかりやすく解説
- 多系統萎縮症のリハビリ方法とは?おもな症状やリハビリ中のポイントを解説
- 股関節手術後の自宅リハビリ|おすすめメニューと実施中の注意点を解説
- 肩甲骨はがしのやり方には要注意!誤った方法での危険性や安全に行うコツを解説
- 腹筋の正しい筋トレ法は?トレーニング方法と鍛えるポイントを解説!
- 社会人でも働きながら理学療法士を目指せる?資格取得のルートを解説
- その背中の痛みは「ぎっくり背中」かも?発症原因や改善方法をご紹介
- 失語症のリハビリ方法は?失語の種類・症状やリハビリ中のポイントを解説
- 肩腱板損傷のリハビリの流れや具体的な内容、注意点をご紹介
- 感覚障害のリハビリ方法|疾患別の特徴やリハビリの種類、実施時の注意点をご紹介
- 化膿性脊椎炎のリハビリの禁忌事項は?症状悪化予防のポイントも解説
- 頚髄症に対するリハビリ内容は?症状・原因や生活上の注意点も解説
- 痙縮に対するリハビリ内容は?メカニズムや拘縮・麻痺などの違いを解説
- モートン病のリハビリ内容は?病態や生活上で注意すべきポイントも解説
- 作業療法士(OT)の資格取得は難しい?国家試験の難易度から合格までの道のりを解説
- 間質性肺炎のリハビリは?症状・原因やリハビリ時の注意点も解説
- 運動失調に対するリハビリは?失調の種類や特徴、リハビリ中の注意点を解説
- リハビリケア専門士とは?取得までの流れやメリットをご紹介





