【全身ストレッチの基本】毎日続けたいストレッチ5選
公開日:2026.08.18

文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
「体がカチカチ」「体が冷えやすく重だるい」というお悩みはないでしょうか。全身の筋肉が硬くなると、血流が悪化し不調に繋がったり、姿勢が悪化し肩こりや頭痛を引き起こしたりする可能性があります。そのため、座っている時間が長く体が硬くなっているという方は、週に1回まとめるよりも、毎日少しずつでも良いのでストレッチを取り入れることがおすすめです。
本記事では、基本の全身ストレッチを紹介します。体が硬い方や初心者の方向けのストレッチも紹介していますので、ご自身のペースに合わせてお試しください。日々のセルフケアの参考になれば幸いです。
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ストレッチの効果
ストレッチには、ただ筋肉を伸ばすだけでなく、私たちの体と心にさまざまな良い影響を与えます。毎日数分でもストレッチを続けることで、柔軟性の向上はもちろん、血流の促進やリラックス効果、運動前のケガ予防など、多くのメリットが期待できるのです。
ここでは、ストレッチによって得られる主な効果について、科学的な根拠も交えながらわかりやすくご紹介します。
柔軟性の向上
ストレッチを習慣にすることで、筋肉や腱がやわらかくなり、可動域が広がります。特に、デスクワークや運動不足で体が硬くなっている方には、ストレッチによる柔軟性の改善が効果的です。
実際に、週に数回、静的ストレッチ(じっと伸ばしてキープするストレッチ)を行った人は、太ももの裏の筋肉であるハムストリングスの柔軟性が明らかに改善したという研究結果も報告されています。最初の5〜10秒は準備時間なので、その後もゆっくり続けて、合計20秒以上にするのがポイントです。
柔軟性が高まると、日常の動作がスムーズになり、ちょっとした動きで筋肉を痛めるリスクも減ります。また、姿勢の改善にもつながるため、腰痛や肩こりの予防にも効果があると言われているのです。
リラクセーション 効果
ストレッチはただ筋肉を伸ばすだけでなく、心を落ち着けるリラックス効果も持っています。特に、呼吸に合わせてゆっくりと動くストレッチは、自律神経のバランスを整える効果があるとされています。
たとえば後ほど紹介するヨガのポーズの一つであるキャットアンドカウのように、呼吸と動きを連動させるストレッチでは、副交感神経(リラックスモードの際に優位に働く神経)が優位になり、ストレスや緊張を和らげてくれるのです2)。
筋温の上昇
ストレッチは、ウォーミングアップとしても非常に重要です。筋肉を動かすことで血流が促進され、筋肉の温度が上がっていきます。筋温が高くなると、筋肉が柔らかくなり、パフォーマンスが向上するだけでなく、ケガの予防にもつながります。
ある研究では、ストレッチを行った後には皮膚表面の温度が上昇し、それに伴い深部の筋肉の温度も上がることが確認されています6)7)。このように、ストレッチによる筋温上昇は、スポーツ前の体づくりにも非常に効果的なのです。
特に運動前は、じわっと伸ばす静的ストレッチではなく、関節を動かしながらストレッチをする動的ストレッチが推奨されています。
毎日続けたい基本のストレッチ5選
安全かつ効果的に継続できる基本のストレッチを5つピックアップして紹介します。ご紹介するストレッチは日常生活や筋トレの前後にも気軽に取り入れられます。厚生労働省も「+10(プラステン)」として、いまより10分多く体を動かすことを推奨しています。テレビを見ながらなど、まずは「ながらストレッチ」から始めてみましょう。
運動に慣れていない方や体が硬くて行えない方のために、初心者でも行えるストレッチを次に載せています。もしここで紹介したストレッチが難しい方は、次の項目で紹介している「体が硬い人や初心者向けメニュー」をご覧ください。
マーメイド
体側と股関節のストレッチです。デスクワークで硬くなりやすい胸郭や肩周りを動かしやすくすることが期待できます。呼吸がしやすくなることで、リラックスにつながる場合もあります。
- 1.横座りになりましょう。写真のように、右足は「後ろ」に折り曲げて、左足は「前」に折り曲げます。

- 2.右手を上げ、体を左へ倒します。おなかを潰さず、縦に伸びる意識で。

- 3.ゆっくり元に戻ります。
- 4.今度は左手を上げ、体を右へ倒します。
- 5.ゆっくり元に戻りましょう。
キャットアンドカウ
呼吸に合わせて背骨と骨盤を動かすストレッチです。自律神経のバランスを整え、体幹を使いやすくする効果が期待できます。ストレッチ中は血圧上昇を防ぎ、リラックス効果を高めるために、呼吸は止めないようにしましょう。息を吸いながら反らし、吐きながら丸めるなど、自然で深い呼吸を繰り返します。
- 1.四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにセットします。

- 2.キャット(猫のポーズ):背骨を丸める。お尻の穴を下に向けるイメージで、腰→鳩尾の順に背骨をゆっくり丸めていきます。

- 3.カウ(牛のポーズ):背骨を反らす。お尻の穴を上に向けるイメージで、胸を上に引き上げるように背骨を反らします。

- 4.しっかりと呼吸にも意識を向けていきましょう。息を吸いながら反らし、吐きながら丸めていきます。
ダウンドッグ
ヨガのポーズの一つで、腿裏やふくらはぎのストレッチ、姿勢づくりのサポートなどが期待できます。完全な形をとろうとすると最初は難しいポーズです。そのため、まずは膝が曲がっても良いので、股関節から折り曲げて、お尻を突き出すような意識で行ってみましょう。
- 1. 四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにセットします。
- 2. お尻を踵に近づけ、膝を浮かし、お尻を天井に向けて持ち上げていきましょう。

- 3. 上半身、下半身、床で三角形をつくるイメージです。

- 4. 踵を上げたり下げたりすることでふくらはぎのストレッチも行えます。
ツイストストレッチ
デスクワークの方で硬くなりやすい股関節や太ももの前側、胸と背骨のストレッチを紹介します。1つの動きでふだん硬くなりやすい部分を一度に伸ばすことができ、とても効率の良いストレッチです。
- 1. 四つん這いの姿勢になりましょう。そこから右足を右手の外に一歩出します。
- 2. 左膝を床から浮かし、左腿の前が伸びるように意識します。

- 3. 右手を持ち上げ、右に体を捻りましょう。右手の指先を天井に向かって伸ばします。

- 4. 元の姿勢に戻ります。繰り返し実施しましょう。
大殿筋ストレッチ
お尻の筋肉である大殿筋は、ふだん座っている時間が長いととても硬くなりやすい筋肉です。骨盤の傾きにも影響を与えるので、しっかりとストレッチしていきましょう。
- 1. 四つん這いから右足を一歩前に出し、スネを横に倒します。

- 2. 左手を右前に伸ばしましょう。

- 3. ねじるようにしながらお尻の筋肉を伸ばします。
体が硬い人や初心者向けメニュー
基本のストレッチを5つ紹介しましたが、元々運動やストレッチなどを行っていなかった方や、体が硬いとお悩みの方には難しいストレッチもあったと思います。
最終的には、上記で紹介したストレッチを行うことができると、体のコンディションが整いやすいです。しかし、まずはいまから紹介するストレッチを行っていただけると毎日継続しやすいので、ぜひこちらに取り組んでみてください。
胸の前ストレッチ
デスクワークや家事をしていると、猫背で前かがみの姿勢となり、胸の前の胸筋群が硬くなります。そこで仕事や日々の生活の合間で座りながら行えるストレッチを紹介します。
- 1. 座って手を後ろで組みましょう。

- 2. 背筋を伸ばし、手を後ろへ引きます。

- 3. 呼吸を胸の前面に届け、伸びを感じながら行いましょう。
お尻のストレッチ
日中の隙間時間でも取り組みやすいお尻のストレッチです。背骨を伸ばしながら行うとしっかりとお尻が伸びます。
- 1. 椅子に座り片足を反対の足の上にのせましょう。
- 2. 背筋を伸ばし、ゆっくりと体を前に倒します。

- 3. お尻の伸びを感じながら行いましょう。
- 4. 元の姿勢に戻ります。
背中のストレッチ
背中の大きな筋肉である広背筋も、日ごろのデスクワークで硬くなりやすい筋肉です。広背筋が硬くなると、肩を内側にねじる傾向が強まったり、腰やお尻の硬さを引き起こしたりする可能性もあります。少しの工夫で簡単に伸ばせる方法を紹介します。
- 1. 四つ這いの姿勢になり、肘を床につけましょう。

- 2. 右手を伸ばし、左手の前に置きます。

- 3. 右手は左斜め前に伸ばしたまま、右のお尻を右踵に近づけるように下げていきます。
- 4. 右の脇から背中にかけて伸びている感覚を持ちながら行いましょう。
太もも裏のストレッチ
台やローラーを使ったストレッチを紹介します。股関節を引き込み、骨盤が後ろに倒れないよう意識しながら行うことで、しっかりとハムストリングスが伸びます。
- 1. まずは股関節を曲げ、お尻を後ろに突き出します。手は机や棚、ローラーなどにつきましょう。

- 2. ゆっくりと膝を伸ばし、腿裏が伸びるのを感じましょう。

- 3. 腿裏が伸びるのを感じましょう。
ストレッチの注意点
ストレッチを安全かつ効果的に行うためには、以下の5つのポイントに注意しましょう。
- 1. 20秒以上かけて伸ばす:はじめの数秒で無理のない範囲を確認し、最低20秒間キープしましょう。
- 2. どこを伸ばすか意識する:伸ばす部位を意識するとフォームも整い、効果がアップします。
- 3. 痛みのない範囲で気持ちよく:痛みがあるほど伸ばすと逆効果なので、心地よい程度でやめましょう。
- 4. 呼吸を止めない:無理な姿勢は息を止めがちです。深い呼吸で筋肉の力みも抜いてください。
- 5. 目的や体調で部位を選ぶ:全身ではなく、時間や目的、体調に合わせて必要な部位を伸ばしましょう。
これらの注意点を踏まえて、ストレッチはご自身の身体の状態や目的に合わせて無理のない範囲で安全に行ってください。
日々コツコツと続けることで、柔軟性の向上や心身のリラックスなど、さまざまな良い変化が期待できるでしょう。
ストレッチに関するよくある質問
筋肉の柔軟性を高めるストレッチは、1日のうちいつ行うのが最適ですか?
ストレッチで筋肉の柔軟性を高められるタイミングの1つが「お風呂上がり」です。
- • 入浴条件:40度前後の湯船に10〜15分浸かる
- • 推奨時間:就寝の1〜2時間前
入浴により深部体温が上昇し、全身の血流が促進され筋肉が伸びやすくなります。リラックス効果も高まり、就寝前の場合、質の良い睡眠への移行も期待できるでしょう。
※循環器などに持病のある方は、入浴時の温度や時間について医師にご相談ください。
ストレッチで筋肉を効果的に伸ばすには、1回何秒・何セット行えばよいですか?
1カ所につき「20〜30秒かけてゆっくり伸ばす」を2〜4セット繰り返すのが効果的です。研究では、30秒の保持で十分な柔軟性の改善が得られ、60秒に延長しても追加の効果はほとんどないと報告されています。
- • 30秒×2回、または20秒×3回を目安にする
- • 息を止めず、「気持ちよく伸びている」と感じる強さで行う
※痛みを感じた場合は直ちに中止し、持病がある方は事前に医師にご相談ください。
ストレッチでケガをしないために、避けるべき状況や体の状態はありますか?
患部が熱を持っている・腫れている・赤くなっているときは、ストレッチは控えましょう。ケガをした直後に無理に伸ばすと、傷ついた筋肉を更に傷めて回復が遅くなることがあります。
- • 肉離れなどのケガをしてから48〜72時間以内
- • じっとしていても痛みがあるとき
- • しびれや力の入りにくさがあるとき
※痛みを感じたら直ちにストレッチを中止し、症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。
体が硬い人がストレッチを続けると、柔軟性の効果はいつごろ実感できますか?
体の変化を感じるまでには、早い人で2〜4週間、しっかり定着させるには3カ月ほどの継続が必要です。研究では、ストレッチを続けることで足が上げやすくなったり、ひざが伸びやすくなるなど、柔軟性の改善が報告されています。
- • 週3回以上(できれば毎日)行う
- • 1回あたり1部位につき30〜60秒を目安にする
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