肩甲骨はがしのやり方には要注意!誤った方法での危険性や安全に行うコツを解説
公開日:2026.08.15

文:内藤 かいせい(理学療法士)
肩甲骨はがしとは、肩甲骨を動かすことで周囲の筋肉をほぐし、関節の柔軟性を高める方法です。
身体の不調改善につながる一方で、間違った方法で行うと痛みをはじめとした問題が生じる危険性もあります。
この記事では、間違った肩甲骨はがしを行った場合の危険性や安全に行うためのポイントをご紹介します。
適切な方法を知ることで、安全かつ効果的に肩甲骨はがしを行えるでしょう。
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目次
肩甲骨はがしとは?
肩甲骨はがしとは、肩甲骨をはがすように動かすことで周囲の筋肉をほぐし、動きを改善する方法です。この施術は、おもにデスクワークやスマートフォンの使用などによる姿勢の悪化で、肩・首のこりに悩む方に対して行われています。肩甲骨を動かして筋肉の緊張をほぐすことで、血行促進による肩・首こりの改善が期待できます。
更に、肩甲骨の位置を整えることで姿勢の改善が期待でき、結果として頭痛や腰痛、肩関節周囲炎などの不調の予防につながる可能性があります。
肩甲骨はがしはさまざまな効果が期待できる施術ですが、安全に行うためには正しい知識と適切な方法で行う必要があります。
肩甲骨はがしには危険性がある?

肩甲骨はがしのやり方には要注意!誤った方法での危険性や安全に行うコツを解説
肩甲骨はがしは、間違った方法で行うと身体に悪影響が出る恐れもあります。ここでは、どのような危険性があるのかをご紹介します。
筋肉への悪影響
肩甲骨はがしを誤った方法で行うと、筋肉に悪影響をおよぼす可能性があります。肩甲骨まわりには、以下のような肩甲骨の動きに関わる筋肉が集まっています。
- • 僧帽筋(そうぼうきん)
- • 広背筋
- • 菱形筋(りょうけいきん)
肩甲骨を強引に動かすと、これらの筋肉が損傷して痛みや炎症を引き起こす可能性があります。
筋肉が損傷すると、腕を上げる、物を持ち上げるなどの日常生活にも支障をきたしやすくなります。
関節への悪影響
肩甲骨はがしは、肩関節にも悪影響が出る恐れもあります。肩関節に過剰な動きが生じると、周囲の筋肉や靭帯、関節包などが引き伸ばされて炎症が生じる可能性があります。
肩関節は人体のなかでも可動域が広い関節であり、その反面不安定な構造になっています。肩甲骨に不適切な力がかかると、関節が正常な位置からずれてしまう可能性があります。
また、肩甲骨はがしの際に過度な力をかけると、関節を支える靭帯や関節包などの組織を傷めることもあるでしょう。
これらの組織が損傷すると、関節の安定性が低下する恐れがあります。
神経の悪影響
肩甲骨の周辺には神経が通っており、不適切な肩甲骨はがしによって損傷につながる恐れがあります。肩甲骨の周辺を走る神経は、腕や手の感覚・運動に関係しています。
強引な肩甲骨はがしによって神経が傷つくと、以下のような症状が現れることもあるでしょう。
- • 手や指のしびれ
- • 痛み
- • 筋力低下
肩甲骨はがしを安全に行うポイント

肩甲骨はがしのやり方には要注意!誤った方法での危険性や安全に行うコツを解説
肩甲骨はがしを安全に行うためには、どのような工夫をすべきでしょうか。ここでは、具体的なポイントを解説します。
施術前にリスクのチェックをする
施術前は、対象者の状態を把握して肩甲骨はがしのリスクがないかチェックすることが大切です。
まず確認すべき点が、首や肩関節の疾患の有無です。五十肩や頚椎症などの疾患がある場合、肩の可動域が制限されている可能性があります。
そのため、無理に肩甲骨を動かすと筋肉をはじめとした組織を痛める恐れがあります。
また、骨の状態についても入念なチェックが必要です。高齢の方や骨粗鬆症の方は骨が脆くなっている可能性があり、強い力で肩甲骨を動かすと骨折のリスクが高まります。
施術によるトラブルを予防するためにも、対象者の状態を慎重に確認しましょう。
身体の状態にあわせた強さで行う
肩甲骨はがしを行う際は、対象者の状態にあわせた強さで行うことが重要です。
力加減を誤ると筋肉や関節を傷つける恐れがあるため、慎重に力の強さを調整する必要があります。
特に肩こりが重症化している場合は、肩甲骨を動かすための隙間が少なくなりがちです。この状態で無理に力を入れると、筋肉を痛める原因となります。
肩甲骨はがしは一度に強く行うのではなく、段階的に力を調整することが大切です。
最初は軽い力で様子をみて、反応を確認しながら徐々に力を入れていきましょう。このようにていねいに施術を進めることで、安全で効果的な施術が可能となります。
肩甲骨はがしに注意が必要なかたの特徴
肩甲骨はがしはすべての方に適用があるわけではなく、なかには注意すべきケースもあります。ここでは、注意すべき方の具体的な特徴を解説します。
持病や既往歴がある方
肩甲骨はがしは、持病や既往歴のある方にとって危険な場合があります。特に以下のような疾患がある方は、施術によって症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
- • 骨粗鬆症
- • 関節炎
- • 神経系の疾患
- • 変形性肩関節症
骨粗鬆症の方は骨密度が低下しているため、強い圧力をかけると骨折のリスクが高まります。
関節炎や変形性肩関節症の方は関節に負担がかかることで、炎症が悪化して痛みが増す可能性があります。
ヘルニアをはじめとした神経系の疾患がある方は、姿勢が不安定な状態で行うと首まわりに負担がかかり、しびれや痛みなどの症状が強まる可能性があります。
このような持病や既往歴のある方は、事前に医師に相談したうえで、肩甲骨はがしを行うか検討しましょう。
痛みや違和感を訴えたらすぐに施術を中止し、医師に相談することを心掛けてください。
子どもや高齢者
子どもや高齢者に肩甲骨はがしを行う際も注意が必要です。
子どもの場合、骨や筋肉がまだ発達段階にあります。過剰に負荷をかけるような施術によって骨や筋肉を痛めると、成長に悪影響をおよぼす恐れがあります。
高齢者の場合、加齢による骨密度の低下や筋力の衰えがみられることが多いでしょう。そのため、強い力で施術を行うと、骨折や筋肉の損傷を引き起こす可能性があります。
子どもや高齢者に肩甲骨はがしを行う場合は、事前に医師に相談しましょう。
自分でできる肩甲骨はがしのやり方
肩甲骨はがしは、自分で行うことも可能です。自分でできる肩甲骨はがしのやり方は、以下のとおりです。
- 1. 背筋を伸ばして立つ
- 2. 両手をゆっくり上げる
- 3. 手のひらを外側に向けながら肘を伸ばし、肩の高さまで手を下げる
- 4. 2〜3の手順を3〜5回行う
腕だけではなく、肩甲骨ごと動かすことを意識して行いましょう。手を下げる際は、両方の肩甲骨を寄せるイメージで行ってみてください。
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肩甲骨はがしに関するよくある質問
肩甲骨はがしにはどんな効果がありますか?
肩甲骨はがしには、肩・首こりの改善や姿勢改善などの効果が期待できます。
肩甲骨周囲の筋肉をほぐす(緩める)ことで血行が促進され、こりや張りが緩和されるしくみです。
また、肩甲骨の位置が整うことで姿勢の改善が期待でき、頭痛や腰痛、肩関節周囲炎などの不調の予防に役立つ可能性があります。
自宅で簡単にできるセルフ肩甲骨はがしの方法はありますか?
自宅でのセルフ肩甲骨はがしは、以下の方法で実施しましょう。
- 1. 背筋を伸ばして(姿勢を正し)立つ
- 2. 両手を耳の近くまでゆっくり上げる
- 3. 手のひらを外側に向けながら肩の高さまで下げる
- 4. 上記の動作を3〜5回繰り返す
腕だけでなく肩甲骨ごと動かせるよう、両方の肩甲骨を寄せるイメージで行うのがポイントです。
痛みを感じない強度で実施するのが理想ですが、もし肩や首などに生じた痛みが続くときは医師に相談してください。
どのくらいの頻度で肩甲骨はがしをするのが理想ですか?
頻度は体調や目的によって異なりますが、無理のない範囲で継続することが大切です。
デスクワークや長時間のスマートフォン使用で肩こりを感じやすい方は、寝る前や入浴後などの習慣として取り入れるのがおすすめです。
ただし、痛みや違和感がある場合は無理をせず、症状に合わせて頻度を調整しましょう。
肩甲骨はがしに注意点や危険性はありますか?
間違った方法で肩甲骨はがしをすると、以下のリスクがあります。
- • 僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋などの筋肉損傷
- • 肩関節への過剰なストレスによる炎症
- • 神経圧迫によるしびれ・筋力低下
特に、骨粗鬆症や関節炎、頚椎疾患のある方、高齢者などは注意が必要です。
痛みを感じない強さで実施し、不安なときは専門家に相談しましょう。
肩甲骨はがしで肩こりは改善しますか?
肩甲骨はがしを継続すれば、肩こりや首の痛みを改善させる可能性があります。
改善のメカニズムは、以下のとおりです。
- 1. 肩甲骨を動かして胸周りの筋肉(大胸筋・小胸筋など)をほぐす
- 2. 肩甲骨が本来の位置に戻り、姿勢が整う
- 3. 肩甲骨まわりの筋肉(僧帽筋、菱形筋など)への過剰な負担が軽減される
- 4. 肩こりが改善する
セルフケアを続けても症状が改善しない場合は、一度医療機関への相談をおすすめします。
肩甲骨はがしの危険性を把握しておこう
肩甲骨はがしは肩甲骨周囲の筋肉をほぐす施術で、可動域や姿勢の改善などの効果が期待されています。一方で、強く行ったり、無理に圧迫したりすると筋肉や神経を痛める原因となります。
安全に肩甲骨はがしを行うためには、対象者のリスクをチェックしたうえで、適度な強さで行うことが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、適切な肩甲骨はがしを実践してみましょう。
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