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ラクナ梗塞のリハビリとは?急性期・回復期・維持期別の内容と理学療法士が押さえるポイント

公開日:2026.07.25

ラクナ梗塞のリハビリとは?急性期・回復期・維持期別の内容と理学療法士が押さえるポイント

文:内藤 かいせい(理学療法士)

ラクナ梗塞を発症した患者さんに対して、どのようなリハビリを行うのか知りたい方もいるのではないでしょうか。ラクナ梗塞は脳梗塞の一種で、発症時期にあわせた介入が重要です。

この記事では、ラクナ梗塞の特徴やリハビリ内容、再発予防のポイントをご紹介します。疾患の特徴をよく理解することで、適切なリハビリを行えるようになるでしょう。

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ラクナ梗塞とは?

ラクナ梗塞は脳梗塞の一種で、脳内の細い血管が閉塞してさまざまな症状が現れる疾患です。ここでは、ラクナ梗塞の症状や原因について解説します。

ラクナ梗塞の代表的な症状

ラクナ梗塞の代表的な症状は、以下のとおりです。

  • • 片麻痺
  • • 感覚障害

片麻痺は頻度が高い症状で、脳から筋肉へ運動指令を出す経路が障害されることで上肢や下肢の片側に麻痺が現れます。発症直後は力が抜けたような弛緩性麻痺がみられることが多く、時期を経るにつれて手足がこわばる痙性麻痺へと変化しやすいです。感覚障害では、片側にしびれや感覚のにぶさなどの症状が起こります。

一方で、ラクナ梗塞は小さく細い血管が閉塞される関係上、症状が比較的軽度であることも多く、発症に気づかないケースもあります。また、意識障害や失語・失行などの高次脳機能障害が現れにくいのも特徴です。

ラクナ梗塞の原因

ラクナ梗塞の代表的な原因は、高血圧によるものです。長期間にわたって高血圧が続くと脳の動脈の壁が厚く硬くなる動脈硬化につながり、血流が途絶えやすい状態になります。高血圧につながる要因としては、以下のような生活習慣の乱れがあげられます。

  • • 塩分・脂肪の摂りすぎ
  • • アルコールの過剰摂取
  • • 喫煙
  • • 運動不足
  • • 肥満

また高血圧だけでなく、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病も動脈硬化を進める要因となります。ラクナ梗塞の予防や再発を防ぐためには、このような生活習慣を見直すことが重要です。

ほかの脳梗塞・脳出血との違い

ほかの脳梗塞・脳出血との違い

脳梗塞にはラクナ梗塞のほかに、アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症があります。そして脳卒中(脳血管疾患)に分類される疾患には、脳出血も該当します。ここでは、ほかの種類の脳梗塞と脳出血との違いについてみていきましょう。

アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の違い

アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症は、ラクナ梗塞とは異なるメカニズムで発症します。アテローム血栓性脳梗塞は、頸動脈や中大脳動脈などの太い血管が閉塞することで発症します。コレステロールの塊(アテローム)が形成されることで血栓ができ、それが血管に詰まることが主な原因です。

一方で、心原性脳塞栓症は心臓内でできた血の塊が血流に乗って脳まで運ばれ、太い脳血管を塞ぐことで起こります。これは心房細動や心臓弁膜症など、心臓の疾患が原因となることが多いです。いずれもラクナ梗塞よりも広い範囲で障害され、症状が重くなりやすい点が特徴です。

脳出血との違い

脳梗塞が血管の閉塞によって起こるのに対し、脳出血は血管が破れて出血することで発症する疾患です。脳出血の主な原因も高血圧で、血管にストレスがかかり続けると破れて出血を引き起こします。出血した血液が脳の組織を圧迫・破壊することで、麻痺や感覚障害などの症状が現れるのです。

出血範囲が広いほど症状が悪化しやすく、治療後も症状が後遺症として残るケースも多い傾向にあります。ラクナ梗塞発症後に脳出血を引き起こす可能性もゼロではないため、併発を防ぐためには血圧のコントロールや生活習慣の改善が欠かせません。

ラクナ梗塞(脳梗塞)におけるリハビリの重要性

ラクナ梗塞を発症して低下した機能を改善するにはリハビリが重要です。脳梗塞で損傷した神経機能は、自然に元どおりに回復しにくい場合がありますが、、脳には「可塑性(かそせい)」という、損傷を補うように神経回路を作り直す能力があるとされています。この可塑性を促すには、リハビリで身体を動かして脳を刺激する必要があるのです。

リハビリはなるべく早期から開始することが望ましく、脳卒中治療ガイドラインでも発症後すぐの介入が推奨されています。具体的には、脳卒中発症から72時間以内にリハビリを開始した場合、開始が遅れた場合と比べて入院期間が短く、退院時の歩行能力が高い傾向が報告されています(対象や重症度など条件により異なります)。

【時期別】ラクナ梗塞発症後のリハビリの流れと内容

【時期別】ラクナ梗塞発症後のリハビリの流れと内容

ラクナ梗塞の発症後は、以下の時期にあわせたリハビリを行う必要があります。

  • • 急性期
  • • 回復期
  • • 維持期

ここでは、それぞれの時期のリハビリの流れについて解説します。

急性期

急性期は、発症直後から約2週間程度の時期を指します。この時期は全身状態が変化しやすく、血圧の急激な変動や再梗塞などのリスクもあるため、積極的なリハビリは避ける必要があります。リハビリ内容としては、以下のようなベッド周辺で行えるものが中心です。

  • • 関節可動域訓練(他動運動)
  • • ポジショニング
  • • 寝返り・起き上がりなどの動作練習

この時期のリハビリは、機能改善よりも長期安静による廃用症候群を防ぐことがおもな目的といえます。患者さんの状態や症状の程度によっては、無理のない範囲で早期から離床を進めるケースもあります。

回復期

急性期を過ぎ、全身状態が安定してきた時期が回復期です。この時期では本格的なリハビリを開始し、機能改善や自宅復帰を目指します。リハビリの内容は、以下のように多岐にわたります。

  • • 筋力トレーニング
  • • 関節可動域訓練
  • • 動作練習
  • • バランス練習
  • • 歩行練習
  • • 家事動作の練習
  • • 応用動作練習
  • • 嚥下訓練

このように、リハビリ前半では身体機能の改善を目指しつつ、後半では退院に向けて必要な動作を獲得するための練習を行います。セラピストも各専門職と連携しつつ、それぞれの強みを活かしたアプローチを実施します。患者さんが退院後の生活に円滑に戻れることをゴールとして、リハビリを進めることがこの時期のポイントです。

維持期

維持期は身体機能が安定してきた時期で、多くの患者さんが病院を退院する段階です。回復期に獲得した機能を維持・向上させること、再発を予防して日常生活や社会参加を継続することがおもなリハビリの目標となります。維持期のリハビリは、以下のような在宅・地域のサービスが中心です。

  • • 通所リハビリ(デイケア)
  • • 訪問リハビリ
  • • 外来リハビリ

これらのリハビリサービスに加えて、自宅での運動は主治医やリハビリ専門職と相談のうえ、無理のない範囲で継続することも重要です。

ラクナ梗塞の再発予防のポイント

ラクナ梗塞の再発予防のポイント

ラクナ梗塞の再発予防には、いくつかのポイントがあります。。ここでは、ラクナ梗塞の再発予防のポイントを解説します。

生活習慣を整える

ラクナ梗塞の再発を防ぐには、まずは生活習慣を整えてもらうことが重要です。ラクナ梗塞の主な原因は高血圧であり、その背景には食事や運動などの生活習慣が深く関わっています。退院後の再発リスクを下げるためには、薬による治療だけでなく、生活そのものを見直す必要があります。

具体的には、以下のような取り組みをしてもらいましょう。

  • • 塩分を控えた食事を心がける
  • • 野菜や果物などの食物繊維を積極的に摂る
  • • ウォーキングなどの有酸素運動を続ける
  • • 喫煙している場合は禁煙する
  • • アルコールの過剰摂取を控える
  • • 十分な睡眠をとり、規則正しい生活リズムを保つ

生活習慣を整える重要性を説明しつつ、1つずつできることからはじめるように指導してみてください。

退院後もリハビリを継続する

退院後もリハビリを継続することで、機能維持と再発予防につながります。退院後に身体を動かす習慣がないと、改善した身体機能が再び低下する恐れがあります。

そのため、通所リハビリや訪問リハビリなどのサービスを利用して機能維持に努めることが大切です。患者さんが運動をやめてしまわないよう、退院前から身体を動かす重要性をしっかり伝えておくことも、セラピストの仕事といえるでしょう。

ラクナ梗塞のリハビリ内容を知っておこう

ラクナ梗塞は細い血管が閉塞する疾患で、片麻痺や感覚障害などの症状が現れます。この疾患は早期からのリハビリが重要で、急性期・回復期・維持期にあわせたアプローチを行うことが大切です。

またラクナ梗塞の再発予防には、生活習慣を整えることやリハビリの継続が求められます。ぜひ今回の記事を参考にして、ラクナ梗塞のリハビリ内容をおさえておきましょう。

参考

厚生労働省科学研究成果データベース|一般向け解説書 “脳梗塞とはどんな病気?”
京都大学医学部附属病院|脳梗塞
医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.7 脳・神経. 2017.
慶應義塾大学病院|脳梗塞、脳出血(脳卒中
日本神経治療学会|脳卒中治療ガイドライン2009|Ⅶ.リハビリテーション

【監修者コメント】
ラクナ梗塞は脳梗塞のなかでは比較的軽症で済むことが多いとされる一方、繰り返し再発することで認知機能の低下や日常生活への影響につながる可能性がある疾患です。リハビリは時期によって目的や内容が異なり、急性期では廃用症候群の予防と早期離床、回復期では機能改善と生活動作の再獲得、維持期では機能維持と再発予防が中心となります。
ご家族や患者さんに意識していただきたいのは、症状が軽いからといって油断せず、血圧管理・服薬・生活習慣の見直しを継続することです。
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