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痙縮に対するリハビリ内容は?メカニズムや拘縮・麻痺などの違いを解説

公開日:2026.07.27

痙縮に対するリハビリ内容は?メカニズムや拘縮・麻痺などの違いを解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

痙縮を改善するために、どのようなリハビリを行うべきなのか知りたい方はいませんか?痙縮は脳卒中に起こりやすい症状で、状態によっては関節が動かしにくくなり、日常生活に支障が出ることがあります。

この記事では、痙縮の概要や類似する症状との違い、リハビリ内容をご紹介します。痙縮に対する知識を深めることで、症状改善に向けたリハビリに活かせるでしょう。

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痙縮とは?

痙縮とは、なんらかの原因によって筋肉の緊張や動きに異常が現れている状態のことです。ここでは、痙縮の具体的な症状や原因について解説します。

痙縮の特徴的な症状

痙縮の代表的な症状は、筋肉が過剰に緊張することで生じる関節の動かしにくさや、反射の異常です。例として、上肢の痙縮では腕が上げにくくなる、肘が曲がったまま伸びなくなるなどの現象が現れます。一方で、下肢の場合はふくらはぎが突っ張ったようになり歩行が困難になるケースも少なくありません。

また、痙縮には「ジャックナイフ現象」と呼ばれる特徴的な反応があります。これは、筋肉を急に伸ばすと最初は強い抵抗を感じるものの、持続的に伸張を加えると途中で抵抗が弱くなる現象のことです。

痙縮が起こる原因

痙縮の主な原因が上位運動ニューロンの障害で、代表的な疾患としては以下のとおりです。

  • • 脳出血
  • • 脳梗塞
  • • 脊髄損傷

通常、脳は脊髄を経て筋肉に指令を送って身体を動かしています。しかし、脳卒中をはじめとした疾患によってその経路が断たれると、筋肉にうまく指令が届かなくなってしまいます。その結果、筋肉が過剰に緊張して痙縮が現れやすくなるのです。

特に脳卒中の患者さんでは痙縮だけでなく、片麻痺や感覚障害などの症状も現れやすいので、それらを考慮してリハビリを進める必要があります。

【拘縮・固縮・麻痺】痙縮と勘違いしやすい症状との違い

【拘縮・固縮・麻痺】痙縮と勘違いしやすい症状との違い

痙縮と勘違いしやすい症状として、以下が挙げられます 。

  • • 拘縮
  • • 固縮
  • • 麻痺

ここでは、それぞれの違いについてみていきましょう。

拘縮は関節まわりの組織の柔軟性が低下した状態

拘縮とは、関節のまわりにある筋肉や靭帯などの組織が硬くなり、関節の可動域が制限された状態のことです。痙縮が神経の障害によって筋緊張が高まるのに対して、拘縮は組織そのものの柔軟性が失われた状態といえます。拘縮の原因として多いのが、麻痺や長期の安静によって関節を動かす機会が減ることです。

また、痙縮によって筋緊張が高い状態が続いた場合にも、二次的に拘縮が生じることがあります。そのため、それぞれの症状は無関係ではなく、拘縮を予防するには痙縮に対するケアが重要です。

拘縮について更に詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:拘縮を改善するためのリハビリは?主な原因やリハビリ時のポイントを解説

固縮は持続的に筋緊張が亢進した状態

固縮とは、筋緊張が持続的に高まり続けている状態のことです。痙縮と固縮はどちらも筋緊張が高まる症状ですが、その現れ方に違いがあります。痙縮は関節を動かす速さに応じて抵抗が変化するのに対して、固縮は速度に関係なく一定の抵抗が続くのが特徴です。

固縮には関節に継続的な抵抗がある「鉛管様固縮」や、曲げ伸ばしの際に歯車のようなカクカクした抵抗を感じる「歯車様固縮」など、いくつかの種類があります。固縮の代表的な原因としてパーキンソン病があげられ、筋肉をうまく弛緩できなくなることで生じます。

固縮やパーキンソン病については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:自宅でできるパーキンソン病のリハビリは?症状の進行ごとに解説

麻痺は中枢神経の障害で力が入りにくくなった状態

麻痺とは、脳や脊髄などの中枢神経が損傷されることで筋肉への指令がうまく伝わらなくなり、力が入りにくくなった状態のことです。原因が脳卒中をはじめとした疾患である点は痙縮と同じですが、麻痺は筋力低下が生じやすいのが特徴です。

脳からの指令が筋肉にうまく届かないため、腕が上がらない、足を曲げられないなどの症状が現れます。まったく動かせなくなる完全麻痺から、部分的に力が入りにくい不全麻痺まで、その症状は患者さんによってさまざまです。

麻痺について更に詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
関連記事:片麻痺に対するリハビリは?時期に応じた内容や自宅でのメニューをご紹介

痙縮の評価内容

痙縮の評価内容

痙縮のリハビリを進めるためには、評価によって症状の程度を把握しておくことが大切です。痙縮に対する評価として代表的なのが、「修正アシュワーススケール(MAS)」です。MASとは、筋緊張の程度を6段階に分類する評価であり、患者さんの四肢を他動的に動かしたときの抵抗感をもとに判定します。具体的な段階は以下のとおりで、グレードが高いほど痙縮の程度が強くなります。

グレード 判定基準
0 筋緊張の亢進がない
1 軽度の筋緊張の亢進がある
可動域の最終域でわずかな引っかかりや抵抗がある
1+ 軽度の筋緊張の亢進がある
可動域の2分の1以下で引っかかりやわずかな抵抗がある
2 筋緊張の亢進がある
ほぼ全可動域で筋緊張の亢進がある
関節運動は可能
3 筋緊張の亢進が強く、他動運動が難しい
4 患部が固まり、他動での屈曲・伸展がほとんどできない

痙縮に対するリハビリ内容

痙縮に対するリハビリ内容として、以下が挙げられます 。

  • • ストレッチ
  • • 筋力トレーニング
  • • 物理療法
  • • 装具療法

ここでは、それぞれのリハビリについて詳しく解説します。

ストレッチ

痙縮のリハビリとしてよく行われているのが、ストレッチです。ストレッチによって筋肉を持続的に伸張することで筋緊張を抑制でき、痙縮の改善が期待できます。

ストレッチをする際は、ゆっくりと時間をかけて伸ばし続けることがポイントです。筋肉を急に伸ばすと伸張反射が起きて筋緊張が高まり、かえって痙縮を悪化させる恐れがある点に注意しましょう。またストレッチは痙縮の抑制だけでなく、筋の短縮や拘縮の予防・改善にもつながります。

筋力トレーニング

痙縮のリハビリでは、ストレッチだけでなく筋力トレーニングも並行して行います。脳卒中によって麻痺側の筋力が低下すると、非麻痺側との左右差が広がり、筋緊張が更に高まって痙縮を悪化させる恐れがあります。この問題を改善するために、筋トレによって麻痺側の筋力を高めることが重要です。

ただし、痙縮がある状態で負荷の高い筋トレをすると、かえって筋緊張が高まる恐れがあります。患者さんの状態を確認し、立ち座りをはじめとした自重トレーニングが難しい場合は、介助下での運動や徒手での抵抗運動などを検討してみましょう。

物理療法

痙縮に対するリハビリでは、物理療法も有効なアプローチの一つです。代表的なものとして、電気刺激や振動刺激が挙げられます 。

電気刺激は、筋肉に直接電気を流すことで刺激を加える方法です。痙縮が起こっている筋肉の拮抗筋(逆の作用を持つ筋肉)に電気刺激を加えて収縮させることで、「相反抑制」と呼ばれる神経反射が働き、痙縮側の筋緊張がやわらぎやすくなります。一方で、振動刺激は筋肉に振動を加える方法で、適切な周波数で刺激を加えると筋緊張がやわらぎ痙縮が改善するとされています。

装具療法

運動療法の際に、装具療法を行うこともあります。麻痺によって筋力のバランスが崩れると、立位や歩行などがうまく行えなくなります。このときに下肢装具を用いることで麻痺側の安定性が高まり、動作を行いやすくなるのです。また装具によって持続的な伸張を加え続けることで、痙縮の抑制にもつながります。

装具の種類はさまざまで、麻痺の程度が強い場合は長下肢装具を、ある程度立位動作ができる場合は短下肢装具を用います。装具の選択は患者さんの症状や目的によって異なるため、適切に評価したうえで使用することが大切です。

痙縮の悪化を防ぐためのポイント

痙縮の悪化を防ぐためのポイント

痙縮の悪化を防ぐためには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。ここでは、そのポイントについて解説します。

セルフストレッチの指導をする

痙縮の悪化を防ぐためには、リハビリの時間だけでなく日常生活のなかでもセルフストレッチを取り入れることが大切です。症状が強い時期ではセルフストレッチは難しいので、患者さんの状態が安定してきたころに指導するのがポイントです。

ストレッチを行う際は、反動をつけず、ゆっくりと持続的に伸張してもらいましょう。ただし、状態によっては股関節や肩関節などの大きな関節のストレッチができないケースもあるので、その部位はリハビリでセラピストが念入りにケアをする必要があります。

一つひとつの動作をていねいに行う

痙縮の悪化を防ぐうえで、日常動作をていねいに行うこともポイントです。脳卒中後は痙縮だけでなく片麻痺を伴うことが多く、麻痺側に過剰な力が入りやすい状態になっています。そのような状態で無理な動作を繰り返すと、麻痺側の筋緊張が更に高まり、痙縮を悪化させる原因となるでしょう。

一つひとつの動作をゆっくりと確認しながら行うことで、間違った動作が定着するのを防ぎ、痙縮の進行の抑制につながります。ふだんの患者さんの動作をよく観察し、必要に応じて安全で効率的な方法を提案しましょう。

痙縮を改善するためのリハビリ内容をおさえておこう

痙縮は筋緊張の異常が現れて関節が動かしにくくなる状態で、脳卒中をはじめとした疾患で発症します。類似した症状には拘縮や固縮などがありますが、それぞれ特徴やメカニズムが異なる点に注意が必要です。

痙縮を軽減するためには、ストレッチや筋トレ、物理療法などを行います。ぜひ今回の記事を参考にして、痙縮に対するリハビリを実践してみましょう。

参考

慶應義塾大学病院脳神経外科教室|痙縮
医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.7 脳・神経. 2017.
松元秀次. Jpn. J. Rehabil. Med. 2008, 45(9), p.591-597.

【監修者コメント】
痙縮は脳卒中などの後遺症として現れることが多く、放置すると関節の変形や拘縮、痛みなど二次的な問題につながりやすい症状です。一方で、適切なリハビリと医学的治療を組み合わせることにより、生活動作のしやすさや姿勢のコントロールが改善する可能性は十分にあります。ご家族や患者さんご自身が日々できる関わりとして大切なのは、無理な力で関節を動かさないこと、ゆっくりとしたストレッチや良肢位の保持を継続すること、そして痙縮の状態に変化を感じた際に早めに主治医・リハビリスタッフへ相談することです。
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