医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マイナビコメディカル
マイナビコメディカル

医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

肩腱板損傷のリハビリの流れや具体的な内容、注意点をご紹介

公開日:2026.07.29

肩腱板損傷のリハビリの流れや具体的な内容、注意点をご紹介

文:内藤 かいせい(理学療法士)

肩腱板損傷の患者さんに対して、どんなリハビリをすべきなのか知りたい方はいませんか?腱板損傷は肩を支えている筋腱の集まりである腱板が傷ついた状態のことで、受傷時期にあわせたアプローチが重要です。

この記事では、腱板損傷の概要やリハビリ内容、治療期間をご紹介します。この疾患の知識を深めることで、適切なリハビリを実施するきっかけになるでしょう。

おすすめ特集

肩腱板損傷とは?

肩腱板損傷とは、肩関節につく筋腱の集まりの「腱板」が損傷した状態のことです。ここでは、肩腱板損傷の症状や原因について解説します。

肩腱板損傷の症状

肩腱板損傷による代表的な症状は、以下のとおりです。

  • ● 肩の運動時痛
  • ● 夜間痛
  • ● 肩の軋轢音(ジョリジョリという音)

肩の痛みが中心である一方で、腕そのものが上がらなくなるケースは比較的少ない傾向にあります。腱板の損傷によってインナーマッスルの筋力は低下するものの、三角筋をはじめとした表層の筋肉によって腕を上げることは可能です。しかし、損傷が悪化すると最終的に腕を上げられなくなる恐れがあります。

肩腱板損傷の原因

肩腱板損傷の原因は、大きく「外的要因」と「内的要因」の2つに分けられます。外的要因としてあげられるのが、肩の使いすぎです。肩を繰り返し使うことで腱板が骨とこすれ、少しずつストレスが蓄積されていきます。特に力仕事や重労働で肩をよく使う方は、腱板損傷の発症リスクが高まりやすいです。

内的要因としては加齢による腱の老化があげられ、高齢になるほど発症率が高まります。そのほかにも、次のような要因が腱板を弱める原因として考えられています。

  • ● 糖尿病・高脂血症などの疾患
  • ● 喫煙
  • ● 関節リウマチなどによる炎症

肩腱板損傷の診断方法

肩腱板損傷の診断方法

肩腱板損傷の診断方法は、問診や身体所見に加えて画像検査が行われます。問診では痛みのきっかけや発症のタイミングなどを確認し、身体所見では腕の筋力や運動時の軋轢音をチェックします。画像検査でおもに用いられるのは、以下のとおりです。

  • ● X線
  • ● 超音波
  • ● MRI

X線では肩甲骨と上腕骨のすき間を確認でき、腱板を直接確認する場合は超音波やMRIが用いられます。

肩腱板損傷の治療内容

肩腱板損傷の治療は、大きく保存療法と手術療法の2つに分けられます。多くは保存療法から行い、以下のような方法で症状の改善を目指すのが基本です。

  • ● リハビリ(運動療法)
  • ● 薬物療法
  • ● 装具療法(スリング・三角巾)

薬物療法によって痛みをコントロールしつつ、リハビリを行い肩関節の機能を高め、身体機能の改善を図ります。

ただし、損傷した腱板は自然回復することはないとされており、保存療法はあくまで対症療法です。そのため、症状が強く修復・再建が必要な場合は手術による治療を検討する必要があるでしょう。手術では関節鏡を用いた低侵襲な腱板修復術が行われることが多く、損傷が広範囲の場合は人工関節が必要になることもあります。

肩腱板損傷のリハビリの流れ

肩腱板損傷のリハビリでは、状態にあわせて段階を踏みながら進めることが大切です。リハビリの流れとしては、大きく3つの時期に分けられます。

  • ● 急性期
  • ● 回復期
  • ● 維持期

炎症が強い急性期では、肩を無理して動かすと痛みが増すだけでなく、損傷が広がるリスクもあります。そのため、スリングや三角巾を用いて患部を安静にし、炎症を落ち着かせることを優先しましょう。

炎症が落ち着いてきた回復期では少しずつ肩の運動をはじめ、関節の動きを広げていきます。痛みがなくなってくる維持期では筋力強化とともにADL動作の獲得を目指し、問題なく生活を送れることを目指します。

肩腱板損傷のリハビリ内容

肩腱板損傷のリハビリ内容

腱板損傷のリハビリとしては、おもに以下があげられます。

  • ● 筋力トレーニング
  • ● 関節可動域訓練
  • ● 動作練習

ここでは、それぞれのリハビリ内容について詳しくみていきましょう。

筋力トレーニング

腱板損傷によって低下した肩の機能を改善するために、筋トレを行います。腱板の筋肉はインナーマッスルのため、比較的軽い負荷のトレーニングを繰り返すことがポイントです。代表的な筋トレ内容としては、以下のとおりです。

【振り子運動】

  1. 1. 立った状態で前かがみになる
  2. 2. 腕の力を抜き、下に垂らす
  3. 3. 身体を揺らして腕を前後左右に動かす
  4. 4. 痛みの出ない範囲で20回×2〜3セットを目安に行う
【テーブルでの運動】

  1. 1. テーブルの前に座る
  2. 2. テーブルにタオルを置き、その上に両手を伸ばして置く
  3. 3. 身体を前に倒してタオルを前方に滑らせる
  4. 4. 痛みの出ない範囲まで身体を前に倒したらもとに戻る
  5. 5. 3〜4の手順を10回×2〜3セットを目安に行う
【チューブトレーニング】

  1. 1. イスに座る
  2. 2. 両手でチューブを持つ
  3. 3. 両肘を曲げ、鍛えたい側の腕をゆっくり外旋する(反対側の腕は固定する)
  4. 4. できるだけ外旋したらゆっくりもとに戻る
  5. 5. 3〜4の手順を10回×2〜3セットを目安に行う

関節可動域訓練

肩の安静期間が長くなると、可動域が制限されやすくなります。その問題を改善するために、関節可動域訓練によって可動域の確保を目指します。初期段階では自身で動かすのが難しいケースも多いため、他動的に肩を動かしましょう。肩が動かせるようになったら、以下のような方法を行います。

【棒体操】

  1. 1. イスに座って両手で棒を持つ
  2. 2. 姿勢を伸ばした状態で両腕を上げる
  3. 3. 痛みの出ない範囲まで上げたらもとに戻る
  4. 4. 2〜3の手順を10回×2〜3セットを目安に行う
【壁を使った運動】

  1. 1. 壁の前に立つ
  2. 2. 肩と肘を90度ほど曲げて壁に手を添わせる
  3. 3. 手を壁につけながら腕の上げ下げをする
  4. 4. 2〜3の手順を10回×2〜3セットを目安に行う

動作練習

可動域と筋力がある程度回復してきたら、実際の生活場面に近い動きの練習をしましょう。着替えや荷物の持ち運びなどの動作を確認しながら、負担の少ない身体の使い方を身につけていきます。

スポーツへの復帰を目指す場合は投球動作や腕を振る動きなど、競技に特有の動作を確認してフォームの修正を図ります。このような動作の練習を行うことで、自宅での生活に戻っても肩の負担を軽減し、再発予防につながるのです。

肩腱板損傷のリハビリでの注意点

肩腱板損傷のリハビリでの注意点

腱板損傷のリハビリでは、いくつかの点に注意する必要があります。ここでは、どのような注意点があるのかについて解説します。

肩に負担をかけすぎない

リハビリ中は、肩に負担をかけすぎないように注意しましょう。肩に過度な負荷がかかり続けると損傷が広がり、症状が悪化する恐れがあります。特に、腱板が十分に治癒していない時期に気をつけたい動作は以下のとおりです。

  • ● 重いものを持ち上げる
  • ● 腕を頭より高く上げる
  • ● 衣服の着脱や荷物の持ち運びなどを頻繁にする

リハビリで身体機能の改善を進めつつ、こうした動作はなるべく避けましょう。また就寝時も同様で、横になったときに肘が肩より低い位置に下がると、肩関節に負担がかかりやすくなります。この対策として、クッションやタオルで肘と肩の高さをそろえるように調整することで、痛みの軽減が期待できます。

過度な安静を避ける

急性期では安静が優先である一方で、ずっと動かさないでいると廃用や可動域の制限につながります。そのため痛みの出ない範囲で肩を動かし、過度な安静を避けることが重要です。

少しずつでもよいので、肩を動かす習慣をつけておけば、回復期以降のリハビリがスムーズとなります。安静にすべき時期とリハビリを進める時期をきちんと見極めながら、段階的に機能改善を図りましょう。

肩腱板損傷の入院期間は?

肩腱板損傷の入院期間は、手術の有無によって大きく異なります。保存療法を選んだ場合、入院せずにそのまま自宅で過ごすケースも多いです。

手術を行う場合、入院期間は数週間〜1カ月程度を目安にするとよいでしょう。入院中はもちろん、退院後も必要に応じて通院しながらリハビリを行うことになります。具体的なスケジュールは患者さんによって異なるので、あらかじめその点を説明しておきましょう。

肩腱板損傷のリハビリについておさえておこう

腱板損傷は肩の筋腱の集まりである腱板が損傷した状態で、肩の痛みがおもな症状です。この疾患に対するリハビリ内容としては、筋トレや関節可動域訓練、動作練習などがあげられます。

リハビリの際は状態にあわせて行い、肩に負担をかけすぎないように注意することが大切です。ぜひ今回の記事を参考にして、腱板損傷のリハビリ内容についておさえておきましょう。

参考

日本整形外科学会|肩腱板断裂
兵庫医科大学病院|腱板断裂
霞ヶ浦医療センター|腱板断裂(けんばんだんれつ)

【監修者コメント】
肩腱板損傷は、単に「肩を動かせばよくなる」というものではなく、損傷の程度や痛みの時期に合わせて慎重に進める必要があります。特に急性期に無理をすると、痛みが長引いたり損傷を広げたりする可能性があるため注意が必要です。一方で、安静にしすぎると肩の動きが硬くなり、日常生活に支障が残ることもあります。大切なのは、痛みを確認しながら、関節可動域・筋力・生活動作を段階的に整えていくことです。不安が強い場合や夜間痛が続く場合は、自己判断せず医師や理学療法士に相談しましょう。
今よりさらに良い環境で働けるよう
キャリアドバイザーが全力でサポートします
\今すぐ1分で完了/

    <PR>マイナビコメディカル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  •  LINEで送る

他の記事も読む

おすすめ

TOPへ