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ワレンベルグ症候群のリハビリ|症状や原因、リハビリ中の注意点を解説

公開日:2026.07.23

ワレンベルグ症候群のリハビリ|症状や原因、リハビリ中の注意点を解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

ワレンベルグ症候群とはどんな疾患なのか、どのようなリハビリが行われるのか知りたい方もいるのではないでしょうか。この疾患は運動失調や感覚障害などのさまざまな症状が現れるのが特徴で、患者さんの状態にあわせたアプローチが重要です。

この記事では、ワレンベルグ症候群の症状や原因、リハビリ内容をご紹介します。疾患に対する知識を深めることで、より適切なリハビリを行えるようになるでしょう。

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ワレンベルグ症候群とは?

ワレンベルグ症候群とは、延髄外側の障害によって引き起こされる疾患のことです。ここでは、ワレンベルグ症候群の症状や原因について解説します。

ワレンベルグ症候群の症状

ワレンベルグ症候群によって引き起こされる症状は多岐にわたり、代表的なものとしては以下のとおりです。

  • ● めまい
  • ● 嚥下障害
  • ● 構音障害
  • ● 感覚障害
  • ● 小脳性失調

脳幹の一部である延髄外側には、身体のバランスや感覚などに関わっている神経が集まっています。その部位が損傷を受けると、日常生活に直結するさまざまな機能に影響が出やすくなるのです。リハビリを進める際は、まずどのような症状がどの程度の強さで出ているのかを正確に把握したうえでプログラムを組む必要があります。

ワレンベルグ症候群の原因

ワレンベルグ症候群が発症する主な原因は、延髄外側に血液を送る血管が障害されることです。延髄外側に十分な酸素や栄養が届かなくなることで、神経がダメージを受けてその部位に関わる機能が障害されます。

血流障害を引き起こす血管は、椎骨動脈や後下小脳動脈などの太い動脈です。これらの血管が詰まる要因としては、高血圧や糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化があげられます。一方で、比較的若い世代の方に多い原因として、血管の壁が剥がれる動脈解離があります。

ワレンベルグ症候群のリハビリを行う際の評価内容

ワレンベルグ症候群のリハビリを行う際の評価内容

ワレンベルグ症候群のリハビリをはじめる際は、多岐にわたる症状を評価することが重要です。具体的な評価項目としては、以下のとおりです。

  • ● 感覚検査
  • ● 筋力検査
  • ● 運動失調検査(SARA)
  • ● バランス検査(FBS等)
  • ● 嚥下機能検査

ワレンベルグ症候群の症状は、患者さんによって大きく異なる場合があります。そのため、これらの評価を定期的に行うことで、症状の変化を見逃さずに適切なプログラムの提供が可能になります。

ワレンベルグ症候群に対するリハビリ内容

ワレンベルグ症候群に対するリハビリ内容

ワレンベルグ症候群に対するリハビリ内容としては、以下があげられます。

  • ● 筋力トレーニング
  • ● バランス訓練
  • ● 感覚入力
  • ● 歩行練習
  • ● 嚥下訓練

ここでは、それぞれのリハビリ内容について詳しくみていきましょう。

筋力トレーニング

ワレンベルグ症候群ではめまいや運動失調などの症状によって活動量が低下しやすくなります。このような影響で生じる廃用症候群を予防するために、筋トレを行います。筋トレでは、患者さんの状態にあわせて適切な負荷で行うことが大切です。

たとえば、離床が難しい患者さんであればベッド上での足上げ運動や、座った状態での膝伸ばしなどを行います。立位を維持できる場合は、スクワットやかかと上げなどのより負荷の高いトレーニングを行います。これらの筋トレを継続しつつ、後述するバランス訓練や歩行練習などにつなげていきましょう。

バランス訓練

ワレンベルグ症候群では運動失調症状が現れるので、バランス能力が低下しやすいです。そのため、バランス訓練によってふらつきや転倒予防を目指します。具体的な内容としては、鏡を使って自分の姿勢を調整する練習や重心移動の練習などがあげられます。

ワレンベルグ症候群の患者さんは感覚障害によって姿勢が傾きやすくなる傾向にあるので、自分の目で見て修正する練習も重要です。これらの練習をまずは座位で行い、徐々に立位や不安定な環境などに移行することで、適切な難易度でバランス感覚を養えるでしょう。

感覚入力

感覚障害や運動失調などの改善のために、感覚入力も行われます。感覚入力によって外部から刺激を与えることで身体の状態を把握しやすくして、スムーズな動きを促します。

具体的な内容としては、手首や足首に重りを巻く方法や四肢の近位部に弾性包帯を巻く方法などです。これらによって身体に重みや圧迫を加えることで、筋肉や関節からの情報が脳に伝わりやすくなり、失調症状の改善が期待できます。

歩行練習

ADL改善のために、歩行練習も行います。ふらつきが強い状態からいきなり歩くのは転倒リスクがあるため、まずは安全を確保した環境で段階的に進めることが基本です。

具体的な練習の流れとしては、平行棒内での立ち上がりや立位保持からはじめ、徐々に介助下での歩行へと移行します。その後は改善度合いにあわせて歩行器や杖を使用した歩行につなげ、段差や悪路など、実際の生活場面を想定した応用的な練習も取り入れていきます。

嚥下訓練

誤嚥性肺炎を予防し、安全に食事を楽しむために嚥下訓練も行います。誤嚥は重い合併症につながる場合があるため、適切な評価を行ったうえで慎重に訓練を進めることが重要です。

訓練の内容は、まずは食べ物を使わない基礎的な練習から開始するのが一般的です。たとえば、喉の筋肉を鍛える運動や、冷たい刺激で飲み込みの反射を促すアイスマッサージなどがあげられます。食べ物を使用する際は、冷凍ゼリーのような固形物からはじめ、徐々に形態を調整していきます。

ワレンベルグ症候群のリハビリでの注意点

ワレンベルグ症候群のリハビリをする際は、いくつかの点に注意する必要があります。ここでは、おもな注意点について解説します。

転倒予防を心がける

ワレンベルグ症候群のリハビリを行う際は、転倒を予防するための安全確保を最優先に考えましょう。この疾患はめまいや運動失調などの症状が現れるので、ふらつきやすく転倒リスクが高くなります。

具体的な対策としては、常に手すりや平行棒などの支えがある環境でリハビリを行うことです。また立位での練習はもちろん、重症度によっては座っている状態でも転倒する可能性があるため、セラピストは常に手の届く範囲で見守る必要があります。環境面でも、足元に障害物がないか確認する、滑りにくい靴を着用するなどの配慮が必要です。

誤嚥しやすい姿勢を避ける

食事や訓練の場面では、誤嚥を引き起こしやすい姿勢を避け、安全にのみ込めるようにポジショニングを調整することが大切です。ワレンベルグ症候群では嚥下障害が起きやすく、バランス能力の低下で姿勢が崩れると更に誤嚥を引き起こしやすくなります。

誤嚥を防ぐ工夫として、ベッドや車イスのリクライニング調整、座位姿勢の見直しなどがあげられます。また、足が床に着いていないと体幹が安定しにくいので、イスの高さ調整なども確認しましょう。常に誤嚥のリスクを念頭に置き、一人ひとりの身体状況にあわせた姿勢を調整することで肺炎予防につながります。

ワレンベルグ症候群のリハビリ内容や注意点をおさえておこう

ワレンベルグ症候群は延髄外側の障害で、嚥下障害や運動失調などのさまざまな症状が現れるのが特徴です。リハビリではバランス訓練や歩行練習、感覚入力などを行って症状および身体機能の改善を図ります。

リハビリをする際は転倒を防ぐための環境調整を心掛け、誤嚥予防にも努めることが大切です。ぜひ今回の記事を参考にして、ワレンベルグ症候群のリハビリを実践してみましょう。

参考

医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.7 脳・神経. 2017.
藤島一郎. 耳鼻と臨床. 2009, 55(2), p.129-141.
小山内奈津美ほか. 日摂食嚥下リハ会誌. 2024, 28(3), p.176-182.

【監修者コメント】
ワレンベルグ症候群のリハビリでは、運動機能だけでなく、めまい・ふらつき・感覚障害・嚥下障害などを総合的に確認しながら進めることが大切です。特に転倒と誤嚥は、生活の質だけでなく生命にも関わるリスクになるため、無理に歩行練習や食事訓練を進めるべきではありません。症状の出方は人によって大きく異なります。見た目には動けそうに見えても、姿勢の傾きや飲み込みにくさが残っている場合もあります。医師・理学療法士・言語聴覚士などと連携し、安全を確認しながら段階的にリハビリを進めることが重要です。
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