椎間板ヘルニアのリハビリ内容は?部位ごとの症状やリハビリ中の注意点をご紹介
公開日:2026.07.24

文:内藤 かいせい(理学療法士)
椎間板ヘルニアのリハビリでは、どんなことが行われるのか知りたい方はいませんか?椎間板ヘルニアは発症部位によって症状が異なるため、その状態に応じたリハビリが重要です。
この記事では、椎間板ヘルニアのリハビリ内容や実施中の注意点をご紹介します。具体的なアプローチ方法を知ることで、患者さんに対して適切な介入が可能となるでしょう。
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目次
椎間板ヘルニアとは?おもな症状は?
椎間板ヘルニアとは、背骨を作っている椎体と椎体の間にある椎間板が潰れて突出してしまう疾患のことです。潰れた椎間板が神経を圧迫することで、さまざまな症状が現れるのが特徴です。椎間板ヘルニアは発症した部位によって症状が異なり、大きく「頸椎・胸椎・腰椎」に分けられます。
それぞれの発症部位のおもな症状は以下のとおりです。
- ● 頸椎:肩や腕のしびれ・痛み
- ● 胸椎:体幹や下肢のしびれ・痛み・排尿障害
- ● 腰椎:腰や下肢のしびれ・痛み・排尿障害
このように、脊椎の上部(頸椎)に近いほど上肢に、下部(腰椎)に近いほど下肢に症状が現れやすくなります。
椎間板ヘルニアの原因

椎間板ヘルニアの代表的な原因としては、以下があげられます。
- ● 加齢による椎間板の衰え
- ● 運動や姿勢による物理的な負担
これらの影響によって椎間板がもろくなり、変性・突出しやすくなるのです。物理的な負担としては、重いものを急に持ち上げる、中腰での作業を長時間続けるなどがあげられます。高齢の方に限らず、20〜30代の方でも、長期的な負荷などにより椎間板ヘルニアを発症することがあります。
椎間板ヘルニアの診断方法
椎間板ヘルニアの診断では、医師による診察と画像検査が行われるのが一般的です。診察ではどのような症状が現れているのかを聴取し、筋力や感覚などを確認します。必要に応じて徒手検査を行い、神経の圧迫具合を確認することもあるでしょう。
画像検査では、X線やMRIなどによって背骨や椎間板の状態を詳しく調べます。こうした多角的な診断によって椎間板ヘルニアの有無を判断し、その後の治療につなげます。
椎間板ヘルニアの治療内容

椎間板ヘルニアを発症した場合、まずは保存療法による治療が優先して行われます。保存療法の具体的な内容としては、以下のとおりです。
- ● 安静
- ● 薬物療法
- ● 装具療法(コルセット)
- ● リハビリ
安静や薬物療法によって痛みのコントロールを図りつつ、コルセットで背骨を固定して患部に負担をかけないようにします。痛みが落ち着いた段階でリハビリを行い、痛みおよび身体機能の改善を図ります。
保存療法で効果が見込めない場合に行われるのが、手術による治療です。手術では、症状や術式に応じて背骨の一部を処置し、突出した椎間板の一部を摘出するなどして、症状の改善を目指します。
椎間板ヘルニアのリハビリの流れ
椎間板ヘルニアのリハビリは、発症時期によって以下の3つの段階に分けて進めます。
- ● 急性期
- ● 回復期
- ● 維持期
リハビリの流れとして、まず発症直後の急性期では痛みを落ち着かせることが最優先です。そのため、この時期は無理な運動を避け、患部に負担をかけない範囲で身体を動かします。
痛みが引いてくる回復期では、筋トレや歩行などの本格的なリハビリを実施します。更に、痛みがほぼなくなった維持期では運動を習慣化させるとともに、姿勢や動作を見直して再発予防に努めることが大切です。
椎間板ヘルニアのリハビリ内容

椎間板ヘルニアの具体的なリハビリ内容としては、以下があげられます。
- ● 筋力トレーニング
- ● 関節可動域訓練
- ● 物理療法
- ● 有酸素運動
- ● 姿勢改善
ここでは、それぞれのリハビリ内容について詳しくみていきましょう。
筋力トレーニング
背骨にかかる負担を軽減するために、体幹を中心としたトレーニングを行います。具体的な体幹のトレーニングとしては、以下があげられます。
- 1. あお向けになって両膝を立てる
- 2. 息を吸う
- 3. おなかをへこませるように力を入れる
- 4. 口でゆっくり息を吐く
- 5. 息を吐ききったら、再び息を吸う
- 6. 3〜5の手順を10回×2〜3セットを目安に行う
- 1. あお向けになって両膝を立てる
- 2. 両膝をつけたままお尻を上げる
- 3. 上半身と太ももが一直線になるまでお尻を上げる
- 4. ゆっくりとお尻を下げる
- 5. 2〜4の手順を20回×2〜3セットを目安に行う
- 1. うつぶせになる
- 2. 両手を床につけてゆっくりと上体を起こす
- 3. 両肘を伸ばして腰を反らせる
- 4. 痛みの出ない範囲で反らせた上体を3秒ほどキープする
- 5. もとに戻る
- 6. 2〜4の手順を10回行う
関節可動域訓練
椎間板ヘルニアの治療期間中は体幹周囲の関節が固まりやすいため、その予防として行うのが関節可動域訓練です。急性期は、背骨の動きで症状が強まる場合があるため、状態に応じて股関節や肩関節など、背骨に負担が少ない範囲の柔軟性維持を図ります。痛みが落ち着いてきたら、以下のような方法で背骨の柔軟性改善に努めます。
- 1. あおむけになる
- 2. 両膝を曲げて両手で抱える
- 3. 両膝を胸に近づける
- 4. 痛みのない範囲まで近づける
- 5. 20秒ほどキープしたらもとに戻る
- 1. 立った状態で両手を腰に添える
- 2. 膝を伸ばして上体を後ろに反らす
- 3. 痛みのない範囲で後ろに反らした上体をキープする
- 4. 20秒ほどキープしたらもとに戻る
物理療法
椎間板ヘルニアの症状改善のために、物理療法を行うケースもあります。物理療法では、以下の方法が行われることが多いです。
- ● 温熱療法
- ● 寒冷療法
- ● 牽引療法
温熱療法は患部を温め、血流を促すことで筋緊張や痛みの緩和が期待できます。急性期やリハビリ後に痛みが出る場合、寒冷療法によって血流をおさえ、炎症の抑制を図ります。専用の機械で腰を引っ張る牽引療法では、脊椎にかかる圧を減らして神経への圧迫を緩め、痛みを軽減することが主な目的です。
有酸素運動
有酸素運動では、関節の柔軟性の維持や体力低下の予防などの効果が期待できます。リハビリで行う場合、トレッドミルを使用したウォーキングやエルゴメーターなどの方法があげられます。
有酸素運動を行う際は、まずは短い時間からスタートし、痛みが出ないか確認しながら段階的に距離や時間を伸ばしていきましょう。また退院後もウォーキングをはじめとした有酸素運動を継続できれば、健康的な身体の維持につながります。
姿勢改善
椎間板ヘルニアの原因には不良姿勢によるものも多いので、姿勢改善の指導を行います。姿勢を見直すことで背骨にかかる負担を軽減し、症状の悪化を予防できます。
例として、スマートフォンやパソコンを操作する際は首や背中が曲がりやすいため、意識的に背筋を伸ばした姿勢を保つようにしましょう。また重い荷物を持つときは膝を曲げて、腰を落としてから持ち上げると背中に負担がかかりにくくなります。
椎間板ヘルニアのリハビリをする際の注意点

椎間板ヘルニアのリハビリをする際は、いくつかの点に注意する必要があります。ここでは、具体的な注意点について解説します。
痛みが強い運動を避ける
リハビリに取り組む際は、強い痛みを感じるような運動は避けましょう。痛みを我慢して無理に身体を動かすと、症状が悪化して回復を遅らせる原因となります。
特に急性期は痛みが出やすいので、患者さんの状態をよく確認しながら慎重にリハビリを進める必要があります。負担が強くならないよう、強度を柔軟に調整しながらリハビリを実施しましょう。
背中を大きく曲げる・捻る動作を避ける
椎間板ヘルニアの症状が強いときは、背中を大きく丸めたり腰を強くひねったりする動作は避けましょう。これらの動きは椎間板への圧力を高め、症状を悪化させる原因となります。
リハビリはもちろん、日常生活でも十分に注意する必要があります。リスクとなる場面として、床にある重い物を拾うときに腰を深く曲げる、振り向く際に身体をひねるなどです。患者さんに対してもその注意点について説明し、なるべくリスクを回避できるように指導するとよいでしょう。
椎間板ヘルニアのリハビリを実践してみよう
椎間板ヘルニアは椎間板が潰れてしまう疾患で、手足のしびれや痛みなどの症状が現れます。この疾患は発症時期によって状態が変わるため、段階に応じたリハビリが重要です。
おもなリハビリには、筋トレや関節可動域訓練、有酸素運動などがあげられます。ぜひ今回の記事を参考にして、椎間板ヘルニアのリハビリを実践してみましょう。
参考
日本整形外科学会|腰椎椎間板ヘルニア
慶應義塾大学病院|腰椎椎間板ヘルニア
日本脊髄外科学会|腰椎椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアのリハビリでは、「どの運動をするか」だけでなく、「いまの症状に合っているか」を見極めることがとても重要です。腰を反らす運動で楽になる方もいれば、反対に症状が強くなる方もいます。しびれや痛みが脚に広がる、力が入りにくい、排尿・排便の異常がある場合は、自己判断で運動を続けず、早めに医師へ相談してください。痛みを我慢して鍛えるのではなく、神経への負担を減らしながら、姿勢・体幹機能・日常動作を段階的に整えていくことが大切です。
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