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理学療法士の就職先と選び方~働く場所の割合と病院以外の選択肢~

公開日:2021.03.02 更新日:2022.12.14

理学療法士の就職先・働く場所は?後悔しない職場の選び方

文:rana(理学療法士)

理学療法士の就職先は、病院や介護施設をはじめ、スポーツ分野、教育機関など多岐にわたります。選択肢が多いため、自分がどこで働くのがよいのか迷う人もいるかもしれません。

就職後・転職後に後悔しないためには、就職先の特徴を捉え、長期的な目標をしっかりと持つことが大切です。今回は、理学療法士の就職先の特徴や選ぶ際のポイントについて、実体験を交えながら紹介します。

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理学療法士の就職先の割合、それぞれの特徴と役割

理学療法士が活躍するおもな就職先とその特徴について見ていきましょう。

(1)病院(急性期/回復期/療養型)

理学療法士の就職先としてもっとも多いのは病院です。日本理学療法士協会によると、2020年3月末現在で、会員数125,372人のうち病院勤務者は72,551人。
理学療法士のおもな就職先
つまり会員の6割近くが病院に所属していることになります。病院はリハビリ対象者の違いによって、おもに以下の3つに分けられます。

1. 急性期病院
<対象:病気発症直後や、手術後間もない人>
急性期病院での業務は、積極的にリハビリを行うというより、リスク管理を徹底しながら早期離床を促していくような内容が中心です。急性期病院は患者の回転率が高いため、理学療法士は短い期間でいかに最適なリハビリを行えるかどうかが問われます。

2. 回復期病院
<対象:急性期病院をへて、状態が安定してきた人>
退院に向けて長時間の集中的なリハビリを行うため、患者の回復していく様子を実感しやすいという特徴があります。

理学療法士はリハビリだけでなく、退院に向けての家屋調査や福祉用具選定、介護サービスの調整などもサポートします。回復期病院は、急性期病院と比べて所属している理学療法士数が多い傾向があり、さまざまな人の考え方や知識を学ぶことができるでしょう。

3. 療養型病院
<対象:長期的な治療や療養が必要な人や、介護を要する人>
対象の多くは高齢者です。積極的な回復をめざすというより、いまの状態を維持して穏やかな療養生活を送れることがリハビリのおもな目的です。

ひとりの患者と長い期間かかわりをもつことが多く、ターミナルケアをする場合もあります。

(2)介護老人保健施設

<対象:介護認定を受けている高齢者>
さまざまな施設がありますが、基本的に、在宅復帰をめざすことを目標としたリハビリを行います。そのため、ケアマネジャーやソーシャルワーカーなどの他職種と連携をとる機会も多いのが特徴です。

(3)クリニック(診療所)

<対象:小児から高齢者まで年齢層は幅広く、おもに痛みや機能障害・運動器疾患を有する人>
クリニックで働く理学療法士は、病院に次いで2番目に多い在籍数となっています(日本理学療法士協会会員数125,372人のうち9,665人)。理学療法士が働くクリニックのほとんどは整形外科です。1日に診る患者の数も多く、短い時間で評価、治療をこなしていく能力が求められます。

(4)通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション

<対象:介護認定を受けている高齢者>
大幅な回復をめざすというよりも、現在の生活レベルを維持できるようにリハビリを進めるのが特徴です。また、通所介護(デイサービス)には知的発達障がい児を対象とする「放課後等デイサービス」もあります。児童の身体能力を評価したり、脳の機能回復、発達能力をサポートしたりするリハビリが、理学療法士のおもな仕事内容です。

(5)訪問リハビリテーション

<対象:介護認定を受けている高齢者が中心>
訪問リハビリテーションは、対象の自宅へ訪問をしてリハビリを行います。通院が困難で、介護が必要な人や活動性が低い人がおもな対象です。基本的にひとりで訪問することになるため、リスク管理や急なトラブルにも対処できる能力が求められるでしょう。

(6)養成校の講師

理学療法士養成校の講師として、授業を受け持ったり、進路指導を行ったりします。生徒や親からの相談対応、実習地訪問、国家試験対策、学校見学対応など、臨床とは違った仕事が多くあるのが特徴です。

理学療法士としてのスキルだけでなく、指導能力や幅広い郊外活動も求められるでしょう。

(7)スポーツ分野

<対象:アスリート、スポーツ選手>
スポーツチームに帯同して、選手のけがの処置やコンディショニングを行います。なかには、Jリーグやプロ野球チームと契約をして第一線で活躍する理学療法士もいます。病院や介護施設と比べて求人数が少なく狭き門ですが、一流選手から必要とされる非常にやりがいのある分野といえるでしょう。

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今後の理学療法士の需要が伸びてくる就職先は?

理学療法士の就職先・働く場所は?後悔しない職場の選び方
近年、ますます高齢化が進み、2025年には団塊の世代が後期高齢者に達することから、医療や介護においてさらなる負担がかかることが懸念されています。

今後、医療や介護の業界では、いかに健康で長生きできるかを考えた対応が求められるでしょう。それにともない、理学療法士には、介護予防分野での需要がさらに高まることが予想されます。今後は高齢者向けデイケアや訪問リハビリテーションなどの就職件数が伸びていく可能性が考えられるでしょう。

開業する理学療法士も増えている

最近では自費の整体院、セミナー運営会社、デイサービス立ち上げなど、独立開業する理学療法士も増えています。成功するのは簡単ではありませんが、うまくいけば高収入を得ることもできるでしょう。

しかし、本来、理学療法士には治療家としての開業権がなく、医師の指示なしに理学療法を提供することはできません。整体院を開くとしても、保険診療ではなく自費診療になります。治療金額に見合ったサービスでないと集客は見込めないので、継続していくことはけっして容易ではありません。

治療以外の分野で開業する場合も、経営力が問われます。独立開業はリスクも多いため、それなりの覚悟が必要あることを念頭に置いておきましょう。

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自分に合った就職先や働く場所を選ぶポイント

理学療法士の就職先・働く場所は?後悔しない職場の選び方
理学療法士の就職先は多岐にわたります。そのなかから、自分に合った職場を選ぶにはどうすればよいのでしょか。経験談を踏まえてポイントをお伝えします。

①どのような人を対象にリハビリをしたいのかを明確に

自分が興味ある分野を見きわめるには、対象を考えておくことも大切です。私はもともと整形疾患に興味があり、多くの症例経験を積むために、最初は病床数の多い病院に勤めました。

しかし、興味のあった運動器疾患やスポーツ障害のリハビリをする機会がほとんどなかったため、モチベーションを保つことが難しく、転職をした経緯があります。

②目先だけで考えず、将来を見すえる

家から近い、残業が少ない、初任給が高いといった条件で仕事を選ぶこともあるでしょう。しかし、目先の好条件だけで就職先を選んでしまうと、将来を見すえたときにうまくいかない場合があります。好条件で就職したクリニックが、院長が高齢者であったため数年後に閉院してしまったケースもあるのです。

また、初任給は高くても、昇給が少ないという場合もありえます。キャリアプランを考えながら、長期的な視点で就職先を選びましょう。

③自分がやりたいこと、得意なことを生かせるか

就職先の上司や経営者の方針で、治療手技や概念に制限がある場合があります。例えば、自身がテーピングやインソールを得意としていても、施設の方針でそうした方法を選択できない可能性もあるでしょう。

また医師の方針で、特定の徒手療法しか用いてはいけないとする施設もあります。やりたいことができないと、モチベーションを保つことが難しく、早期離職につながりかねません。就職先の治療方針を事前に把握しておくことが大切です。

④給与や待遇面はしっかりチェック

給料や待遇は就職先を決めるうえで重要な要素になります。自分が満足できる収入をもらえることは、大きなモチベーションになるでしょう。また、手当や加入保険、退職金の有無によっても収入は変わってきます。事前にしっかりとチェックしておきましょう。

>>【毎月更新】理学療法士(PT)の転職市場・求人動向を見てみる

理学療法士の就職先は目的をしっかり持って決めることが大切

理学療法士の就職先は多岐にわたり、施設によって特色や条件もさまざまです。自分に合った就職先を選ぶためには、就職先の特徴をとらえること、長期的な目標をしっかりと持つことが大切です。

また、これだけはゆずれないという優先ポイントを絞っておくと、希望に合った就職先を見つけやすくなります。自分らしく活躍できる就職先を探すためにも、まずはキャリアプランを考えるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

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参考

rana

rana

理学療法士
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。

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