ブランクありのセラピストが復職・再就職を成功させるポイント
公開日:2021.04.12
セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)として働き続けたいと思っていても、出産や育児、体調不良などにより、どうしても休職せざるを得ない場合があります。
その後、状況が落ち着き、復職を考えるころに気になるのが「ブランクによる不安」でしょう。今回はブランクのあるリハビリ職(PT・OT・ST)が復職や再就職を成功させるためのポイントについて解説します。
退職理由から復職・再就職に対する不安の原因を考えよう
セラピスト(PT・OT・ST)としてのキャリアを考えたとき、誰しも好んでブランクを作りたいわけではありません。さまざまな理由から退職し、ブランクが生じてしまうと、復職に対して何かと不安を感じるものです。
まずはセラピストのおもな退職理由を見て、自分がなにに不安を感じているかを考えてみましょう。
①結婚・出産・育児といった家庭の事情
女性のリハビリセラピストに多いのが結婚・出産・育児を理由にした退職です。妊娠中の産休から子どもがある程度大きくなるまでの育休として、1~3年程度、ブランクができることがあります。
②病気や怪我といった体調不良
持病や怪我の悪化により、治療・療養のため、やむを得ず退職するケースもあります。また、ストレスによる精神的な不調から退職する場合もあるでしょう。
特に経験年数が短い、若い世代はその傾向が強いかもしれません。
③職場への不満によるもの
退職理由としてよく見られるのが「職場への不満」です。不満といっても状況はさまざまで、待遇面、上司からのパワハラといった上下関係のストレス、人間関係の問題など、人によって異なります。
職場環境を変えたいという思いから退職に至り、そのままブランクになってしまうケースも。
前の職場に不満があって退職した場合は、また同じようなことにならないかと考えてしまうこともあるでしょう。復職にあたり、自分に合った職場選びで時間がかかってしまうケースもあります。
ブランク明けの復職を成功させる職場選びのポイント
不安を感じる要素はいくつかありますが、復職を決めたからには、できるだけ自分に合った働き方を選びたいところです。その際、チェックすべきポイントとなるのが、今のライフスタイルに合った職場かどうか。
復職を成功させる職場選びのポイントについて、退職理由別に見てみましょう。
出産・育児によるブランクから復職する場合
出産・育児からの復職では、働きやすさを重視して職場を選ぶことが大切です。事前に休日・勤務時間・残業の有無などを確認し、仕事と家庭の両立ができる働き方を目指しましょう。
特に子どもが小さいうちには、何かとイベントが発生し、急遽休まなければならないことも考えられます。そうした状況を考慮すると、セラピスト数が多く、急な休みにもフォローが得られやすい回復期病院が良いかもしれません。ただし、回復期病院は年中無休でリハビリを行っている場合も多いため、事前に希望休が取れるかどうかチェックするのがおすすめです。
またママセラピストが多い職場は、子育て中の急な事情にも理解を得られやすいため、面接などで確認してみるのもよいでしょう。
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病気や怪我によるブランクから復職する場合
病気や怪我によるブランクから復職する場合は、無理なく働けるように慣れた分野で職場を選びましょう。
経験のない分野に復職すると、慣れるまでに時間がかかり心身ともに疲弊してしまう可能性があります。また、体力面を考慮すると、移乗介助や動作訓練を必要とする介護度の高い患者さんが多い職場も避けた方が良いかもしれません。
自分の身体状況を考慮して、心身への負担が少ない職場を選ぶことが大切です。
肉体的な負担だけを考慮すると、おすすめなのは「クリニック」への勤務です。比較的自立度が高い患者さんが多く、動作介助をする機会はあまりありません。
ただしクリニックは終業時間が遅いケースが多いため、ライフスタイルに合っているかどうかを考える必要があります。
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前職への不満による退職から復職する場合
前の職場への不満が原因で退職し、そのままブランクができたケースでは「前職の不満要素を解消できるような職場」を探さなければなりません。
給料が安かった→月給・年収が高い求人
有休が取りづらかった→有給が取りやすい職場環境
やりたい治療ができなかった→やりたい治療ができる職場
ただし、複数の条件がある場合、優先すべきポイントを見極めなければいけません。
給料が良かったから、家が近いからといった目先だけの条件で決めずに、自分が譲れないポイントをしっかりと絞ることが大切です。
ブランクは必ずしもマイナスな要素ではない
一般的にブランクがあることは、マイナスイメージに捉えられがちです。しかし、セラピストの場合、必ずしもそうとは言えません。
というのも、たとえブランクがあっても、経験者を採用したいという職場も多く、新人や若手セラピストよりも優遇されるケースもあるからです。
しばらく最新の臨床に携わっていなかったとしても、リハビリの基本的な方向性や考え方は、短期間で大きく変わることはありません。過去の経験は、しっかり生きています。復職直後は不安が大きいかもしれませんが、続けるうちに勘を取り戻せるはずです。
ブランクへの不安を抱え込みすぎず、以前の経験を思い出しながら復帰を成功させましょう。
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理学療法士として総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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