理学療法士に向いている人とは?現役PTが考える適性とその理由
公開日:2021.07.28
文:rana(理学療法士)
これから理学療法士を目指すにあたり、「自分は理学療法士に向いているのだろうか」「仕事が合わなかったらどうしよう」といった不安を抱えてはいませんか?
理学療法士は専門的な知識や技術を生かしながら、患者さんや医療スタッフをはじめ、多くの人と関わる仕事です。求められるスキルも多く、人によって向き不向きがあると感じるかもしれません。今回は、理学療法士に向いている人の特徴について紹介しましょう。
筆者は専門学校(養成校)を卒業後、総合病院を経て、現在は整形外科クリニックで勤務している13年目の理学療法士です。これまでの自身の経験と、関わってきた同僚のケースから具体的な特徴をお伝えします。
理学療法士に向いている人は?5つの適性を解説
理学療法士はさまざまな理由でリハビリを必要としている人に対して、立つ・歩くといった基本動作能力の回復を促すリハビリの専門家です。体や動作の問題点を抽出し、その人の心情や生活環境を考慮した上でリハビリプログラムを立て、患者さんと関わります。
理学療法士としての知識や技術だけでなく、人と関わる対応力も求められることから、「向き・不向き」がある仕事といえます。
改めてどんなタイプが理学療法士に向いているかを見てみましょう。
・コミュニケーション能力が高い人
・忍耐力のある人
・健康的な人
・臨機応変に対応できる人
追求心がある人
理学療法士は「資格を取得すれば終わり」ではなく、常に新しい知見を勉強する姿勢が求められます。リハビリに関係する医学的な知見は日々進歩しており、患者さんのリハビリを効率よく進めるためには、多くの知識・技術を身につけた上で、さらに常に新たな知見に触れ自身の知識を更新し続けること必要です。
そのため、最新の医療情報や治療法などについて、探求心を持って学び続けられる人は、理学療法士に向いているといえます。
逆に、追求心がなく、いつも同じメニューのリハビリを行っていれば良い感じる人や、新しい知見を追求し続けるのはめんどうだと感じてしまう場合には、理学療法士には向いていないでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
理学療法士は患者さんと一対一で関わり、信頼関係を築きながらリハビリを進めることになります。そのため、患者さんの話を聞き、適切な対応ができるコミュニケーション能力が必要です。たとえ、豊富な知識や技術があっても、コミュニケーション能力が低ければ、患者さんと信頼関係を築いていくのは難しいでしょう。
また、患者さんだけでなく、家族や他の医療スタッフとの関わりもあり、さまざまなシーンでコミュニケーション能力が求められます。
忍耐力のある人
忍耐力がある人も、理学療法士に向いているといえます。リハビリは単発で終わるものではなく、ある程度の期間を通して患者さんと関わります。なかには思うように回復しなかったリ、変化が得られにくかったりすることもあるでしょう。そんな時に求められるのが、根気強く患者さんと向き合っていく忍耐力なのです。
健康的な人
理学療法士は患者さんの身体面を改善するためにリハビリを提供する役割があり、体力的な負担がかかる場合があります。そのため、提供する側も健康的であることが理想です。
不摂生な生活を送っていたり、健康に気を配っていなかったりする理学療法士からリハビリを受けても説得力がなく、患者さんとの信頼関係も築きにくいでしょう。自身の健康管理について高い意識があることも、良い理学療法士になる条件といえます。
臨機応変に対応できる人
患者さんの状態は日々変化し、毎回同じとは限りません。時には思いもよらないアクシデントや想定外の出来事が生じることもあるでしょう。
そんな時に求められるのは、状況に応じて臨機応変に対応できる能力です。
就職先(働く場所)別に紹介!理学療法士に求められる適性
理学療法士の働く分野は、病院やクリニックなどの医療分野と、老人保健施設やデイサービスなどの介護分野に大別されます。それぞれ特徴が異なり、求められる適性も違います。主な分野別の適性についてまとめました。
病院
病院では脳血管、運動器、呼吸器、循環器など、さまざまな症例を担当するため、幅広い知識が求められます。
また、リハビリスタッフの数が多く、医師や看護師など多職種とも関わります。連携をとる機会が多いことから、幅広い患者さんを対応できる能力と、コミュニケーション能力がある人は適性があると言えます。
整形外科クリニック
整形外科クリニックでは、理学療法士が担当する患者数が多く、短い時間でリハビリを行うケースが多く見られます。そのため、短時間で評価・治療を手際よくこなしていく能力が求められます。
またリハビリ対象は運動器疾患の人がほとんどで、運動器に特化した知識・技術があるとより適性が高いと言えるでしょう。
老人保健施設
老人保健施設では、高齢者が主な対象で、慢性疾患や加齢で動作に支障がある人にリハビリを行います。回復期病院や若い人とは違い、急激に回復するというよりも、現状を維持することに着目する場合がほとんどです。
そのため、他施設と比べて、根気強く関わるための忍耐力がある人は、適性があります。
訪問リハビリ
訪問リハビリは、基本的に一人で対象者の自宅へ直接訪問して、リハビリを行います。何か問題が生じたとしても、一人で対応しなければなりません。
臨機応変に対応する能力がより求められる職場といえるでしょう。
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「理学療法士に向いていないかも」と思ったら
上述したように、理学療法士に向いている人には特徴があり、場合によっては、自分が向いていないのではないかと不安に思うこともあるでしょう。ですが、それは経験がまだ浅いだけであって、成長していくにつれて克服できる要素かもしれません。
私は理学療法士になり十数年経ち、今では自分に自信を持てるようになりました。しかし、初めからそうだったわけではありません。新人の頃は、患者さんの質問に上手く答えられなかったリ、多職種の人とコミュニケーションをとったりすることが苦手でした。また、モチベーションにも波があり、常に追求心を持って勉強に励んできたわけではありません。
ですが、経験を重ねて成長するにつれ、自信を持って患者さんや多職種に自分の意見を伝えられるようになった経緯があります。理学療法についても、経験を重ねるごとに理解・興味が深まり、それに伴い追求心が高まっていることを実感しています。
向き不向きは、全て最初から決まっているものではなく、経験を重ねて変えられることもあります。
急いで結論を出すのではなく、長い目で見ながら、自分の適性を考えてみても良いかもしれません。
自分が理学療法士として働きたいという気持ちが大切
性格や人間性を大きく変えることは難しいものです。しかし、経験を重ねて成長するうちに、考え方も変化します。最初は理学療法士に向いていないように感じても、克服できることが増えるかもしれません。
大切なのは、自分が理学療法士として働き続けたいという強い気持ちではないでしょうか。先入観で向き・不向きを決定するのではなく、長期的な視野で自分を見つめながら、将来の道を切り開いてみませんか。
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rana
理学療法士
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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