BCAAの効果とは?プロテインとの違いとおすすめの飲み方【管理栄養士執筆】
公開日:2021.10.18 更新日:2023.09.04

文:篠塚 明日香
(管理栄養士・分子栄養学カウンセラー)
リハビリテーションを効果的に行ううえで、同時に介入したいのが栄養ケアです。特に高齢者の場合は栄養状態をしっかり評価してから行わないと、逆に筋肉を減らすことになりかねません。
リハビリテーションの効果を、適切かつ効率的に上げるためのひとつの方法として、BCAA(分枝鎖アミノ酸)の摂取がもたらす筋肉への効果と、理想的な摂取方法を見ていきます。
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目次
BCAAの効果とは?筋肉への影響について

筋肉というのはたんぱく質でできており、そのたんぱく質はアミノ酸の集合体です。アミノ酸がたくさん集まってできているのがタンパク質ですから、体内での働きということを前提に考えれば、たんぱく質でもアミノ酸でも最終的には同じことです。さらに、アミノ酸には種類がありそれぞれ異なる働きがあります。
今回の主題であるBCAA(Brenched Chain Amino Acid)は、必須アミノ酸に分類されるイソロイシン、ロイシン、バリンの3つを指し、分岐鎖アミノ酸といわれることもあります。
BCAAは筋肉を構成しているアミノ酸の30~40%を占めており、筋肉の合成や、筋肉損傷抑制などの働きがあります。実際にBCAAを取り入れた際の運動は、取り入れていない場合と比較して、筋肉増量効果、疲労感や筋肉痛を抑制する効果があるとの報告があります。
プロテインとBCAAの違い
筋肉量を増やしたいときに、よく活用される補助食品はプロテインやBCAAです。どちらも筋肉を増やす効果が期待できますが、体内で利用されるときの性質が少し異なります。
プロテインの性質
プロテインは、基本的にはたんぱく質と同じものです。牛乳や大豆といった材料から、たんぱく質を取り出してつくっているため、効率的にたんぱく質を補うことができます。また、人体に必要な20種類のアミノ酸をすべて含むよう、バランスよく調整されているものが主流です。
たんぱく質は、消化される過程において、「たんぱく質→ペプチド→アミノ酸」となり腸から吸収されます。そのため、吸収が穏やかで血液中のアミノ酸濃度をゆっくりと高めるので、筋合成や体の修復などの効果に持続性があります。
BCAAの性質
一方、BCAAはアミノ酸ですので、消化の手間が省けて素早く吸収されて血液中の濃度がすぐに上昇しやすく、効果に即効性があります。しかし、血液中の濃度が低下するのも早いため、たんぱく質と比較すると筋合成や体の修復効果などの持続性が低いという懸念があります。
| 吸収 | 特徴 | |
|---|---|---|
| プロテイン | 穏やか | 筋合成や体の修復などの効果に持続性がある |
| BCAA | 消化の手間がなく素早く吸収される | たんぱく質と比較すると筋合成や体の修復効果などの持続性が低い |
プロテインとBCAA、どちらもそれぞれメリットがありますが、消化力の弱い高齢者の場合は、消化負担のないアミノ酸を中心に使うといいでしょう。
BCAAを飲むときに確認しておきたいこと

筋肉を増やしたいときに、BCAAを追加するだけでは不十分な場合もあります。アミノ酸は20種のどれかひとつが欠けても、必要なたんぱく質が合成できません。
つまり、たんぱく質が不足しておりアミノ酸20種類がバランスよくとれていない状態でBCAAだけを飲んでも、BCAAは他の場所、例えば消化液やホルモンの合成などに使われてしまう可能性があり、筋肉合成にうまく回らないのです。
これは、BCAAが筋肉以外でも使われるために起こる現象ですが、BCAAを筋合成に使いたい場合、普段からたんぱく質を摂取しておき20種類のアミノ酸を充足させておきましょう。
また、先述したように摂取カロリー不足や貯蓄エネルギー不足があると、筋肉を分解してエネルギーをつくろうとするため、普段のエネルギー摂取状況や、現在の栄養状態などをしっかり確認しておくことは大切なことです。
BCAAはいつ飲むべき?理想はリハビリの約30分前
筋肉を増やすために十分なエネルギーやたんぱくの確保ができていたら、いよいよBCAAの出番です。たんぱく質とアミノ酸の違いを理解したあとはさらに効果的な飲み方を意識しましょう。
BCAAは即効性があるため飲むタイミングも大切なポイントです。理想的なのは、運動(リハビリテーション)の約30分前。このタイミングで飲むことで、運動のスタート時にまでに血液中のアミノ酸の量を十分に高めることができます。
BCAAの量は1回の運動につき2g以上摂取すると、血液中の濃度を高めて効果的に筋肉を増やすことができるとされています。一度にたくさん飲めない高齢者の場合は、BCAAの入ったドリンクを少しずつ飲みながら運動する方法もおすすめです。
また、運動しない日でもBCAAの摂取を心掛けましょう。体は常に筋肉の分解と合成を繰り返していますから、普段からBCAAを摂取することで筋肉分解を抑えることができます。
リハビリと栄養はセットで考える
リハビリテーションにおいて筋肉増強運動は重要な治療のひとつですが、対象者が低栄養状態のまま運動を行うと、かえって筋肉の廃用を進めるという弊害があります。その理由は「摂取カロリーが低く貯蓄エネルギーが少ない体だと、筋肉を分解してエネルギーを得ようとするため」です。
また、筋肉量を維持して廃用を予防するために必要なたんぱく質摂取量は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」にて、適正体重1Kgあたり1g以上が推奨されています。体重50kgなら、たんぱく質50g以上が1日の食事からの摂取量の目安ということになります。
つまり、十分なカロリーやたんぱく質の摂取を確保してからリハビリテーションを行うことが、とても重要になるというわけです。
参考リンク
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(厚生労働省)
BCAAサプリメントの選び方は対象者にあわせて
基本的にはどのサプリメントでもアミノ酸自体の効果は同じですので、味や価格、形状などの好みや用途に合わせて選んでいいと思います。
ただ、BCAAそのものは味が苦いという特徴を持っています。
パウダータイプの場合、甘味料を入れて飲みやすくしているものが多いので、スポーツドリンクに溶かすことでより美味しく飲むことができます。
一方でカプセルやタブレットタイプは、胃で溶解して吸収されるまでに少し時間を要しますが、パウダーに比べて飲み込みが楽だと感じる人も多いようです。
BCAAは、運動する際に継続的に摂取することで少しずつ効果が出ますので、対象者が飲みやすく無理なく続けられるサプリメントを選んでください。
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篠塚 明日香
管理栄養士・分子栄養学カウンセラー
1977年、茨城県に生まれる。管理栄養士、分子栄養学カウンセラー。東京家政大学短期学部栄養科卒業後、老人介護保健施設での給食管理の実務を経て管理栄養士となる。
現在は、フリーランスとして分子栄養学のセミナー開催やエステサロンでのダイエット指導、企業商品の考案などにも携わる。
所属:合同会社スリップストリーム
プロフィール写真:櫻井健司
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