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機能訓練指導員はきつい?辛いと感じる点ややりがいを現役OTが解説

公開日:2022.02.06 更新日:2024.01.19

機能訓練指導員とは?やりがいやキツいと感じる点を現役OTが解説

文:宮木 美智香
(作業療法士、福祉住環境コーディネーター)

私は作業療法士として現場に出て、早14年になります。

急性期、回復期、生活期などの病院やクリニック、訪問リハビリなどさまざまな経験を経て、現在は有料老人ホームで機能訓練指導員として働いています。今回は、機能訓練指導員の仕事内容やきつい・大変と思うこと、やりがいなどを書かせていただきますので、参考にしていただけると幸いです。

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そもそも機能訓練指導員とは?資格ではなく人員の1つ

機能訓練指導員は介護保険法で定められた人員の1つで、機能訓練指導員という資格があるわけではありません。

機能訓練指導員が働く場所としては、デイサービスや特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの介護福祉施設や介護療養型医療施設、病院併設型リハビリステーション、介護老人保健施設などの医療施設です。

介護支援専門員(ケアマネジャー)の作成するケアプランに基づいて、利用者の日常生活の向上を目的に医師の助言や他職種の意見を取り入れながら、利用者に適切な機能訓練や日常生活訓練、趣味余暇活動の提供、福祉用具や自助具などの選定を行うのが主な仕事内容です。

機能訓練指導員になるには?

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師のいずれかの資格を有していれば、機能訓練指導員として働くことができます。

2018年に鍼灸師も機能訓練指導員になれるようになりましたが、半年以上の実務経験など、一定の条件を満たさなければいけません。

機能訓練指導員の仕事できつい・大変と感じるところ

施設にもよりますが、機能訓練指導員の配置が少ない場合もあります。

私が働いている施設では、入居定員数70名に対して2人の機能訓練指導員でリハビリを行っています。70名もいるのではじめは顔と名前を覚えるだけでも大変で、2名という少ない人数で利用者の身体機能や生活状況を把握しなければなりません。

機能訓練指導員として働くにはさまざまなスキルが必要となる

さらに介護福祉施設は病院とは異なり医学的な情報が少ないため、入居者の血液データやレントゲン、MRIなど客観的データを見ることができません。それでいて、高齢者の多くはさまざまな機能が低下していき、急変を起こすことも少なくありません。

そのため、事故を予測する力や発信力、予防的なケアやリハビリ、情報収集など幅広い知識やコミュニケーション能力が必要になります。

時には、急変時や転倒時などに呼ばれ、対応について相談されることもあるのです。そんな日々の大変さや葛藤を同じ職種同士、同じ目線で共感したり相談したりすることがなかなかできず、利用者の評価やリハビリプログラムに悩むことも多々あります。

私の場合、作業療法士の資格をもちながら機能訓練指導員として働いているため、日常生活やアクティビティ、自助具の作成などは得意分野なのですが、利用者の歩行や歩行補助具などの評価、相談には毎回苦戦しています。そして、苦戦しながらも介護士やケアマネジャーなどへ利用者の情報提供や指導、伝達なども行っていかなければなりません。

機能訓練指導員のやりがいとおもしろさ

このように、機能訓練指導員には大変なところも多々ありますが、もちろんそれだけではありません。楽しいこともたくさんあります。なかでも、私は利用者に長期的に関わることができる点にとてもやりがいを感じています。

高齢者の多くは、身体機能が低下していき日常生活に介助が必要になることがあります。そうしたなかでも、ゆっくりと時間をかけ、関わりを持つことができるので、じっくりと評価や訓練、再評価ができます。

入所施設の場合では、利用者が生活しているお部屋に伺うこともあります。そこで、利用者がお茶やお菓子でもてなしてくださることも多く、実際の生活場面でお部屋の中の動作を確認しながら、リハビリや福祉用具の検討ができることもおもしろさの1つです。

また、ご家族の面会時には直接お話を伺ったり、利用者の近況を伝える機会もあります。そうした関わりから、利用者が少しずつ元気を取り戻したり、できなかったことが少しでもできるようになったりしたときはとてもうれしく思います。そのときの利用者やご家族の笑顔は本当に素敵なのです。

機能訓練の時間で利用者の意外な一面を発見できる

また介護福祉施設では、レクリエーションや季節ごとの行事が積極的に取り入れられています。病院などではリハビリ以外の時間は関わることが少ないですが、機能訓練の時間では、利用者同士のやり取りを間近で見ることができます。

とくにレクリエーションやゲームなどでは、自分たちのチームが勝つために少しズルをしてみたり、積極的に盛り上げ役になったり、リハビリとは違う利用者の意外な一面を発見できることも楽しみの1つです。

作業療法士として機能訓練指導員の業務を行う強み

作業療法士は身体機能のリハビリだけでなく、手工芸を用いたリハビリや日常生活動作のリハビリが得意な職種でもあります。

例えば、施設の季節行事に使う飾りや利用者の趣味である編み物などを一緒につくることで、手指の機能回復を目指したり、利用者が若かった頃や昔の楽しかった話などをしながら、心の安定や認知機能の改善などを図ることができます。

そうした活動を用いながら、利用者が生活で困っていることなどを聞き出し、日常生活動作の練習へつなげていきます。

もちろん、機能訓練や日常生活動作訓練だけでは難しいこともあります。そのようなときは、ケアマネジャーや担当介護士、ご家族の協力を得て、福祉用具の導入なども行っていきます。

通所施設では、利用者が施設にいるときだけにしか関わることができませんし、実際の利用者の生活状況が把握しづらいのです。そのような場合には、利用者、ケアマネジャー、介護士などから情報収集を行います。

例えば、お風呂の浴槽をまたぐ動作や家事動作の練習などを模擬的に行う場合、実際の様式とは違っても模擬的に練習を繰り返すことで、ケアマネジャーや訪問介護の方から「介助が楽になった」とフィードバックを頂くこともありました。

機能訓練指導員の給料・年収は?

機能訓練指導員は作業療法士などの国家資格と異なり、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」に給料情報が記載されていないため、ここではマイナビコメディカルの求人情報を参考に、一般的な機能訓練指導員の給与・年収を記載します。

一般的な機能訓練指導員の月収と年収(東京都)

【月収】21.9万円~35.0万円
【年収】320万円~500万円
参考:マイナビコメディカルの機能訓練指導員求人一覧(東京都内)
※2022年1月現在の情報を基に作成

機能訓練指導員の給料・年収は、地域や経験年数などによって異なります。施設によっては施設独自の資格を取ることで時給が上がったり、役職に就くことで年収アップにつなげることもできます。

利用者に寄り添いたい人には機能訓練指導員はおすすめ

機能訓練指導員の仕事は幅広く、利用者の機能面、生活面、環境面を考えアプローチを行っていきます。これらを進めていくためには、他職種へ発信する力や情報を収集する力も必要となり、相談することも大切なことです。

業務の大変さを感じることも多いですが、利用者に寄り添った介入をしたい方にはおすすめの働き方の1つです。

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■関連記事
機能訓練指導員とは?仕事内容や必要な資格などについて解説

※当記事は2022年1月現在の情報を基に作成しています

宮木 美智香

宮木 美智香

作業療法士/福祉住環境コーディネーター
2006年、一度作業療法士の国試に落ちるも、2007年には合格。一般病院を経て、訪問リハビリやデイサービス、有料老人ホームなどで勤務している。

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