オーツミルクとは?牛乳・豆乳との違いや体に嬉しい効果も紹介
公開日:2024.06.04
文:中邑悠花(管理栄養士)
「オーツミルク」を知っていますか?健康志向や環境保全の意識が高まったことで、近年オーツミルクに注目が集まっています。牛乳・豆乳に次いで「第3のミルク」とも呼ばれており、今後私たちの食卓に並ぶ機会が増えていくかもしれません。
今回はそのオーツミルクの効果やメリット・デメリットについて、詳しく解説します。特徴を知った上で、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください。
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オーツミルクとは
オーツミルクとは、オーツ麦を原料として作られる植物性のミルクのことで、オーツ麦は燕麦(えんばく)とも呼ばれ、オートミールやグラノーラの原料となっている穀物です。
牛乳や豆乳の代わりとしても使えますが、その栄養成分は大きく異なります。
牛乳や豆乳との違いは?
同じミルクである牛乳や豆乳とはどのような違いがあるのでしょうか。
原料
牛乳は牛から搾乳された動物性のミルクで、豆乳は大豆を絞って作られた植物性のミルクです。オーツミルクはオーツ麦を絞って作られるので、どちらかというと豆乳に近い食品といえるでしょう。
栄養成分
オーツミルク・牛乳・豆乳の栄養成分を比較してみましょう。
オーツミルクは低カロリー・低脂質でありながら、食物繊維やカルシウムが豊富です。カルシウムというと牛乳のイメージが強いですが、オーツミルクには牛乳と同程度のカルシウムが含まれています。
ただし、ほかのミルクと比べるとたんぱく質が少なく、炭水化物が多めです。自分が摂りたい栄養素によってミルクを使い分けるといいでしょう。
オーツミルクで期待できる効果
オーツミルクを取り入れることで、以下のような効果が期待できます。
ダイエット効果
オーツミルクは牛乳に比べて低カロリー・低脂質です。つまり牛乳をオーツミルクに置き換えるだけで、カロリーを抑えられダイエットにつながります。
またオーツミルクに多く含まれる食物繊維は、食後の血糖値の上昇をゆるやかにします。それによりインスリンの分泌が抑えられ、脂肪の合成を抑制する効果も期待できるでしょう。
骨を強くする
オーツミルクにはカルシウムが多く含まれます。カルシウムは体内ではほとんどが骨に存在する成分で、骨密度を高めて骨を強くします。
カルシウムは吸収率が低く不足しやすい栄養素の1つなので、オーツミルクを取り入れて、上手にカルシウムを補いましょう。
腸内環境を整える
食物繊維には善玉菌のエサとなって腸内環境を整える効果もあります。オーツミルクを飲んで腸内の善玉菌が増えると便通がスムーズになるため、便秘気味の方にもおすすめです。
また腸内環境がよくなることにより、免疫力が高まったり肌トラブルが改善したりとさまざまな効果が期待できるでしょう。
コレステロール値を下げる
オーツミルクにはコレステロールが含まれていないため、コレステロール値が心配な方でも安心して飲めます。
また、オーツミルクにはβグルカンという水溶性食物繊維が含まれています。この成分はコレステロールの吸収を抑制して排泄を促すため、コレステロール値を下げる効果が期待できます。
オーツミルクのメリット
オーツミルクには体や環境にやさしいメリットがたくさんあります。
環境にやさしい
オーツミルクは製造過程において温室効果ガスの排出が少なく、使用する土地や水も最低限で済みます。そのため、環境にやさしいミルクとして注目を集めているのです。
例えば、牛乳を製造するためには乳牛を飼育する必要があります。牛の飼育には広大な土地と大量の飼料が必要な上、牛のげっぷには温室効果ガスの1つであるメタンガスが含まれています。
一方、オーツミルクは牛乳と比較して必要な面積が10分の1で済むため、環境保全につながります。加えて二酸化炭素の排出も牛乳や豆乳と比較して少ないため、環境にやさしいのです。
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クセが少なく飲みやすい
豆乳は植物性ミルクの代表格ですが、豆の青臭さやクセが苦手で飲みづらいと感じる方もいるでしょう。それに比べてオーツミルクはクセが少ないため、豆乳よりも飲みやすいと感じる方が多いようです。
そのまま飲むのはもちろん、コーヒーや紅茶にもよく合い、ホワイトソースやポタージュなどに加えることもできます。
牛乳アレルギーに対応できる
卵・牛乳・小麦は3大アレルゲンであり、食物アレルギー全体の7割はこの3つの食材が原因とされています。牛乳はパンや洋菓子などさまざまな食品に使用されているため、牛乳アレルギーの方はそれらを食べられません。
しかし牛乳をオーツミルクに代用すれば、牛乳アレルギーでも問題なく食べられるため、牛乳アレルギー用の代替食品として、今後注目が高まっていくでしょう。
ヴィーガンの人でも飲める
環境保全や動物愛護を目的として動物性食品を食べない思想を持つ人を「ヴィーガン」といいます。ヴィーガンの中には、牛乳をはじめ乳製品を避けている方も多いのですが、完全植物性ミルクであるオーツミルクなら問題なく飲めます。
また動物性食品を食べないヴィーガンは、ビタミンB12が不足しがちになります。ビタミンB12は肉や魚などに多く含まれる栄養素で、赤血球を作るのに必要なため、不足すると貧血の症状を引き起こします。オーツミルクの中にはビタミンB12が添加されているものもあるため、ヴィーガンの方は積極的に摂りたい食品といえるでしょう。
オーツミルクのデメリット
メリットの多いオーツミルクですが、デメリットもあります。
たんぱく質が少ない
オーツミルクは牛乳や豆乳に比べてたんぱく質が少ないのがデメリットです。牛乳をすべてオーツミルクに置き換えると、たんぱく質が不足する可能性があります。そのため肉や魚の摂取量を増やすなど、調節しながら取り入れましょう。
入手しづらい
牛乳や豆乳はスーパー、ドラッグストア、コンビニなど、どこでも売られています。しかしオーツミルクはコンビニではまだ取り扱っていないところも多く、スーパーでも品揃えが少ない場合があります。好みのオーツミルクを手に入れたい場合は、通販などを利用するといいでしょう。
価格が高い
牛乳は1Lあたり200〜300円程度であるのに対し、オーツミルクは500〜600円と割高です。習慣的に飲むとなると、牛乳よりもかなりコストがかかります。
豆乳やアーモンドミルクなどと比較しても価格が高いのは、まだ歴史が浅いためです。味や質感、効率的な製造方法に関しても研究段階であり、その分コストがかかっています。
環境にも体にもやさしいオーツミルクを取り入れてみよう
今回はオーツミルクの効果やメリット・デメリットについて紹介しました。オーツミルクは牛乳よりも低カロリー・低脂質でダイエット効果があります。また豆乳よりもクセが少なく、飲みやすいのが特長です。また製造過程において温室効果ガスの排出が少なく、環境にもやさしいミルクといえます。
牛乳アレルギーの方やヴィーガンの方でも安心して飲めるので、気になる方はぜひ取り入れてみてください。

中邑悠花(管理栄養士)
前職ではリハビリ系デイサービスで高齢者向けに介護予防のための運動指導に従事。その後同施設で低栄養状態改善に向けた栄養相談を担当する。出産を機に退職し、現在は在宅でフリーランスのライターとして活動中。子育てをしながら食や健康に関する記事を中心に、幅広いジャンルの執筆を行う。
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