固いハムストリングを柔らかくするストレッチ3選!効果や注意点も合わせて解説
公開日:2024.06.13
文:和田 拓巳(スポーツトレーナー)
「前屈がつらい」「ひざが伸びにくい」など、体が固くなったと感じることはありませんか?筋肉は意識して伸ばさずにいると、運動不足や長時間の座り仕事、加齢による変化などにより固まりやすくなります。特に固くなりやすい部分の1つが、太ももの裏側の「ハムストリングス」です。ハムストリングスが固くなると、腰痛やひざの痛み、姿勢が悪くなるなど体に様々な悪影響を及ぼすおそれがあります。
ハムストリングスの柔軟性を高めて柔らかくするには、ストレッチがおすすめです。今回は、簡単にできるハムストリングスのストレッチや、効果的に伸ばすためのポイントを解説します。
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ハムストリングスのストレッチ効果とは
まずは、ハムストリングスをストレッチすることによって得られる効果を確認してみましょう。
姿勢の改善
ハムストリングスは骨盤につながっています。そのためハムストリングスの柔軟性が低下すると、骨盤が前傾して腰椎(ようつい)の曲がりを増加させ、姿勢が崩れてしまうことがあります。姿勢の崩れにより反り腰になったり、見た目が悪くなるだけでなく、腰痛やけがを引き起こしやすくなります。
ハムストリングスの柔軟性を高めることで、正しい姿勢を保ち、けがや痛みのリスクを軽減することができるでしょう。
腰痛の予防・改善
ハムストリングスが硬直して柔軟性が低下すると、腰部の筋肉が過剰に緊張してしまい、腰痛を引き起こす可能性があります。また ハムストリングスが固くなることで、坐骨神経が圧迫され、腰痛や下肢の痛みをもたらすことも少なくありません。
ハムストリングスを柔らかくするためのストレッチを行うことで、腰痛の予防や改善が期待できます。
疲労回復
ストレッチには筋肉の柔軟性を高めるほか、血行を促進したり、筋肉の緊張を和らげて張りを緩和する効果があります。そのため、ハムストリングスのストレッチを行うことで、疲労回復を促すメリットが期待できます。
とくに長時間の座り仕事や立ち仕事をする人にとって、定期的なストレッチは体の疲れを和らげるのに役立ちます。
けがの予防
ハムストリングスは太ももの前側に比べて筋力が弱く、けがをしやすい筋肉と言われています。とくにスポーツをする人は、肉離れを防ぐためにも、常にハムストリングスの状態を整えておくことをおすすめします。スポーツ時や日常生活でのけがのリスクを抑えるために、ハムストリングスを定期的にストレッチしておきましょう。
パフォーマンスの向上
ハムストリングスの柔軟性が高まることで、関節の可動域を大きく使うことができます。その結果
、下半身の大きな動きが可能になり、スポーツパフォーマンスの向上が期待できます。
スポーツ競技の場合、関節可動域を大きく動かせることによって、筋力をスムーズにパワーに転換したり、相手との競り合いで有利になるというメリットがあります。筋力とともに柔軟性を高めることで、よりダイナミックで力強いパフォーマンスにつながります。
ハムストリングのストレッチ3選
ここからは、簡単に実践できるハムストリングスのストレッチを紹介します。筋肉の張りを感じたら、すぐにストレッチで解消するようにしましょう。
ストレッチ①
2.伸ばしている脚のひざをしっかり伸ばし、そのまま上体を前に倒していきます。この時、胸を脚に近づけるような意識で倒しましょう。
3.筋肉が伸びて気持ちよいと感じるところまで行ったら、その姿勢で20秒間キープします。
4.反対側も同様に行います。
ポイントは、背中をまっすぐにしたまま、おへそを脚に近づけるように上体を倒していくことです。背中を丸めてしまうと、ハムストリングスよりも腰部の筋肉が伸びやすくなり、ハムストリングスが伸びにくくなります。ハムストリングスを伸ばすことを目的にする場合は、背中を丸めないようにして行いましょう。
ストレッチ②
2.右ひざを曲げ両手を右太腿の裏で組み、胸の方へ引きつけていきます。
3.右ひざを胸の方に引きつけたまま、曲げている右ひざをできるところまで伸ばしていきます。この時、太腿の裏が伸びている感覚があれば、ひざを伸ばしきらなくても大丈夫です。
4.筋肉が伸びて気持ちよいと感じるところまで行ったら、その姿勢で20秒間キープします。
5.反対側も同様に行います。
よほど高い柔軟性がないと、曲げたひざは伸び切りません。ハムストリングスが突っ張るところでキープするようにしましょう。
また、足首が90度になるように曲げておくことで、ハムストリングスの筋肉が意識しやすくなります。伸び感が少ない人は、足首を90度にして行ってみてください。
ストレッチ③
2. 前に出した足のつま先を上げ、ひざはしっかりと伸ばしたまま、お尻を後ろに突き出すように股関節を曲げていきます。この時、後ろ側のひざは股関節を曲げるのと一緒に曲げていきましょう。
3.筋肉が伸びて気持ちよいと感じるところまで行ったら、その姿勢で20秒間キープします。
4.反対側も同様に行います。
お尻を後ろに突き出して、体勢を低くするほど、前脚のハムストリングスへの負荷が強くかかります。つま先の向きを正面・内側・外側と変えてそれぞれ行うと、ハムストリングス全体を伸ばすのに効果的です。
また、前脚の足首を90度にしてつま先を床から浮かせて行うと、よりハムストリングスを伸ばすことができます。
ハムストリングスのストレッチの注意点
最後に、ストレッチをする際の注意点をいくつか紹介します。間違ったストレッチは効果が望めないだけでなく、けがにつながる可能性もあるので、十分注意しましょう。
痛みを我慢しない
ストレッチを行う際に、痛くても我慢しながら行っていませんか?筋肉は痛みを感じると、収縮するという仕組みがあります。筋肉を伸ばす際には、気持ちよいと感じる程度の伸びが望ましいと言われています。
痛みを感じたり、反動を使って過剰に負荷をかけたりする方法は、筋肉を傷めるなど逆効果となる可能性があります。決して無理をせず、ゆっくりと同じ姿勢を保ちながら筋肉を伸ばすよう意識しましょう。
ストレッチを行ってはいけない痛みもある
ストレッチは、筋肉の張りを解消し、痛みや疲れを軽減させる効果が期待できます。ただし、筋肉の痛みの原因によっては、ストレッチを行ってはいけない場合もあります。
例えば、肉離れのような筋挫傷(きんざしょう)などの場合です。筋挫傷は、筋肉自体が部分的に損傷して痛みを生じている状態なので、ストレッチを行うと損傷した部分を広げてしまい、痛みを悪化させてしまいます。
筋肉痛の痛みは軽いストレッチが効果的と言われていますが、筋挫傷などけがの場合は、安易にストレッチを行わないように注意しましょう。
体を温めて、気持ちよいと感じる範囲で伸ばすのが大切
ストレッチは、筋肉の温度が高く温まっている状態のほうが伸びやすく、ストレッチ効果は高くなる傾向にあります。そのため、運動直後や入浴後などに行うのがおすすめです。
とくに運動後は、筋肉の疲労物質などもたまっており、張りの強い状態です。筋肉の張りを緩和したり、疲労を軽減するためにも、運動後のストレッチで筋肉のメンテナンスを行いましょう。
まとめ
ハムストリングスの柔軟性を高めることで得られるメリットや、簡単にできるストレッチを紹介しました。日ごろからストレッチを行うことで、疲れを軽減するだけでなく、体が軽く感じたり動きやすくなるなどのメリットが期待できます。
毎日短時間でも継続して行うことで、ハムストリングスの柔軟性を高められるはずです。お風呂上りなどにストレッチを習慣づけて、快適な体を手に入れましょう!

和田 拓巳
スポーツ選手やオリンピック候補選手、アーティストのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。
医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会もしており、講師業にも力を入れている。テレビや雑誌など各種メディアに出演およびトレーニング監修を行う。
著書に「見るだけ筋トレ」(青春出版社)がある。
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