プランクを効果的に行う方法3ステップ!プロが正しいフォームと効果を解説
公開日:2024.06.21
文:柴田 太資(トレーニング指導者 大分高校・中学校サッカー部トレーナー)
特別な器具は不要で、手軽にできる宅トレとして人気のプランク。ダイエットやボディメイク、スポーツの基礎トレーニングとしても取り入れている方も多いでしょう。
プランクにはけがの予防や姿勢改善など、さまざまな効果が期待できますが、正しい方法や動作でできているかわからないという方もいるのではないでしょうか。
今回は、プランクの効果、トレーニングの正しい姿勢や方法をプロが解説します。正しいプランクで、なりたい体、パフォーマンスの向上を目指しましょう。
プランクの効果は?
プランクで体幹を鍛えることで得られる効果の代表的なものは、以下の3つです。
・腰痛改善
・きれいな姿勢づくり
プランクを正しく行うことで、骨盤や背骨まわりの筋肉がバランス良く鍛えられ、けがの予防や腰痛改善が期待できるほか、きれいな姿勢づくりにも効果を発揮します。詳しく見ていきましょう。
けがの予防
プランクでは「腹横筋」を鍛えることができます。腹横筋は腰痛時に使用するコルセットのように腰からおなかを囲む筋肉で、腰を守る役割があります。
腰を支えているのは、腰椎という背骨だけで、胴体を安定させるには、腹横筋などの筋肉の力が必要となります。そのため、腹横筋が弱いと腰部が不安定になり、けがのリスクも高くなります。
プランクによる腹横筋などの体幹の強化は、腰部の安定性を高め、けがの予防につながります。
腰痛改善
慢性的な腰痛の原因の1つに「多裂筋」の萎縮があると言われています。多裂筋は腰椎を直接支える筋肉です。腹横筋ともつながりがあるため、プランクで腹横筋を鍛えると多裂筋も強化されます。
正しい方法でプランクを行うことで、腹横筋と多裂筋がセットで強化され、腰痛改善に効果が見込まれます。
きれいな姿勢づくり
プランクのトレーニングは、簡単に言えば「重力に負けず体をまっすぐ保つ」トレーニングです。体を一直線に保つための筋肉が鍛えられ、姿勢は当然うつくしくなります。
プランクはうつぶせの姿勢で行うトレーニングですが、正しく行うことで、腹圧をコントロールできるようになり、重力に逆らって姿勢を保つ力が鍛えられます。
プランクの正しいやり方
プランクをする際にもっとも重要なポイントは「骨盤のニュートラルポジションを保つこと」です。ニュートラルポジションとは、骨盤や骨が前後左右や上下のどこにも偏ること無く、中間に位置にあること。正しいプランクをするには、まず骨盤のニュートラルポジションをつくることが大切です。
ここからは、骨盤のニュートラルポジションをつくる「ドローイン」から、効果的なプランクの方法を解説します。
ドローイン
骨盤のニュートラルポジションをつくり、そのポジションを保つためのトレーニングである「ドローイン」から行います。
1. ひざを立て、あおむけに寝る
2. 腰と床の隙間に片手を差し込む
※腰と床の間に手1枚分の隙間がある状態が骨盤のニュートラルポジションです
3. 骨盤のニュートラルポジションを保ったまま、おなかを凹ませる
4. 3を維持したまま、できるだけゆっくりと呼吸を10回繰り返す
5. 10呼吸を1セットとし、2から3セット行う
うつぶせドローイン
プランクと同じうつぶせ姿勢で骨盤のニュートラルポジションを保つトレーニングです。
1. 両手を額の下に置き、うつぶせで寝る
2. おなかと床の間に隙間をつくるつもりで、おなかを凹ませる
※手が入る程度の隙間をつくることを目標におなかを凹ませますが、手を差し込む必要はありません
3. 2を維持したまま、できるだけゆっくりと呼吸を10回繰り返す
4. 10呼吸を1セットとし、2から3セット行う
ひざつきプランク
プランクの前段階トレーニングです。
骨盤のニュートラルポジションを維持し姿勢を保ちましょう。
1. 肩の真下に肘を置き、ひざから頭までを一直線に保つ
2. うつぶせのドローインのときのようにおなかを凹ませる
3. 2を維持したまま、できるだけゆっくりと呼吸を10回繰り返す
4. 10呼吸を1セットとし、2から3セット行う
5. おしりが落ちる、おしりが上がる、腰などが痛む場合は、そこまでとする
※10呼吸のあいだ姿勢を維持することが難しい場合は、うつぶせドローインに戻る
プランク
骨盤のニュートラルポジションを維持し、姿勢を保ちながら実施しましょう。
1. 肩の真下に肘を置き、かかとから頭までを一直線に保つ
2. うつぶせドローインの意識でおなかを凹ませる
3. 2を維持したまま、できるだけゆっくりと呼吸を10回繰り返す
4. 10呼吸を1セットとし、2~3セット行う
5. おしりが落ちる、あるいは上がる場合、腰などが痛む場合はそこまでとする
※10呼吸のあいだ姿勢を維持することが難しい場合は、ひざつきプランクに戻る
プランクの注意点
プランクを安全かつ効果的に行うためには以下の3つに注意が必要です。
・ドローイン
・呼吸
注意点を守れなければ、けがの予防や腰痛改善、きれいな姿勢づくりは望めません。詳しく見ていきましょう。
骨盤のニュートラルポジションをキープする
骨盤のニュートラルポジションがうまくできているときは、腰が反ったり丸まったりすること無く、安全な姿勢になります。
ニュートラルポジションのつくり方はドローインの説明で紹介した通り、手1枚分の隙間を床と腰の間につくるだけですが、これを立っている状態や座ったままなどのさまざまな姿勢でできることも大切です。手を差し込まなくてもできるように感覚で覚えていきましょう。
立っている状態でのニュートラルポジションは、骨盤の三角形が床に対して垂直になります。
骨盤のニュートラルポジションができれば、横隔膜、骨盤底筋群、腹横筋、多裂筋の4つの筋肉がバランス良く働き、腹圧をコントロールできるようになります。
ドローイン
骨盤のニュートラルポジションをコントロールするには、意識や筋力が必要です。その意識や筋力を養うトレーニングがドローインです。ドローインで鍛えられる筋肉は腹横筋がメインですが、腹横筋とつながりのある多裂筋もセットで強化されます。腹横筋や多裂筋が強くなることで、骨盤のニュートラルポジションと腹圧のコントロールができるようになります。
プランクはドローインができることが前提で実施するトレーニングですので、必ず実施しましょう。
呼吸
骨盤のニュートラルポジション保持に大切な4つの筋肉である横隔膜・骨盤底筋群・腹横筋・多裂筋は「インナーユニット」と呼ばれ、呼吸にも密接に関わっています。
インナーユニットの4つの筋肉はお互いに連携して伸び縮みをします。息を吸うときは、横隔膜と骨盤底筋群は縮んで、腹横筋は伸びます。逆に吐くときは、横隔膜と骨盤底筋群はゆるんで、腹横筋は縮むという動きをします。ドローインやプランクでは、インナーユニットを伸び縮みさせずに呼吸を行い、筋肉を鍛えていきます。
そのため、ドローイン、またはプランクでおなかを凹ませたまま、できる限りゆっくり呼吸を続けることが大切です。正しい呼吸を取り入れることで鍛えられたインナーユニットが腹圧を高めて腰椎を安定させ、きれいな姿勢をつくります。
また、体幹を鍛えたいという方のなかには、トレーニング中だけでなく日常生活でもおなかを凹ませたまま呼吸を行おうとする方がいます。しかし、この呼吸法はあくまでトレーニングのためのものです。日常生活ではリラックスして、息を吸うときはおなかと胸がふくらみ、吐くときは凹む、自然な形の呼吸を意識しましょう。
まとめ
特別な器具を使わず、姿勢と呼吸を意識することで手軽に取り組めるプランクは、トレーニング愛好家だけでなく、腰痛でお悩みの方や、姿勢を改善したい方、健康管理に取り組みたい方にも大変おすすめです。
今回は安全かつ効果を出すためのプランクの正しい方法についてお伝えしました。効果的に行うには、ドローインから順に実施することが大事です。ドローインが問題なければうつぶせドローイン、さらにプランクへとステップアップしていきましょう。きつかったりうまくできない場合は無理に進めることなく、ドローインを続けていきましょう。自分のペースで無理せず継続すれば、必ずできるようになります。がんばりましょう。
<参考文献>
「呼吸力」こそが人生最強の武器である / 著:大貫崇
新しい呼吸の教科書 / 著:森本貴義 近藤拓人
スポーツトレーニングの常識を超えろ! / 編著:NPO法人日本トレーニング指導者協会

柴田 太資
プロアスリートのトレーニング指導、放課後等デイサービスセンターや学童保育など子どもの運動指導、健康増進のためのパーソナルトレーニングなど、幼児から高齢者まで幅広い世代を対象にトレーニングを指導する。専属契約する大分高校サッカー部はプロ選手も多数輩出する全国大会常連の強豪校。パーソナルトレーニングジムの経営や24時間型フィットネスクラブの運営にも携わる。
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