チェストプレスを正しく行うには?セッティングの仕方と注意点をご紹介
公開日:2024.07.16
文:内藤 かいせい(理学療法士)
マシンを使用して大胸筋を鍛えたい場合、チェストプレスの活用がおすすめです。しかし、どのように設定すれば効率的にトレーニングできるか、よくわからない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、チェストプレスを行う際のセッティング方法と、正しいやり方をご紹介します。適切な設定方法を学ぶことで、効果的に大胸筋を鍛えられるでしょう。
目次
チェストプレスはどの筋肉に効く?
チェストプレスは、おもに以下の部位を鍛えられるトレーニングです。
・上腕三頭筋
大胸筋はたくましい胸板を作るためには欠かせない筋肉です。上腕三頭筋は肘を伸ばすときに使う筋肉で、鍛えることで二の腕を太くできます。
チェストプレスはマシンを使って行うので、初心者でも効率よく筋肉を鍛えられるのが大きなメリットです。また、マシンの角度を変えれば、大胸筋の上部や下部など、刺激を与える部位を調整できます。
チェストプレスとベンチプレスの違いは?
チェストプレスとベンチプレスのおもな違いは、アプローチできる筋肉の範囲です。ベンチプレスは高重量のバーベルを上半身で持ち上げるため、大胸筋だけでなく腕や肩などの広範囲の筋肉を鍛えられるのがメリットです。その反面、正しいフォームで行えないと大胸筋に刺激がうまく入らなかったり、ケガにつながったりする恐れがあります。
チェストプレスは機械運動なので、正しいフォームでトレーニングを行えます。そのため、大胸筋や上腕三頭筋にピンポイントで効かせられるでしょう。一方で、フォームが決まっている関係もあり、ベンチプレスのように広範囲の筋肉を鍛えにくい面があります。
このように、どちらにもメリット・デメリットがあるので、自分にあったトレーニングを実践することが大切です。
チェストプレスを行う際の手順
チェストプレスをはじめる際に、どのようなセッティングをすれば良いのでしょうか。ここでは、チェストプレスのセッティング方法と正しいやり方について詳しく解説します。
チェストプレスのセッティング方法
チェストプレスを行ううえで、自分にあったセッティングを事前にすることが大切です。
1. イスの高さを調整して、座ったときに足裏がつくようにする
2. グリップの長さを調整して、握る位置を左右対称にする
3. 自分にあった重量を設定する
重量設定の目安として、筋力の強化を目指す場合は8〜12回で限界が来るような重さにするのがおすすめです。ただし、はじめてチェストプレスを行う場合は、筋肉や関節を痛めないように軽めの重量からスタートしましょう。
チェストプレスのやり方
ここではチェストプレスの正しいやり方についてみていきましょう。
1. イスに座って胸を張る
2. グリップを握って肩の力を抜く
3. 大胸筋を意識しながらグリップを押す
4. 腕を伸ばしきったらゆっくり元の位置に戻る
5. 8〜12回×2〜3セットを目標に4〜5の手順を繰り返す
こんなやり方は胸に効かない!チェストプレスの4つの注意点
チェストプレスは比較的トレーニングの効率が高い傾向にありますが、間違った方法で行うと大胸筋にうまく効かせられません。チェストプレスを行ううえでの注意点は、以下の4つです。
2. 反動をつけて行わない
3. 呼吸を止めない
4. グリップを強く握りすぎない
ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
1.肩甲骨を動かさない
1つ目は、肩甲骨を動かさないようにすることです。肩甲骨を動かしながらトレーニングをすると、大胸筋に刺激が入りにくくなります。チェストプレスを行う際は、肩甲骨を寄せた状態をキープしながら行いましょう。肩甲骨を固定することで、肩への負担を軽減しつつ大胸筋に負荷をかけやすくなります。
2.反動をつけて行わない
2つ目は、反動をつけて行わないことです。反動をつけると筋肉にかかる負荷が減ってしまい、トレーニング効果を十分に得られなくなります。とくにバーを戻す際に反動をつけやすいので、腕を曲げるときはゆっくりと動かすことが大切です。反動をつけずに行うことで、筋肉により大きな負荷をかけられるでしょう。
3.呼吸を止めない
3つ目は、呼吸を止めないようにすることです。呼吸を止めてトレーニングすると、血圧が上昇して身体にかかる負担が高くなります。トレーニング中は、バーを押すときにゆっくりと息を吐き、戻すときに息を吸うことを意識してみてください。呼吸を止めずに行うことで、体への負担を軽減しつつ、効果的なトレーニングが可能です。
4.グリップを強く握りすぎない
4つ目は、グリップを強く握りすぎないことです。グリップを強く握りすぎると上腕二頭筋に負荷がかかり、他の筋肉に刺激が入りにくくなります。また、手首を痛める原因にもなるでしょう。
チェストプレスを行う際は、手のひらでバーを押すようなイメージで行ってみてください。グリップを適度に握ることで手首の負担を軽減しつつ、大胸筋に負荷をかけやすくなります。
チェストプレスの種類と自宅でできるトレーニング
チェストプレスは設定を変えることで、大胸筋に効く部位を調整できます。また、チェストプレスをするにはジムに通う必要があるため、自宅でできる大胸筋のトレーニングについて知りたい方もいるのではないでしょうか。
ここでは、チェストプレスの種類と自宅でできるトレーニングについてご紹介します。
インクラインチェストプレス
インクラインチェストプレスは、イスやグリップの角度を調整して、少し寝かせた体制で行うチェストプレスです。グリップを斜め上方向に上げる体制にすることで、大胸筋の上部を効率的に鍛えられます。
1. イスとグリップの角度を調整して、通常よりも30度ほど上げられるようにする
2. イスに座って胸を張る
3. グリップを握って肩の力を抜く
4. 大胸筋を意識しながらグリップを斜め上方向に押す
5. 腕を伸ばしきったらゆっくり元の位置に戻る
6. 8〜12回×2〜3セットを目標に4〜5の手順を繰り返す
デクラインチェストプレス
デクラインチェストプレスは、インクラインチェストプレスとは反対方向の角度に調整して行う方法です。グリップを斜め下方向に押すので、大胸筋の下部を効率的に鍛えられます。
1. イスとグリップの角度を調整して、通常よりも30度ほど下げられるようにする
2. イスに座って胸を張る
3. グリップを握って肩の力を抜く
4. 大胸筋を意識しながらグリップを斜め下方向に押す
5. 腕を伸ばしきったらゆっくり元の位置に戻る
6. 8〜12回×2〜3セットを目標に4〜5の手順を繰り返す
ワイドプッシュアップ
ワイドプッシュアップとは、通常の腕立て伏せよりも手を広げながら行う自重トレーニングです。通常の腕立て伏せよりも大胸筋に効かせられるので、自宅でトレーニングしたい方はこちらもチャレンジしてみましょう。
1. うつ伏せの状態で両腕・両足を床につき、身体を浮かす
2. 両腕は肩幅よりも大きく広げる
3. 身体をまっすぐにしながら、肘を曲げてゆっくり上体を下げる
4. 上体を床につく直前まで下げたら、肘を伸ばしてゆっくりと元に戻る
5. 3〜4の手順を15〜20回×2〜3セット行う
チェストプレスを正しく行って効果的なトレーニングを!
チェストプレスは大胸筋や上腕三頭筋をピンポイントに鍛えられるため、たくましい胸板を効率的に作りたい方におすすめのトレーニングです。チェストプレスを行う際は、機械をしっかりセッティングして、正しいやり方を意識することが大切です。また肩甲骨を固定して、反動をつけずに行うように意識しましょう。今回の記事を参考にして、チェストプレスを活用したトレーニングを実践してみてください。
内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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