カーフレイズの正しいやり方は?効果やポイントについて徹底解説!
公開日:2024.07.29
文:中村 直樹(理学療法士/パーソナルトレーナー)
カーフレイズは、初心者でも自宅で気軽に実践できるシンプルなエクササイズです。
カーフレイズを行うことで、第2の心臓とも言われるふくらはぎの筋肉「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)を効果的に鍛えられます。カーフレイズは比較的負荷が少なく、筋トレ初心者や高齢者からアスリートまで、幅広い方におすすめできるエクササイズです。
本記事では、カーフレイズの効果や正しいやり方、注意点について詳しく解説します。
カーフレイズとは?鍛えられる筋肉について
カーフレイズとは、直立した姿勢で、かかとの上げ下げを行う運動です。様々なやり方がありますが、血流に深く関連するふくらはぎを形成する筋肉「下腿三頭筋」が効果的に鍛えられます。
さらに、ひざの下あたりにある筋肉「長腓骨筋(ちょうひこつきん)」や足首に近い筋肉「後脛骨筋(こうけいこつきん)」にもアプローチすることで、捻挫の予防など様々なメリットが期待できます。
カーフレイズの効果3選
カーフレイズによって得られる効果は多くありますが、なかでも注目したい3つの効果について紹介します。
瞬発力が高まる
ふくらはぎは「踏ん張る動作」で最も活躍する筋肉と考えられています。ふくらはぎを鍛えることで踏ん張る力が強化されると、急に止まったり方向を変えるなどの素早い動きが可能となります。
またふくらはぎを形成する「下腿三頭筋」は、走ったり飛び跳ねたりする際にも重要な役割を果たします。カーフレイズで鍛えることにより、楽に体を持ち上げやすくなり、効率的に瞬発力を高めることができるでしょう。
足首の安定性が向上する
足首の安定性には、足関節の外側にある「長腓骨筋(ちょうひこつきん)」と、内側にある「後脛骨筋(こうけいこつきん)」の役割が重要です。「長腓骨筋」と「後脛骨筋」が同時に働くことによって、足関節の安定性が保たれます。
この作用はクロスサポートメカニズムと呼ばれ、足首の不安定性を改善し、足関節で足首を下に向かって動かす動きをサポートしています。
捻挫などのけがを予防するためには、カーフレイズによって足関節の安定性を高めることが効果的です。
血行やエネルギー代謝が改善する
第2の心臓と呼ばれるふくらはぎは、心臓と同じように筋肉と弁が存在します。そしてその筋肉と弁を使い、下半身に流れた血液を心臓まで戻すポンプのような役割「筋ポンプ作用」を果たしています。
ふくらはぎを鍛えることで「筋ポンプ作用」が強化されると、心臓の負担が軽減し、血行やエネルギー代謝が改善するというメリットが期待できます。
カーフレイズの正しいやり方
カーフレイズは簡単なエクササイズですが、やり方が間違っていると十分な効果を得られない可能性があります。ここからは、効果が得られやすいよう、正しいカーフレイズのやり方について紹介します。
➀真っ直ぐに立つ
天井から頭の頂点が引っ張られるようなイメージで、真っ直ぐに立ちます。正しい姿勢を意識しながら、直立姿勢を保つことがポイントです。
初めて行う際は、壁やイスの背もたれなどに軽く触れて、バランスをとると良いでしょう。
カーフレイズは両脚でも片脚でもできますが、まずは姿勢を保ちやすい両足で実践してみてください。
②かかとを上げる
可能な限りかかとを高く上げます。その際に、太腿の前面に力を入れて、なるべくひざが曲がらないようにします。
また足の関節がグラグラと安定しにくい場合は、なるべく左右にぶれないように中間を意識してキープすることで、ふくらはぎを効果的に鍛えられます。
かかとを下ろす時も、なるべくゆっくりとブレーキをかけるようなイメージで下ろすように心がけましょう。
③無理のない範囲で繰り返す
カーフレイズを反復できる回数は、年齢や体の状態によって個人差があります。100回連続で行える方もいれば、30回でも痛みを生じる方もいます。
まずは自分ができる回数を知ることが重要です。痛みを感じることなく何回できるか数えながら行いましょう。無理のない回数をなるべく毎日繰り返して、可能であれば少しずつ増やしていけると良いでしょう。
アスリートであれば片脚で行ったり、ウェイトを使ったりして負荷を調節することができます。
カーフレイズを行う際の注意点
カーフレイズは比較的負荷の少ないエクササイズですが、リスクを伴うこともあります。重大なリスクを軽減するために、次の点に注意して行いましょう。
事前にストレッチを行う
ふくらはぎの筋肉やアキレス腱は、損傷しやすい部位です。特に疲労が溜まっている状態で走ったり、階段をのぼったりした場合に痛める可能性が高くなります。
カーフレイズを行う前にストレッチを行って筋肉の緊張をほぐし、柔軟性を高めておくことが重要です。
アキレス腱を伸ばすストレッチを左右10秒ずつ、2セット程度行いましょう。また実施後も同様にストレッチを行うことで、回復に役立ちます。
事前に血圧を測定する
血圧が高い方がカーフレイズを行うと、血管に過度な負担がかかることがあります。そのため、普段から血圧を測定しておくことで、循環器に過度な負担がかかるリスクを軽減することができます。血圧が高い場合は、カーフレイズは控えましょう。
安静時の理想的な血圧は、収縮期血圧が120mmHg未満、拡張期血圧が80mmHg未満です。測定の際の参考にしてみてくださいね。
特定の疾患がある場合は医師に相談する
健康な方であれば問題がないことがほとんどですが、とくに循環器などに特定の疾患がある場合は、カーフレイズにより痛みが出るなどのリスクを伴います。必ず主治医に確認してから行うようにしてください。
まとめ
今回は筋トレ初心者の方や高齢者、アスリートまで幅広い方に推奨されているカーフレイズについて紹介しました。ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を習慣的に鍛えることで、健やかな体を維持し、パフォーマンスの向上を目指せるでしょう。
カーフレイズは、運動の時間を作ることが苦手な方も、隙間時間に簡単にできるおすすめのエクササイズです。ぜひ毎日の習慣として、カーフレイズを取り入れてみてくださいね。
<参考文献>
Schaardenburgh et al.2017
Schaardenburgh et al.2016
Miller et al.2022
Petushek et al.2019
中村 直樹
理学療法士資格をもち、パーソナルトレーナーとして活躍中。アンチエイジングや健康寿命を延ばすためのレッスンやセミナーも行う。毎週3本以上の科学論文を読み、常に最新の情報を入手することと、科学的な事実に基づいた情報提供を行うことをモットーに活動。社会に情報があふれるあまり、場合によっては「美容や健康を害する可能性のある情報」が話題となる状況を危惧し、科学的根拠にもとづくアンチエイジングを推奨している。
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