運動しないでプロテインを飲むと太るってホント?おすすめの活用法と飲むタイミングを解説
公開日:2024.09.09 更新日:2024.09.10
文:下田由美(管理栄養士)
プロテインは、たんぱく質を主な成分とした栄養補助食品で、その多くは粉末状になっています。手軽に栄養補給ができるため、筋力トレーニングをしている方やダイエット中の方に人気があります。
一方で、運動せずにプロテインを飲むと太るのは本当なのか、疑問をもたれている方もいるのではないでしょうか。
プロテインは上手に活用すれば、健康的な生活を送るための強い味方になりますが、摂り方を間違えるとかえって悪影響をおよぼしかねません。
今回は、運動しないでプロテインを飲むと太るといわれる理由やプロテインの活用法、飲むタイミングについて解説します。
目次
運動しないでプロテインを飲むと太るといわれる理由
手軽にたんぱく質を補給できるプロテインですが、飲み方によっては太りやすくなるため注意が必要です。目安量よりも多く摂取すると、たんぱく質だけでなくエネルギーの過剰摂取につながるおそれがあります。
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、体脂肪として蓄積されて太りやすくなります。運動しないでプロテインを飲むときは、たんぱく質の摂り過ぎに注意しましょう。
運動しないでプロテインを飲んでも効果はある?
運動しないでプロテインを摂取しても、飲み方次第ではさまざまな効果を得られる可能性があります。ここでは、プロテインを飲むと得られる3つの効果を紹介します。
筋肉量の維持または増加が期待できる
プロテインの摂取状況と筋肉量の関係について、5,402人を対象とした試験結果によると、運動の有無に関わらずプロテインを摂取することで除脂肪体重が増加すると示されています。
除脂肪体重とは、体重から体脂肪を除いた筋肉や骨、内臓などの重さのことで、これが増えるということは筋肉が増強していることを意味します。
一方、1日1kg体重あたり1.3g以上のたんぱく質を補給しても、今までのような除脂肪体重の増加はみられませんでした。ただし、筋トレと合わせてたんぱく質を増やすと、筋肉量を維持または増加させる効果が期待できる結果が出ています。
美肌につながる
たんぱく質は、健やかな肌をつくる上で欠かせない栄養素です。肌のターンオーバーの周期を整える働きがあるため、肌荒れやニキビなどの肌トラブルを防ぐ効果が期待できます。たんぱく質は肌を整えるだけでなく、筋肉や毛髪などの材料になるため、過不足なく摂取することが大切です。
満腹感を得やすくなる
たんぱく質は炭水化物よりもゆっくりと消化・吸収されるため、胃に留まる時間が長くなり、満腹感を得やすくなります。ダイエット中でカロリーコントロールしたい方や間食を減らしたい方にとって、たんぱく質の補給は有効な手段といえます。
【シーン別】運動しない方のプロテイン活用法
普段から偏った食生活をしている方がプロテインを摂取すると、栄養バランスが整いやすくなるケースがあります。ここでは、シーン別のプロテインの活用法を紹介します。
欠食傾向がある
朝はお腹が空かなくて食べられない、仕事に追われて昼食を摂る時間がないなど、欠食傾向がある方はプロテインでの栄養補給がおすすめです。欠食傾向がある方は栄養バランスが偏りやすくなるので、プロテインを取り入れて不足しがちな栄養を補いましょう。
また、調理に時間がかけられない方でも、いつもの食事にプロテインを加えるだけで簡単にたんぱく質が補えます。例えば、卵焼きやスープ、スムージーなどをつくるときにプロテインを加えると、手軽にたんぱく質が強化できます。
小食で必要な栄養が補えない
3食しっかり食べていても、全体量が少なければ必要な栄養を満たすことが難しくなります。一度にたくさん食べられない方は、間食にプロテインを取り入れるのも1つの方法です。ビタミンやミネラルを含むプロテインもあるため、栄養補給におすすめです。
炭水化物中心の食事になっている
普段からご飯やパン、麺類などの炭水化物中心の食事をしている方は、栄養バランスが偏りやすくなります。肉や魚などにはたんぱく質が豊富に含まれており、野菜はビタミン・ミネラルの供給源になります。
炭水化物ばかりの食事では、エネルギー以外の栄養素が不足してしまうおそれがあるため、摂り過ぎに注意しながらプロテインを補給するのもおすすめです。
栄養補給におすすめ! 3つのプロテインの特徴
プロテインは原料によって3種類に分類されます。それぞれの特徴は下記の通りです。
ホエイプロテイン
牛乳由来のプロテインで水に溶けやすく、素早く体内に吸収されます。筋肉の構成成分であるアミノ酸が豊富に含まれており、損傷した筋肉の修復を促す作用があります。
カゼインプロテイン
牛乳由来のプロテインで水に溶けにくく、ゆっくりと吸収されるため腹持ちがいいのが特徴です。
ソイプロテイン
大豆由来のプロテインで低カロリーかつ腹持ちがよく、糖質や脂質が少なく、ゆっくりと吸収されます。大豆イソフラボンが豊富に含まれているため、女性らしい体型をキープしたい方におすすめです。
プロテイン摂取の注意点
プロテインはたんぱく質が主成分のため、アレルギーを発症する可能性があります。飲む前に商品のアレルギー表示を確認しておきましょう。また、プロテインが体質に合わない方もいるため、体調不良がみられたときは無理せず使用を控えてください。
プロテインを飲むときの効果的なタイミング
食事の時間と同じように、プロテインにも適切な飲むタイミングがあります。ここでは、プロテインを生活に取り入れるときにおすすめのタイミングを解説します。
朝食時
就寝中に失われた水分や栄養を効率よく補いたい方は、朝食時にプロテインを取り入れましょう。たんぱく質は寝ている間にも消費されるため、起床時には栄養が不足している状態です。
そのため、朝食時にしっかりとたんぱく質を補給することが大切です。食事からたんぱく質を摂取するのが理想ですが、難しい方はプロテインを上手に活用すると栄養バランスを整えやすくなります。
運動しない方が朝食時にプロテインを摂るときは、腹持ちがいいカゼインプロテインやソイプロテインがおすすめです。普段からたんぱく質が不足しやすい方は、間食に取り入れてみてもよいでしょう。
運動の前後
運動すると筋肉の繊維が損傷し、修復される過程で筋肉が大きくなります。運動後に素早くたんぱく質を摂取すると筋肉をつくるスピードが高まるため、効率よく摂取したいときにプロテインを活用しましょう。運動後だけでなく、運動前にプロテインを摂取しても、筋肉の減少を防ぐ効果が期待できます。
運動前後におすすめなのは、吸収スピードが速いホエイプロテインです。ほかの種類に比べて飲みやすいため、プロテインの味が苦手な方でも無理なく摂取できるでしょう。
就寝前
就寝中は肌や筋肉の成長をサポートする成長ホルモンの分泌が促進されます。就寝前にたんぱく質を摂取すると、成長ホルモンの分泌が活発になり、スムーズに筋肉が修復されます。
空腹のまま就寝すると成長ホルモンが分泌しにくくなるため、適宜栄養補給を行いましょう。胃腸に負担をかけないように、最低でも寝る30分~1時間前にプロテインを摂取するのがポイントです。
就寝前は、たんぱく質をゆっくりと補給できるカゼインプロテインやソイプロテインがおすすめです。空腹感を和らげながら、寝ている間に筋肉の回復を促します。
運動しないでプロテインを飲むときの注意点
運動しないでプロテインを飲むときは、過剰摂取に注意するとともに健康リスクにも配慮が必要です。ここでは、プロテインを飲むときのポイントについて解説します。
エネルギーを摂り過ぎない
プロテインは手軽に摂取できる分、知らず知らずのうちにエネルギーを摂り過ぎてしまうおそれがあります。肉や魚を食べるよりも少量でたんぱく質を補えますが、消費しきれなかった分は体脂肪として体内に蓄積されます。
毎日プロテインを飲んでも問題ありませんが、たんぱく質は1gあたり4kcalあるため過剰摂取に注意しましょう。
食事摂取基準の1日に必要なたんぱく質量は、18歳以上の成人男性で65g、女性で50gです。運動の有無によっても摂取量は変わるため、体調をみながらプロテインの量を調整してください。
プロテインを割る飲み物を工夫する
プロテインを飲むときにジュースや牛乳などで割ると、エネルギーの摂り過ぎにつながるおそれがあります。
全体のバランスをみながら量を控えるか、牛乳よりも糖質や脂質が少ない豆乳に変えてみるのもおすすめです。プロテインを摂り過ぎてしまった場合は、ほかの食事で糖質や脂質を調整しましょう。
まとめ:運動しないでプロテインを飲むときは過剰摂取に注意しよう!
プロテインは忙しいときや栄養不足が気になるときなど、手軽に栄養補給したいときに便利です。朝食時や就寝前など、目的に合わせて飲むタイミングを変えてみるといいでしょう。
ただし、運動していない方がプロテインを飲むと、必要以上に摂り過ぎるおそれがあります。摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると太りやすくなるため、バランスのよい食事を基本としながら不足分をプロテインで補いましょう。
参考
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)
「タンパク質摂取と筋肉量増加の用量反応関係:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ分析」
下田由美(管理栄養士)
管理栄養士として約10年間、病院、施設、保育園で幅広い年代の「食と健康」に携わってきた。そのなかで「食」と「心」は密接に関係していると気づく。現在は、「食はココロとカラダを元気にする」をモットーに管理栄養士ライターとして活動中。健康や栄養に関する記事執筆や監修、レシピづくりなどを行っている。空手道初段、県大会ベスト3の実績あり。
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