ベントオーバーローのやり方とは?適切な回数・重量や握り方による違いもご紹介
公開日:2024.09.17
文:内藤 かいせい(理学療法士)
ベントオーバーロー(ベントオーバーローイング)は、背中の筋肉を鍛えたい方におすすめのトレーニングです。しかし、どのように行えばいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。器具を使用して行うベントオーバーローを安全かつ効果的に行うためには、正しい方法を学ぶことが大切です。
この記事では、器具別のベントオーバーローのやり方から握り方の特徴まで、詳しくご紹介します。適切な方法を学び、実践することで、効率的に背中の筋肉を鍛えられるようになるでしょう。
目次
ベントオーバーロー(ベントオーバーローイング)で鍛えられる筋肉
ベントオーバーロー(ベントオーバーローイング)は、以下のような背中と腕の筋肉を中心に鍛えられるトレーニングです。
● 僧帽筋
● 脊柱起立筋
● 上腕二頭筋
広背筋は骨盤から腕にかけて広がっている大きな筋肉で、鍛えることで逆三角形の身体を作れます。僧帽筋は背骨から首、肩についており、背中の厚みを出すのに欠かせない筋肉です。脊柱管狭窄症は背骨に沿ってついている筋肉で、姿勢の維持に関係しています。また腕を使う関係上、力こぶを作っている上腕二頭筋にも刺激が入ります。
このように、ベントオーバーローを行うことで、たくましい背中や腕を作れるのが大きなメリットです。
ベントオーバーローのやり方
ベントオーバーローは、バーベルやダンベルなどのさまざまな器具で行えます。ここでは、器具ごとのベントオーバーローのやり方についてみていきましょう。
バーベルを使用したベントオーバーロー
バーベルを使用したベントオーバーローのやり方について解説します。両腕を連動しながら動かせるので、フォームを固定しやすいメリットがあります。
1. 肩幅よりもやや広げてバーベルを持つ
2. 膝を軽く曲げて、姿勢を伸ばしながら上体を前傾させる
3. 肘を伸ばしてバーベルを膝の下あたりにセットする
4. みぞおちとおへその真ん中あたりに向かってバーベルを引く
5. ゆっくりと元に戻る
6. 4〜5の手順を繰り返す
ダンベルを使用したベントオーバーロー
ダンベルを使用したベントオーバーローは、バーベルよりも自由度が高いのが特徴です。軌道を調整することでさまざまな筋肉を鍛えられる一方で、難易度はやや高めです。
1. 両手でダンベルを持つ
2. 膝を軽く曲げて、姿勢を伸ばしながら上体を前傾させる
3. 肘を伸ばしてダンベルを膝の下あたりにセットする
4. 左右の脇腹に向かって肘を後ろに引きながらダンベルを動かす
5. ゆっくりと元に戻る
6. 4〜5の手順を繰り返す
チューブを使用したベントオーバーロー
チューブを使用したベントオーバーローも自由度が高く、張り具合によって負荷量を調節しやすいのが特徴です。自宅でも気軽に行いやすいのもポイントです。
1. 両手でダンベルを持つ
2. 膝を軽く曲げて、姿勢を伸ばしながら上体を前傾させる
3. 肘を伸ばしてダンベルを膝の下あたりにセットする
4. 左右の脇腹に向かって肘を後ろに引きながらダンベルを動かす
5. ゆっくりと元に戻る
6. 4〜5の手順を繰り返す
ベントオーバーローの適切な回数や重量は?
ベントオーバーローの適切な回数・重量は、トレーニングの目的によって変わります。筋力を強化して背中の厚みを増やしたい場合は、8〜12回行うのが限界となるような重量で1セット以上行うのがおすすめです。
一方で、ダイエットや筋持久力の向上を目指す場合は重量を軽めにして、1セットで15〜20回行えるように調整するとよいでしょう。はじめてベントオーバーローを行う方は、まずはフォームから慣れるために、ムリのない回数と重量で行うことが大切です。フォームに慣れてきた段階で、少しずつ目的にあわせた回数・重量に近づけましょう。
ベントオーバーローの握り方による違い
ベントオーバーローは、握り方によっても負荷のかかり方が変化します。ここでは、握り方による特徴について解説します。
オーバーハンドグリップ(順手)
オーバーハンドグリップ(順手)は、背中の筋肉を効率的に鍛えたい方におすすめの握り方です。順手では肩甲骨同士を寄せやすいので、僧帽筋に効果的にアプローチできます。そのため、背中全体の厚みを増やしたい方や姿勢改善を目指す方に適しています。
ただし、順手は手首に負担がかかりやすい点に注意が必要です。リスク対策としては、サポーターを使用して手首の固定性を高める方法があげられます。手首の違和感を覚えたら無理をせず、適宜休憩をとりながら行いましょう。
リバースグリップ(逆手)
リバースグリップ(逆手)は、上腕二頭筋と広背筋を効果的に鍛えたい方におすすめの握り方です。この握り方では、バーベルやダンベルを持ち上げる際に上腕二頭筋が働きやすくなります。広背筋への刺激も強くなりやすいので、逆三角形の体型に加えて腕を太くしたい方におすすめの持ち方です。
ただし、重量を上げすぎると上腕二頭筋に頼りすぎて、背中にうまく刺激が入らなくなることがあります。逆手でトレーニングする際は、普段よりも背中の筋肉を意識しながら行いましょう。
パラレルグリップ
パラレルグリップは、ダンベルやチューブの使用時に手のひらを内側に向けて握る方法です。この握り方は上腕二頭筋が使われにくくなるので、広背筋や僧帽筋を効果的に鍛えられるのが特徴です。背中の筋肉を中心に鍛えたい方や、姿勢改善を目指したい方にとっておすすめの握り方といえるでしょう。
さらに、パラレルグリップは手首にとって自然な握り方のため、関節の負担が比較的少ないのも大きなメリットです。順手や逆手で手首に違和感を覚える方や、長時間のトレーニングを行う方にもおすすめです。
ベントオーバーローの効果を高める3つのコツ
ベントオーバーローの効果を高めるには、以下の3つのコツを意識することが大切です。
2. 前傾姿勢をキープする
3. 腕を引く際に肩甲骨を寄せる
ここでは、それぞれのコツについて詳しく解説します。
1.背中を丸めない
1つ目のコツは、背中を丸めないことです。背中を丸めると腰の筋肉にかかる負担が増えて、腰痛のリスクが高まります。同時に、背中の筋肉にかかる負荷が分散されるので、トレーニング効果も下がりやすくなります。ベントオーバーローを行う際はしっかりと胸を張り、背筋をまっすぐに保つようにしましょう。
2.前傾姿勢をキープする
2つ目のコツは、前傾姿勢をキープすることです。ベントオーバーローは前傾姿勢で行うトレーニングなので、その状態をキープすることでトレーニングの効率が高まります。前傾姿勢が崩れると背中の筋肉にかかる負荷が減少して、腰や腕などの部位に刺激が分散してしまいます。とくにトレーニングの後半になると疲労で姿勢が崩れやすくなるので、最後まで意識しながら行いましょう。
3.腕を引く際に肩甲骨を寄せる
3つ目のコツは、腕を引く際に肩甲骨を寄せることです。腕の力だけで引こうとすると上腕二頭筋のみに負荷が集中して、背中の筋肉への刺激が入りにくくなります。バーベルやダンベルを引き上げる際は、肘を後ろに引くと同時に、肩甲骨を寄せることをイメージして行ってみてください。はじめは難しいかもしれませんが、まずは軽い重量から試してみて、徐々に肩甲骨を寄せる感覚を掴んでみましょう。
ベントオーバーローで背中のボリュームを増やそう
ベントオーバーローは広背筋や僧帽筋などの背中の筋肉を効率的に鍛えられるトレーニングです。バーベルやダンベルなどのさまざまな器具で行え、握り方によっても効かせられる筋肉が変化します。そのため、豊富なバリエーションがあるのも大きな魅力です。実施するにあたって注意点もあるので、そのポイントを踏まえつつ、効率的にベントオーバーローを実践してみましょう。
内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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