無酸素運動とは?具体的な効果・種類や有酸素運動との違いを詳しく解説
公開日:2024.09.24
文:内藤 かいせい(理学療法士)
無酸素運動とはどのような運動なのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。無酸素運動とは瞬間的に大きな力を使う運動のことで、代表的な種目には筋トレがあげられます。
この記事では、無酸素運動のメリットや自宅でも気軽に行えるメニューについてご紹介します。どのような特徴があるのかを知ることで、正しい方法でトレーニングを実践できるようになるでしょう。
目次
無酸素運動とは?
無酸素運動とは、短時間で大きな力を使う運動のことです。運動中は体内で酸素をエネルギーとして使用していないため、「無酸素」という名前がついています。無酸素運動の特徴は、体内の糖質をエネルギー源として使用することです。
瞬発的に大きな力を使う場合、エネルギーをすぐに供給する必要があります。酸素を使ってエネルギーを作り出すには時間がかかるため、すぐに使用できる糖質を利用するのです。糖質は短時間で大きなエネルギーを供給できますが、持続時間は限られているので、長時間の運動には向いていません。
無酸素運動の種類
無酸素運動の代表的な種類として、以下があげられます。
● 短距離走
● ウエイトリフティング など
これらの運動は、どれも瞬間的に大きな力を発揮するのが特徴です。とくに筋トレは、無酸素運動のなかでももっとも代表的な運動の1つといえるでしょう。無酸素運動は種類が豊富なので、自分の目的や体力にあわせて選択することが大切です。筋トレの場合、まずは自重トレーニングからはじめるのがおすすめです。
無酸素運動の効果
無酸素運動をすることで、どのような効果を得られるのでしょうか。ここでは、無酸素運動の効果について詳しく解説します。
筋肉量の増加
無酸素運動によって短時間で筋肉に強い負荷をかけることで、筋肉量の増加が期待できます。筋肉量の増加には、おもに2つのメリットがあります。1つ目は、たくましい身体を作れることです。無酸素運動を継続的に行うことで徐々に筋肉がつき、引き締まった体型に近づきます。
2つ目は、基礎代謝の向上です。基礎代謝とは、人が生きるうえで必要な最低限の消費エネルギーのことです。筋肉量が増えると基礎代謝量が上がるので、1日の消費カロリーが増えてダイエット効果が期待できます。
このように、無酸素運動は筋肉量の増加とともに、ボディメイクやダイエットにも役立つのです。
生活習慣病の予防
無酸素運動を継続することで、生活習慣病の予防が期待できます。実際に、無酸素運動の1つである筋トレは健康増進効果があるとされており、糖尿病や心臓病などの発症リスクが低くなるという報告があります。
また、筋トレによって転倒や骨折のリスクを低下させることもわかっているのです。そのため無酸素運動は若者だけでなく、高齢者にとっても大きなメリットがあります。ただし無酸素運動の効果は即座に現れるものではないため、長期的に継続することが大切です。
無酸素運動と有酸素運動の違いは?
無酸素運動と有酸素運動は、運動の強度やエネルギー源などに大きな違いがあります。有酸素運動は、ウォーキングやジョギングなどの比較的軽い負荷で長時間続ける運動のことです。酸素を使って体内の脂肪をエネルギー源とするのが特徴で、脂肪燃焼効果や心肺機能の改善が期待できます。無酸素運動は前述したように、短時間で大きな力を発揮する運動で、酸素ではなく糖質をエネルギー源として使用します。
このように、それぞれの運動は特徴や役割がまったく異なるので、目的に応じた種目を実施することが大切です。筋肉量を増やしたい場合は無酸素運動、体力作りやダイエットをしたい場合は有酸素運動がおすすめです。ただし、どちらか一方だけでなく、両方をバランスよく取り入れることで、よりトレーニングの効果が高まるでしょう。
気軽にできる無酸素運動のおすすめメニュー
ここでは、気軽に行える無酸素運動のおすすめメニューをご紹介します。
スクワット
スクワットは太ももの前側の「大腿四頭筋」やお尻の筋肉の「大殿筋」など、下半身を中心に鍛えられるトレーニングです。
1. 足を肩幅程度に広げる
2. 姿勢を伸ばしたまま膝と股関節を曲げる
3. 膝を90°ほど曲げたらゆっくりと元に戻る
4. 2〜3の手順を繰り返す
曲げる際は、つま先よりも膝が前に出ないように注意してください。
ランジ
ランジは足を前に踏み出すトレーニングです。こちらも大腿四頭筋や大殿筋を中心に鍛えられます。
1. 姿勢を伸ばしたまま片足を前に踏み込む
2. 踏み込んだ側の膝を90°ほど曲げつつ、体重を乗せる
3. ゆっくりと足を戻す
4. 1〜3の手順を左右の足で交互に繰り返す
ヒップリフト
ヒップリフトはあお向けの状態でお尻を上げるトレーニングです。寝た状態で気軽に大殿筋を鍛えられるメリットがあります。
1. あお向けになって両膝を曲げる
2. お尻を上げて太ももと上半身を一直線にする
3. ゆっくりと元に戻る
4. 2〜3の手順を繰り返す
腕立て伏せ
腕立て伏せは、大胸筋や腕の筋肉である上腕三頭筋を鍛えられるトレーニングです。
1. うつ伏せになり、両手と両足で身体を支える
2. 肘を曲げてゆっくりと身体を下げる
3. 胸が床につく直前で元に戻る
4. 2〜3の手順を繰り返す
トレーニング中は身体がまっすぐの状態をキープして行いましょう。
プランク
プランクとは、腕と足で身体を支えるトレーニングです。腹筋や体幹のインナーマッスルを鍛えられるのがメリットです。
1. うつ伏せになる
2. 両手を曲げて肘と足で身体を支える
3. 姿勢をまっすぐにした状態をキープする
4. 10秒ほどキープしたら力を抜く
5. 3〜4の手順を繰り返す
プランク中は、呼吸を止めないように注意してください。股関節が曲がらないように、まっすぐの状態で行いましょう。
ドローイング
ドローイングはあお向けになった状態で息を吐き、お腹のインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。
1. あお向けになって両膝を曲げる
2. 息を大きく吸う
3. お腹をへこますように息をゆっくりと吐く
4. 2〜3の手順を繰り返す
お腹をへこます際は、腰を床に押し付けるようなイメージで行ってみましょう。
無酸素運動の効果を高めるポイント
ここでは、無酸素運動の効果を高めるためのポイントについて解説します。
適度な頻度や回数で行う
無酸素運動の効果を最大限に引き出すためには、適切な頻度と回数で行うことが重要です。筋トレの場合、週に2〜3日程度の頻度がおすすめです。無酸素運動によって筋肉に負荷をかけると、筋線維(筋肉を構成する細胞)が傷つきます。休息によって傷ついた筋肉が修復されると、以前よりも強く太くなり、このプロセスを「超回復」と呼びます。筋肉を効率的につけるには、トレーニングと休息のバランスが欠かせません。
また、自重トレーニングの場合は10〜15回の回数を1〜3セット行うのがよいでしょう。この基準をもとに、慣れてきたら少しずつ負荷や回数を増やすことが大切です。
たんぱく質を摂取する
無酸素運動の効果を高めるためには、たんぱく質を積極的に摂取しましょう。たんぱく質は筋肉を作るための栄養素であり、運動で傷ついた筋線維を修復するのに欠かせません。この栄養素が不足すると、トレーニングの効果が半減してしまう可能性があります。たんぱく質が豊富に含まれる食べ物には、以下があげられます。
● 魚
● 卵
● 大豆製品 など
たんぱく質をはじめとした、バランスのとれた食事と適切な運動を組み合わせることで、健康的な身体作りを目指しましょう。
無酸素運動を取り入れて健康的なカラダ作りを!
無酸素運動は筋トレや短距離走など、瞬間的に力をいれる運動のことです。無酸素運動には筋肉量の増加や生活習慣病の予防などのさまざまなメリットがあります。たくましい身体を作りたい方にとっては、有酸素運動よりも無酸素運動のほうがおすすめといえます。筋トレは気軽に行える自重トレーニングも多くあるので、目的にあわせて継続して行ってみましょう。
内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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