低血圧の人が食べてはいけないものはある? おすすめの食べ物や改善方法
公開日:2024.10.09
文:中邑悠花(管理栄養士)
「低血圧による立ちくらみやめまいがつらい」と感じている方はいませんか? 低血圧は病気や生活習慣、体質などさまざまな原因が考えられます。なかでも生活習慣が原因の場合は、食事や習慣を変えるだけで症状が改善するかもしれません。
今回は、低血圧の方が食べてはいけないもの、おすすめの食べ物、さらに食事以外での改善方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
低血圧とは?
低血圧に明確な基準はありませんが、一般的に上の血圧(収縮期血圧)が100mmHg未満、下の血圧(拡張期血圧)が60mmHg未満の状態をいいます。まずは低血圧の原因や主な症状について見ていきましょう。
低血圧の原因
低血圧は急性低血圧と慢性低血圧に分けられ、それぞれ原因が異なります。
急性低血圧は一時的に血圧が低くなることをいい、起立性低血圧や食事後に低血圧になる食事性低血圧などがこれにあたります。ずっと座っていて急に立ったときに立ちくらみがする、食後30分〜1時間程度経過したときにめまいがするといった方は、急性低血圧の可能性があります。
慢性低血圧は、病気や体質などによって常に血圧が低い状態のことをいいます。病気が原因の症候性低血圧のほかに、原因がはっきりとしない本態性低血圧というものもあります。また、低血圧にもかかわらず無症状で問題なく過ごせている方もいますが、これは体質性低血圧と呼ばれ、若い女性に多いとされています。
低血圧の症状
低血圧の主な症状は以下の通りです。
● めまい
● 立ちくらみ
● ふらつき
● 体がだるい
● 疲れやすい
● 眠気
● 手足の冷え
急性低血圧のなかでも重篤な場合は、気を失ってショック状態になることもあります。
低血圧の人が食べてはいけないものはある?
特定の食べ物を食べて急激に血圧が下がることは考えにくいため、低血圧の方が食べてはいけないものは基本的にありません。ただし、控えたほうがいい成分として挙げられるのはアルコールです。アルコールは血管を拡張させる作用があるため、血圧を下げる作用があります。
血圧が低めな方は飲酒によってさらに血圧が下がり、体調が悪くなる可能性があるため控えたほうがいいでしょう。どうしてもお酒を飲みたいときやお酒の場に呼ばれたときは、ノンアルコールドリンクや炭酸水などで代用してください。
それでもお酒を飲みたいときは、お酒以外での水分補給を忘れないようにし、飲み過ぎに気を付けましょう。
低血圧の人におすすめの食べ物
低血圧の改善にはバランスのいい食事を摂ることが欠かせません。特に菓子パンやインスタントラーメンなど、食事が偏っている方は、ここで紹介する食べ物を取り入れてみてください。
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品にはたんぱく質が多く含まれています。たんぱく質は私たちの皮膚や臓器、筋肉を構成する主要な成分です。低血圧を予防するためには体を温めるのが大切ですが、たんぱく質は筋肉の量を維持し、代謝を上げて体を温める効果が期待できます。
また、食後に血圧が下がる食事性低血圧の場合は、糖質を多く摂ると症状が出やすくなります。たんぱく質の多い食品は血糖値を上げづらいため、糖質の量を減らしてたんぱく質の量を増やすといいでしょう。
根菜、豆、海藻、きのこ
根菜、豆、海藻、きのこには食物繊維が多く含まれています。食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値を上げにくくする効果が期待できます。特に食事の最初に食物繊維を摂るのが効果的とされているため、サラダや和え物などを食事の最初に食べるように意識してみましょう。
コーヒー・紅茶・緑茶
コーヒー、紅茶、緑茶にはカフェインが多く含まれています。カフェインには覚醒作用があり、交感神経を刺激するため血圧を上げます。そのため低血圧の方はお酒ではなく、コーヒーや緑茶などを選ぶのがおすすめです。
ただし、カフェインは飲む量や時間によって、不眠になったりトイレが近くなったりします。夜眠る前の摂取は避け、朝食後や昼食時に飲むといいでしょう。
低血圧を改善する食事方法
食べ物だけでなく食事方法も見直すことで、さらに低血圧の改善が期待できます。すぐに実践できるますので、低血圧が気になる方は次に紹介する方法を参考にしてみてください。
朝食をしっかり食べる
低血圧の方は朝が苦手という方が多いでしょう。時間ギリギリまで寝ているために、朝食は抜くという方もいるかもしれません。しかし朝食は水分、エネルギー、塩分の補給に重要です。朝食を抜くと朝から力が入らず、低血圧をさらに悪化させてしまいます。
朝から朝食を食べる元気がないという方は、バナナやスムージー、インスタントのスープを一杯飲むだけでも構いません。無理なく朝食を食べる習慣をつけていきましょう。
水分補給を忘れずに
水分が足りなくなると脱水状態になり、体内を循環する血液の量が減ります。すると低血圧になりやすくなるため、水分補給は欠かさないようにしてください。夏場は汗をかくため脱水になりやすいイメージがありますが、寒くて水分補給が減りがちな冬場も脱水に注意が必要です。
食事に汁物を付けるよう意識したり、「起床してすぐ」「入浴後」など自分で水分を摂るタイミングを決めたりしておくと脱水になりにくいです。
食事量に気を付ける
食事性低血圧の場合、食後に消化器に血流が集中することで低血圧が発生します。たくさんの量を一気に食べると低血圧になりやすいため、少量を数回に分ける食べ方がおすすめです。また早食いも低血圧になりやすいため、よく噛んでゆっくり食べるように心がけましょう。
低血圧の改善方法
低血圧は食事以外にも改善できる方法があります。ここでは日常生活に取り入れられる改善方法を紹介します。
ウォーキングをする
これといった原因がないのに低血圧の場合、運動不足の可能性があります。筋肉量が少ないと低血圧になりやすいため、運動習慣をつけて筋肉量を増やしましょう。負荷が少なく効果が高い運動としてウォーキングがおすすめです。
まずは短時間から始め、慣れてきたら運動量を増やしていきましょう。
早寝早起きする
夜ふかしをして朝だらだら寝ているような生活は、低血圧を悪化させるとされています。早寝早起きをし、規則正しい生活を送ることで低血圧が改善する可能性があります。
ゆっくりとした動作にする
立ち上がったときに血圧の低下が起こる起立性低血圧は、急に立ち上がったときに立ちくらみやふらつきなどの症状が現れやすいのが特徴です。なるべくゆっくりとした動作を心がけると、立ちくらみが起こりにくくなります。特に起床時などは寝ながら手足を動かしたり、ストレッチをして体を伸ばしたりしてからゆっくりと起き上がるようにしましょう。
まとめ:バランスのいい食事と規則正しい生活で低血圧を改善しよう
今回は低血圧を改善するための食事や、食事方法について解説しました。低血圧にはさまざまな原因があるため、まずは自分の原因を見極めてみましょう。
低血圧の方が食べてはいけないものは基本的にありませんが、バランスの悪い食事では症状を悪化させる恐れがあります。たんぱく質や食物繊維、カフェインなどを上手に取り入れて、バランスのいい食事を3食しっかり食べるのがおすすめです。
また、運動習慣をつけることや規則正しい生活を送ることも、低血圧の予防に効果的です。自分にできることから始めて、低血圧を改善していきましょう。
中邑悠花(管理栄養士)
前職ではリハビリ系デイサービスで高齢者向けに介護予防のための運動指導に従事。その後同施設で低栄養状態改善に向けた栄養相談を担当する。出産を機に退職し、現在は在宅でフリーランスのライターとして活動中。子育てをしながら食や健康に関する記事を中心に、幅広いジャンルの執筆を行う。
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