【ズキンと痛む】膝の痛みの原因を撃退するストレッチを解説!
公開日:2024.10.16
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
あなたは「病院に行くほどではないけど膝が痛む気がする」「膝が痛い時に自分でできるストレッチはないの?」というお悩みはありませんか。
しゃがみ込む機会が多かったり、階段や椅子から立ち座りをする時に痛みがでる方も多いのではないのでしょうか。
膝の痛みが出る原因は様々ですが、一つの要因として膝の運動方向が乱れていることで負担が掛かり、痛みに繋がっているケースがあります。
当記事では、膝を正しく動かして痛みの軽減に繋げる方法を紹介します。あなたの辛い膝の痛みを解消するためにお役立ていただけますと幸いです。
【意外と知らない】膝の痛みが起こる原因を解説!
膝の痛みは多くの方が経験する問題ですが、その原因は一つではありません。膝は不安定な関節で、筋肉や靭帯、軟骨など多くの組織が関わり、安定性を確保しています。そのため、痛みの原因も多岐に渡ります。
さらに、膝関節は股関節と足関節に挟まれた関節となるため、両関節の影響を大きく受けます。よって、膝の痛みがある場合は、膝だけに着目するのではなく、股関節や足関節に原因を探すことも重要な考え方です。
アライメント不良や動作パターンのエラー
股関節や足関節のアライメント不良や膝関節も含む下肢の関節運動のエラーは、膝に大きな負担を与えます。
膝を痛めている方の多くは、O脚になっていたり、膝を曲げる際に膝がつま先よりも内側に入るような動作をしています。
このようなアライメントや動作パターンの不良は、膝の半月板や靭帯などに圧迫または伸張ストレスを掛け、炎症を引き起こすことがあります。
筋のアンバランス
膝関節は骨構造上、不安定な関節であるため、筋肉のバランスが重要です。
特に、大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)とハムストリングス (太ももの後面の筋肉)のバランスや、内転筋(太ももの内側の筋肉)と中殿筋や大腿筋膜張筋(太ももの外側の筋肉)のバンラスなどが崩れると、膝に不均等な力が掛かるケースがあります。
スポーツや労作業などによる過度な負担
ランニングやジャンプなどを頻回に行なったり、バスケなどの急に止まるようなスポーツを行う際などに、膝の筋肉や靭帯に負担が掛かり、炎症を引き起こすケースもあります。
加齢
年齢を重ねると、膝の軟骨が徐々に摩耗し、クッション機能が低下します。さらに筋力の低下なども相まって、膝関節に負担が掛かりやすくなるのです。
ある研究結果によると、45歳以上で膝関節症の発症率が増加すると言われています。
【膝の負担を軽減する】自分でできる!膝関節ストレッチ3選
先ほど解説したように、膝の痛みが起こる原因は一つではありません。しかし、いずれにしても膝の負担を軽減していくことは、膝の痛みを予防するために重要です。
よって、膝の負担を軽減するために重要かつ多くの方が硬くなっている部位のストレッチを、厳選して紹介します。
大腿筋膜張筋ストレッチ
大腿筋膜張筋は、太ももの外側に位置する筋肉で、歩行時に重要な役割を果たします。具体的には、足を一歩前に出し踵をついたところから体重を前方に移動させる際、重心移動を円滑に行うために体を支える働きがあります。
⒈右脚を曲げて左脚の太ももの上に乗せます
⒉右側に足を倒しましょう。
⒊太ももの横が伸びているのを感じましょう。
他の筋肉(股関節内転筋や外転筋、外旋筋など)のバランスが、大腿筋膜張筋の硬さに繋がっていることも多いので、その辺りも合わせて考えていくと良いでしょう。
また今すでに膝の変形が見られる方や痛みがある方は、大腿筋膜張筋の緊張を高めることで、膝の安定性を保っている可能性もあります。よってご自身の状態に不安がある方は、近くの専門家に体の状態を見てもらうことをおすすめします。
ハムストリングスストレッチ
ハムストリングス は、太ももの後ろ側に位置し、膝を曲げる働きがあります。大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋という3つの筋肉の総称です。
⒈手をテーブルやホームローラーなどにつき、お尻を後ろに引きます。
⒉背骨をまっすぐに保ったまま、膝を伸ばしましょう。
⒊腰が丸まらないところまで伸ばし、膝裏の筋肉の伸びを感じます。
下腿三頭筋ストレッチ
下腿三頭筋は、ふくらはぎの筋肉です。膝裏でハムストリングスと手を握る様な形で繋がりを持ち、膝関節の安定性に関与します。
また歩行時の前方への推進力とも関連があり、膝の衝撃吸収に重要な働きを持ちます。
⒈段差につま先を乗せて立ちます。
⒉踵を床に向かって下げていきます。
⒊つま先と膝の方向が一致するように意識しましょう。
【根本から撃退】膝の痛み予防のための調整エクササイズ
膝周囲の筋バランスを整えるストレッチを紹介しましたが、実はストレッチだけでは不十分です。
筋肉の弱さが原因となり、アライメント不良や動作エラーが起こったり、筋肉の硬さが引き起こされている可能性も十分にあります。よって痛みを根本から解決するためには、トレーニングも重要ですので、ぜひ取り組んで見てください。
脛骨内旋エクササイズ
膝の痛みがある方の中には、膝下のスネの骨である脛骨(けいこつ)が過剰に外側にねじれているケースを散見します。
本来、膝を曲げ伸ばしする際には、この脛骨が内側にねじれたり(内旋したり)、外側にねじれる(外旋する)動きをする仕組みになっています。しかし、脛骨が外旋位で固定されてしまうと、この仕組みが破綻し関節に負担が掛かることがあるのです。
よってこの動きを出すために脛骨を内旋させるエクササイズを行います。
⒈座った状態で、右足を前に出しましょう。
⒉太ももを抑えた状態で、つま先を内側に向けます。
⒊元の位置に戻しましょう。この動作を繰り返します。
クラムシェル
膝の関節に負担をかける動きの中に、膝が内側に向くことが挙げられます。お尻の筋肉(外旋筋群)が弱くなると、股関節が内側にねじれるので、膝が内側に入りやすくなるのです。
よって、股関節を外側にねじる動きを行なっていきましょう。
⒈横向きに寝て、両膝を90度に曲げます。
⒉踵同士は合わせたまま、膝を開きます。
⒊骨盤は開かないように注意し、この動作を繰り返しましょう。
ランジ
ランジは、太ももの前の筋肉と後ろの筋肉、そしてお尻の筋肉のバランスを整えながら鍛えるのに効果的です。
さらに膝とつま先の方向を一致させながら行うことで、動作パターンの学習をしながら筋肉を使うことができます。
⒈立った状態で、右足を前に一歩出します。踵の上に膝がくるようにセットしましょう。
⒉股関節から折りたたむように体を前に傾けます。
⒊姿勢をまっすぐ保ったまま起き上がりましょう。
まとめ
今回は、膝の痛みの原因を撃退するストレッチとエクササイズについて解説しました。
膝の痛みの原因は、一つではないので一概にこれと断定できる訳ではありません。しかし膝の使い方にエラーが出ていることで、膝に負担が掛かり痛みを伴っていることが多いでしょう。
そのため、今回は一般的に膝の痛みが出現しやすい方が、硬くなりやすい場所、弱くなりやすい場所に対する、ストレッチとエクササイズを紹介しました。
それぞれの方に違う体の特徴がありますので、ぜひお悩みの方は一度近くの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
参考文献
Rajagopal, K. B., Pandey, R. H., Fisher, E. E., Fillingim, R. B., & Farmer, N. M. (2021). Cross-sectional brain-predicted age differences in community-dwelling older adults with chronic knee pain. Journal of Pain Research. Dove Press. Retrieved from
服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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