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【四十肩・五十肩の方にオススメ】根本から解決したい肩関節周囲炎ストレッチを解説!

公開日:2024.11.28

【四十肩・五十肩の方にオススメ】根本から解決したい肩関節周囲炎ストレッチを解説!

文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)

その名前の通り40〜50代に入ると悩む方の多い「四十肩」や「五十肩」。基本的には自然経過で改善していくケースが多い病態ですが、夜の痛みが強く眠れなかったり、肩が上がらないなど日常生活への影響も大きく、お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「四十肩」や「五十肩」は肩関節周囲炎と言って、肩関節の周りに炎症が起こる病態です。そして原因は様々で、一つではありません。そして発症からの時期によって対応方法も異なります。そのため当記事では、症状や時期別の対処法や自宅でできるストレッチを紹介しますので、ご自身の症状と見比べながらぜひ取り組んでみてください。

四十肩・五十肩ってどんな状態?

四十肩や五十肩の正式な呼び方は、「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」です。40〜50代で発症することが多いため、そのような名前で呼ばれることが多いのです。

肩関節周囲炎は、その名の通り、肩関節の周囲の組織(筋、腱、靭帯、関節包など)に炎症を起こすことを指します。主な症状としては、痛みや可動域制限などです。

具体的には、「洗濯物を干そうと腕を上げようとしたところ、痛みが出て上がらない」や、女性であれば「下着を着けようとしたところ、手が背中に回らない」と言ったように、日常生活動作に大きく影響がある病態でもあります。

四十肩・五十肩の原因について徹底解説!

肩関節周囲炎の主な原因は、関節を構成する骨、軟骨、靭帯や腱などが老化して肩関節周囲の組織に炎症が起こることと言われています。ではなぜ老化により炎症が起こるのか、もう少し具体的に見ていきましょう。

肩関節周囲の組織の変性

加齢に伴い、肩の腱や関節包、靭帯などの組織が徐々に変性し、柔軟性や弾力性を失います。このような変性により、肩の可動域が狭くなり、炎症が起こりやすくなるのです。変性した組織は摩耗(まもう)しやすく、また小さな外力や日常的な動作によっても微細な損傷が蓄積することがあります。

血流の低下

加齢とともに、肩関節周囲の血流が低下します。血流の低下は、組織の代謝機能を低下させ、修復機能も鈍化させます。これにより、炎症の治癒が遅くなり、慢性的な炎症状態を引き起こすことがあるのです。

関節包の肥厚と硬化

関節包は、肩関節を覆う結合組織で、関節を安定させる役割を果たします。加齢により関節包が厚くなり、硬化(繊維化)することがあります。この関節包の変化が進むと、関節包が縮んでしまい、肩関節の動きが制限され、結果的に炎症を引き起こす可能性があります。

老化による炎症の自然な増加

加齢に伴い、体内の炎症反応が増加することが知られています。低レベルの慢性的な炎症が加齢とともに進行することです。この慢性的な炎症状態は、肩関節だけに関わらず様々な関節周囲の組織にも影響を及ぼす可能性があります。そのため肩関節周囲炎の一因ともなり得るのです。

筋力の低下と関節の安定性の喪失

年齢とともに筋力が低下し、特に肩周囲の筋肉(回旋筋腱板や三角筋など)が弱まることで、肩関節の安定性が失われやすくなります。この安定性の喪失が、肩関節に対するストレスを増大させ、炎症を引き起こす原因となります。

【時期別】肩関節周囲炎の対処法

肩関節周囲炎は、基本的に自然経過で良くなる病態です。しかし炎症症状ですので、炎症が起こっている時期に、無理に動かしてしまうと症状が悪化したり長引く可能性があります。そのため時期別の対処方法について解説します。

【炎症期】夜間や安静時の痛みが強い時期

まず、発症初期の炎症がある時期を炎症期と呼びます。時期の目安としては、10週〜9ヶ月の期間を指します。特徴としては、夜間痛や安静時痛がある時期で、自分で動かすことも難しい時期です。

この時期には、炎症を悪化させないことが最重要です。そのためなるべく安静にすることをおすすめします。また夜間の寝る姿勢が肩関節の負担軽減にも繋がるため、姿勢を調整することも有効的な手段の一つです。

具体的な方法を以下に説明します。
⒈痛みのある方を上にて横向きで寝ます。
⒉腕の下に枕やクッションを入れて、手が下がらないような姿勢をとります。

【四十肩・五十肩の方にオススメ】根本から解決したい肩関節周囲炎ストレッチを解説!

【拘縮期】肩の動きが大きく制限される時期

夜間痛や安静時の痛みが軽減し、動かせるようになってきたものの、可動域が大きく制限される時期を拘縮期と言います。時期の目安は、4〜12ヶ月と言われています。

この時期には、肩を横に広げたり(肩関節外転)、肩を前に持ち上げたり(肩関節屈曲)、手を後ろに回す動き(結滞動作)などが制限されるケースを散見します。

そのため拘縮期には、痛みのない範囲内で可動域を改善するように動かしていくと良いでしょう。ただし肩関節の制限の要因は、肩だけに限局している訳ではないため、どこに原因があるのかを専門家に見てもらうことをおすすめします。

【回復期】肩の可動域が改善してくる時期

痛みや可動域制限が改善してくる時期を回復期と言います。目安としては、12〜24ヶ月程度です。基本的には日常生活動作も問題なく行えることが多い時期ですが、一度肩関節周囲炎になった方は再発しやすいというデータも出ているため、再発予防が重要な時期になります。

肩関節周囲の筋力トレーニングや胸郭、肩甲骨など肩関節以外の動作学習などを行うことで、肩関節周囲のアライメント(ポジション)を整えていけると良いでしょう。

【自宅でできる】肩関節周囲炎ストレッチ3選

それでは自宅で行える肩関節周囲炎ストレッチを紹介します。人によって肩関節周囲炎になった原因や体の使い方は様々ですが、ここでは肩関節周囲炎の方によく見られるケースを元に紹介していきます。

【背骨を動かす】キャットアンドカウ

肩関節周囲炎の方は、肩を動かす際に背骨の動きが連動していない場合が多いです。本来、肩を曲げたり、外に開く時には、胸椎(胸の背骨)が一緒に伸展(反る動きを)します。しかし、この胸椎の伸展が制限されていると、肩関節のみで動かそうとしてしまうため、肩にストレスが掛かりやすくなってしまうのです。よって胸椎の可動性をまずは出していきましょう。

⒈四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝が目安です。
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⒉まずは背骨を丸めていきます。手で床を押しながら行ってみましょう。
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⒊次に背骨を反らします。胸の前を上に向けるような意識です。この時も床を押しながら行い、腰を過剰に反らないようにしていきます。
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【上腕骨を正しい位置へ】肩はめ込みエクササイズ

肩関節周囲炎の方は、肩関節の関節包後面が硬くなり、上腕骨(腕の骨)のポジションが悪くなっているケースが多いです。本来の位置よりも、前に移動しているケースが多いため、後方へはめ込んでいきましょう。

⒈四つ這いの姿勢になります。手はマット幅程度に広げ、指先を外向きにします。
【四十肩・五十肩の方にオススメ】根本から解決したい肩関節周囲炎ストレッチを解説!

⒉胸を下に下げ、腕の骨を後方に押し込みます。
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⒊床を押しながら元の姿勢に戻りましょう。

⒋繰り返し実施します。

【土台から整える】スイミングエクササイズ

肩関節の動かし方が悪くなっている原因に、土台である胸郭の位置が乱れていたり、肩関節を動かす際に、肩関節や肩甲骨の動かし方にエラーがあるケースも見られます。そのため土台から整えていくエクササイズも合わせて紹介します。

⒈四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝が目安です。頭が落ちないように意識します。
【四十肩・五十肩の方にオススメ】根本から解決したい肩関節周囲炎ストレッチを解説!

⒉片手を耳の横まで持ち上げましょう。反対の手でしっかりと床を押しながら行います。
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⒊反対の手も同様に行いましょう。

まとめ

四十肩や五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎は、基本的に老化が原因となる病態です。しかし肩関節周囲の筋力や土台となる胸椎の可動性の低下も相まって炎症を引き起こしているケースも多いと感じます。

よって肩関節周囲炎になってしまった方は、症状を解決することはもちろんですが、再発しないように、体の使い方を整えていけると良いでしょう。ご自身で体の使い方が理解できない方は、専門家に一度見てもらうこともおすすめです。

ぜひ当記事も合わせて参考にしていただき、肩の痛みや可動域制限の解決にお役立ていただけたら幸いです。

服部恵実

服部 恵実

大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_

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