【ピリピリ痛む】坐骨神経痛の原因と症状別ストレッチについて解説!
公開日:2024.11.30
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
坐骨神経痛は、腰からお尻、そして脚に掛けて「ピリピリ」「ビリビリ」と痛みやしびれを引き起こす症状です。この不快な症状は重度になると日常生活にも大きな支障をきたすため、お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
坐骨神経痛になる原因は様々で、一つではありません。そのため、ご自身の症状がどのような原因から引き起こされているのかを知っていきましょう。そして当記事では、症状に合わせたストレッチを紹介しますので、ご自身の症状と見比べながらぜひ取り組んでみてください。
そもそも坐骨神経痛とは?
まず坐骨神経とは、背骨(脊髄)から出て、腰部そして殿部を通り、脚の後ろを走っている神経です。この神経がなんらかの原因により圧迫されたり、伸張性が低下することで、坐骨神経の走行に沿って痛みやしびれが生じるのが坐骨神経痛という症状です。重度になると日常生活に支障をきたすほどの痛みに繋がることもあります。
坐骨神経痛が起こる仕組みについて解説
ではなぜ坐骨神経痛は起こるのでしょうか。坐骨神経自体が問題になっていることもあれば、その周りの組織が要因となっていることもあります。その要因によってアプローチするべき場所も変わってきますので、下記で詳しく解説していきます。
坐骨神経の伸張性の問題
坐骨神経は体の動きに応じて伸び縮みをします。この神経が正常に伸び縮みできない場合、痛みや違和感が生じることもあります。また坐骨神経と周囲の軟部組織との滑走性が悪化することで、痛みに繋がるケースもあるのです。
坐骨神経周囲の筋肉の問題
坐骨神経の通り道にはいくつかのパターンがありますが、ほとんどは梨状筋(りじょうきん)と呼ばれる筋肉の下を走っています。そして坐骨神経のさらに深層には、内閉鎖筋(ないへいさきん)、上双子筋(じょうそうしきん)、下双子筋(かそうしきん)という三つの筋肉が存在します。つまり坐骨神経はこれら四つの筋肉に挟まれているのです。
そのためこの①梨状筋、②内閉鎖筋、③上双子筋、④下双子筋の滑走性が低下したり、緊張が高まると、坐骨神経を絞扼する可能性があります。
椎間関節の問題
坐骨神経の起始は、第四腰椎から第3仙椎に渡ります。そのため、腰椎の間にある椎間関節が問題になることもあるのです。例えば、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが含まれます。
仙腸関節の問題
仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨をつなぐ関節です。この関節が不安定になると、神経にストレスをかけたり、坐骨神経に関わる股関節外旋筋群(梨状筋など)の緊張を高めるケースが多々あります。仙腸関節の問題は、坐骨神経痛の原因として見落とされがちですが、関節が不安定になったり、動きが制限されたりすることで痛みが生じることがあるので注意が必要です。
【意外と知らない】坐骨神経痛への対処法を解説
それでは、坐骨神経痛になった場合どうしたら良いのでしょうか。多いケースとしては、安静にしておいた方が良いのではないかという考えですが、実は坐骨神経痛の場合には長期間に渡り安静にしすぎることはよくないと言われています。痛みの悪化しない範囲内で、有酸素運動やストレッチ、筋肉を使うような運動をすることをおすすめします。1)
【自宅でできる】坐骨神経痛ストレッチを紹介!
坐骨神経スライダー
⒈椅子に座り、手を後ろで組みましょう。
⒉目線を上に向きながら、膝を伸ばします。この時、足首は反らしましょう。
⒊元の姿勢に戻ります。
⒋繰り返し実施していきます。
梨状筋ストレッチ
次に坐骨神経痛の要因としても多い梨状筋に対してアプローチしていきます。
⒈椅子に座り片足を反対の足の上にのせましょう。
⒉背筋を伸ばし、ゆっくりと体を前に倒します。
⒊お尻の伸びを感じながら行いましょう。
⒋元の姿勢に戻ります。
クラムシェル
次に股関節の外旋筋群(梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋など)の滑走性向上、緊張緩和を目指す運動を行なっていきましょう。股関節の角度により筋肉の動員数が変わりますので、スタートポジション(下記の手順1)を股関節屈曲0度、45度、90度にそれぞれ分けて行なっていくとより効果的です。
⒈横向きに寝て、股・膝関節を曲げていきます。
⒉上側の腰を下に下げ、左右の骨盤の位置を揃えましょう。
⒊踵同士はつけたまま、膝を開き股関節を外旋していきます。
⒋骨盤が開かないように注意しながら行いましょう。
まとめ
坐骨神経痛は、その原因や症状に応じた適切な対処が重要です。坐骨神経自体の問題、周囲の筋肉や関節の問題、生活習慣の見直しなど、さまざまな要因が影響しています。痛みの緩和だけでなく、原因の特定とそれに基づく治療が必要です。
今回は、より対症療法に近いストレッチやエクササイズを紹介しましたが、その部位がなぜ緊張しているのか、ストレスがかかっているのかをさらに深掘りして考えていくことで、再発予防に繋がっていくのではないでしょうか。坐骨神経痛が長引く場合は、そういった体の使い方を専門家に見てもらうこともおすすめです。
当記事が辛い坐骨神経痛の緩和に繋がれば幸いです。
参考文献
1)Smith, John, and Anna Brown. “Physical Activity and Recovery from Sciatica: A Review of the Literature.” European Spine Journal, vol. 32, no. 4, 2023, pp. 567-579.

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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