デクラインベンチプレスの正しいやり方とは?効果や注意点について解説!
公開日:2024.11.09
文:織田 ユウヤ(トレーナー)
「ベンチプレスを日常的に行っているけれど、もっと胸の筋肉を効果的に鍛えたい」「上半身の見た目を改善したい」このようなお悩みはありませんか?
胸のトレーニングといえばベンチプレスが一般的ですが、大胸筋の下部を集中的に鍛えるにはデクラインベンチプレスがおすすめです。しかし通常のベンチプレスと違って、正しいやり方がわからない人も多いでしょう。
そこで本記事ではデクラインベンチプレスの正しいやり方と効果、注意点についてプロのトレーナーが解説します。胸のトレーニングのバリエーションを増やしてバランス良く胸の筋肉を鍛えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
デクラインベンチプレスとは?鍛えられる部位
デクラインベンチプレスとは、ベンチの角度を頭側が低くなるように傾斜させて行うベンチプレスのことです。通常のベンチプレスと同じように、バーベルを上げ下げして胸や腕、肩の筋肉が鍛えられますが、とくに大胸筋の下部に強い刺激が入ります。なぜなら、大胸筋下部の筋繊維は斜め下に伸びており、デクラインベンチプレスを行うときの腕を伸ばす方向と一致するためです。
さらに、上腕三頭筋も効果的に鍛えられます。これは、デクラインベンチプレスはベンチが傾斜しているため肩関節の伸展角度が大きく、上腕三頭筋がより強く働くためです。
一般的に、デクラインベンチプレスはバーベルの移動距離が短くなるため、通常のベンチプレスよりも高重量を扱えるのが特徴です。ただし、高重量を扱う場合でも、正しいフォームを維持し、大胸筋下部と上腕三頭筋を意識して行うことが重要です。
デクラインベンチプレスの効果3選
デクラインベンチプレスで期待できる主な効果は下の3つです。
・立体的な胸板になる
・バストアップできる
・肩の負担が減る
それぞれ詳しく解説します。
立体的な胸板になる
デクラインベンチプレスで大胸筋下部を鍛えることにより、立体的でメリハリのある胸板が手に入ります。大胸筋下部が発達すると、胸の下部が厚くなり、腹筋との境目がハッキリするからです。鍛えられた大胸筋下部が胸の位置を主張し、メリハリがある上半身のシルエットをつくり出します。
バストアップできる
デクラインベンチプレスは、バストそのもののサイズを大きくするわけではありません。しかし、大胸筋下部を鍛えることで胸が開き、姿勢が改善されるため、バストラインがより美しく見える効果が期待できます。
また、胸を張った姿勢になることで肩甲骨が引き寄せられ、胸まわりの骨格がもち上がります。その結果、バストの位置が高く見え、デコルテもよりキレイに見えるようになるでしょう。
肩の負担が減る
あまり知られていませんが、デクラインベンチプレスは肩への負担が軽減されるというメリットもあります。
一般的に、腕を高く上げるほど、肩にかかる負担は大きくなります。しかし、デクラインベンチプレスは腕を体に対して斜め下に伸ばす運動です。肩関節の角度がゆるやかになり、通常のベンチプレスに比べて肩への負担が少なくなります。
実際に、通常のベンチプレスで肩に違和感を覚える人でも、デクラインベンチプレスなら問題なく行えるケースもあります。
肩の状態を気にすることなく胸筋や上腕三頭筋を鍛えたい方に、最適なトレーニングといえるでしょう。
デクラインベンチプレスのやり方・角度
デクラインベンチプレスの正しいやり方と適切な角度について解説します。適切な角度と正しいフォームを守り、より安全かつ効果的に胸まわりの筋肉を鍛えましょう。
基本的なデクラインベンチプレスのやり方
1. デクラインベンチの角度を15度~30度に設定する。
2. ベンチにあおむけになり、足が固定されていることを確認する。バーベルを肩幅よりやや広めに握る。
3. 胸を張り、バーベルをもち上げる。
4. ゆっくりとバーベルを胸の下部まで下ろす。
5. 肘が伸びきるまでバーベルをもち上げる。
この動作を8〜12回×3セット繰り返す。
デクラインベンチの角度は15〜30度が一般的です。角度が急すぎるとバーベルのコントロールが難しくなるため、初心者の方は15度からはじめるのがおすすめです。トレーニング頻度は、週2回が目安です。胸の筋肉だけに多くの時間を使うことは望ましくありません。全身の筋肉バランスがくずれないように、脚や体幹、背なかも適度に鍛えましょう。
デクラインベンチがない場合のやり方
デクラインベンチが利用できない場合でも、少しの工夫だけで同様の効果を得られるトレーニングができます。たとえば、フラットベンチに両足をのせてブリッジをするように腰を浮かせた状態でベンチプレスを行う方法です。
股関節が肩よりも高くなるため、デクラインベンチを使用した場合と同じような感覚でトレーニングを行えます。ただし、この方法は体幹の強さが必要です。ブリッジの姿勢が維持できない場合はほかのトレーニングを検討しましょう。
デクラインベンチプレスの注意点
ここからはデクラインベンチプレスの注意点について解説します。以下のポイントを守ることで、より安全で効果的なデクラインベンチプレスを実践できます。
・ウォーミングアップを行う
・長時間続けない
・軽い重量からはじめる
・前腕は常に垂直に保つ
・トレーナーに見てもらう
それぞれ詳しく解説します。
ウォーミングアップを行う
デクラインベンチプレスをはじめる前に、必ずウォーミングアップを行いましょう。動く準備ができていないと、けがのリスクが高まるからです。具体的には、以下の3つのウォーミングアップが推奨されます。
①5分間の軽い有酸素運動
②肩関節のストレッチ
③バーベルのみでフォームを確認する
これらをトレーニング前に行うことで筋肉と関節、神経の準備が整います。
長時間続けない
デクラインベンチプレスは長い時間行うべきではありません。なぜならデクラインベンチに寝た状態は、頭が心臓よりも低い位置になるため、血圧が上がりやすいからです。できるだけ短時間で終わるように、1セットは多くても12回までに設定しましょう。
軽い重量からはじめる
デクラインベンチプレスは、必ず軽い重量からはじめましょう。
いきなり高重量でトレーニングを開始すると、ベンチの位置がズレていた場合に、関節や筋肉を痛める可能性があります。
たとえば、以下の手順で徐々に重量を上げていくのがおすすめです。
1. 目標とするメインセットの重量の50%で8回
2. メインセットの重量の70%で4回
3. メインセットの重量の90%で2回
これらのステップを終えた後、目標とするメインセットの重量で8~12回を3セット行います。メインセットの重量は、自身の体力レベルにあわせて調整しましょう。フォームが崩れない範囲で、12回繰り返せる重量が目安です。
前腕は常に垂直に保つ
プレス系の種目では、地面に対して前腕を常に垂直に保つことが重要です。前腕が斜めになると、肘関節が不自然な角度で曲がってしまうからです。この状態では、肘にかかる負担が大きくなり、けがのリスクが高まります。鏡の近くにベンチを置き、バーベルを下ろすときに前腕が垂直になっているかを確認しましょう。
トレーナーに見てもらう
初心者であれば、トレーナーに見てもらうことをおすすめします。デクラインベンチプレスは難易度が高く、一人で正しく行うことが難しい種目だからです。トレーナーがいれば、フォームを修正してくれたり、バーベルを補助してくれたりと、安心してトレーニングに取り組めます。どうしても一人でトレーニングしなければならない場合は、無理な重量に挑戦するのは避けましょう。重量よりもフォームと安全性を優先することが大切です。
まとめ
今回はデクラインベンチプレスについて解説しました。デクラインベンチプレスは、大胸筋下部を効果的に鍛え、バランスの取れた胸部を手に入れるための優れたトレーニング方法です。やや難しい種目ですが、初心者でも軽めの重量からはじめれば安全に取り組めます。胸の筋肉を効果的に鍛えたい方は、本記事を参考に、デクラインベンチプレスを取り入れてみてはいかがでしょうか。
織田 ユウヤ
順天堂大学スポーツ科学部スポーツマーケティング学科卒業。スポーツショップやフィットネスメーカーの勤務を経て、スポーツジムやメディカルフィットネスジムでトレーナー兼マネージャーを務める。トレーナー歴は15年以上。
各種トレーナー資格、健康運動指導士、NSCA-CPTなどの資格を保有
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