バックエクステンションの正しいやり方は?効果や注意点も合わせて解説!
公開日:2024.12.13
文:加藤 尚也(理学療法士)
背筋を鍛えたいけど、忙しくてジムに行く時間が取れない方は多いのではないでしょうか。そんな方には、自宅で簡単かつ効果的に背筋を鍛えられる筋トレ、バックエクステンションがおすすめです。
バックエクステンションで「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」を鍛えることで、姿勢の改善やスポーツでのパフォーマンスの向上が期待できます。今回はバックエクステンションの正しいやり方や効果、注意点を合わせて紹介します。
バックエクステンションとは?鍛えられる部位
バックエクステンションとは、うつ伏せの状態から体を上に反らすことで、背筋を鍛える筋力トレーニングです。バックエクステンションでは主に、脊柱起立筋を鍛えることができます。
脊柱起立筋とは、背骨に沿って走行している筋肉で「最長筋(さいちょうきん)」「腸肋筋(ちょうろくきん)」「棘筋(ちょくきん)」「半棘筋(はんちょくきん)」の4つの筋肉で構成されています。
それぞれの筋肉が協調して働くことで、胸を張るなど背中を反らす動作を行います。
脊柱起立筋の筋力が低下すると、猫背など姿勢の崩れが起きたり、腰痛や肩こりの原因になることがあります。
また脊柱起立筋の筋力が弱いと、スポーツを行う際に、体幹を安定させることが難しいと考えられえています。高いレベルでパフォーマンスを発揮するためには、脊柱起立筋を鍛えて筋力を高めることが重要です。
バックエクステンションの効果4選
バックエクステンションを行うことで、以下の効果が期待できます。
①姿勢の改善
②肩こりや腰痛の解消
③スポーツでのパフォーマンス向上
④代謝が上がることによるダイエット効果
それぞれ順に解説します。
姿勢の改善
脊柱起立筋は背筋を伸ばすために必要な筋肉のため、鍛えることで、猫背を改善して美しい姿勢に導くことができます。背筋が伸びることで骨盤が立ちやすくなり、姿勢の崩れによるぽっこりお腹も引っ込めやすくなるでしょう。
肩こりや腰痛の解消
猫背になると脊柱が後方に曲がり、肩甲骨が前方かつ下に下がってしまいます。このような姿勢は腰に負荷がかかりやすく、腰痛を引き起こす可能性があります。また肩甲骨が前方に出ることで、肩周囲の筋肉が固まりやすくなり、肩こりの原因になることもあります。バックエクステンションで脊柱起立筋を鍛えて猫背を改善することで、このような肩こりや腰痛を解消に導くことができます。
スポーツでのパフォーマンス向上
スポーツでパフォーマンスの向上を目指すためには、背筋の筋力強化が重要です。走ったりジャンプをする際に背筋が弱いと、体を真っすぐに保ちにくいからです。より早く走ったり高く跳ぶなど、スポーツでのパフォーマンスを上げるためには、バックエクステンションにより、背筋を鍛えることが効果的です。
代謝が上がることによるダイエット効果
エネルギーの消費量に関わる基礎代謝は、筋肉の量によって決まります。基礎代謝とは、何もしなくても1日で消費するエネルギー量です。そのため代謝量を上げることで、ダイエット効果が得られやすくなります。
脊柱起立筋は背中にある大きな筋肉です。バックエクステンションで鍛えることで筋肉量が増えると、基礎代謝が上がり、ダイエットを効率的に行えるでしょう。
バックエクステンションのやり方
続いて、バックエクステンションの正しいやり方を紹介します。
①うつぶせになり、両手を頭の後ろで組む
はじめに、うつぶせになり、両手を頭の後ろで組みます。
②上体を上に反らす
次に、無理のない高さまで上体を上に反らします。このときに、無理をして背中を反らしすぎると腰痛の原因になるため、注意してください。
③ゆっくりと①の状態に戻る
無理のない高さまで上体を反らしたら、ゆっくりとうつぶせに戻ります。
①〜③の動作を10回×3セット繰り返して行います。頻度は週に3回程度が目安です。
負荷量が足りなくなったと感じた際は、ダンベルを使用したり、ソファやバランスボールから半身を出した状態で行って負荷量を上げるようにしましょう。
バックエクステンションの注意点
次に、バックエクステンションを行う際の注意点を解説します。
背中を反らす際に無理をしない
バックエクステンションを行う際に、無理に背中を反らしてしまうと、脊柱起立筋に大きな負荷がかかります。背筋に過度な負荷をかけると、腰痛を引き起こす可能性があります。そのため特に初心者の方は、背中をそらす際は無理のない高さに留めるようにしましょう。バックエクステンションを行っているときに腰に強い痛みを感じたら、すぐにトレーニングを中止してください。
反動をつけないようにする
背中を反らす際に脚を上げるなど、反動をつけてトレーニングを行うと、脊柱起立筋にかかる負荷が少なくなってしまいます。
脊柱起立筋に十分な負荷がかからないと、効率的に筋肉を鍛えることができません。トレーニングを行う際は反動をつけず、脊柱起立筋に負荷がかかっていることを意識しながら行うように注意しましょう。
筋肉痛がある間はトレーニングを休憩する
筋力トレーニングを行った翌日などは、筋肉痛になる方も多くいます。筋肉痛は一時的に筋肉の繊維が傷ついている状態であり、筋力をアップするための準備段階の期間と言われています。
そのため、背筋に筋肉痛があるときに無理にバックエクステンションを行うと、必要以上に筋繊維を傷つけてしまう可能性があります。そのため背筋に筋肉痛があるときは、無理にトレーニングを行わないようにしましょう。
また運動前後や筋肉痛が起きている際に、プロテインを摂取するなどタンパク質を取ることで、より効率よく脊柱起立筋を鍛えることができます。
負荷が足りなくなったら方法を変える
筋力トレーニングを継続して行うと、少しずつ筋力が向上します。筋力が向上したときにずっと同じ方法で行っていても、効率的に筋力をつけることができません。
トレーニングの際に物足りなさを感じたら、1セットあたりの回数を増やしたり、セット数を増やすなど負荷量を上げる工夫をしましょう。またバックエクステンションの重量を増やすために、組んでいる手に重りを持ったり、ソファやベッドなどから上半身を出した状態で行うなどの工夫も有効です。
運動中は呼吸を止めないように意識する
トレーニングの際に、必死になりすぎて呼吸を止めないよう注意しましょう。トレーニング中に呼吸を止めてしまうと、血圧や心拍数が急激に上昇し、体調を崩してしまうことがあります。バックエクステンションでは、上体を反らすときに息を吐き、うつぶせに戻るときに息を吸うなど、リズムよく呼吸を行いましょう。
まとめ
今回はバックエクステンションの正しいやり方や効果、注意点を紹介しました。バックエクステンションは器具などを使用せずに、自宅で簡単に行えるトレーニングです。ジムに通う時間のない方でも、効果的に背筋を鍛えることができます。
注意点を守って継続して行うことで、姿勢の改善やスポーツパフォーマンスの向上効果が期待できます。ぜひこの記事を参考にして背筋を鍛えて、すらりと伸びた美しい背中を手に入れてくださいね。
<参考文献>
望月久 「筋機能改善の理学療法とそのメカニズム ー理学療法の科学的基礎を求めて【第3版】」ナップ, 2014

加藤 尚也
理学療法士として総合病院と整形外科クリニックに勤務し、スポーツ整形を担当している。普段の診療業務からどのように指導を行えば患者様が適切な筋力トレーニングを行えるかを意識して指導をしている。また、けがの再発予防も重要視し、運動時のフォームチェックなども行っている。毎年、学会発表や市民公開講座など病院以外の場での活動も精力的に実施。ライターとしては医療・健康分野での執筆活動を中心に行っている。理学療法士歴は10年以上。
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