筋トレはメリットだらけ?その効果とデメリットの解決法もあわせて解説
公開日:2024.12.19
文:織田 ユウヤ(トレーナー)
導入文
筋トレにはボディメイクやダイエットだけではない、多くの効果があるのをご存じですか?実は精神面への影響や美容効果も期待できるのです。
この記事では、プロのトレーナーが筋トレのメリットや効果的で継続できる筋トレの方法を解説します。さらに、メリットの裏に隠れた筋トレのデメリットとその解決法も併せて解説します。筋トレをこれからはじめる人、筋トレがなかなか継続できない人もぜひ参考にしてください。
筋トレを行うメリット10選
筋トレには、以下のような多くの効果やメリットがあります。
● 肩こりが改善する
● 骨が強くなる
● 睡眠の質が上がる
● 疲れにくい体になる
● 姿勢が美しくなる
● バランス機能が向上する
● 脳の機能が高まる
● ストレスが軽減する
● 美肌効果が期待できる
それぞれ詳しく解説します。
太りにくい体になる
筋トレすると、太りにくい体になります。筋肉量が増えることで代謝が良くなり、カロリーを消費しやすくなるからです。筋肉1㎏の基礎代謝量は約13kcalです。筋肉量が5㎏増えると、寝ているだけで消費するエネルギーが約65kcal増加します。
肩こりが改善する
筋トレは首や肩こり改善にも有効です。筋肉を鍛えることで、血流やリンパの流れが改善されます。また、筋トレとストレッチを組み合わせるのもおすすめ。柔軟性が向上し、筋肉のこわばりによる不調を軽減できます。
骨が強くなる
筋トレをして骨にも刺激が加えられることで、骨も強くなります。骨は与えられた力に抵抗し、骨の構造が変化します。これを「ウォルフの法則」といいます。筋トレは骨密度が気になる人にもおすすめです。
睡眠の質が上がる
適度な筋トレをすると、睡眠の質が上がります。睡眠には浅い睡眠(レム睡眠)と深い睡眠(ノンレム睡眠)がありますが、マックマスター大学のKovacevicらによると、筋トレによって睡眠中の体温が上昇し、深い睡眠の時間が増えることが示されました。睡眠の質が気になる人は、軽い筋トレを習慣にしてみましょう。
疲れにくい体になる
筋トレをすると、疲れにくい体になります。筋トレによって疲労物質に対する耐性が向上し、筋肉の持久力が上がるからです。少し動いただけで疲れてしまう人は、筋肉不足も原因の1つかもしれません。筋トレが習慣になると、長時間の活動でも疲れにくい体になります。
姿勢が美しくなる
筋トレによって良い姿勢を保つための筋力も向上するため、姿勢改善の効果も期待できます。たとえば、背中の筋力が低下すると、背骨を支えられず猫背になりやすくなります。姿勢を良くするには、体幹の筋肉を鍛えるプランクもおすすめです。
バランス機能が向上する
筋トレをすると、姿勢を安定させるバランス機能がアップします。バランス機能は、スポーツ選手のパフォーマンスアップや、高齢者の転倒予防にも役立ちます。プランクやバランスボードを使ったトレーニングなら、筋トレ初心者でも自宅で簡単にできるでしょう。
脳の機能が高まる
筋トレによって脳の栄養であるBDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌が増えることから、脳の機能を向上させる可能性があります。認知症を予防したい人や、記憶力を上げたい人にも筋トレはメリットになるでしょう。
ストレスが軽減する
ストレスの軽減にも筋トレは効果的です。筋トレによって幸福感をもたらす「エンドルフィン」、精神安定に寄与する「セロトニン」、集中力を高める「ドーパミン」などのホルモンが分泌されます。気もちが沈んでいるときこそ、筋トレがおすすめです。
美肌効果が期待できる
筋トレは成長ホルモンを分泌させ、血行も促進させます。成長ホルモンは、肌の弾力やハリを保つコラーゲンの生成を促します。血行が良くなれば、肌のくすみ抜けにもつながります。実際に、美しさを求めてジムに通う人も珍しくありません。
筋トレのデメリット3選
筋トレには多くの効果が期待できますが、デメリットもあります。筋トレの主なデメリットは以下の3つです。
● けがのリスクがある
● 努力が必要
しかしこれらのデメリットはその理由を理解することで、解決できるものばかりです。それぞれ解説していきます。
効果が出るまでに時間がかかる
人の体はゆっくり時間をかけて変化していく仕組みなので、筋トレの効果が出るまでには時間がかかります。気付くと爪や髪が伸びているように、トレーニングをしている間はなかなか効果が出ないと思っていても、少しずつですが確実に体は変わっていきます。筋トレをはじめてから2~3ヶ月後には効果を実感できるでしょう。
けがのリスクがある
筋トレを含むすべての運動は、けがのリスクが伴います。その原因は、フォームが間違っていることと、過剰な負荷をかけすぎていることがほとんどです。それぞれのトレーニングで、人それぞれの筋力と目的にあわせた負荷にする必要があります。負荷をかけすぎるとフォームもくずれやすくなります。筋トレは正しいフォームをまず確認し、さらに適度な負荷で行いましょう。
努力が必要
筋トレで効果を出すためには、努力が必要です。努力を必要としない楽な筋トレでは、筋肉に負荷をかけることができず、体が変化しません。もちろん、マッサージやエステのように、他人から施術を受けても筋肉は成長しません。いつまでに痩せる、だとか、毎日〇回やるといった無理のない目標をつくり、毎日達成していくことで、前向きに努力できるようになりますよ。
筋トレを効果的に行なうためのポイント
筋トレは以下のポイントを抑えると、成果が出やすくなります。
● 休息を取る
● 1セットに集中する
● たんぱく質を1日に「体重×1.6g」取る
● さまざまな種目に取り組む
これらはトレーニングの原則に基づく重要なポイントです。しっかりと覚えて効果を高めましょう。それぞれ詳しく解説します。
負荷をゆっくり増やす
早く筋肉をつけたいからと急に負荷を増やしてしまうと、体を痛める可能性が高くなります。とはいえ、同じ負荷で筋トレをつづけていては、筋肉は成長しません。少し負荷を高めていいタイミングは、これまでの限界の回数より2回増えたことが2セット続いたときです。増やす負荷は、1段階だけにします。「もっと重くてもいい」と思っても、ゆっくり負荷を増やしていきましょう。
休息を取る
筋肉は、休ませている間に成長するので、休息を取ることも重要です。筋トレ後は48~72時間を目安に休息をとりましょう。つまり、毎日ではなく、1~2日おきに筋トレをすることで、筋肉が成長しやすくなります。
1セットに集中する
一般的に筋トレは2~3セットが推奨されていますが「1セットに集中すること」が成功のポイントです。初心者であれば、各運動を1セット・10~15回、集中して行うだけでも良い結果が得られます。3セットを予定しているからといって、1セット目で手を抜いてしまうと、筋トレの効果が思うように得られないでしょう。
たんぱく質を1日に「体重×1.6g」取る
筋トレの効果は栄養管理で決まると言っても過言ではありません。栄養が不足していると、どれだけトレーニングをしても筋肉は成長しません。とくに筋肉を構成するたんぱく質の摂取は重要です。目安としては、1日に体重1kg当たり1.6gのたんぱく質を取ることが推奨されます。体重が50kgの人であれば80gとなりますが、食事だけでたんぱく質80gを取ることは難しいため、プロテインやサプリメントを活用しましょう。
さまざまな種目に取り組む
できるだけさまざまな種目に取り組むこともポイントです。1つの種目だけを続けていくと、筋肉の発達が停滞していきます。たとえば、ベンチプレスの重量を増やせなくなり、成長が停滞している場合、ダンベルプレスやショルダープレスを取り入れてみると、停滞期を突破できることがあります。1つの種目に固執せずに、いろいろな種目に挑戦してみましょう。
筋トレを継続するためのポイント
せっかく筋トレをはじめても、継続しなければ意味がありません。継続できるようにするためポイントは、次の3つです。
● 計画を立てる
● 環境をつくる
それぞれ詳しく解説します。
目標を明確にする
筋トレをはじめる前に、目標を明確にしましょう。目標が決まっていないと、モチベーションを維持できずに、挫折してしまいます。その目標も「〇日まで続ける」というものではなく、「7月31日までに体脂肪率を10%にして、シックスパックをつくり、友達と海へ遊びに行く」など、具体的な目標をつくると、よりヤル気につながります。
計画を立てる
目標を明確にしたら、筋トレの計画を立てます。気が向いた日だけ運動しても、良い結果は期待できません。最低でも何を(筋トレメニュー)いつ(筋トレ日)やるのかを決めましょう。たとえば「スクワットとベンチプレス」を「月曜日と木曜日」にやると計画し、スケジュールに登録します。目標を最短で達成できるように、しっかりと計画を立てましょう。
環境をつくる
目標を決め、計画を立てたら、筋トレを実践しやすい環境をつくります。環境をつくる方法はいくつかあります。
● ダンベルを購入する
● トレーニングウェアを用意する
道具の準備だけでなく、ヤル気も高まるような環境をつくりましょう。
まとめ
今回は筋トレの効果やメリットについて解説しました。筋トレは身体的なメリットだけでなく、精神面や美容、健康にも良い影響があります。筋トレしやすい環境をつくり、目標を立てて、無理のない範囲で少しずつ負荷を上げていくことが筋トレを継続させるポイントです。
「いまの自分を変えたい」「快適な人生を送りたい」と考えている人は、筋トレを日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
・The effect of resistance exercise on sleep: A systematic review of randomized controlled trials
・Effects of Resistance Training on Muscle Size and Strength in Very Elderly Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
・Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices
・A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults

織田 ユウヤ
順天堂大学スポーツ科学部スポーツマーケティング学科卒業。スポーツショップやフィットネスメーカーの勤務を経て、スポーツジムやメディカルフィットネスジムでトレーナー兼マネージャーを務める。トレーナー歴は15年以上。
各種トレーナー資格、健康運動指導士、NSCA-CPTなどの資格を保有
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